生えてからもう一勝負

こんにちは。
あおい堂鍼灸院の今泉です。

円形脱毛症の治療において最終目的は何か。とても大事な事なのですが世間的にまだ余り認知されていないように思うので私の考えではありますが改めて書いてみたいと思います。

少し以前の記事『２つのゴール』でも内容的に同じ事を書いていますが、円形脱毛症治療の最終目的は

『髪の成長速度の回復』です。

これがないと再びぶり返したり場合によっては見た目の毛量が回復せず、たとえ短い産毛が生えてきていたとしても「治った感」が感じられないように思えます。

「産毛が生えてきたから治ったのではないか？」こう思われる事もあると思います。勿論新しい産毛が生えて来る事は喜ばしい回復の道筋であります。しかし円形脱毛症はビジュアルが全てと言っても良い病気です。生えてきた産毛が伸びなければ例え全頭に産毛が有ったとしても回復した様には思えないことでしょう。

ここで押さえておきたいポイントがあります。

産毛が生えてきたからと言っていきなり脱毛以前の様な速度では成長しません。

最初は極々ゆっくりとしか成長しないことが殆どです。

通常の髪の伸びる速さは１日あたり0.３ミリと言われます。３日で１ミリ、３０日で１センチ程度の伸び率と成ります。しかし、円形脱毛症で抜けた後に生えてきた産毛は1ミリ伸びるのに30日以上かかる事も珍しくありません。ましてや重症の場合は産毛の頭が見えてきたとしても長期間ずっと時が止まったようにそのままである場合もあります。

今まで何度も登場してきた過去記事『潜在的脱毛部』において抜ける（切れる）前の髪は既に髪の成長が止まっている事が証明できたと思います。

円形脱毛症のフロチャートとしては

まず最初に髪の成長が止まる
切れる（抜ける）
止まったまま（生えて来ない）
少しずつ伸びだす（生えてくる）
髪の成長速度が元来の速さに戻る（治る）

このような流れが言えると思います。

３から４、４から５が最もハードルの高い部分かもしれません。

ではこのフロチャート（以下ＦＣ）の各段階で何が起きているのか考えてみました。

ＦＣ１において頭皮に生じた現象は代謝異常や血流不全・栄養異常などが疑わしいです。

ＦＣ２において頭皮に生じた現象は免疫が成長の止まった毛包を処理している、または代謝や血流異常（自律神経の失調）などが疑わしいです。

ＦＣ３において頭皮に生じた現象はTreg細胞など毛包の修復をする機能が働いていない事などが疑わしいです。

ＦＣ４において頭皮に生じた現象は毛包が修復された、血流が戻ったなどが疑わしいです。

ＦＣ５は４の流れを受けてさらに毛包の健全化が進んだと思われます。

各項目で異論反論がある事だろうとは思います。

自己免疫だ代謝だ自律神経だストレスだ……なんだかんだと云うのは髪の成長が止まった原因追及論であり、これはこれで大事なことですがそこだけ見ていると病の本質（何がどう起こってどうなるか）を見誤り、原因を排除する方法論においても迂回したり「きめ手」に欠けて、新たな精神的ダメージを受けてしまう状況に成りかねません。

ＦＣの始めから終わりまで一貫して問題となる現象は『髪が伸びるか否か』です。

そこで上記ＦＣからいえる事は円形脱毛症の本質は

『髪の成長速度の鈍化』であるといえます。

ですので、改めてお伝えしたいことは

『生えてきた産毛は通常よりもずっとゆっくりとした速度で伸びていきます』です。

円形脱毛症の本質が髪の成長速度なのですから活動を再開し始めた毛包から髪が生えたからと云っていきなり速さが元通りとは残念ながらならないのです。もちろん、最初からバリバリ伸びる産毛もありますが重度であればあるほど最初はゆっくりとしか伸びません。せっかく産毛が生えてきたというのにヤキモキさせるこの病気は本当にしつこいのです。脱毛前の髪の成長が仮に１００だとしたら生え出した産毛は２とか３あたりでしょうか。私の感覚では最初で１０行けば好成績だと思います。

ではそのままゆっくりとしか伸びないのかと云えば、否。

病からの回復度合いによってだんだんと元の速さを取り戻していきます。

脱毛範囲の広狭と必ずしもリンクはしないが病が深ければ深いほどゆっくり期間は長いし、比較的病が浅ければゆっくり期間は短くなります。ただし、ゆっくり期間が長かったとしても産毛が少しでも頭皮に見えてきたり、少しでも長く伸びた感じがしたらそれは改善の兆しです。ここは喜びたいところですがサクサク伸びていく事はレアケースであると認識して、せっかくの良い兆しを「やっぱりダメだ」などと心の中で悪い評価にしてしまわぬようにしたいところです。

良ければ参考にしてみて下さい。