こんにちは。
あおい堂鍼灸院の今泉です。
円形脱毛症について調べていくとほぼ誰もがタイトルにある『爪甲点状陥凹(そうこうてんじょうかんおう』という言葉を目にする事に成ると思います。または実際にそうなっていて調べた方もいらっしゃると思います。
本日はこの爪甲点状陥凹について書いてみたいと思います。
先ずは爪についての概要を少し。
爪は髪の毛の毛母細胞と同じように爪母(そうぼ)と呼ばれる細胞から爪になる細胞が作り出されます。そして作り出された細胞が角化していって硬くなりおなじみの爪となります。素材は髪と同じケラチンです。
爪の根元にある爪母で作り出される爪なのですが髪と決定的に異なる点があります。それは……
『髪は上向き爪は前向き』なのです。
とても景気の良い雰囲気の言葉です。どのような事かと云えば上の爪周囲の構造図を見て下さい。爪を作り出す爪母は髪のように伸びていく方向に設置されていないのです。うまく伝わるか不安ですが毛母細胞の場合は細胞分裂をしたらどんどん上に伸びていきます。新しく作られた細胞が積み重なっていくので上に上に伸びるのです。そこで爪周囲の構造図を見てみると爪母が細胞分裂をしたらどうなるでしょうか。爪母は指に平行に配置されていますので出来上がった爪は指に対して垂直に伸びていくのです(実際に実験があったらしいです)。これは不便!でも実際の爪の伸びる方向は指と並行です。これは爪母の上には後爪郭(こうそうかく)と呼ばれる組織があります。髪と同じように上に伸びてきた細胞を後爪郭が押さえつける事によって方向転換がなされ90度方針が変わり前向きに伸びていくのです。このように硬い爪なのでも出来立ての柔らかいうちにクセ付けをすれば伸びていく方向が変わるのです。層をなして爪が伸びるのですから爪が傷むと元々の層が現れて2枚爪に成るわけです。2枚爪は髪にしてみれば枝毛と同じ現象ですね。この事は同じケラチン素材の髪を考える際にどこかで役立つかもしれません。
このような感じで爪は作られていきます。
爪甲点状陥凹。漢字だけ見ると非常に難しい印象で何と読んだらよいのかためらいます。改めて「そうこうてんじょうかんおう」です。中国の故事のような印象ですが現象としてはいたって簡単。爪(爪甲)に点々(点状)の凹み(陥凹)がある状態を指します。この凹みと円形脱毛症の関連が強いわけです。
ご来院されている方を脈診する時に爪もひそかに観察していますが確かに爪に凹みがある場合があります。しかし凹みの有る人たちは私の感覚ではどちらかと云えば少数派だと思います。全員にあるわけでは無いですし、あっても何故か手の爪ばかりです。そして凹みがある事を気にされる方もいらっしゃいますが私的には「有る事」が心配では無くて「出現した時期」が非常に気に成ります(勿論爪には円形脱毛症だけではなく様々な内臓疾患の可能性があるがここでは円形脱毛症に限った話での事)。何故なら爪も髪同様作られたらその時の状態のまま押し出されていく一方なので凹みが作られた何かの原因が解消すれば既にできた凹みが治るわけでは無いのです。凹みが現れた時に身体に何の変調があったのか、それと円形脱毛症の症状の推移との関連が最も重要だと感じます。
ではこの爪甲点状陥凹とはどのようにして作られるのか。
円形脱毛症について書かれている様々なサイトを見ると爪母(そうぼ:爪を作り出す細胞)が免疫に攻撃され凸凹になった風に書かれています。あくまでも私個人の印象ですが円形脱毛症の免疫異常説を持ち出して安易に免疫の仕業にしている感が否めません。本当にそうなのかもしれませんが根拠や爪母の周囲に免疫が集っているような状況証拠などの提示が見られません。日本皮膚科学会のサイトでも原因不明と書かれているだけで免疫云々の記載はありません。
そこでNONBOOKの『爪は病気の警報機:東禹彦著』を参考にしてみます。結構古い本ですが爪についてここまで詳しく分かりやすく書かれている本はこの東医師の本以外珍しいと思います。この本にはどう書かれているのでしょうか。少し引用してみます。
(以下引用)
爪母の一番根元に炎症が起きると、異常な角質が作られ、その部分が爪甲の表面から剥がれ落ちるためであることがわかりました。
(引用終わり)
ほほぅ。
「剥がれ落ちる」のですね。
という事は爪母で爪が作られた時には凹みの部分にはとりあえずでも爪が一定にあったという事に成りますね。皮膚の上に出てきた時にあらかじめ凹んでいては剥がれ落ちる部分が元々ない事になって剥がれ落ちられません(←人生で初めて使用した表現)!
ここで思い出さざるを得ないのが円形脱毛症の萎縮毛(断毛・感嘆符毛など)です。
ずっと不思議に感じていたことがあります。
ご来院いただいた方の頭皮を毎回マイクロスコープで観察していますが、残念ながら切れている(抜けている)部分を観察していると「あれ?ここの髪の毛、前回は普通だったのに今日は頭皮から少し上の部分が細くなっている……。」という事があります。前回と云っても人により2~3日前という事も稀にあります。以前もお話させていただきましたが円形脱毛症は髪が伸びなくなる病気です。病気に成る部分(抜ける部分)はすごく成長が緩い、若しくは止まっているのです。それなのに頭皮から1ミリ程度上方の部分がいきなり黒い髪のまま細くなっている事があります。これは何なのだろう。1ミリで3日だったら正常な髪の伸びる範囲ではありますが、脱毛部周辺の髪の伸びしろと比べて3日で1ミリは速過ぎるのです。これは特に毛染めされている方の場合はわかりやすいのですが、毛染めをする際には基本根元からキッチリ染めます。そうしないと直ぐに地毛の色が出てプリンに成るまでの日数が早まってしまうからです。自動的に地肌から毛染めの色のついた部分までの距離を見れば毛染めした日から何日でどのくらい伸びたかがわかります。それと比較しても速いのです。
この現象について今まで頭皮の上に問題があるのかもしれない。もしかしたら毛虱的なモノでもいるのかも……と密かに想像を働かせましたが誰をどんなに観察しても当然そんなものがいるわけもなく……。
そうです。
もしかしらた萎縮毛の細くなった部分は爪甲点状陥凹のようにまず最初は普通の太さに作られた髪が時間経過とともにもろい部分が剥がれ落ちて細くなった可能性があるかもしれません。萎縮毛の新たなモデル爆誕です。
ただすべての萎縮毛がこのように形成されるわけではなく、萎縮毛の一部はこのように形成されるのではないかという可能性です。
しかしこのように考えると合点のいく現象もあります。
円形脱毛症で見られる切れていない抜け毛です。つまり毛根の着いたままの抜け毛です。
生え途中に見受けられる事の多い現象なのですが生えて来たばかりであろう細くて短い髪。一見して健康そうに見える髪なのですがパラパラと抜けてしまう事があります。これも生えてきた髪ではあるが病み上がりのまだ不安定な毛根であるがゆえにまだシッカリとした髪を作る事が能わずに髪の基底部が剥がれ落ち髪を頭皮に固着する事が出来なくなった為かも知れません。そうすると生えて来たばかりで伸びる能力のある毛根が抜けてしまっておかしくはないですし、仮に免疫の攻撃などを受けて凸凹する事もなく奇麗な姿のまま抜けて不思議は無いと思います。
では爪甲点状陥凹と萎縮毛の共通点とは何でしょうか。
まずは「炎症」がきっかけであるという事。くどいようですが炎症=免疫異常ではありません。過去記事「『赤』の真意」でも書きましたが爪は爪母、髪なら毛母が機能異常を起こしたという意味です。爪甲点状陥凹の場合は爪母に傷ができたりすると陥凹が生じる説明が前述の本に記載されています。傷は爪の場合は傷つきやすい部位である事もあり可能性は高いと思いますが、髪の場合はどうでしょうか。私は爪と髪のどちらもケラチンで作られていることに着目したいと思います。髪の成分の85%はケラチンです(引用:Wikipediaケラチン)。そして爪のケラチン量も『爪 ケラチン』で調べてみると明確な記載はありませんが水の含有量を引くと髪と同率のケラチン量に成りそうです。つまりケラチンを合成する際の代謝異常が爪と髪のどちらにも生じた異常なのではないかと疑っています。もちろんその際にはチロシンや亜鉛、ビタミンなど様々な栄養素が関わってくると思います。そして免疫攻撃説に仕立てるならば円形脱毛症は髪に対しての攻撃というよりも爪も同様であることから『ケラチン』が抗原となっている可能性もあると思えます。
因みに爪も血流に大きな影響を受けます。
なんだかんだ言っても最後は血流なのかもしれません。
そして爪甲点状陥凹は円形脱毛症の有無関係なく日本の学童1221名の中で3.7%。
ドイツの生徒(?)では1423名の中で8.6%に認められたそうです(前述の本からの引用)。
決して珍しい現象とまでは言えないようにも思えますのであまり重々しく受け止める必要までは無いかも知れません。ただし、この爪甲点状陥凹は精神性ストレスの多い時に見受けられやすい現象でもあります。この点も円形脱毛症とやや関連がある様に思えます。大切な事としては身体の異変としてその時期と体調や日常の変化などを思い起こしてみる事。そしてそれを今後の生活に活かす事であると思います。
良ければ参考にしてみて下さい。
《参考過去記事》
↓↓爪と萎縮毛が似ている!?
↓↓炎症について
《以下お勧め品》
↓↓爪の事なら
頭皮が痒い方へ
胃が元気になる気がします(個人的な感想)。
副作用はお腹がすくこと?!
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此方も見てみてください!
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