こんにちは。
あおい堂鍼灸院の今泉です。

 

 

前々回の記事では蛇行性円形脱毛症に関して実際にあった悪化症例をご紹介いたしました。

 

記事では悪化したいきさつは書きましたが、このいきさつでどうして悪化したのかまでは記載していませんでした。本日はこのいきさつでどうして悪化したのか、また円形脱毛症はどうしたら悪化するのかを考えて推察してみたいと思います。たとえ思わしくない事例であっても円形脱毛症の正体をとらえる貴重な資料となります。転んでもただでは起きぬ精神で振り返ってみたいと思います。同時に円形脱毛症の特徴である髪が「切れる」現象、そして切れ残った髪の長さに関する謎を追う事で円形脱毛症ではどのような事が頭皮で生じているのかに迫ってみたいと思います。

どなたの症状であってもこの推察が今後の悪化の確立を下げていく事を願います。

 

 

 

では前々回の悪化のいきさつをもう一度記します。

  1. 超熱っついラーメンを旨さに任せて一気に流し込んだ
  2. 一気に平らげた後に氷水を何杯も一気飲みした
  3. すると激しく動悸がして火照って全身汗だくになった
  4. 火照った為かアトピーが痒くなった
  5. 家に帰り身体を冷まそうとエアコンの強冷風を全身に当てた
  6. 次の日から続々と抜け始めた
 
以上です。けっこう特異な行動なのであまり同じような事をする場合は少ないかも知れません。
上記のいきさつで西洋医学的にどうして悪化したのか。強いて言うなら飲食物の熱と冷たさに自律神経が刺激されて様々な現象が生じた……とでもなるのでしょうか。あえて書くと自律神経とは身体が生命を維持するために必要な処理を意識とは別に自動で処理してくれるための神経です。例えば息は意識的にする事も出来ますが意識のない睡眠中にもきちんと自律神経が働いてくれているので息がオートマチックでおこなわれます。このオートマチック部分を担うのが自律神経です。体温が上がれば熱を移す汗を出して体温を下げるし、寒ければ鳥肌を立てて保温するしガタガタブルブルして体温をあげるのも自律神経の働きです。
 
少し脱線しますが棒灸などで身体を温めて血流が良くなるのはどうしてでしょうか。身体を温めて血流が良くなることは世間的にとても好意的に書かれている印象があります。印象は良いけど身体はどうかな(笑)身体はタンパク質で構成されています。たんぱく質の特徴として熱を与えると硬くなります。ちょうど生卵とゆで卵が同じ卵でありながらも全然違うものに成っていると思います。このように熱によってタンパク質は変わります。身体を温めた時もそうです。例えば熱い温泉に入ると身体が赤くなり温まります。これは先ほどのゆで卵よろしく身体を構成するたんぱく質が変性しないようにしている反応です。温まって身体のタンパク質がゆで卵に成ってしまっては生命を維持できません。そこで身体の中にあるまだ温まっていない部分の血液を熱せられている部分に送って熱を分散させる事で熱からたんぱく質を守っているのです(車のラジエーターですね)。焼肉も焼き過ぎるとお肉が硬くなるのはたんぱく質だから。血流が良くなるのは身体の防御反応だと解釈できると思います。思いの外ケッコー後ろ向きです。つまり身体を温めるのは肉体的ストレスを与えているのと同義です(程度の差はあるし心地良いものでもある)。では冷やせばよいかと云えばそう簡単に割り切れるモノでもないようです。冷やすと細胞が活動しにくく成ります。以前同期の薬剤師に『身体のエネルギーって実際には何?』と聞いた事があります。答えは最終的に『熱』だそうです。冷やせば当然熱は奪われます。熱が奪われれば細胞が活動できなくなる。これはまた困りものです。凍傷という状態がありますがこれは冷えたことにより組織が壊れた事を意味します。そこまで行かずとも「しもやけ(凍瘡)」でもその部分の活動を回復させようとジンジン痒い・痛い状態が現れます。熱を奪って細胞の活動を抑制してしまうのも怖いものです。東洋医学的には体温の高い部位には『気』が多く、体温の低い部位には『気』が少ないとザックリ言えるでしょう。『不通即痛(つうぜざればすなはちいたむ)』とは『気』が流れていないところは痛むのです。例えばねん挫などをしたら痛いです。打った事によりその場に『気』が滞留し多くなったので赤く熱を持ちます。この場合は冷やしますね。冷やすことにより『気』が分散して痛みが和らぎます。気候が寒くてどこか痛い時は温めます。これも寒さで『気』が少なくなり通らなくなったのです。温めて『気』を集めると痛みが和らぎます。

 

閑話休題

とまぁこういった働きを持った自律神経なのですがこの自律神経が乱れたとして、どうして髪が抜けてしまうのでしょうか。

 

想像される原因として……

 

☆血流?

……だったとしてもほんの一時のソレでその後ずっと髪が抜けてしまうのは何故でしょうか。一時的に有ったとしてもその後数カ月にも及ぶ脱毛症の悪化には結びつかないように思えます。

もしこれが原因なら数時間正座をしたら足のすね毛が無くなるのではないだろうか……。

 

☆免疫?

……自律神経と免疫との関係は今から20年程度前に『福田安保理論(ふくだあぼりろん)』と云うものが一世風靡しました。福田安保理論では自律神経のバランスによって顆粒球(白血球の1種)と液性免疫(リンパ球と出す抗体)の割合に変化が生じると云うものです。この内自律神経の一つ、交感神経が亢進すると顆粒球が増えます。顆粒球は主に細菌などと闘う免疫細胞ですが、寿命を迎えて細胞が死ぬときに沢山の活性酸素を放出します。この活性酸素が身体の様々な細胞を壊してしまう為、顆粒球が増える交感神経の働きを抑えようとこの辺りから副交感神経万歳の風潮が出て来たようにも感じられます。活性酸素と聞くと過去記事『メラニンとストレスと活性酸素と』で書いたように髪の色を明るくする脱色剤(ブリーチ)は活性酸素ととても良く似た過酸化水素でできているのでした。円形脱毛症の毛包(もうほう:毛穴の事)には顆粒球の1つである好酸球が多数存在しているという事実があります(参考サイト:円形脱毛症ガイドライン2017)。そこにはもちろんTリンパ球も存在しますので福田安保理論を用いるなら一概に交感神経だけとは言えないようです。

 

 

ここで今一度今回の症例で悪化した時の頭皮のマイクロスコープ画像を見てみましょう。

 

ご存知の通り切れ残った髪が円形脱毛症特有の抜け方(切れ方)です。見てみると髪の色は活性酸素による脱色などは無されていないようです。となると今回の悪化ケースは顆粒球による仕業ではなさそうです。

ではやはり免疫が暴走して毛包を攻撃したのでこうなったのではないか?と思い浮かびます。しかしそれだと少し納得いかない点があります。髪の切れた部分が免疫(恐らく細胞障害性T細胞や好中球や好酸球、NK細胞あたり)に切られたとしたらどうして切れた部分のみが攻撃されているのでしょうか。もし攻撃されてどんどん悪化しているとしたら切れ残った髪は根元方面にどんどん細く成っていくはずではないか?他のケースではそのような残存毛も確認できる時が有りますが、このケースでは見受けられない。切れた部分は髪が切れるほどの免疫の最大級の攻撃を受けていたはずです。だから切れたのですが、その後に毛穴から出てきた残存毛の太さはしっかりしています。攻撃を受けていたとしたらこの太さは変です。

 

もし免疫の攻撃が続いていたら下の画像(他の症例)の様に残存毛の毛先が太く根元が細く成るのではないかと予想できます。さらに下の画像に関しては根元部分も色が抜けています。これは顆粒球の出す活性酸素による脱色を物語っているのではないでしょうか。よってこの色抜けするケースではある程度の免疫(観察結果からおそらく好酸球)の関与が疑われます。

こうみていくと今回の悪化ケースでは免疫が主役ではないように思えます。

 

ではなんなのか。

私なりの仮説を立ててみました。

仮説の前提としては

  • 今回の症例に限らずどの円形脱毛症も残存毛の長さが切れた後に1センチにも伸びるようなことは基本的に無い
  • 切れる時の長さはまちまちだが大抵の残存毛の伸びる長さは長くて2~3ミリである
という事から毛穴の中で問題が発生する箇所は身体と髪が接している部分であると推測します。
そこから残存毛の長さは毛包(毛穴)の可変部の長さである可能性を推測します。
 
以下理由
 
以前過去記事で書いたのですが毛包(毛穴)とは皮膚表面からバルジと呼ばれる深さ迄を固定部、バルジから毛乳頭のある最深部までを可変部と呼びます。毛包に髪がある時は可変部も深くなり、毛包に髪が無い時は可変部の穴は閉じて毛包の深さは浅くなります。
このような髪の営みがある時に自律神経の変調で毛細血管が激しく狭窄や弛緩をするなどした時、身体と髪の接点で毛包の最深部に到達した毛乳頭部の毛母になる前駆細胞が死滅したりするとします。するとその部分で髪が切れ、毛先は抜け落ちます。毛乳頭から髪が離れたことにより毛包の造髪機能(造語)が停止するが、既にバルジから毛包最深部を目指して活動していた前駆細胞が有るのでその部分が不完全ながらも髪と成り毛穴から出てくる。それが残存毛となる可能性。故に長い残存毛は存在しない。

↑が通常の髪の成長ならば
円形脱毛症特有の切れる仕組みとチクチクした切れ残った髪の長さが一定に成る原因は円形脱毛症発症のメカニズムとも言えるのではないか?
仮に免疫が関与していたとしても残存毛の根元が黒いままのケースは髪が切れた後に関わってくると思われます。最初は毛根の不調から始まると考えています。それをイメージしていただきたい私の想像図がコチラ。
 
 
とまぁ今回も話が支離滅裂な脱線気味でしたが纏めて行きたいと思います。
私の考えとして今回の脱毛症悪化の原因は世間でいう『中毒性脱毛症』に近いものだったのではないかと思います。熱で寝込むという事までは至らなかったが火照ったり急速に冷やしたりで毛細血管の弛緩と緊張が体温の変化を起こし、毛母細胞に影響を与え活動停止させてしまった。そのメカニズムは毛母細胞と新陳代謝速度で肩を並べる速さの味覚器官「味蕾」でも同様の事が生じる事からいえるのではないだろうか。味蕾も高熱など自律神経の加減によって細胞の入れ替わりが行われなくなり味覚障害が生じるケースがある。細胞分裂の速い細胞は熱に弱い予測が立ちます。コロNAでもインフルでも高熱の直後に抜け毛を訴える人は多かった。
 
 
総合して円形脱毛症の為に注意すべき点としては
「自律神経が大きなギャップを生む行為は避けるべきである」こうなるかも知れない。
今回の様なラーメンの食べ方はしなくとも、まだ実際の例は無いので私の頭の中だけの想定ですがサウナでガンガン温まったのちに水風呂へ飛び込む事などはいささか不安要素がつきまとう事に成ります。交感神経が盛り上がってギンギンに興奮するようなことが有っても良いと思いますし、副交感神経が高まってメランコリーに成るようなことが有っても良いと思いますが、それらを激しく往来するような自律神経のシーソーは避けた方が無難である。どちらも穏やかにフェードアウトして穏やかに反対側へフェードインできるようできるだけ務めると良いと思います。
 
今回の私の想定ですがどう感じられたでしょうか。様々なサイトでは様々な治療法と成果は載っていますが円形脱毛症においてどうして髪が切れるのか、伸びなくなるのか、白髪に成るのか等々病気で生じる現象の理由についてはほとんど触れられていません。結果オーライで治るのも勿論とても良い事ですが今ある治療法を確固たるものとする為、さらに多くの症例を治せるようにする為これからもどんどん基礎研究(と呼べるかどうかわかりませんが観察と考察)を進めていきたいと思います。
 
 

よければ参考にしてみてください。

 

 

≪参考過去記事≫

 

 
以下オススメ品
 
 

 

 

 

胃が元気になる気がします(個人的な感想)。

副作用はお腹がすくこと?!

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