こんにちは。
あおい堂鍼灸院の今泉です。
円形脱毛症は老若男女誰でもかかる可能性のある病気です。当院におきましても様々な年代層の方々がお越しくださいます。
さてそのような中でもご来院される方々の中でも案外多い割合を占めるのが子どもです。当院において実際に施術をした最年少は1歳0カ月のお子さんです。では最年長は……と言いましても何歳何カ月までが子どもであるとはなかなか区切りがつけ難いのですが、本日書こうとしている内容的には子どもの最年長は身長の伸びが止まった時とします。これは精神年齢では無くて肉体的に成長期を指すと思ってください。なので個人個人でバラツキがあります。20歳を超えても身長は伸びる時がありますが、その人の精神が子どもだと云っているわけではありませんよ。あくまでも肉体の成長の話です。ですが本記事内では成長を続けている人たちを「子ども」と便宜上括りたいと思います。
そしてタイトルにもあるのですが往々にして「子ども」は治るのが非常に速い時があります。もちろん残念ながら全員速やかに治るとは言えませんが多くの場合、とても速いのです。これは何故なのか。本日はこの辺のところを書いてみたいと思います。
では一体どのくらい速いのか。
今までに何度も経験してきているのですが1度目の施術をして1週間ないし2週間程度経た後に第2診に来られた時には初診時には無かった産毛が結構沢山彼方此方からぶわ~っと生えて来ている事があります。当初は毎回毎回驚いていたのですが何度か経験する度にあり得る事だとだいぶ慣れてきましたが、やはり毎回驚きます。病院での治療をされている方々も当然いらっしゃいますが、他の多数の症例と照らし合わせてそれまでの経過を鑑みてもそっちの影響では無いなと十分思えるタイミングでの発毛です。
再度書きますがこれは何なのか。
血液検査やホルモンの云々は私が検査できるわけでもなく、免許的な意味でも判断をつけられる訳ではないので、今回も東洋医学的な理由について考察してみたいと思います。
東洋医学と云えばその根底にある哲学は天地自然の万物の変化の流れを人間の身体に当てはめていく世界観です。昼があれば夜があり、男があれば女があり、暑さがあれば寒さがあり……このような対極の間を刻々と行き来し変化し続ける視点が陰陽という世界観です。まずはココから見ていきたいと思います。
では当該「子ども」とは何なのか。
「子ども」は陰陽論で言えば「陽」と認識されます。
これの理由としては「子ども」の対極は何でしょうか。おそらく「おとな」だと思います。
では「子ども」と「おとな」で動きの激しい方はどちらでしょうか。
「おとな」は激しく動く事も出来ますが、何もない時「おとな」はドシッと動かず落ち着いているのに対して「子ども」は良くも悪くも「おとな」に比べて落ち着きがありません。ちょこまかと動き回ります。まずこの時点で「動きが多い」事からまずは
「子ども」は「陽」に分類されます。
(参考:素問 陰陽応象大論第五)
ただし陰陽は視点の違いで変わったりもしますが通常「子ども」と「おとな」で陰陽を分ける時でも
常識的に「子ども」が陽で「おとな」が陰と成ります。
ではどうして「子ども」は落ち着きがないのか。
それは過去記事でも書きましたが「子ども」の身体は未成熟なのです。成長中なのですから当然です。ただ成長中ではあってもそれは肉体が小さいだけで、「子ども」の精神性は一人前です。「子ども」にも「おとな」と同様の喜怒哀楽があります。「子ども」には喜怒哀楽の幾つかが無くて成長に伴い「喜ぶ」という感情を手に入れるようになる……とかではありませんよね。つまり「子ども」とは云え精神性は「おとな」と同じ一人前なのです。精神性において「子ども」と「おとな」の違いは経験の量の違いだけなのです。ここで「肉体」は形が有るので「陰」、「精神」は形がないので「陽」と振り分けられます。そうするとどうでしょう。発展途上の身体は「陰」が少ないと観れます。一人前の「精神」は「陽」が満ちていると観れます。
ここで陰<陽という図式が成り立ちます。つまりここでも「子ども」は「陽」に傾いた性質、つまり「子ども」は「陽」であると成ります。「子ども」が「陽」に分類される事は鍼灸あんまマッサージ指圧師養成校で使われる公益社団法人東洋療法学校協会の出す教科書にも載っています。
之を元に国家試験問題が作成されます。しかしそのような陰陽識別表の様なものを見て覚えなくても陰陽の考え方に少しだけでも慣れていくとその都度状況に応じた「陰陽」を簡単に分けられるようになります。東洋医学を扱う上でこの陰陽を間違えてしまうとその後の理論や方術が破綻してしまう事が多いのでこれは大事な事です。余談ですが「子供は風の子」というフレーズだけでも世間が「子ども」を「陽」だと認識している事が分かります。
そして本題に入りますが「子ども」の治りが速いのは「陽」に傾いているからなのです。
なぜなら「陽」が「陰」よりも多いのですからある意味不安定なのです。安定とは拮抗する力が50:50でにらみ合いをする状態とも取れます。どちらにも偏りません。いきなりですが20世紀の東西冷戦を見ても資本主義陣営、社会主義陣営の力が拮抗していたから結果にらみ合いですみました。安定とは動かないし動けないのです。それが善い悪いは別の話です。陰陽の太極図を見てみるとこの円の中は白黒どちらも同じ面積だと思います(実際に計算したわけではありませんが)。
不安定という事は傾きやすいわけです。傾きやすいのであれば、傾かせたい方に力を加えてやれば簡単に傾かせられます。正しい方へ傾かせれば速く治るし、誤った方へ傾かせれば速く悪化します。不安定さとは可能性とも言い換えられると思います。柔道も相手を投げる為には相手の重心を崩して不安定にすると認識しています。安定したままでは投げられない。治療もそうです。鍼灸治療も含めた治療は安定していたところに不安定さを作り出します。安定させるのは養生です。治療と養生は車の両輪です。故に治療以外の日常生活である養生場面では淡々と従来通りの生活を送る必要が生じるのです。
陰陽のお話に戻って「子ども」は「陽」である「気」の割合が多いのが基本設定なのですから「気」の不足で病に成る可能性は低い。「陰」である「血」が少ないのが基本設定なのですから少ない「血」が悪さをしている可能性は低い。
となれば多い「気」の運用の問題である可能性が最も高い事に成ります。「気」が多い「気実」で生じる状態は「気滞:きたい」です。「気滞」とは「気」の交通渋滞の様なものです。「気」の突っかかりさえ取れれば元来の不安定さも手伝ってガンガン物事が進んでいきます。方向性を誤らない事が大切です。
以上「子ども」の話をしてきたわけですが、では「おとな」は大人しく長い時間をかけるしか術はないのか。希望の無くなる話かもしれませんが慢性化した状態ではそうかもしれません。ですが病も先ほどの「子ども」同様に生まれ、長じて、滅していく存在なのです。
「病は気から」などという言葉を聞いた事があると思います。
これの意味は「病気に成っても気持ちの持ちようで直ぐに治るよ」と云う使われ方をされていると思います。ですがこの言葉の本当の意味は
『病は「気」の病から始まる』という意味なのです。東洋医学では病の深度という概念があります。最も浅い罹りたての病は「気」の病、その次は肌の病、その次は……という風に段々と病が身体の表面(陽)から身体の奥深く(陰)へ侵入してきます。当然深ければ深いほど重病です。ですがそのような重病も初めは軽い「気」の病なのです。私の思う事なのですがこれは「陽」に傾いている「子ども」が「陰」を増やしながら「おとな」に成る様と同じだと考えています。「おとな」になると陰陽が拮抗し、安定します。そうなるとちょっとの事ではびくともしない状態となり、病を治したい側からすれば有難くありません。で、あるならばまだ「陰」の少ない「子ども:初期」のうちに良い方向性付けをした方が後々の為に成ります。
円形脱毛症も初期治療が大事である事が分かります。もちろん初期からの治療で全てが上手く治まるわけでは無いのですが、治められるものを治めずにいる手はありません。私の経験で言えば生じたばかりの脱毛部は刺絡(しらく:瘀血を取り去る鍼術)が良いと思います。瘀血と同時に詰まった「気」も散らせます。
病院だったら何に成るでしょうか。それは医師にお任せとなりますが、できるだけ慢性化するより前に治療アクションを起こされることをお勧めしたいと思います。
そしてこのお話はその内「内風(ないふう)」と呼ばれる東洋医学上の現象について書く時に繋がります。きっと。時期未定ですが。
良ければ参考にしてみて下さい。
≪参考過去記事≫
↓治療と養生の違いについて
↓陰陽についてはこちらもドウゾ
↓陰陽シリーズ
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此方も見てみてください!
円形脱毛症の事がまとめてあります。
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