『リボルバー』(著/原田マハ)
「アート史上最大の謎に迫る、著者渾身の傑作ミステリ」という評価に惹かれて手に取った。
以前から原田マハ氏が美術に造詣が深いということは聞いていたし、美術に特化した専門的な著作が多いことも知っている。
過去に一度読んだ原田氏の作品はアットホームな家族の物語で居心地よく読みやすい作品だったので、そこまで美術に詳しくなくても読めるかなと油断した。
読んでみて美術やアートに詳しいというより、美術やアートを愛している方なのだと考えを改めた。
美術に疎い私には知らない言葉・用語が多く登場したが、通して読めば意味を察することが出来るように描かれている。
読み物としては読みやすいが、美術への愛の熱量が違った。
本編はゴーギャンとゴッホの関係性と、ゴーギャンの隠された子供や孫たち血流の物語であった。
ゴッホが自死に用いたリボルバーがあるオークションハウスに持ち込まれたことから物語が始まる。
このリボルバーの真偽を追い掛けているうちに過去に何があったのか明らかになっていくのはミステリーと言えるけど、殆どがゴーギャンの曾孫にあたる人物の独白で暴かれるのは私が求めてるミステリーと違った(^▽^;)
(それと過去の人物の告白部分が長い)
またゴーギャンがタヒチでまだ少女のような年齢の現地妻を何人も娶っていたことに幻滅した。
先日読んだ『しあわせガレット』にもゴーギャンが登場して、そのときは鷹揚としたイメージを抱いたがこの事実を知って鼻白んだ気分になった。
当時の常識が今とかけ離れているから仕方ないと言えばそうなのだが…。
美術史やゴッホ、ゴーギャンが好きな人には面白い作品だと思う。
終わり方も綺麗に纏っていて読後感は清々しい。 ぼんやりとしかポスト印象派のことを知らなかった私には大変勉強にもなった。
何より、美術を愛する人達の真摯な想いが伝わる一作である。
じっくりとアートの歴史に向き合い方はぜひ。



















