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逢海司の「明日に向かって撃て!」

ご注意下さい!!私のブログは『愛』と『毒舌』と『突っ込み』と『妄想』で出来上がってます!!記事を読む前に覚悟を決めてくださいね(^^;。よろしくお願いします☆

『しあわせガレット』(著/中島久枝)

 

 

中島さんと言えば時代物というイメージがあったので、意外に思って手に取った一冊。

表紙のガレットに誘惑されたということもあるが。

 

主人公の詩葉は派遣社員として働く三十五歳。

今まで見た目も要領も良い姉に比べられ、ひたすら日陰の人生を歩んできた。

ゴーギャンの『海辺に立つブルターニュの少女たち』に描かれた不貞腐れ顔の少女にシンパシーを抱いている。

ひとつの仕事が契約期間を終えご褒美にと入った谷根千のガレット屋で件のゴーギャンの絵に出合い、そのままその店で働くことに決めた。

店の名前は『ポルトボヌール』、幸せの扉と言う意味だそうだ。

店主の多鶴さんはパワフルな女性で、正統派ガレット(とクレープ)に強い意志をもっている。

彼女の店ではガレットもクレープもシェアは禁止。

自分の意志で選んだ一皿を頂く、それがこの店の流儀である。

 

これは様々なメニューからたった一皿のガレットを選ぶように、自分の意志で自分の新しい扉を開けて行った人たちの物語である。

 

 

ガレット屋『ポルトボヌール』を舞台とした短編連作小説。

現状に迷ったり悩んだりしている店の常連や関係者たちが、多鶴のガレットに勇気を貰って自分の進む道を見付ける。

中には詩葉が願うような未来と違う道を選ぶ人もいて、望む未来というのは夢だけを追い掛けるものではないと知らされる。

自分で人生の新しい扉を開けると言うことは、自分の知らない道へ歩き出すことなのだ。

この勇気がない私はなかなか新しい扉に飛び込んでいくことが出来ない(-_-;)

 

もう一つ、この作品の魅力は次々と焼かれるガレットやクレープだ。

種類が豊富で具材も様々。

読んでいるだけで自分も『ポルトボヌール』に居たような既視感を覚えるほど、表現がリアルで美味しい。(美味しそうではない、美味しいのだ)

新しい人生の扉を開けられない私だが、美味しさに浸れる新しいお店の扉は空けてみたいと思う。

『いいからしばらく黙ってろ!』(著/竹宮ゆゆこ)

 

 

なかなかインパクトのある表紙につられ手に取り、後ろに記載されているあらすじを読んで購入を決めた。

演劇の、しかもおそらく小劇団の話である。

舞台に縁もゆかりもなかった主人公が、偶然見たある公演をきっかけに潰れかけた小劇団の再起の為に奔走する話らしい。

 

推し俳優が舞台俳優に転向する前から小劇団の舞台は観てきた私。

どんな風に困難を乗り越えていくんかと興味津々に読み始めた。

 

・・・濃い。とにかく登場人物が濃い。

二郎系ラーメン並みに濃い上に、某タンメン中本のタンメンのように攻撃性の強いキャラクターが次々と登場して来る。

まず主人公の兄弟。

6歳上には自由奔放な男女の双子、6歳下には我儘盛りの男女の双子。

両親は共働きで忙しく、幼い下の双子の面倒を主人公の富士に丸投げしている。

上の双子は自分たちのしたいことしかしないので、双子の面倒なんてそっちのけなのだ。

アクの強い上と下に挟まれ、調整役として育った富士は自分がない。

主体性がないまま、差し出される諸々を受けとりながら生きて来てしまった。

 

そんな富士が22歳にして人生のドン詰まりに落とされた時に出会ったのが、同じくドン詰まりに落ちかけていた劇団『バーバリアン・スキル』だ。

アングラのような意味不明の舞台は、飲み込まれる程の生命力に溢れていた。

 

ここから富士の人生が一変する。

今まで周りに遠慮し、顔色を窺って余計な事をしなかったのに、ここで引き返してはいけないとピンチの度に自分を鼓舞して立ち向かう。

こんなときに上と下の兄弟の面倒を見ることで培われたスキルが役に立つのだから皮肉なものだ。

 

富士は機転が利く。

そして羨ましいくらいに吹っ切れた。

たぶん色んな意味で退路を断たれた人間の強さと悪足掻きなのだろう。

彼女は自分の居場所を得るために、守るために必死だったのだ。

 

500ページを超える大作だが、まるでジェットコースター(しかもスピードも揺れも激しいやつ)に乗っているかのように物語がぐんぐんと進んで行く。

600ページ越えの長編を読んだばかりでこの本を読もうと思った私も大概どうにかしてると思うが、常識人ではいられない人達がオンパレードで出てくるのでどうでも良くなる。

 

富士の唯一の友達であり演劇と接点を作ったイケメンの須藤くん、『バーバリアン・スキル』の主宰で野生系ナルシストの南野、富士との婚約を破棄した小松。

それぞれがそれぞれの立場での優しさで富士に接してくれる。

特に須藤君と富士の男女の友情が私は好きだった。

恋愛のれの字も挟まない男の子と女の子が楽しく仲良くしてても良いじゃないか!!

 

とにかく登場人物が騒がしいので、その覚悟と共にお読みください。

 

 

昨日の記事にも軽く書きましたが、私の誕生日は10月14日。

長嶋茂雄さんが現役引退した日に生を受けました(←マジ)(←歳がバレるww)

そして偶然にも両親の結婚記念日が10月15日。

おめでたい事が続く我が家です。

 

その目出度さに浮かれていたのが悪かったのでしょうか。

 

 

まさかの、

 

 

 

生もの被りました。

 

 

 

はい、どーん!

 

 

 

よりによって生クリーム祭りだよ・・・_| ̄|○

母と私でそれぞれケーキを購入していまいました。

何故こんな時に限ってチーズケーキとかガトーショコラとか焼き系ケーキを買わないのか。

 

さすがに平均年齢還暦越えの高齢家族で一挙に片付けるのは無理でした。

品質落ちるけど冷蔵庫に仕舞っておけば二日目でも大丈夫よね。

寧ろ二日連続ケーキとか贅沢ぞ!!

 

・・・体重計と血糖値が怖いけど( *´艸`)

そんなこんなで運動と節制頑張ります。

 

 

こんな顔でショーウインドーから見詰められたら、買わないわけにはいかないって。

職場の税理士の先生から頂いたバケットでラスクを作ってみました(≧▽≦)

 

 

 

 
焦げてるところは見逃して(ノ∀`)アチャー。
グラニュー糖の量が少なかったので甘味が足りてませんが、バケット本体がいいモノだったらしく(それなりに)美味しく出来ました☆
 
実は税理士の先生、弊社に上半期の利益云々のお話をしにいらしてたんですけど、うちに来る途中で買った大量のパン忘れて行ったちゃったんです。
帰ったばっかりの先生から電話がかかってきたときはビックリしたよ。
取りに来るのも大変だったので『食べちゃって〜』と言われたので有難く頂きました。
一緒に入ってた菓子パンもロールパンも美味しかったよ。
きっと無のあるパン屋さんの商品だったんだろうなぁ。
量からしておうちの方に頼まれてんじゃないかと思います。
 
先生が帰ってからおうちの人に怒られてないか心配(;´∀`)

 

 

 

 

 

あ、

 

今日、また一つ歳を重ねましたバースデーケーキ

『天狗風 霊験お初捕物控』(著/宮部みゆき)

シリーズ第二作。前作の感想はこちら↓

『震える岩 霊験お初捕物控』 | 逢海司の「明日に向かって撃て!」

 

好きな作家さんでも時代劇は読むのに時間がかかると前作の感想に書いたが、この本はさらに時間がかかった。

なんせ600ページを超す大巨編なのだから。

読み切るのに時間がかかり、この感想記事を書く前に図書館に返す期日になってしまった。

記憶違いの感想があってもご容赦頂きたい。

 

さて、本作は不思議な物を見る力、霊験をもつお初が岡っ引きの兄、六蔵らとお江戸の不可思議な事件を解く物語である。

今回は不審な神隠しから物語が始まる。

大店に嫁入りが決まっていた娘が行方不明になり、神隠しだと言っていた父親が『自分が殺した』と告白して自死してしまった。

事件に不審を感じた南町奉行根岸肥前守鎮衛の命により、お初はこの神隠しを調べることとなる。

するとまたしても同じように神隠しで八百屋の娘が消える事件が起こる。

どちらの現場からも妖の気配を感じ、これは人ならぬ者の仕業だと確信したお初であったが、八百屋には娘を誘拐した者から身代金の要求が来た。

そして嫁入り先であった大店にも不審な動きがあり・・・。

 

お初に迫る脅威が今回の宿敵『天狗』によるものなのか悪意に満ちた人の手によるものなのか、分からぬままに事態が複雑化していく。

理由が分からずに狙われているお初の恐怖に、読み手側も息する間もなく興奮してしまった。

誰に、何故、危害を加えられているのか。暗中模索のような事態の裏には複雑に絡み合った因縁と人間関係があった。

繋がってはいけない人が繋がった時、最悪の事態が勃発する。

そして逆に手を取り合うべき人と出会うことで解決する困難もある。

 

ボリュームに負けない読み応えと充実感のある内容。

ただし後半、ファンタジー味も強いので骨太の時代小説が好みの方は『ちょっと違う』と感じてしまうかも。

このシリーズは二作で二十年近く休止状態になっている。

今の宮部みゆきが霊験シリーズを描いたらどんな物語になるのか。

期待しつつ待っている読者は私だけではないと思う。

見ましたか、ファミリーマートの新商品パン。

アップルデニッシュやメロンパンぬの裏側がクイニーアマンになっていて一つで2回美味しいってやつなんですよ!

ローソンに続いてファミマまで私をクイニーアマンの沼に引き摺り込もうとしてる…。


誘惑に負けて、チーズケーキデニッシュ&クイニーアマンを購入しました。

写真撮ったはずなのに保存できてなかったので公式サイト貼っておきます。


https://www.family.co.jp/goods/bread/1536874.html


基本がパンなので上半分の『チーズケーキデニッシュ』部分はチーズケーキよりデニッシュのほうが存在感ありました。

下のクイニーアマンが甘さ強いのでそのくらいのほうがバランスが良いのかも。

噛み付く度にクイニーアマン部分がパリッときて堪りません。

ペロッと食べてしまいしたが、おやつに食べるには重かった(;´∀`)(←職場のおやつに持ち込んだ)


続けてメロンパン、アップルパイも食べてみたいです。

甘さに溺れたいときは元祖ローソンのクイニーアマンパンが勝ちかもだけど、二つのパンを楽しめるアイデアは素晴らしいと思いました。

『サキの忘れ物』(著/津村記久子)

 

 

表題作を含む9編の短編集。

日常の風景を切り取った暖かな話もあればウェットに跳んだ話もある。

様々な風合いの話が集められているが偏った話はないので気負わずに読み進められた。

 

幼児の純粋は想像力が目の前の風景を大きな物語に変えていく『王国』や、突如市内に現れたガゼルによって起こる諸々の騒動を淡々と主人公が受け止める『河川敷のガゼル』は、その後の物語に希望が含まれているようで読後感が清々しい。

 

過去の日記に登場する複数のSさんを解き明かす過程で当時の感情を思い出す『Sさんの再訪』は、膨らませれば長編やミステリーにも化けそうなアイディアだ。

日記の短い記述で簡潔にキャラクターを表し、早々に物語を幕引きさせた本作は主人公の決意の強さ(決断の速さ)を表していて、そういった意味で短編に仕上げたのは成功していると思う。

 

観光名所を説明されている裏で一つの街のスキャンダルが語られていた『ペチュニアフォールを知る二十の名所』は、読み進めるうちにその街の過去が分かってきて面白さが増してくる。

こういう仕掛けは好き。

仕掛けと言えば『真夜中を彷徨うゲームブック』はゲームブックに関する物語ではなく普通にゲームブックだった。私は早々に死んでしまい、再度チャレンジしたけれどこちらもあえなく死亡。ちゃんとクリアできる道筋もあるようだが、私はまだ辿り着けてない。

 

滅多にお目にかかれない「あれ」(結局「あれ」がなんであるかは作中で説明されなかった)を拝むために行列に並ぶ『行列』は、人の心の潜んだ醜い部分がジワリと浮き出てくるさまが描かれている。

モラルや倫理観は簡単に覆されるものだと警告されているようだった。

 

そして表題作『サキの忘れ物』

過去に共通テストにも引用された作品。

淡々と染み入るような良さが余韻として残った。

主人公の千春は自分でも何が面白いのか分からずに茫然とした日々を過ごしている。

他人の感情には敏感なのに自分の事は何も分からない。

そんな彼女が職場の忘れ物である一冊の本と出会ったことから少しずつ自分を取り戻していく物語である。

千春は今まで見過ごしてきたきっかけをしっかりと握って次へと繋げられるようになっていった。

それは小さな事である。本を読んでみたとかお客さんに自分から話しかけてみるとか。

だが、自分から動くと言う行為が、少しずつ彼女に自信と居場所を与えていったのだ。

 

本書の最後の短編『隣のビル』も自ら動くことで運命を変える気力を得る話である。

理不尽な上司の言動に鬱屈した毎日を送るサラリーマンが、大胆にも隣のビルに侵入したことで隣人と出会い自分の可能性に気が付くのである。

 

こうした良質の話を読むたび、『神は自ら助くる者を助く』という言葉を思い出す。

何事も自分から動かなければ変えられないのだと。

ついつい楽な方に流されてしまう私。

一歩ずつでも前に進んで行くように心掛けたい。

昨日はお友達と『ぜんぶ北斎のしわざでした展』へ行ってまいりました。

展示会場から最寄りの東京駅で待ち合わせだったのですが、何度行っても慣れないのが東京駅。

待ち合わせ場所は初心者でも安心の『銀の鈴』前にして貰いました(;´∀`)
 
 
こういう分かり易いモニュメントがあると有り難い。
無事にお友達と合流してまずは腹ごしらえへ。
 
東京駅のエキナカは話題の美味しいお店がいっぱいラブラブとよくテレビで見るのですが、いざ探してみるとなかなか難しい。
飲食店の場所があちこちバラけてるし、良さげな店があってもお高かったり席数少なくて落ち着かなかったりと気軽なランチ向けではない(苦笑)
東京駅に慣れてる人なら丁度良いお店をササっと見付けられるのかしら?
(結局駅から出てお昼食べました)
 
お腹を満たしたところで向かったのは『北斎展』
 
 
想像の何倍も素晴らしかったです爆  笑
実物がこれだけ展示されているのは珍しいんじゃないでしょうか。
 
まずは絵が細かい!!
鯉や龍がたびたび登場するのですが、鱗の一枚一枚まで細かく描き込まれています。
海や川の波しぶき、竜巻などの雲の流れ、勢いよく降る雨など見れば見るほど驚愕です。
当時のことですから本にする原寸大で描いたわけですから、A5サイズ程度の本にこの細かい描き込みがどれだけすごいかご理解頂けると思います。
 
 
 
 
 
 
 
一部撮影禁止区域はありますが、静止画による撮影が許可されている範囲がこれだけ多いのも大変珍しいです。
(無断撮影じゃないよ~)
 
今の漫画技法で言うところの効果線なども多用してて、確かに漫画の元祖は北斎と言っても過言ではないと思いました。
実際北斎があらゆる絵柄を集めた『北斎漫画』というのを発行してます。
64年かけて(!)発行され全15巻あるのだそうです。
復刻版があったら是非欲しい・・・。
 
北斎の凄いところは絵が細かいだけでなく、胆略化した絵も秀逸だということです。
 
 
 
 
 
 

 

前々画風が違いますでしょ?

これも北斎の作なんですよ、びっくりです。

(この画風も私は好き)

 

他に草木を描写した絵も多く残っているのですが、そのまま図鑑に載せられるくらい緻密で正確なんです。

白黒の版画絵なのですが、余白に細かく色の説明までしてあって完璧です。

入場料にビビってたけど、行ってみて良かった照れ

 

北斎の凄さを改めて知ると同時に、この気が狂うくらい細かい絵を綺麗に版木に掘り起こした彫工さんの苦労を湛えたいと思います。

 

寝ている時に久しぶりに脚をつりました。

それが今までに体験したことのない痛さで、でっかい万力でふくらはぎの肉をギュ〜〜ッ!って挟まれたくらいの痛さ。

親から脚がつった時に飲むツムラの漢方薬を貰ってたんですけど、あまりの痛さに薬を取りに行くことも出来ず、ただただ悶絶してました。


暫くして痛みが引いてきたので、なんとか起き上がり漢方薬を飲むべく台所へ。

薬を分けて貰ってから大分経ってるから新しいの欲しかったけど、まだ脚も傷んでて薬を探す気力もない。

まあ漢方だし大丈夫だろうと袋を開けて中身を口に放り込み水で流し込もうとした。

その時、異変に気が付いた。



長い事使わなかったから、




湿気ってガチガチに固まってる!




吐き出そうかと思ったけど、口に入れたせいで一部はモロモロと崩れてる。

迷っている内にあのいや〜な味が口に広がってくるので、覚悟を決めて塊のまま飲み込んだ!


……いや、無謀だった。

一気に飲み込めないし固まった箇所が喉に引っ掛かって痛いし、散々である。

とにかく水で流し込みなんとか全て飲み込んだよ。


消費期限の前に状態確認するべきだった…。

(でもそんな余裕もないくらい脚が痛かったのよ)

薬は多分効いたと思うんだけど、つった場所にイヤな痛みが今も残ってる。

喉のほうは何ともなかったのが不幸中の幸いでした。


皆も深夜の脚の異常と古くなった粉薬には気を付けなはれや!

『文具店シエル ひみつのレターセット』(著/さとみ桜)

兄(本当は従兄)が旅から帰るまで彼の文具店で店番することになった空良。

ある事情から仕事も辞め家に引きこもっていた空良だったが、兄の為に一念発起して店を運営することに。

外の人が怖くて買い物もままならない空良だが、店に訪れる客が求める文具を共に探していくうちに客の悩みも自分の心の傷も少しずつ癒していくのだった。

 

内気で傷付いた空良の傍にいてくれるのは、ブサイクな看板猫の『ぶーにゃん』とぶーにゃんを拾ってきた青年(彼にも秘密があるのだが、それは大きなネタバレになるので読んで確認して頂きたい)

そして、兄が揃えた店の暖かな文具たち。

 

ここで取り上げられる文具がレターセットや消しゴム、革の手帳カバーに万年筆とインクと昔ながらの文房具である。空良を傷付けたデジタルのSNSと対極の存在だ。

今回の文房具は人に贈る前提で登場している。

その為、通り一遍の無難な文房具ではなく、相手が喜んでくれるもの、或いは自分の想いが籠められた確かな物を手間暇かけて選んでいく。

SNSでの発信も、情報や感情を人に届けると言う意味では贈り物だ。なのに何の精査もせず受け取った人の気持ちも考慮されない独り善がりの発信がなんと多いことか。

空良を傷付けた相手に関しては、さらに悪意を持って空良を貶めようとしていたから猶更性根が悪い。

私が作者ならコヤツに手厳しい『ざまぁ』を喰らわせるところだ。

(時間が経ち、当時の周囲の人も何があったのか察してきたようなのが救いだ)

 

見方を変えれば心に傷を持ち弱った状態の空良だから、迷う人に親身になって接してあげれたのかもしれない。

彼女の世界が素敵な文房具と共に少しずつ開けていくことを願う。

 

ちなみに私が最も共感したのは、本文ではなく作者のあとがきだった。

さとみさんも文房具に特別詳しいわけではないが、可愛い文房具や好みの文房具を見付けるとつい買ってしまう方なのだとか。

私も使うあてのないレターセットやシール、マステに判子などが机の引き出しにビッチリである。

出番を待つレターセットでさとみさんに感想のお手紙を書いてみようかな、と妙な角度から作者に親近感を持ってしまった私だった。

 

 

追記

作者のさとみ桜さんが『天童理砂』という別名義でも執筆活動をしていると知ってびっくり。

どうりで発行している本が少ないと思った・・・(;´∀`)

タイトルを読む限りファンタジーっぽいお話が多い様子。

この作品もそんな要素はありますが、基本が現実世界の話なので彼女の作品では珍しい部類かも。

それだけさとみさんが文房具好きってことかしらねラブラブ