クロヤギ頭の読まず買い -18ページ目

クロヤギ頭の読まず買い

ちまちまと進まない読書をしつつ、本を買うのは止められない。

こんなに買っていつ読むん?と自分に一人ツッコミを入れつつ日々を暮らす不良主婦の読書(購入)記録ブログ

少し変わった子あります (文春文庫)/森 博嗣
(2009.6)
¥520
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<目次>

少し変わった子あります

もう少し変わった子あります

ほんの少し変わった子あります

また少し変わった子あります

さらに少し変わった子あります

ただ少し変わった子あります

あと少し変わった子あります

少し変わった子終わりました


森さんの本は以前にお薦めいただいた『すべてはFになる』から読んでなかったんですが、この少し変わったタイトルと目次に惹かれて読んでみました。


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


大学の教官である小山は、今は行方が知れないという後輩の荒木の話に出てきたおかしな店を予約してみる。


毎回違う場所で営業するというその店は、すっきりした美人の女将と表には顔を見せない板前でやっているらしいのだが、客はいつも独りで連れのないことが条件である。


荒木の通ううちに、その都度別の女性と食事だけを共にしその場限りで別れるというスタイルが始まったらしいのだが、いったいその店のどこがそんなによいのだろうか…


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


新書版の表紙はちょっと浮いてますが、文庫は単行本のデザインを踏襲していて、こっちの方が雰囲気が伝わってきます。


本書は著者の新境地をひらいた作品だそうで、他の作品もよくしらないくせになんですが、意外にもちょっと叙情小説のような導入ながら、段々と哲学っぽくなってきて、主人公が自分の心理分析を始めちゃったりするのがなんとなくこの作家らしいところかなぁと。


ラストで「ああ、やっぱり!」としばらく抱いて読んでいたもやもやが解消して、ページを捲り戻す方も多いんじゃないでしょうか。


230ページと読みきりサイズなので気軽に手に取れます。


いわゆるミステリーでもない曖昧な印象の本ですが、いくらか理屈っぽいのがお嫌いでなければ、少し変わった本ありますって感じで読んでみてください(笑)


少し変わった子あります/森 博嗣

¥840
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父の戦地/北原 亞以子
(2008)
¥1,470
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『慶次郎縁側日記』シリーズ などのすばらしい時代小説を書く著者。


かぞえ年四歳のときに出征したまま帰ることのなかった家具職人の父が、ビルマなどの国で軍用車の修理などの後方任務につきながら娘に宛てた70枚余りの絵手紙の一部、それに家族の思い出を綴った文章を添えたもの。

新潮社の読書情報誌『波』(平成18年~19年)に15回にわたって連載されたらしい。


父が出征した後に弟が生まれたものの短命にして亡くなり、一人っ子に近いようなかわいい盛りの愛娘を残して遠く戦地にいる気持ちはいかばかりか…と想像するが、この伊達男のお父さん、ビルマの人々の暮らしを実に生き生きと写して、しかも毎日好物の肉を食べている、果物がうまい、活動がおもしろい…ときたもんだ。


娘宛てにカタカナで記した手紙だけに、わざと楽しい話しか書かなかったのか?とも思いますが、妻に宛てた手紙にも似たようなことが書かれており、生来楽天家で、ビルマを好きにもなっていた様子。


「ヨシエチヤン、ゲンキデアソンデオリマスカ。オトウチヤンハマイニチゲンキデス…」


自分の名前(たかのいちろうを絵文字のようにデザインした洒落たサインのある軍事郵便。


この父の全てが凝縮したような絵手紙の数々がこの本の眼目で、そして北原さんの本当の宝物であろうと思う。


烏金/西條 奈加
(2007)
¥1,470
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日本ファンタジーノベル大賞に選ばれた後『金春屋ゴメス』をそのタイトル含む引力に惹かれて読んで以来、続編が出たことは知っていたものの、まぁそのうち…と思っていたのですが、こちらを先に読んでみました。


あらあら、こんなおもしろい本を見逃していたとは!


ゴメスを変化球とするのなら、こちらはど真ん中ストレート。


もろわたくし好みの球、日本の小説部門・今月のMVPではないでしょうか。


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


明烏のカァで借り、夕方のカァで返す金を"烏金"というそうな。


江戸は深川三軒町。


軒先の辛夷(こぶし)に止まった一羽の烏を男は「勘左」と呼んだ。


金の亡者・金貸しのお吟の取立ての様子を物陰から見守る浅吉と名乗る男。


四年続きの飢饉で農村では子捨て婆捨て、身売り、餓死…、西も東も打壊しが続き野菜や米は高騰、庶民の窮状は目を覆うばかり。


追い詰められた浪人者に突き飛ばされ腰を痛めたお吟に取り入って、金の取立てを手伝うことになった浅吉の想いはひとつだった。


稼ぎ手の父親が死に、病の母親の薬代にと借りた金の払えないお照、商売敵に客を取られた八百徳の親父、自分の借財の総額もわからないお人よしの貧乏武家・長谷部義正、などなど。


お吟の回したやっかいな取立てを、算術の師匠(丹羽九厘)仕込みの知恵と工夫と足で円満解決し、お吟とひとつ屋根の下に暮らすことになった浅吉の真の目的とは…


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


実はいい人なのに素直じゃない、そして周囲の底抜けのいい人にいらいらしつつ、結局はその人のために働いてしまう…そんな登場人物を愛して止まない方、一風変わった時代小説のお好きな方には是非おススメ。


数学(図形問題)好きならもっとおもしろかったんでしょうけど…こればっかりは(苦笑)


挿画は『終わりは始まり』 のフジモトマサルさん。


文庫出てます。


烏金 (光文社時代小説文庫)/西條 奈加
(2009.12)

¥600
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私はレベッカ・ブラウンの作品を初めて読みますが、新潮から出る文庫は3冊目、朝日文庫の1冊を含めると4冊の邦訳文庫化(ホームケアワーカーとしてHIV患者と向き合った『体の贈り物』、癌に侵された母の闘病を見守った『家庭の医学』など)で、ご本人も講演会などで何度も来日されているとか。


訳者あとがきで柴田元幸さんが「本国でも決して著名とは言えない、外国の純文学作家の作品がこのように次々文庫化されるというのは、ほとんど奇跡のように思える。」と書かれています。


以前私は書物の翻訳というのは出版社から「これこれこの翻訳をお願いします。」と依頼されるものばかりと思っていましたが、光文社新訳文庫の『愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える』 のあとがきにもあったように、ベテランの訳者さんが入れ込んで出版社に邦訳をかけ合ったりするようなこともあるんやな、とふむふむしていました。


若かった日々 (新潮文庫)/レベッカ ブラウン

(原題:THE END OF YOUTH 発行:2009.1 柴田 元幸 訳)

¥500

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「天国
「見ることを学ぶ」
「暗闇が怖い」
「魚」
「ナンシー・ブース、あなたがどこにいるにせよ」
「A Vision」
「煙草を喫う人たち」
「自分の領分」
「息」
「母の体」
「ある戦いの記録」
「受け継いだもの」
「そこに」

222ページと薄い本書は13の短編からなる著者の自伝的な作品集。


「見ることを学ぶ」片目が斜視で、生まれて三年間一言も喋らなかった自分がその頃見て聴いていたもの。

「暗闇が怖い」幼い自分が暗闇に見ていたもの、そして成長して母や祖母も自分と同じだと知ったこと。

「ナンシー・ブース、あなたがどこにいるにせよ」「A Vision」ガールスカウトで、あるいは学校で、レズビアンであることに目覚めた少女の恋とその行方を。

「息」「母の体」は病に倒れた後の母のことを。

そして私が子どもの頃に家を出た父親との思い出を中心に語る「魚」「自分の領分」…など。

私が一番印象に残ったのは「魚」でしょうか。

あまり家庭を顧みず、今は家を出て別の女性と暮らす父。

その父を一人で訪ねたもう幼くはない私は、ふと少し意地悪な気持ちになって、父が自分の軍歴に対してその女性についた悪気のない嘘を揶揄する。

父を傷つけ怒らせてしまった私は外に飛び出し、私を探しに来た父と車で真夜中の海に向かい釣り糸を垂れる…。

一部はフィクションなのかほぼノンフィクションなのか、彼女の目や心に映る情景も、手足に触れる感覚も、まるで昨日体験したことのように鮮やか。

家庭の医学 (朝日文庫)/レベッカ ブラウン

¥525

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体の贈り物 (新潮文庫)/レベッカ ブラウン
¥540
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ロンドン・ブールヴァード (新潮文庫)/ケン ブルーエン
(2009.11 鈴木 恵 訳)
¥740
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ハリウッド映画の古典的名作という《サンセット大通り》(サンセットブールヴァード)を下敷きにしたノン・シリーズのクライム・ノヴェル。


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆


酔った上の暴力沙汰で三年の刑期を終えたミッチェル。


出所した彼を出迎え、誰かのものだった犯罪小説とブランド服とレコードがそっくり揃ったゴージャスな部屋まで用意してくれたのはギャング仲間のビリー・ノートン。


ギャングたちの取立ての片棒を担ぎつつ、パーティで知り合った新聞記者・サラの伯母で、往年の大女優でかつ今も復帰を願うリリアン・パーマーの屋敷の手入れを十二分の報酬で引き受けたミッチだが、意思に背いて体は反応し、"手入れ"をする羽目になったのは屋敷だけではなかった。


屋敷にはリリアンのために献身的に生きているジョーダンという食えない執事と、いかした車、ロールスロイス・シルバーゴースト。


やがて、ノートンのボスからの依頼を断ったミッチは、差し向けられた殺し屋の脅威に境界性人格障害の妹・ブライオニーを気にかけつつ、恋人のアイリンとの将来を描いて全てを清算しようとするのだが…


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


初めて別シリーズの『酔いどれに悪人なし』 を読んだ時は、分厚い割には、ん~…と微妙な感触だった私ですが、こちらは395ページとちょうど頃合い。


新潮からブルーエン表記になって出ても変わらず余白は多くとってあるので、実際は300ページ分くらい?


いろんな本や音楽、テレビ番組や映画と引用の大サービスも相変わらずで、私にも馴染みの深いところではローレンス・ブロックの作品(『墓場への切符』)からマット・スカダーのセリフが引かれたり、ミッチがペケレーノスを読むのを楽しみにしていたり、パブにジェイムズ・エルロイが来たり、と楽しい。


訳者あとがきでも触れられていますが、ラストシーンも映画の幕切れのよう。
この作品の準主役級の役者は?と訊かれればもちろん、執事のジョーダンですよね。




あのシリーズのダメ人間ぶりに惹かれる方も多いと聞きつつ、私はこれくらい働き者の主人公のが性に合ってるみたい(苦笑)