- 烏金/西條 奈加
(2007) - ¥1,470
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日本ファンタジーノベル大賞に選ばれた後『金春屋ゴメス』をそのタイトル含む引力に惹かれて読んで以来、続編が出たことは知っていたものの、まぁそのうち…と思っていたのですが、こちらを先に読んでみました。
あらあら、こんなおもしろい本を見逃していたとは!
ゴメスを変化球とするのなら、こちらはど真ん中ストレート。
もろわたくし好みの球、日本の小説部門・今月のMVPではないでしょうか。
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明烏のカァで借り、夕方のカァで返す金を"烏金"というそうな。
江戸は深川三軒町。
軒先の辛夷(こぶし)に止まった一羽の烏を男は「勘左」と呼んだ。
金の亡者・金貸しのお吟の取立ての様子を物陰から見守る浅吉と名乗る男。
四年続きの飢饉で農村では子捨て婆捨て、身売り、餓死…、西も東も打壊しが続き野菜や米は高騰、庶民の窮状は目を覆うばかり。
追い詰められた浪人者に突き飛ばされ腰を痛めたお吟に取り入って、金の取立てを手伝うことになった浅吉の想いはひとつだった。
稼ぎ手の父親が死に、病の母親の薬代にと借りた金の払えないお照、商売敵に客を取られた八百徳の親父、自分の借財の総額もわからないお人よしの貧乏武家・長谷部義正、などなど。
お吟の回したやっかいな取立てを、算術の師匠(丹羽九厘)仕込みの知恵と工夫と足で円満解決し、お吟とひとつ屋根の下に暮らすことになった浅吉の真の目的とは…
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実はいい人なのに素直じゃない、そして周囲の底抜けのいい人にいらいらしつつ、結局はその人のために働いてしまう…そんな登場人物を愛して止まない方、一風変わった時代小説のお好きな方には是非おススメ。
数学(図形問題)好きならもっとおもしろかったんでしょうけど…こればっかりは(苦笑)
挿画は『終わりは始まり』 のフジモトマサルさん。
文庫出てます。
烏金 (光文社時代小説文庫)/西條 奈加
(2009.12)
- ¥600
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