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解説の池上冬樹によると、(みなさんはきっとご存じなように)佐々木譲は「警察小説を書くベテラン作家のイメージが出来上がっているけれど、言うまでもなく、八十年代から九十年代半ばまでは、サスペンスや冒険スパイ小説の旗手といわれた。」そうですが、私がこの作家を意識したのは、数年前に鎌倉幕府開設頃の時代に生きた少女を描いた時代小説『駿女』を書店で見かけ表紙に惹かれたのがはじめて。
2005年に発売された単行本で文庫も出ているのに中古でも安くないのは、やはり今井美樹似?の美少女・由衣の表紙のせいでしょうか?(笑)
そんな感じでまた読む機会をなくし「いつか読もう、いつか読もう」と思っていたところ、近所の古本屋にあったのがコレ。
バイク乗りを主人公にした小説の中編5つです。
いつか風が見ていた
エリの伝説
レース・クイーン
ラスト・ラン
遠い風の音
「いつか風が見ていた」
過去に旅先で知り合ったライダーの男女が愛し合ったもののある理由から別離を経験し、五年の月日を経て広い北海道の中わずかの時間差ですれ違うが…
「エリの伝説」
学生だったぼくと周囲の憧れだったカワサキ乗り「ZⅡのエリ」。
一人のくだらない男を一途に愛した彼女は伝説となった。そしてぼくしか知らないもうひとつの伝説。
「レース・クイーン」
由美のライダーの素質を見抜き、レーシングチームの監督から専属コーチになった藤井。
国際レースのチャンピオンからのプロポーズを夢見てこの世界に足を踏み入れた由美だったが…。
「ラスト・ラン」
昭和発動機=ショーハツの宣伝・広告の要として引き抜かれ、働いてきた滝谷。
他部署への異動の決断を迫られた彼は、同時期に契約した天才ライダー・ペリーの進退に自分を重ねるが…。
「遠い風の音」
何かに追い詰められた商社勤務の男がバイクを飛ばした軽井沢。
訪れた愛人のヴァイオリニストと過ごしたわずかな時間。
最近は私の周囲にも女性ライダーが増えましたが、これはやっぱり"男"の小説って感じがします。
登場人物の心の葛藤の描写はリアルで共感できるものの、女性でしかも関西人の私の個人的な好みとしてはキザに過ぎるかなあ。
次は1990年に山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞各賞受賞という王道のコレを。
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駿女/佐々木 譲
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