ちょうどシベリア横断旅行をしてから1年が経過しました。
昨年もシベリアの夏は記録的な暑さで山火事が多発していたのですが、冬になっても記録的な暖冬が続き、世界最低気温記録-68℃を持ち、世界の寒極と呼ばれるロシア・サハ共和国のオイミャコンやベルホヤンスクでも、例年は-50℃から-60℃台が多発するのに今年は-40℃台程度までしか下がらなかったようです。
そして、今年6月20日にはベルホヤンスクで38℃を記録。例年の平均気温を16℃も上回りました。
これはベルホヤンスクに限った話ではなく、今年は3から5月まで北極圏の気温は平年より10℃高かったと報告されています。
永久凍土の上に建つビルは生活熱で永久凍土が溶けると建物が傾いてしまうため、高床式にして熱を地表に伝えないように工夫されています。しかし、こんな熱波が続くと永久凍土が地中深くまで融解し、建物が大きく傾いて人々が住めなくなります。(2019年8月 ヤクーツク)
ヤクーツクの丘の上からの風景。シベリアの山火事で遠くが霞んでいます。
また、この辺りは盆地のような地形がゆえに、冬は北極海からの冷気が滞留して居座るのですが、夏も同じような現象で熱波が居座ってしまうようです。(2019年)
この熱波で永久凍土の融解が急速に進んだ結果、今年は地表からマンモスがたくさん見つかっているそうです。マンモスが出るだけならばロマンのある話ですが、永久凍土が溶けると二酸化炭素やメタンが放出され、これら温室効果ガスがさらに地球温暖化を促進するほか、同じロシア北極圏のヤマル地方では危険な炭疽菌や数億年前の病原菌が目を覚まして放出されるなど、人類にとって深刻な影響が出てきます。
(発見されたマンモス ヤクーツクのロシア北東連邦大学にて 2019年)
地球温暖化による永久凍土の融解に加え、今年はロシア北極圏の辺境の村にさえもコロナウィルスが広がっているようで、インスタでフォローしている北極航空(ポーラリヌィアヴィアリニィ)で患者を隔離容器に収容してアントノフAn-26型貨物機で村からヤクーツクまで急患輸送する様子がアップされていました。世界から隔絶されているようなロシアの北極圏の寒村であっても人の移動がある以上、やはり感染が広がってしまうのですね。
(ヤクーツク空港に整列するアントノフ機, 北極圏の村へフライトしています。 2019年)
ロシア非常事態省によれば、例年、7-8月に山火事が多く発生する中央シベリアのクラスノヤルスクにおいて、今年は4月に例年の10倍以上の山火事が発生していたといいます。昨年も7月に訪れた同じく中央シベリア最大都市のノヴォシビルスクでもクラスノヤルスクの山火事の影響を受けていて、訪問の前日まで煙による視界不良が起きていたそうです。
(ノヴォシビルスク駅の温度計が29℃を示しています 2019年7月)
参考までに本日、2020年7月31日のシベリア各地の気温を記しておきます。ここ数日は熱波は収まっているようです。
ヤクーツク 晴れ 26℃/11℃ 森林火災警告発令中
ベルホヤンスク 晴れ 23℃/7℃
ティクシ 晴れ 12℃/5℃
ノヴォシビルスク 雷雨 21℃/12℃ 森林火災警告発令中
クラスノヤルスク 曇り 21℃/12℃ 森林火災警告発令中
ハバロフスク 晴れ 30℃/21℃
ノリリスク 晴れ 26℃/15℃
コロナウィルスに、豪雨、地球温暖化、そしてバッタの大群。年々災害が激甚化している印象ですが、本当に地球規模で災難の多い2020年前半期でした。