珍しく邦画です…「夢売るふたり」 | スタッフAの、アノマリーな日々

スタッフAの、アノマリーな日々

アノマリーデザインの陰のスタッフ「A」が、日々思うことやお仕事のことなどを、
映画レビューとともにテキト~に書いていきますよ♪

いやはや春ですねぇ…まだまだ寒いですが。
鼻が辛いけどとりあえず映画のレビューいきますよ~。
おいらにしては珍しく邦画でごわす音譜

 

夢売るふたり」(2012)
個人的に好みな阿部サダヲさんと、何気に多才な松たか子さんが夫婦役。
松たっかー出演モノってハズレが無い気がして。んで観てみました。にやり
ん~…何とも後味悪い、けど時間が経ったらもう一度見返したいような…
何か心に引っ掛かる、そんな作品でした。

 

監督、女性なんですね。なるほどと思いました。
全てのシーンに意味が込められた、繊細な作りじゃないかと思います。
だからと言って好きかと聞かれれば、う~ん、なんとも難しい。
なんせ主人公に共感できないのよ。理解できないというか、したくない。
結婚詐欺の話だし、しかも妻が旦那を売ってるんですから。叫び

 

妻役の里子(松さん)がなんともしたたかでたくましいんですよねぇ。
他映画でもそうだけど松さんの表情演技はホント凄くてキラキラ
シーン毎に伝わってくる苛立ちや虚しさ、あざとさ。
台詞無しでも感情が伝わってくるから、やっぱり松さんの演技は素晴らしいキラキラ

だけど何を思って何を望んでいたのか…根っこまでは分からない。
そこがまたリアル。彼女の全てを理解することはできない…!

 

自慰とか生理にイラつくとか生々しいシーンがあったのは、
正常に機能する女性としての彼女を表現していたと思うんですよねー。
だから、最初は腹いせだったしても、他の女に夫を売るのは本当は辛かったはず。
自分自身を売ることもしてなかったし。
子供のようにくっついて眠ったり、決して仲は悪くなかったと思える夫婦。
お互いに正常な愛情はあったと思うのです。

 

小料理屋を営んでいたところ火事を起こしてしまい、
お店やお金、全てを失くすという不幸から始まったわけだけど、
夫の貫也(サダヲ)が一晩の浮気&大金を手にしてきた時から、
里子の気持ちは少し変わったのだと思います。真顔

二人で料亭で働くようになってからは夫が「使える」と閃き、完全に詐欺師に。
最初は浮気の仕返しも兼ねてたんだろうけど、あくまで二人の店を持つという目標の為、
愛されキャラの旦那を操作しながら里子は寂しい女たちを騙していきます。叫び

 

序盤じゃ里子が健気に働き、
貫也は変なプライドばかりで稼ぎもせず幼稚な事ばかり言ってたんで、
まぁ~クソな男だな、と里子が気の毒に思えたのですが、
詐欺を働く様になった辺りからは夫婦してクソなんですよねぇあせる

 

騙される女性役には個性的な方々が色々出てくるんですけど、
重量挙げの女性が本当に一般人っぽくて、印象的でしたねー。
またその彼女の事を里子が貫也に、
「(寝る相手として)さすがに今回は気の毒。やめてもいいよ」
みたいな事を言うシーンがあるんですが、貫也が言い返すんですよ。
「お前の目に映る世界の方が汚くて気の毒だわぃ!」とかって。
この瞬間、おいらが惚れそうになりましたよ、貫也に。ラブ
いやぁ~、結婚詐欺恐るべし?!
里子の計算もあったとはいえ、
貫也の「優しさ」が哀れな女たちの心を掴んでたんでしょうね。
でも里子も、本当はやめるきっかけがほしかったのかな…あのシーン。ぐすん

 

なんやかんやで貫也が帰ってこなくなるという流れに。
癒しを求め現実から逃げる…ロマンチックな男性にはよくある事ではないでしょうか。
対する里子は店で必死に働き、ネズミとも格闘して現実と向き合ってる。

そしてあの事件。叫び
子どもが包丁でつるべをブッスリ…この辺はちょっと設定に無理を感じましたね。

 

あの家族の生活を目の当たりにした里子…
彼女からしたら「金目当てじゃないんじゃね?今度の案件」って感じで、
「抑えてきたけど実はほしいもの」を見せつけられたような気がしたのではないだろうか。
「心」の浮気と裏切りを感じた瞬間だったんじゃないかなぁ。

 

んでラスト。
サダヲもとい貫也が囚人となっている。(坊主頭が可愛い)
おそらく一人で包丁事件の罪を被ったのだろう。
自分に責任があると思っての事なんだろうけど、
刺した子どもは母親と普通に過ごしているという光景に違和感。
…母親の強さ?これも女の強さなのか?
子どもだからお咎め無しというのはいくらなんでも…ですよね汗

 

その他の女たちもなんか道が開けたように幸せになっている。
みんな騙されたのに。…いい経験になったとでもいうのか?
麗奈ちゃんとかはヨシとしても、
不倫のおばちゃんとかまで幸せになる必要無いと思うけどなーー。
結局、二人が関わった人達が逆に幸せになった感じですかね。叫び

 

そして里子は港市場で男のように働いている。
捕まってないのだから結婚詐欺の件は騒ぎにならなかったと思われる模様。
慣れた感じでフォークリフトを操縦してるシーンはカッコよく、
割り切って日々働いているという事を想像させる。
で、またしても覚悟を決めたような表情… あの火事になった時のように。
お金を騙し取っては「あとで返そうねぇ」って言ってたのは本当かも、と思わせる。
とにかくお金を作ってなんとかしていくんだな、って思える表情です。
砂羽ちゃんにもお金戻ってたしね…

みんなが変化していく中で、里子の強さだけはそのままだった気がする。
ホントに強い…キラキラ

 

しかしながら最後まで誰にも共感できないんですけど、
感情を持った生きものだからこそ人間は、間違ったり楽な方を選んじゃったり

引き返せなくなっちゃったり、一筋縄には行かないというものがありますからね。
そういう面白さは溢れてましたね。にやり

ただまぁ…疲れましたねー。

 

松さんを選んだ時点でかなり見る目はあるなぁと思いますね。
阿部サダヲも、クソ男なのに愛くるしいという男を演じてしまうんだから
やっぱ凄いです。

 

説明は特に無くても演技で分からせる、
エンタメ的ではなくても繊細さがある、
これが邦画の強みかなぁ…なんて思いましたねにやり

 

 

え~、以上です。
…それではまた次回に!コスモスハチ