世界の道の曲がり角 The Bend in the Road around the World

世界の道の曲がり角 The Bend in the Road around the World

山と旅と写真の記録
2019.1.7~2020.3.11世界一周旅行 完
山を求めて長野県に移住。

8月12日(月)

6:00 南竜ヶ馬場野営場

7:30 室堂

8:25 御前峰登頂

10:05 大汝峰登頂

11:00 室堂着

12:00 室堂発

12:50 南竜山荘

15:35 別当出合登山口

 

 
とんでもない景色に圧倒されながら室堂に到着。標高2450mとは思えないほど立派なビジターセンターや奧宮がある。お土産を物色したり奧宮を参拝したりしていよいよ御前峰へ。

 

 
うお〜けっこう登るな〜。

 

 
はい!室堂から40分で白山最高峰の御前峰(ごぜんがみね)に登頂!お疲れ様でした!
ここからの360度の景色がすごいぞ。

 

 
まず振り返ればさっきいた室堂。奥には別山。よく見ると今日のスタート地点の南竜ヶ馬場の色とりどりのテントも見える。は〜っよくもまああんなところからここまで歩いてきたもんだ。

 

 
東の方を見れば北アルプス、乗鞍岳、御嶽山。どの稜線もスッキリ晴れている。きっとあそこにいっぱいいるであろう人たちもこの最高な朝を満喫しているのだろう。オーイ!と上機嫌で手を振りたくもなる。
 
 
槍ヶ岳はこんな遠くから見てもチョンっととんがっている。(写真真ん中らへん)白馬や立山から穂高まで連なっている北アルプス、この向きで見るのは新鮮。あんなに遠くから来たんだねぇ遥々。

 

 
そしてそして、御前峰の向こう側の景色がこれだ!
活火山の荒々しい起伏の間にいくつもある真っ青な池。今日はこのお池めぐりコースを行く。

 

 
御前峰を下る。視線の先に雲海がどこまでも広がっている。あまりに壮大な景色が眼下に広がっていて……
まるで世界を制した気持ち。

ひれ伏せ平民どもよ!あーっはっはっはっはー!

 

 
お池めぐりコースにあるいくつかの池のうち、これが本命の翠ヶ池。写真だとなんだかくすんでいるが、実際はとにかく鮮やかに青い。後ろにある大汝峰や周りに広がる雲海で、現実とは思えないファンタジックな光景。
 
 
翠ヶ池に一番近いところから。この写真も見事なんやけど、実物はもっとすごくて…もっとすごくて!
これがYが前回見られなかった景色だ。今回はこれ以上ない完璧なコンディションじゃないだろうか。背景に雲を纏った山々と、一番奥には北アルプス。贅沢だ、贅沢すぎる。
 

 

こちらは千蛇ヶ池。やっぱり雲海が本物の海のようにどこまでも広がっていて、そしてこの鮮やかな緑もあって、

もう完全にラピュタだった。

やったぁ!ぼくたちついにラピュタに来たんだよ!!ほら、お花持ったロボット兵がこっちに歩いてくる!

 

 
さて、さらなる絶景を見るべく聳え立つ大汝峰へ登る。けっこう浮石がゴロゴロ。

 

 
20分で頂上。
 

 

その景色がこれだー!わあああ!険しい山肌と青く光る池、そして湧き上がって来たガスにまとわれる光景がなんかもう日本じゃないみたい。てか日本にもこんな景色あったんだ。白山みたいな山って他にはないかも。まったくすごい山だ。無数にある日本の山の三名山に選ばれるのも納得。

 

 
少し歩いて反対側の景色。地平線まで雲海が広がっている。またしても世界を制した気持ち。もしくはゴーイングメリー号に乗って空を漕ぎ出す気持ち。(うろ覚え)
 
10時半、いつまでもここにいたいのを振り切って下山を開始する。バスに乗るため16時半までには登山口に着いておかなければならない。マイカー規制日じゃなければもっと時間に融通きかせられたのにな。

 

 
室堂でカレーがあったので食す。ウインナーがのっていてテンションが上がる。うまうま。
ここからザックを放置している南竜休憩所までは展望歩道を下る予定だったがこの頃にはだいぶガスが上がってきていて展望も何もなかろうということで、最短のトンビ岩コースに変更。展望は頂上でめっちゃ見たしね。

 

 
お花畑と御前ヶ峰。白山には固有種の動植物も多いらしい。
 
途中でトイレに行きたくなって全速力で下り、南竜休憩所で無事トイレを済ませたらザックを回収。登山口へ向かう。

 

 
写真フォルダはお花畑の次がこの登山口の写真。景色は一気にガスガス真っ白。心なしか霧雨も降ってきて木々から水滴が落ちてくる。全体的にウェットで午前中の完璧な青空が夢のよう。
登ってきた道をひたすらにひたすらに下る。濡れているところでたまに滑るので注意。昨日ほどの渋滞はなく、かなり速く下りたつもりだったが大体参考タイム通りの2時間半で到着した。
 
疲れた〜!
 
バスには余裕で間に合って16時ごろ駐車場に到着。全部着替えて、自販機で冷たいジュースを買って帰路に着いた。
 
といっても帰路6時間。
遠っ!白山、遠いわ〜!なかなかホイホイ行ける山じゃない。だからこそ今回こんなにも完璧な景色が見られて大満足。何度でも行きたい山だけど、しばらくはこの最高の思い出に浸っていようと思う。
 
おわり

今年のお盆、前半は天気がいいらしい。友人Yとどこかいい山はねえか〜と探し始めたのはお盆直前。予約が必要なところはすでに出遅れ。

そういえばYは石川県の白山2702mに登ったものの残雪で行けないところがあって心残りって言ってたよね。調べるとテント泊なら予約不要らしい。じゃあその心残り、晴らしに行こうじゃないか。ていうか私に関しては完全に便乗なんだけど、見られなかった景色を一緒に見に行こうじゃないか。

こうして我々は石川県に向かった。


8月10日(土)

17:00頃 松本発

23:00頃 市ノ瀬駐車場着


8月11日(日)

7:30 市ノ瀬 バス

7:50 別当出合登山口

10:40 甚之助避難小屋

12:30 南竜ヶ馬場野営場


8月12日(月)

6:00 南竜ヶ馬場野営場

7:30 室堂

8:25 御前峰登頂

10:05 大汝峰登頂

11:00 室堂着

12:00 室堂発

12:50 南竜山荘

15:35 別当出合登山口


市ノ瀬ビジターセンターから別当出合登山口は日時指定でマイカー規制あり。バスは片道800円。駐車場無料。きれいな水洗トイレや更衣室などめちゃくちゃ設備が整っている。

水は休憩スポットごとに汲める。トイレは最初のビジターセンターだけでなくどこもきれいな水洗トイレでペーパーもある。なんならウォシュレットさえある。こんなに至れり尽くせりな山って他にない。感動した。

南竜ヶ馬場野営場は1張り800円。ここもまた立派な水場、トイレが整っている。すごすぎ。


8月10日(土)

石川県って遠いのな。

松本からだとズバーンと一直線に行ける道がなく、山を越え谷を越え遥々。休憩も含めてたっぷり6時間はかかっちゃった。


どうにか日付が変わる前に暗闇の市ノ瀬駐車場に到着するとなんとガードマンさんがいて案内してくれた。750台のキャパだがなんせお盆の晴れ予報なので混雑が読めぬ。私たちが着いた後からも続々と車がやってきて、車中泊者も多いようだった。

寝床の支度をしておやすみ〜。特に何もかぶらず寝たら何度か寒くて目が覚めてしまった。車中泊、寒くなくてもかぶるものを用意して寝るべし。


8月11日(日)

完全に忘れていたけど、この日は山の日だった。山の日が制定されてから山の日に登山をしたことってあったかな。



始発バスは5時で、それに挑む人たちが夜明け前から動き始める。聞こえてきた声によるとトイレもバスも長蛇の列らしい。我々は出発を急がなくてもいいので始発組の混雑ピークが過ぎてから悠々とバス停に向かう。それでも少し並んだがわりとスムーズにバスに乗れた。



別当出合登山口に到着し、登山開始。ごうごうと流れる川にかかる立派な橋を渡り、少し登って視界がひらけると豪快な不動滝が見える。

めちゃくちゃに天気が良い。
めちゃくちゃに暑い。
標高は登山口で1260m。本日のテント場南竜ヶ馬場で2070m。こんな真夏に2000m以下登山はあかん。汗が不動滝に負けない勢いで流れる。一気に電解質が失われるのを感じる。この前の甲武信ヶ岳で熱中症気味になったばかりなのでとにかく塩分タブレットをボリボリ食べた。2日間足りるか不安。

暑さに加えて参ったのが渋滞。狭い登山道で登る人下る人がごった返し、なかなか自分のペースで歩けない。こんな渋滞登山って久しぶり〜…。
さすが晴れた山の日。しかも白山は国立公園であり、百名山であり、さらには三名山の一つという超人気の山だったらしい。三名山ってなんぞや?と思って今調べたら、富士山と立山とこの白山なんだって。その二つと並ぶだなんて正真正銘の名山やないか。ぶっちゃけ白山の存在はYに教えてもらうまで知らなかった自称山好き。


暑いわ人は多いわ荷物は重いわで死にかけの形相で進む。足元ばかり見ていたので景色はあまり記憶がない。ツラくても足を進めていればいつかはゴールにたどり着く…そうや…がんばれ私……。



そしていよいよそのゴールが見えてきた。南竜山荘と矢印のところに南竜ヶ馬場野営場。見えてきたけど遠い、遠いよ。

登山口から参考タイム3時間のところ4時間半ぐらいかけて野営場に到着。


着いた〜〜〜〜〜〜
はー、しんど。ひー、しんど。
ようやくこのクソ重いザックから解放された。テントを張って一息。



時刻は13時前。予定では今日中に頂上の御前峰に行くはずだったけど……だいぶガスってきてるね。ガスってたんじゃ肝心の景色が見えないね。そんなん登る意味がないよね。



本日終了〜!イエーイお疲れー‼︎

こんな脱水状態にアルコールはいかがなものかと思ったけど誘惑には勝てなかった。体の隅々までビールが行き渡る。ほげ〜!ビールうめぇ〜!



爆睡。




もうね、あとは寝たり喋ったり寝たりお花を眺めたりしてのーんびり。本来こういうテント泊がしたいのよ私は。



そしてお腹が空いて夕食。今回は炊飯に具はシンプルな塩昆布。レトルトは美味しいけどちょっと重いので。でもあまりにシンプルすぎてレトルト持ってこればよかったなってちょっと思った。



やがて夕暮れ。写真を撮っている人がやたらといるなとテントから這い出てみるとあたり一面に雲海が広がっている。ファ〜!こんな見事な雲海久々に見たぞ。
完全に日が暮れて20時にはおやすみ。昼間あんなに寝たのに即寝落ち。



夜中23時半にふと目が覚めて外を見ると期待していた満点の星空だ。写真じゃ分かりにくいがはっきりと天の川が頭上を流れている。ちょっと見るだけと思ったのにカメラを持ち出して夢中で写真を撮ってしまった。雲海や満点の星空に恵まれる登山って本当に久しぶり。頑張って登ってきてよかった。

この時に目を覚ました以外はぐっすり就寝。テント泊でこんなに熟睡できるのも珍しい。

8月12日(月)
4時すぎ起床。すでに周りはゴソゴソと出発の支度を始めている。


夜明けの雲ひとつない空。これは景色にも期待できる。
6時、荷物をまとめて出発。



景色がとんでもなく美しい。

なんちゅう場所を歩いとるんだ私たちは。



HEAVEN!
朝日を受けて景色がキラッキラに輝いている。

南竜休憩所にザックをデポして登山開始。軽いしまだ気温も上がっていないしテンポ良く歩ける。最高。



振り向けば雄大な景色。



前には雲海が本物の海のように広がっている。ぽつぽつ山の頭がのぞいていて、海に浮かぶ島のよう。
え、ほんまにあれって海じゃないよね?思わずGoogleマップで確認したが本物の海からは程遠い場所にいる。



ジグザグ登っていくとやがて向こう側の景色が見えた。鮮やかな緑の奥には悠然と広がる峰。あちこちにお花畑が広がっている。メルヘーン。日本じゃないみたい。ちょっとジョージアのカズベキ山を思い出した。



振り向くと向こう側にも雲海。いやいや、景色キレイすぎやしませんか。白山がこんなにすごい山だったなんて。もうずっとこの道をお散歩していたい気持ち。



きちんと整備された木道の先に目指す山がある。いったいぜんたいどんな景色が待っているというのか。

続く!


この週末に予定していた山はどうやらお天気がよくない。休みやテント場の予約を確保していてもお天気まで合わせるのは難しい。仕方がないのでどこか行ける山を探す。松本在住の良いところは、文字通り四方八方を山に囲まれているのでエリアの選択肢が多い点だ。今回も東西南北色んな山の天気を調べ上げて、奥秩父の代表的な山のひとつ、甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)へ向かうこととした。


甲武信ヶ岳は甲斐(山梨)、武蔵(埼玉)、信濃(長野)の3県にまたがっている標高2475mの山だ。ネーミングが大変わかりやすくて良い。以前に小説『春を背負って』(笹本稜平著)で知ってからずっと気になっていた。今回は長野県側の登山口である毛木平(もうきだいら)駐車場から千曲川源流ルートで登る。


7月27日(土)

23時頃登山口着 車中泊

トイレあり


7月28日(日)

7:10 毛木平登山口発

9:10 ナメ滝

10:40 千曲川水源地標

11:30 甲武信ヶ岳頂上

12:00 甲武信小屋着


7月29日(月)

7:50 甲武信小屋発

8:05 巻道経由で甲武信ヶ岳頂上

8:40 三宝山

9:20 尻岩

11:30 十文字小屋

12:45 毛木平駐車場


前夜に駐車場に到着。収容台数60台。人気の山だしと思って前夜入りしたが、その時点で駐車場はガラガラ。ぽろぽろと車中泊カーがやってくるも、なんなら翌朝7時時点でもまだ数台分空いていた。やっぱみんな真夏はアルプスに行くのかな。

真っ暗闇の駐車場で外に出ると頭上は満点の星空。うおおおおおー…。こんな見事な星空、久しぶりに見た。思わず口を開けて見入ってしまう。


本日はコースタイム4時間の予定。朝はのんびり支度して出発。



初っ端から朝日と緑輝く登山道。小鳥のさえずりと川のせせらぎの音。爽やか〜。



木から垂れ下がるとろろ昆布みたいなやつ。サルオガゼという。霧を水の供給源とし、光合成をしている地衣類らしい。へ〜。
これがね、朝日を受けてキラキラと揺らいでいて、まるでビーズレースのようだったんじゃよ。美しや。写真じゃ全然伝わらないのがもどかしい。



千曲川源流に沿って緩やかに登っていく。千曲川といえばなんか上田市の方を流れている大きな川っていうイメージだけど、その源はここ甲武信ヶ岳だったのか。なんとも壮大な話だ。



時折道にもちょろちょろと水が流れているのを跨いでいく。あたり一面瑞々しくマイナスイオンが溢れまくっている。植物が生き生きとしていて、せせらぎに沿って生命が溢れ出している感じ。視界全体がフレッシュグリーンで視力が少し回復した。



この道脇の小さな流れの周りに苔がモコモコで、そこに日の光が差した光景がめちゃくちゃにきれいだった。

たぶん妖精さんとかいた。

妖精さんが戯れながら小川で髪梳かしてた。


うわー、千曲川源流コース、美しすぎる。いいお天気のタイミングで良かった!

実は甲武信小屋のHPに雨の日こそ森が潤って美しいのでオススメとあったので、甲武信ヶ岳なら天気が悪くても楽しめるのかもと思ってここを選んだのだ。そうは言ってもやっぱり晴れに勝るものはない。急ぐ道でもないので存分に楽しみながらゆっくり歩く。



途中のナメ滝。ウォータースライダーとかしたら楽しそう。



やがて傾斜が急になるのを頑張って登っていく。ここが千曲川水源の場所。
奥の人がいるところの地面から水が静かに湧き出している。(写真撮ってなかった) そこから水がざばざばと潤沢に流れていくんだけど、それより上には水は見当たらない。ちょっと不思議な光景。ここから千曲川が始まって松本市も流れる犀川と合流し、やがて信濃川となり日本海へ流れ出る。

今調べると信濃川って日本一長い川なのか。そういえば小学生だかでテストに出たはずだけど全然覚えられなかったな。山の名前だって飛騨・木曽・赤石山脈の順番覚えるのに苦労した記憶がある。今なら絶対間違えない。今なら地理は得意科目になる気がする。興味関心って大事。


ずっと沢沿いの涼やかな道を登ってきたが、水源地点を過ぎると水のない急な登りとなる。稜線に出てゴロゴロ岩の道をエイヤーっと登るとついに甲武信ヶ岳頂上に到着。


お疲れさまでしたーっ!
甲武信ヶ岳は日本百名山だ。



天気はいいものの雲が多い。遠くの山は雲に遮られている。ここから富士山も見えるはずだけどあいにくちょうど雲が目の前に。
少し休憩して小屋へ。



甲武信小屋に到着。趣ある山小屋。

テント泊の受付を済ませる。この日のテントは私を入れて3張りだけだった。一番乗りだったので広々とした区画を選んでゆるゆると張る。


さて、時刻はまだ13時前。遠出をする時間はないけど身軽にもうひと歩きしたい気持ち。YAMAPを見ると小屋から20分ぐらい下ったところに荒川源流点という水源があるようだ。荒川ってあの東京に流れてる、あのアンダーザブリッジな荒川?とよく分からずにいたらその通りらしい。水は小屋で1L100円で購入できるが、水源で汲めば無料。せっかくなので水を汲みがてら見に行ってみる。




テント場の下からどんどこどんどこ下って到着。道はしっかりと踏み跡がついているので問題ないが、本当にどんどこ下っちゃう。これ下ったら登らなあかんやつ…と下ってしまったことを後悔し始める。でもここまで下っちゃったらもう後には引けない。人間はそう簡単には後戻りできないのだ。



水源地は千曲川水源地と違って地面から湧き出しているというよりはすでにザバザバ流れている。ここから荒川となって関東平野を流れ、東京湾にたどり着くんだって。甲武信ヶ岳は千曲川、荒川の他に山梨県を流れる笛吹川の水源でもあり、これはいずれ富士川となって太平洋に流れこむんだとか。つくづく壮大だね。甲武信ヶ岳がただ3県を跨ぐ素敵ネーミングな山なだけでなく、日本の代表的な川を生み出す分水嶺でもあると思うと恐れ入った!という感じ。これぞ百名山。


荒川水源で汲んだ2Lの水を抱いて、どんどこ下ってしまった道をまたぜいぜいと登り返す。また汗が吹き出した。
テント場まで戻って本日終了。1L100円の水代をケチったくせに500円の氷結を購入してしまった。しかも水源で汲んだ水は煮沸すべきだろうと周りの人に言われ、ですよね、となってめんどくさいので結局1L100円の水を購入したというオチ。いいんだ、荒川水源を見に行ったことに価値があるんだから。



昼寝したりなんやかんやしている間に夕食タイム。本日は米を炊いてレトルト中華丼。



今回は全く焦げつかせず、ふっくら柔らかめご飯が炊けた。我ながら米を炊くのがうまい。

夜になってもそんなに寒くはない。テント内でダウンはいらないレベル。虫も多い。標高2400mほどの高地だがやっぱり3000m級とは違うなと感じる。
夜な夜なkindleで小説を読む。普段なかなかじっくりと本を読めないのでこういう時に読むべし。没頭しすぎて本を閉じたのは0時を回ってからだった。明日も出発を急がないからいいけどご来光は断念だな。

7月29日(月)

6時ごろ起床。外は明るく、すでに他の登山者は出発していた。


のんびりのんびり支度して7時過ぎ、甲武信小屋出発。小屋前から雲海のような景色が見える。朝焼けが綺麗に見えたのかな。

下りもあの美しくて涼やかな千曲川ルートをいきたいところだが、同じ道を戻ってもおもしろくないのでもう一つの十文字小屋経由のルートでいく。
小屋から甲武信ヶ岳頂上に登り返さなくて済む巻道ルートを進むが、こんなに天気がいいし頂上からの景色もよく見えるかも。分かれ道でザックをデポして水とカメラを持って頂上へ寄り道。



めっちゃくちゃ景色きれいやわー。



富士山がこれまた見事。ちょっとだけかかった飾りのような雲がまたいい仕事している。今日もあそこには人が大勢いるんだろうな。



手前の奥秩父の山の向こうに見えるのは南アルプス。(たぶん)
本来なら今頃あそこを歩いているはずだったけど天気予報を見て予定変更した南アルプス。
めっちゃ晴れとるわ。
絶好の登山日和ですけど?って顔しとるわ。なんで私はそれをこんな遠くから見ているんだろう。

いや、予報では明日は崩れるはずで、それで私は2日間で行けるこっちの計画に変更したのだ。…いや、2日間なら晴れていたし、せっかく休みも予約も確保していたわけだし無理やり2日間で歩き通すという手もあったんじゃ…、いや、甲武信ヶ岳だって十分満喫しているじゃないか。今回はこっちでいいんだ。そうだそうだ。
色んな葛藤がよぎる中、この見事な景色を眺めた。(実際翌日は雨天だったので私の判断に間違いはなかった。そうだそうだ。)

ザックをピックアップして先へ進む。


ちょっと下ってまた登り返して三宝山2483m。埼玉県最高峰なんだって。樹林帯で眺望はない。
未だに甲信越と関東地方の位置関係が掴みきれておらず、ここが埼玉県だと言われてもピンとこない。



先へ進む。なんだかでっかい塊があると思ったら岩。その名も「尻岩」。この割れ目がそういうこと?とか思ったりする。
尻岩の上には立派な木々がにょきにょきと育っている。どういう仕組みになっているんだろう。 



甲武信ヶ岳を下山と思っていたけど、三宝山や大山など案外アップダウンがある。時々眺望あり。

十文字小屋で少し休憩して小屋のおじさんとお喋り。シャクナゲの木が茂っており、開花の季節には大賑わいなんだそう。おじさんはこの夏に尾瀬を歩きに行くんだって。羨ましすぎ。まだまだ行きたいところがありすぎる。

それにしても暑い。時間の余裕があってもこういう標高では気温が低いうちに行動すべしなのかも。と言ってもこれでも標高2000mある。なのにこの暑さってヤバい。これまで真夏は2000m以下には暑くて登れんわ〜などと言っていたが、もう2500mでも無理かも。酷暑が酷暑すぎて怖い。水をガブガブ飲んで、塩分タブレットをボリボリ食べながらヘロヘロで毛木平駐車場に到着。途中の道の駅的なところで濃厚ソフトクリームを食して帰宅した。

前から気になっていた甲武信ヶ岳に登れて満足。山そのものだけじゃなく、川が関東甲信越を流れて海に流れつくのも思い描けて充実感のある登山となった。
また新緑や紅葉の季節にも訪れてみたい。

終わり

7月21日(日)

12:35 宝剣山荘

13:00 駒ヶ岳頂上山荘(テント泊2000円トイレ・水込み)


7月22日(月)

6:00 駒ヶ岳頂上山荘出発

7:05 千畳敷ロープウェイ駅(ロープウェイ片道1510円)

8:00 ロープウェイ乗る

8:20 しらび平バス乗車(バス代960円)

9:00 女体入口バス停着


北御所ルート八合目を超えて伊那前岳でついに千畳敷カールが眼下に広がった。


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遊歩道を歩くヒトがアリンコのようだ。

千畳敷カール…美し…ゼイゼイ。


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てか千畳敷そっち(左)やったんや。稜線に出てからずっと見えていた右のカールを千畳敷だと思っていたけどどうにもロープウェイや人見えないと思った。


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さらに進んで宝剣山荘。千畳敷から登ってきた人たちがわんさかいる。ここから千畳敷を見下ろす宝剣岳へ行けるけど明日余力があれば行くとするかな。


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宝剣山荘を覗く。ソフトクリームがとんでもなく誘惑してくるがまだゴールじゃないので振り切って先へ進む。


伊那前岳まで辿り着けばあとは楽々〜と思っていたら意外とアップダウンがあってこれまたひーこら言いながら宝剣山荘と駒ヶ岳頂上山荘の間にある中岳をのぼる。この頃にはだいぶ風とガスが出てきた。


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中岳から下ればもうすぐそこに頂上山荘とテント場のはず。ガスで真っ白の景色を慎重に進む。


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不意にガスが晴れて目の前に木曽駒ヶ岳が。うお〜!もう一息〜!!


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13時、ついにゴールの頂上山荘に到着。お疲れさまでしたー!地図コースタイム通りの7時間で登れたので一安心。今夏、この調子でがんばるで。


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テント場は約70張で予約不要。事前の予約争奪戦がないのはいいけど現地で空きなしとなる可能性もあるわけで違う焦りがある。今回は日月曜日の宿泊だし大丈夫だろう。大丈夫だよね。大丈夫であってくれ。

結果、全然空いていた〜よかった〜。

テント泊2000円。水とトイレ代含む。水は要煮沸。


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明日朝のご来光を期待して東側の一番端っこを選んでみる。今はガスっているけど明日はてんくらA予報だったし良きご来光が見られるだろう。この端っこはテント内で気ままに過ごしても誰にも見られないポジションでありながら、他の人とのコミュニケーションを断絶してしまう場所でもあるのはちょっとしたミス。


頂上山荘にはたどり着いたが、木曽駒ヶ岳の頂上はここからさらに20分登ったところ。時刻はまだ13時半。行かねば。行かねばならんけど、 風が強い。ガスも濃くなってあたりは真っ白。これじゃせっかく登っても景色は見えまい。風で転んでもいけないし〜。
明日登ればいっか。
ということで全部着替えて靴も脱ぎ散らかして本日終了とする。



テント内で気ままに過ごしている目線。

ひとまず爆睡。 

 


寝ては起きて起きては寝て、うつらうつらしていると何やら鳴き声。すぐそこに雷鳥の親子がいた。かわゆい。

 


あっという間に17時。夕食とする。インスタント麺。用意がめんどくさかった荷物軽量化のため具なし。美味しそうなパッケージ写真を眺めながらイマジナリー具材を感じて食す。 

一応テントからミーアキャットのごとく首を伸ばして山頂の様子を伺う。時々ガスは晴れるがやはり依然として風が強い。やっぱり登頂は明日だな。いっそ、山頂でご来光見たらステキやん。日の出何時か分からんけどだいたいでアラームをセット。何をするでもなく時間は経過していき、やがて暗くなって就寝。あんなに昼寝したのにまだまだ寝れるわ〜。

だが風が強い。
風がどんどん強くなっている。バッサバサ揺さぶられるテント。迫り来る壁。うおおお風強ぇ〜!
だが強風のテント泊はパタゴニアで経験済み。あの強風を耐えたんだから今回だって大丈夫だろう。


しっかし風と煽られるテントの音がうるさすぎて全然眠れない。そのうち雨が激しくテントを打つ音まで聞こえだす。えーっ、てんくらA予報じゃなかったですっけー。こりゃご来光は望み薄か。

そしてシュラフカバーや明日着る予定の干した服が濡れていることに気づく。「濡れとるやん!」と声に出る。どうやらテントの内壁の結露が風で弾かれてテント内に雨を降らせているらしい。最悪やん。これまで色んなテント泊をしてきたつもりだけどこんなことは初めてよ。なるほどね、経験値がまた上がってしまいましたよ、はいはい。


4時半頃、雨はおさまったようだが風がもーれつ過ぎて眠れないので諦めて起きることにする。ここでトイレにでも行こうものなら私という重石を失ったテントは吹っ飛んでいくんじゃないかしら。幸いトイレは催していない。

湯を沸かしてコーヒーを淹れたいけど風で不可能。持参したパンをフライパンで焼くこともできず、もそもそとそのまま食して水で流し込む。本当ならゆっくりご来光を眺めながら朝食を楽しむはずだったのに、切ない。

 


5時をすぎて意を決して撤収作業。湿った服に着替え、ドライな服は下山してから着替える用に仕舞い込む。テント内で詰められる荷物は全て詰めてエイヤーッと外に出て、テントが風で飛んでいかないように素早く丸めて泥だらけのままゴミ袋に放り込む。 やれやれだぜ。

 


6時、下山開始。木曽駒ヶ岳の頂上を踏んでいないのは痛恨のミスだが仕方がない。
だから昨日登っておけばよかったのに。
景色が見えなくとも登頂しているのとしていないのでは気持ちも違う。やりたいことはやれるうちにやっとけってこの数年で何回も学んだのに、どうしてやらなかったのだ。(だってしんどかってんもん)未練を残したまま歩き出すしかない。

にしても風が強すぎる。よろめきながら進む。ガスも濃くて10m先も見えないレベル。たまにすれ違う人の声がするがなかなか姿が見えてこない。 植生保護のロープを辿っていけばいいが、これがなければ遭難するところ。

 


宝剣山荘まで戻り、千畳敷へ下る道へ。ここまで来ると山が風よけとなって穏やかに歩ける。静かすぎて不思議なほど。

こんなガスガスでも高山植物のお花畑がきれい。

 


そしてロープウェイ駅に到着。ここから壮大な千畳敷カールが見渡せるはずだったのに見事なまでの白さだぜ!

何もすることがないのでさっさと帰ることにする。 ロープウェイを待っていると平日だというのに続々と人が上ってくるし、地元中学生の集団も上ってきた。学校登山ってやつか。こんな天気でドンマイとしか言いようがない。後々晴れてくるのかしら。私は待ってられんので帰る。

 


8時、数名の乗客を乗せてロープウェイは霧の中へと進む。ここからの絶景も楽しみだったのになー。 

 


と思ったらすぐに絶景広がった。
まさに雲からの脱出。幼い頃、雲に乗ってみたいなーとか思っていたような気がしないでもないが、実際の雲はただひたすらに真っ白でウェットだと大人になって身をもって知りました。

てか下界こんなに晴れとったんかい!振り向けば木曽駒ヶ岳のところだけ雲がかかっている。そうか、続々と上ってきた人たちの中にはまさか千畳敷があんなにガスガスで真っ白だとは思わずに来た人も多かったのかもしれない。ドンマイ。

非常にスムーズにバスに乗り換えて午前9時に駐車場に到着。帰りはロープウェイやバス待ちを覚悟していたのにまさかこんなに早くあっさりと帰ってくることになるとはね。千畳敷は気温15度と非常に快適だったが下界は蒸し暑い。色々と未練が残って悔しいのでご当地名物すずらんソフトクリームを食べて帰路についた。

木曽駒ヶ岳、いずれまたリベンジ。


終わり

木曽駒ヶ岳2956m。中央アルプスの代表的山。去年は南アルプスの甲斐駒ヶ岳に登ったので駒ヶ岳シリーズとして木曽駒ヶ岳にも登らないとな。


7月21日(日)

4:20 女体入口バス停着(駐車場1日目400円/日+2日目300円)

5:37 バス乗車

6:08 北御所登山口下車(バス代720円)

6:20 登山開始

7:20 蛇腹沢登山口

8:20 清水平

9:05 うどんや峠

10:10 小屋場

10:55 舟窪

11:40 八合目

12:35 宝剣山荘

13:00 駒ヶ岳頂上山荘(テント泊2000円トイレ・水込み)


7月22日(月)

6:00 駒ヶ岳頂上山荘出発

7:05 千畳敷ロープウェイ駅(ロープウェイ片道1510円)

8:00 ロープウェイ乗る

8:20 しらび平バス乗車(バス代960円)

9:00 女体入口バス停着


木曽駒ヶ岳へのアクセスは一般的には菅の台バスセンターでバスに乗りかえ、しらび平まで。そこからロープウェイで一気に千畳敷まで昇り、1時間半ほどの登山で辿り着ける。標高2956mながら意外と容易に頂上に立てるようだ。

裏を返せば人がたくさん訪れるということであり、さらには千畳敷は美しい景観から観光スポットとしても人気なのでさらに人が集まる。それはつまり、駐車場確保やバス、ロープウェイの順番待ちに挑まなければならないということ。 

え〜ん。

中央アルプスにはまだ登ったことがないし、その代表的山である木曽駒ヶ岳にはいつか登らねばとは思っていたがこれがネックでまだ行けてなかった。しかも駐車場にバスにロープウェイにけっこうお金がかかるので中途半端には行けない。行くなら行くで大満喫せねば。


そして今週末、ふいにその時が訪れる。日月曜日のお休みを手に入れているのでどこかテント泊の慣らし登山に行きたいところ。どうやら木曽駒ヶ岳は天気がいいようだ。実質1時間半の登りでテント場に辿り着けるし、夏の本格登山の慣らしにはちょうど良い。日月曜日なら世間の混雑とちょっとずれるしいいかも。


そう思って地図を購入してしっかり調べ出す。するとロープウェイ駅までのバス道の途中から頂上へ伸びる道が。

へぇ〜、ロープウェイに乗る以外にも手段あるんだ〜。

それは北御所登山口でバスを途中下車して歩く道。登山口から頂上までざっくり7時間。うーん、行程は長いけど夏山計画ではテント泊装備でこれぐらい歩かないといけないし、限られた休日で生ぬるい慣らし登山なんてしてる場合じゃないかも。あと、これだとロープウェイやその後の登山道の混雑も避けられるな。さらにはロープウェイ代片道1640円も浮くな。

北御所登山口から7時間歩くルートに決定。


続いて登山口へのアクセス。当初は公式HPにある通り菅の台バスセンター(800円/24時間、トイレあり)で車中泊して早朝からバス行列に挑む予定だった。しかし調べていくと裏技として一個前のバス停である駒が池バス停(駐車場から徒歩数分)から乗るという手や、もっと遡って駒ヶ根IC目の前の女体入口バス停なら駐車場争奪戦もないし並ばずにバスに乗れるという情報を得られた。駐車場代は400円/日。菅の台バスセンターより安価だがトイレがないのがネック。ここからバスに乗ってしまうと山頂までトイレがないことになってしまう。さすがにそれは困るので近くの道の駅か駒ヶ岳SAの一般道駐車場で車中泊案が上がる。

などなど思案して結局のところ、それなら自宅で寝て早朝に直接女体入口バス停へ向かえばいいのではという結論に至る。


始発の5:07発のバスに余裕を持って到着できるよう逆算すると午前2時半自宅発。さらに逆算して前夜は19時就寝。おやすみなさ〜い。

て、そんな早くに眠れるはずもなく。

結局22時近くまでゴロゴロうだうだして午前2時のアラームでむくり。寝たんだか寝ていないんだか分からないままに真っ暗な道をひた走る。



朝焼けの頃、女体入口バス停前に到着。この「女体入口」というインパクトある名称はテレビ番組でも取り上げられたとか。
このすぐ目の前に駐車場がある。かなり余裕を持って4:20頃には到着したが全然ガラ空きだった。本来は駒ヶ根ICの高速バス利用者のためにある駐車場のようだ。

5:07の始発バスに合わせて3、4組の登山者が集ってきた。みんな下調べバッチリだな。そこへバスがやってくる。
「申し訳ありません、満員のため30分後のバスまでお待ちくださ〜い。」
ぎえー!!!まさかそんなことが!!
そう、このバスの始発駅はさらに遡ったJR駒ヶ根駅で、そこから終点のロープウェイ乗り場しらび平へ向かうのである。それなら駒ヶ根駅で乗るのが確実ではとはちらっとよぎったが、下調べでは女体入口でも全然乗れた感じだったのでここでいいやと決めたのだ。甘かった。ハイシーズンの晴れ予報の日曜日、読みが完全に甘かった。

周囲の登山者もざわついている。この調子なら次便も満席かもとか、30分なら駒ヶ根駅まで歩くのも同じだしいっそ歩く?とか、臨時便がバンバン出ているであろう菅の台に移動する?とか。私も一人で色々思案する。テント装備を背負って30分の舗装路を歩くのは嫌すぎる。これから7時間の登山道を歩くとしても30分の舗装路を歩くのは話が別。駒ヶ根駅周辺の駐車場を調べたりしてみる。

皆ざわついているが決断を下せる者はいない。みんな30分後のバスに乗れなかったら考えようという空気。私も同じ。まあ30分後に乗れなかったとしてもまだ時刻は5:37。ずるずると遅くなっちゃったらロープウェイで楽々登っちゃえばいいわ。


5:37。第二便がやってくる。

ガラガラ。

ウェ〜イ、焦って移動しなくて正解〜!決断を下せなかっただけだけど〜!悠々と乗り込んで席についた。

途中で菅の台バスセンターで補助席まで埋まる。最後尾が見えないレベルで人が並んでいる。前情報によると午前4時台からチケット売り場と乗車の行列に参戦しないといけないとか。ここに来て下調べの重要性と勝利を確信する。



途中の北御所登山口で下車。降りたのは私だけだった。物珍しげな視線を背中に感じながら降車。

軽くストレッチしてから出発。



人っ子ひとりいない登山道を歩き始める。
めっちゃ熊いそう。
熊鈴をチリンチリン鳴らすが効果があるのか分からない。テント泊装備ではとてもじゃないけど歌えない。そこで今回持参したのはスピーカー。スマホのバッテーリーをキープすべくSONYウォークマンで音楽を鳴らす。荷物の重さが音楽で紛れる。



いくつか「ひとやすみスポット」が設置されていて、ありがたく荷物を下ろしてひとやすみさせていただく。看板には山の動植物や土地のことが紹介されていて水を飲みがてら読んでみる。「私は〜と思っていた。」という文体で書かれているんだけど、この「私」とは一体誰なんだろうか。(株)吉澤組の誰かさんなのかな。分からないけどなんだかほっこりする。



しばらくは(株)吉澤組の方々がお仕事に使うのであろう作業道を進む。



中央アルプスの天然水。



1時間ほど作業道を歩いていよいよ細い登山道へ。グイグイ登っていき、途端に汗が噴き出る。こんなに滝のように汗が出たのは久しぶり。思えばテント泊装備でまともに登るのは2年ぶりかも。去年は夏山シーズン開始早々に手を骨折して、治る頃には高山は冬に突入してしまったのだ。意識してゆっくりと進み、水分塩分をこまめに補給する。



清水平の給水スポット。冷たい中央アルプスの天然水。
ここまででトレラン装備の方がひとり追い抜いて行っただけ。その方に聞けば一緒にバスを降りたグループがいるそうだが、本当に誰とも会わない。バスにはあんなに人がいたのにな。ロープウェイで楽々登れる道をわざわざ歩いているなんて、もしかしてかなりの変わり者(バカ)なのかしら。
いや、今回は木曽駒ヶ岳に登るだけでなくテント泊装備で長時間歩くトレーニングを兼ねているのでこれでいいのだ。あと夏の減量作戦の一環でもある。これをやり遂げたら体重がガクンと減っているはずだ。
燃えろ体脂肪!出でよフェイスライン!!


道は比較的整っていて迷うこともない。前調べによると学校登山でも使われる道だそうだ。長野県の登山教育の高さを感じる。

そのうち上から下ってくる数名とすれ違う。よかった、他にもわざわざこの道歩いている人いたわ。



4時間ほどひーこらよろよろ登ってついに森林限界を越える。青空が眩しい。



バーンと開ける景色。おー!中央アルプス〜!
奥の方にカールらしき地形が見える。あれが千畳敷か!?



にしても遠い。遠いよ。しかもその前になんか山がふたつほどあるんスよ。これ越える感じですかね。なんか間の山のてっぺんに人っぽいのが見えるんですけどこれ登る感じですかね。全然登らないでいいんですけど登らないといけない感じですかね。



登ったわ〜〜〜
ひー、しんどっ!


振り返ると登ってきた道。
あんなところからよくぞここまで…。小さく人が見える。がんばれー。私は登ったぞー。



しんどいが高山植物がそこかしこでお花畑になっている。おそらくチングルマ。


ちらほらと人が増えてきた。ゴールもうすぐそこか。

続く。


7月13日(土)


10:00 山頂剣ヶ峰 発

10:35 二の池ヒュッテ 着

11:00 二の池ヒュッテ 発

11:25 三ノ池避難小屋 着

11:50 三ノ池避難小屋 発

12:50 石室山荘

13:30 女人堂

15:00 黒沢登山口 着


剣ヶ峰を後にして二ノ池へ向かう。



雪渓とニノ池と二ノ池山荘。
ニノ池と言ってもこれ、



砂地。

ガスと雪渓とやけに真っ平な地面で異世界感すごい。どこか別の惑星に来てしまったかのよう。武装した猿が岩陰から現れそう。なんとなくナミブ砂漠のデッドフレイを思い出した。





砂は湿ってはいるがすごくサラサラ。海辺の砂浜を歩いているみたい。

これはただの砂ではなく火山灰。ニノ池は今やちっちゃな水たまりみたいな池が端っこにあるだけで、そのほとんどは火山灰に覆われているのだ。水たまり池もいずれは完全に埋もれるのだという。地図をよく見ると剣ヶ峰から見える景色に一ノ池と書かれているが、ガスが晴れて一瞬見えた景色はやたら真っ平な地面だった。あれは埋め立てられてしまった池だったというのか。


ニノ池ってなんかショボいなと思ったが、ここら一帯が火山灰に埋もれた池なのだと知ると突然自然のスケールの大きさに圧倒される。



そのニノ池を歩いて渡る。上からは湿地のように見えたので足元がぐちゃぐちゃになるのではと懸念したが、全然そんなことなくサクサクドライに歩けた。


ニノ池山荘。噴火被災を経て頑丈に立て替えられたそう。



さらに少し進むと二の池ヒュッテ。ここでお昼休憩とする。

山小屋では趣向を凝らした名物メニューで訪れる登山者を楽しませてくれる。北八ヶ岳高見石小屋の揚げパン、西穂山荘のラーメン、そしてここ二の池ヒュッテを訪れたら食べておかなければならないのは、



担々麺だー!

と、あたかもこれ目当てで行ったかのように書いているが、これの存在を知ったのはヒュッテに到着してからだ。本当はカレーがあることを期待していた。私は各地の山小屋カレーを食べ比べることを密かな登山の楽しみとしているのだ。けど二の池ヒュッテにあったのは担々麺。みんな食べているので私も食べてみた。

旨辛!絶妙に上手い!スープまでしっかりいただいた。


後からやってきたお客さんによると休日にこの時間(10:45)まで担々麺が残っているのは珍しいんだそう。天気が怪しかったから登山者もいつもほどは多くなかったらしい。そんなラッキーとも知らず、美味しくいただきました。



お腹を満たしたらもう少し先へ進む。さっきまでの火山灰に覆われたグレーな景色から一変、ヒュッテから見下ろす雄大な景色には鮮やかな緑が広がっている。



下っていくとあたり一面に石が積み上げられている。ここは地図によると「サイノ河原」。

ニノ池と別の意味で異世界感すごい。地獄の鬼が積んだ石を蹴散らしに来そう。流れるガスで霞む景色。私はどこに向かっているのだろう。

続く道を登っていく。



登った先にもさらに異世界広がってた。
三ノ池、通称ドラゴンアイ。

古(いにしえ)に封印されし巨大なドラゴンが今にも大地を割って現代に蘇りそう。


一ノ池、ニノ池は火山灰に覆われていたが、三ノ池はまだ青い水をたっぷりとたたえている。ここに来る頃にはだいぶガスってきており景色はあまり期待していなかったので、思いの外綺麗に見えてめっちゃ感動した。


御嶽山ノ池シリーズはこの先に四、五と続くが今回はここまでとする。コーヒーを淹れてしばし景色に浸る。ガスっていてもこの美しさなのに、スッキリ晴れた日にはどんな絶景を見られるというのか。



荷物を片付けて顔を上げると一瞬で真っ白になっていた景色。何も見えないので潔く三ノ池を後にする。摩利支天山や飛騨頂上はどうせ真っ白で何も見えまいと思って行かず。



三ノ池から八合目女人堂までまっすぐ行ける道があるが、残雪のため通行規制されている。仕方ないので来た道を戻る。まずはニノ池の方へ。山頂はすっかりガスに覆われている。噴火が怖いし天気も崩れる予報だし見るもん見たらさっさと下りようと思っていたのに、景色が良すぎてつい長居してしまった。

ヒュッテでお手洗いに立ち寄る。トイレの小窓から見える景色が絶景すぎる。スタッフさんがまたぜひ泊まりに来てねと声をかけてくださった。なるほど日帰りでも全然行けるけど、あえてゆっくり滞在して朝晩の光景を見るのもありだな。満点の星空や朝日に照らされる山並みはさぞかし美しいだろう。冬の間に忘れかけていたけど、山で最も美しい景色が見られるのは夜明けだったことを思い出す。



しばらく歩いたところから見る三の池。ガスで見え隠れしていて秘境感増してる。



どんどこ下る。浮石で転ばないよう注意。もう午後だがこの時間に登ってくる人も多い。みんな泊まり行程なのかな。

足をプルプルさせながら下りに下って2時間ほどで駐車場に到着。お疲れ様でした。
御嶽山、自然の脅威と素晴らしさのどちらも感じられるなんとも奥深い山だった。火山が落ち着いているうちに登ってしまえと急ぐ気持ちで行ったが、また何度でも行きたい山になってしまった。やっぱりいつまでも安全で楽しい登山ができることを願うばかり。

終わり

7月13日(土)


今週末は三連休を手に入れていたので夏山シーズンの前哨戦としてどこか手軽なテント泊登山に行きますかね!と思っていたら天気予報がコロコロ変わる挙句、結局初日しか晴れないらしい。貴重な梅雨の晴れ間、初日だけでも晴れるというなら行かねばなるまい。というわけで急遽日帰り御嶽山。


0時 黒沢(中の湯)登山口駐車場 車中泊

5:00 起床

6:00 出発

6:50 七合目行場山荘

7:45 八合目女人堂

8:50 石室山荘

9:40 御嶽山頂剣ヶ峰 着

10:00 山頂 発

10:35 二の池ヒュッテ 着

11:00 二の池ヒュッテ 発

11:25 三ノ池避難小屋 着

11:50 三ノ池避難小屋 発

12:50 石室山荘

13:30 女人堂

15:00 黒沢登山口 着


急遽も急遽、決断したのは前日の夜21時。仕事から帰って風呂洗濯済ませて夕食をとりながら、天気予報の最終チェック。前もって挙げていた行き先候補の天気をチェックしてまわり、御嶽山なら行けそうとなる。そこから詳細な計画を立てる。決定したルートの黒沢口駐車場は人気登山口で、まあまあな争奪戦であることが判明する。(約65台)どうやら前泊車中泊が確実。登山口にトイレあり。自宅から登山口まで車で2時間ちょい。


今から…行かなあかん…?


え、今から?もうパジャマ着てハミガキもして寝る準備万端な今から??

ぶっちゃけ、この週末の天気は望みなしとほとんどおうち時間満喫モードに移行していたんですけど、21時にもなる今から荷物パッキングして2時間夜道を運転して登山口に向かうんか???


刻々と、文字通り刻々と過ぎる時間。悩んでいる暇はない。明日とても良い天気だったら山に行かなかったことを後悔するだろう。山に行くにしてもこのまま自宅ベッドで寝て明日出発するならかなりの早朝発。それでも駐車場を勝ち取れる保証はない。いっそ駐車場で寝た方が気が楽。


22時、出発した。

我ながら行動力すごすぎ。フットワークの軽さ、フッ軽をキープしていきたい今日この頃。私、まだまだやれる。


0時、黒沢口駐車場に到着。舗装されているとはいえ暗闇のぐねぐね山道運転怖すぎ。これが嫌で前夜入りはできるだけやりたくない。しかも着いてみれば駐車場は10台ほど停まっている程度で全然空いてる。なんや翌朝でもいけたんとちゃう?まったく、長野県在住は地理的に優位だけど結局戦いに勝つにはそれ相応の覚悟が必要なわけで、毎度それにちょっと疲れちゃう。


何はともあれ駐車場を確保したので、叩き起こした全身の細胞を再び鎮まらせて就寝。けっこうぐっすり寝た。



翌朝5時起床。
昨晩ガラガラだった駐車場にズラリと車が停まっている。30分後にはこの上段駐車場は完全に埋まった。(下段駐車場や路駐という選択肢もある)やっぱり前泊して正解。フッ軽万歳。悠々と朝食、身支度を済ませる。



6時出発。登山口で再度登山情報を確認。一部ルートは残雪のため通行規制されている。火口付近は立ち入り禁止。

御嶽山といえば2014年9月の噴火で63名が犠牲になったことが記憶に新しい。といってもあれからもう10年にもなる。
2014年は私が登山を始めた年だ。あの頃はテレビで大変な光景を目にしながらどこか遠い話で、どれほどの災害なのかイマイチ理解できていなかったように思う。登山がしたくて長野県に移住してくるまでになって、色々な山から御嶽山を眺めるたびあの災害を思い出す。静かに鎮座する今の姿からはとても想像できないが、確かにあの山は突如噴煙を上げたのだ。

それでも登ってみたいと思った。このあたりに並ぶ3000m級の峰々。北アルプス、乗鞍岳、その次に頭を出している御嶽山。なんかコンプリートしておきたい気持ち。ただそれだけといえばそれだけ。 でも一度登りたいと思い始めたら登るまでずっと思い続ける。御嶽山は活火山であるが今なら噴火警戒レベル1。明日登れない状況になったら今日のうちに登っておかなかったことを後悔するだろう。登れる山には登れるうちに登っとこ。



歩き始めると早速温泉地のような硫黄臭がする。登れるうちに登っとことか軽々しく言っているが、2014年の噴火災害時も噴火警戒レベルは今日と同じ1だったのだ。油断はまったくできない。いつもと違う緊張感で進む。

道は御嶽山の天然水でぐちょぐちょ。夏山シーズン序盤で滑って転んで骨折などしたらとても悲しいので慎重に登る。


1時間ほどで七合目行場小屋。



さらに1時間ほどで八合目女人堂。目指す山頂付近が見えてくる。ここで一休み。



森林限界を超えて景色がひらけた。雄大な御嶽山の峰々。



少し登ったところから見る八合目女人堂。向こうに見えるのは乗鞍岳、その奥に北アルプス。チョンッと尖った槍ヶ岳も見える。梅雨の晴れ間の青空が清々しい。



道の様子は水浸しの沼道から火山独特の石がゴロゴロした道に変わっている。浮石に足を取られないよう注意。



崖っぷちに建つ石室山荘。



その石室山荘からの景色。いつの間にか雲の上。今朝は雲海とご来光がさぞかし綺麗に見えただろう。ここでまた一息休憩。



さあ目指す剣ヶ峰までラストスパート。



最後の最後に立派な石階段。これの前にある2014年噴火災害の慰霊碑をしっかり読んでから登る。



9:40、御嶽山頂上3067mに到着。お疲れ様でした!さて頂上から見る光景はどんななのか。



めーっちゃガスっとるわ。
この場合のガスとは火山性ガスではなく霧のこと。ちなみに硫黄臭を感じたのは登山口あたりだけでここでは全然感じない。
少々風があるのでガスが流れるかもしれない。休憩がてらちょっと待機してみる。



10分ほどたったころ一瞬ガスが晴れたのですかさず写真を撮る。思いの外真っ平。ここが火口なのだと思っていたけど、後ほどちゃんと調べると火口はこれではなくもう少し左の方の斜面らしい。



頂上がどんな感じなのか見られたので長居は無用、さっさと退散する。噴火災害時は火口付近での被災が多く、大きな噴石が雨のように降り注いだという。
今やシェルターが設置されているとはいえこんなところで石が降ってきたらひとたまりもない。そう思うとガスが晴れるのを待っている間もなんだか落ち着かなかった。

2014年のあの日はいいお天気で絶好の登山日和だったらしい。それが突如一変してしまった恐ろしさは想像を絶する。どうかこれからも安全で楽しい登山ができますようにと願うばかりだ。

さて時刻はまだ10時。今日は午後から天気が崩れてくる予報だがまだ大丈夫そう。噴火は怖いけどもうちょっと足を伸ばしてみる。

続く!

6月22日(土)

阿弥陀岳、標高2805m。八ヶ岳連峰最高峰の赤岳2899mの隣にボコッと盛り上がっている山で、どこから見ても阿弥陀岳だと分かる。八ヶ岳が大好きであちこち歩いたが、阿弥陀岳には登ったことがない。茅野駅から登山口である美濃戸口までバスが出ているものの、私の足ではバスの運行時刻での日帰り山行が難しいのだ。(なら泊まればいいと言われればそうなんだけど)


赤岳の目の前に聳えているだけあってその頂上からは八ヶ岳連峰がさぞかし見事に見えるだろう。見てみたい。その頂の景色、見てみたい。

そんなわけでずっと気になる存在だった阿弥陀岳。マイカーでどこでも何時でも行ける力を得たので、梅雨の貴重な晴れ間が休みと重なった日にようやく登りに行った。


7:10美濃戸口駐車場(800円)

7:20登山開始 御小屋尾根ルート

8:50御小屋山

9:30不動清水

11:05阿弥陀岳山頂着

12:00山頂出発

12:25中岳鞍部

13:10行者小屋

14:50美濃戸山荘

15:35美濃戸口駐車場



7時過ぎに美濃戸口駐車場に到着。貴重な晴れ間の土曜日だし駐車場争奪戦にすでに出遅れたかと思ったが全然大丈夫だった。いつもは左のルートに入って沢沿いを進んでいくが、今回は初めての御小屋尾根ルート。

しばらくは別荘地の舗装路が続く。素敵な別荘が林の中に点在している。辺りは川のせせらぎと鳥のさえずりしか聞こえない静かな朝。こんなところに別荘があって涼やかな夏が過ごせたら最高だな。一体どんな御仁が所有しているんだろう。遠くにやたら大きくて顔の細長い白い犬を二頭連れた人が悠々と散歩をしているのが見えた。そんなテンプレートみたいな朝の散歩ができる人生を送るにはどうすればいいのか、皆目見当がつかない。



軽く息を切らしながらじわじわと登っていよいよ登山道。さっきの白い犬を連れた御仁以外人っ子ひとりいない。
あまりにも熊が出そう。

熊鈴をジリジリ鳴らしながら進む。



ツツジっぽい花(相変わらず草花の名前が分からぬ)が咲き乱れている。



これは分かる。シャクナゲだ。まだつぼみは固い。


日の当たるところには鮮やかな緑のコケ。



じわじわ登って御小屋山。特に何もないのでサラッと通り過ぎる。


しばらくいくと展望がひらけてきた。そして目の前に壁のようにそそり立つ岩山。まさか阿弥陀岳ってあれなの?いやいや全然人が登れる山じゃないでしょ。どうやって登るっていうの。でも明らかにあれが阿弥陀岳。信じられない、信じたくない気持ちで細く続く道を進む。



気がつくと森林限界を超えて岩肌を登っている。振り返ると歩いてきた尾根。奥には北アルプスに乗鞍岳、御嶽山。
到底登れそうもない大きな山も足元を見ながら一歩一歩進んでいると気がつけばまあまあな高さまで登っている。人生と同じだ。と、登山をするたびに思う。



左を見れば八ヶ岳連峰。一番向こうにあるぽっこりした山はこの前登った蓼科山。



最後は岩肌を気合いで這い上がって、やーっ頂上に到着ーっ!と思ったらそこは阿弥陀岳西ノ肩とやらでまだ道は続く。



ちょっと進んだところから見た西ノ肩。やたらかっちょいい。バックに南アルプスと中央アルプスも見える。



ゴツゴツ岩をへっぴり腰で進んでついに本当に阿弥陀岳頂上に到着。お疲れ様でしたー!目の前見えるは赤岳。赤岳頂上山荘や赤岳展望荘もはっきり見えるし人が何人もいるのが分かる。あれに単発で登った時は調子に乗って赤ワインをボトルで担いていて重すぎてキツかったなーとしょーもない記憶が蘇る。


八ヶ岳連峰の全貌(見切れ)。2018年に北八ヶ岳から南の赤岳まで3泊4日縦走をしたんだけど、全日雨または霧で何一つ景色が見えなかったなーという思い出にも浸る。



そして富士山がはっきりとキレイに見える。ああ、富士山って本当に美しい。このスーッと左右対称に伸びた裾野がたまらない。この見事な独立峰が日本最高峰ってのがまた出来すぎてて感心する。
いつの間にやら雪化粧を落として夏仕様。夏山シーズンはもう目前。今年もあの頂上まで行列ができるんだな。


さらに視線を右にずらすと南アルプス。仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳がセットで見える。(写真右端) 去年、まさか翌週にこの八ヶ岳で手を骨折するだなんて知る由もなく夏山シーズン一発目と意気込んで登った。快晴で最高の登山だった。その登山記録は下書き保存されたまま1年が経過してしまっている。

登山者、山頂から見える景色に思い出を重ねがち。
いや、過去を振り返るだけじゃない。この南アルプスで今年も登山計画を立てている。
っしゃ〜…やったるで〜…踏破したるでぇ〜…!
その山をじっと見て気合いを高める。登山者はこれから登る山も見据えがち。(知らんけど)


この素晴らしき360度の眺望を写真に収めますかね、とカメラを構えてみたらなぜだか電源が入らない。えっ!壊れたのか!?と焦ったらバッテリー入れてくんの忘れてた。しょうがないのでそのカメラを撮ってみる。普段自分が撮られることのないカメラちゃん、ちょっと照れてるね。(?)



1時間ほど休憩したら下山開始。ゴツゴツした赤岳が最高にかっちょいい。阿弥陀岳から赤岳に続く道もあるが、今日は鞍部から下る。この見るからにしんどそうな登り返しを登らなくていいと思うととても嬉しい。人生では大変な山にこそ挑む価値がある時もあるが、登らないで済むならその方がいいに決まっている。楽したい。全然楽したい。



鞍部まで降りてきた。後は下るだけ〜♪と軽い気持ちで下りだしたが、これが思いの外大変だった。斜面は急だし浮石がゴロゴロしている。四つ足でそろりそろりと慎重に下りるが、絶対大丈夫と掴んだ岩がごっそり剥がれたりする。お前剥がれるんかい!と岩に裏切られたような気持ち。滑落しないよう気をつけるのは当然で、下に人がいるので落石も起こしてはならない。山頂から鞍部まで実際は25分かかったが、体感ではもっとかかった気がした。



樹林帯を下って行者小屋に到着。やれやれ。今日は土曜日だけど明日は土砂降り予報だからかテントも少ない。



行者小屋から阿弥陀岳を臨む。あのボコっとした存在がずっと気になっていたけどこれで晴らせた。満足。あばよ。



後は美濃戸口までなだらかな道を歩く。歩く歩く歩く…2時間超。
長!
行者小屋に着いたところでなんとなく無事下山おめでとーみたいな気持ちになっちゃってるので、そこからの2時間超の道のりは異様に長く感じた。なだらかな道といっても浮石もゴロゴロしているので気を抜けない。実際前回は普通に平な場所の本当になんでもない小石で派手に転んだ。痛かった。

ようやく駐車場に着いて本当に無事下山おめでとー!ソフトクリームと駐車場券サービスのコーヒーをいただいて満たされた。

終わり



5月27日(月)

6:00 ドンデン高原

9:15 両津港

↓カーフェリー16,290円

11:45 新潟港


新潟市新津美術館


今日こそはご来光を最初から見るべく4時起き。だが予報通り曇っている〜。日の出時刻になっても周りが明るくなるだけだったので断念してご飯食べる。




今日も持参しているトースト。食パンは5枚切り派。



ドンデン高原ロッジの青い映えカレーも食べてみたかったけどあいにく飲食営業時間に合わず。


さて、9時台のフェリーに乗るためドンデン高原を出発する。両津港まで30分ほど。フェリー乗り場に着いたら車を並ばせておいて予約券を発券しに行く。



トキ。

佐渡島は全国で唯一トキが生息している。その様子を見に行くのも観光ルートの一つだけど、まあ、、いいかなって。トキが佐渡に生きているという事実があればそれでいいかなって。



港で働く車たち。手際よくちゃっちゃと積荷を仕分けていく。



両津港から新潟港へ向かうときわ丸。でかい。



行きのこがね丸よりちょっと豪華。軽食コーナーもある。平日だからか乗客は多くない。



外が見えるイスをゲットしていざ出航。佐渡の日本酒入りドーナツを食す。大人のお味。



さよなら佐渡島。海も山も堪能できて最高だった。金山観光で歴史も感じられて良き。これまでいくつか島を訪れたけど、結構上位に入るレベルで好きな島だな。ベストシーズンのベストお天気なときに来られたのも大きい。なんとなく、私は南の島のゆる〜い雰囲気より、こういう北の厳しい自然の中にある素朴な雰囲気の方が性に合っている気がする。色々な場所を訪れて自己分析を深める。



2時間半の船旅を経て新潟港が見えてくる。上陸すると突然に高層の建物や広い道路が続くので驚く。都会。



お腹がすいたので腹ごしらえとしよう。Googleマップでてきとーに調べて行ったラーメン屋ら麺のりダー。有名店のようで、平日でも人が並んでいた。



濃厚みそらーめん味玉追加。並んでいる間に餃子も食べたくなって注文。ガツガツいく。ラーメンはまずスープを飲んでみると味噌となんか魚介系の出汁が感じられてめちゃくちゃ美味しい。おお〜これが有名店のラーメンかー!餃子もジューシー。ペロリと平らげた。


新潟港らへんで腹ごしらえを済ませたら内陸へ車を走らせる。



ゴールデンカムイ展ファイナルin新潟。
佐渡島から長野県に近い直江津港に戻るのではなくなぜわざわざ遠い新潟港へ渡ったかというと、これが目的。全国巡回のラストが新潟で開催されている(5月25日〜7月7日)。ずっと気になっていたけどまさかここで行けるとは。というかゴカム展をやっているのでこの日程で佐渡新潟旅行を決行したとも言える。大変満足。ゴールデンカムイ、おもしろい。

ちなみに登場人物の月島基は佐渡島出身だ。島の集落を巡っている時なんかは『7SEEDS』と並行して「ここが月島がかつて暮らした場所…」と浸り、金山観光でも当然ゴカムの金塊争奪戦を思い返して、なかなか胸熱だった。金塊の出どころはここではないけど。

さて時刻は17時。松本は遠い。ガソリンを満タンに補給して走り出す。新潟市のガソリン代は松本市より10円/L以上安い。




姨捨SAで休憩。日本三大車窓に数えられる姨捨からの善光寺平は昼間に見ても壮大で素晴らしいが、夜景が圧巻だった。永遠に見ていたくなる。佐渡金山に大野亀の黄色いトビシマカンゾウにゴカム展にこの夜景となんだか今回の旅はキンキラキンだなあ。


トータル4時間車を飛ばして無事帰宅した。



いくつか佐渡みやげを買ったうちの一つ。島の端っこの集落でもシニアカーでスイスイ移動していたおばーちゃんたちがとても心に残ったので。これをグッズにしたということはやっぱり印象的な光景なのかも。

ちょっとした船旅や島観光に登山、おまけにゴカム展と盛りだくさんの旅行であった。佐渡島、また行きたい。

終わり

※『7SEEDS』ネタバレ注意




5月26日(日)②




どんどこ稜線を歩き進めると金北山頂上と思われる小屋も肉眼ではっきり見えてくる。



しばらく平坦な道で鏡池を通過。風もなく水面は鏡のようだ。



よく見ると小さな球体に白いモヤモヤがまとったものがびっしり水中にある。カエルのたまごか?辺りではカエルがゲコゲコ鳴いているしおたまじゃくしも泳いでいる。たまごらしきものははっきり言って気持ち悪かったけど多分初めて見るので物珍しくてまじまじと眺めてしまった。



次はあやめ池。その名の通りあやめっぽい草がびっしりと生えている。花が咲くのはまだ先のようだなと思ったけど、今調べたらあやめの開花時期は5月上旬だって。じゃあ咲き終わった後なのか?




最後に一気に登ってついに金北山頂上に到着!お疲れ様でしたー!

頂上には何やらお堂。




あと謎の廃屋。立派な小屋やトイレがあるのかなと思ったけど全然違った。ネットで調べると簡易トイレがあるようだったけど見当たらず。もう少し進んだらあったのかもしれない。



そしてこちらが頂上からの景色。朝と違ってなんだか色合いがはっきりしている。条件が良ければここから北アルプスも見えるようだがあいにく今日は霞んでしまって見えない。



こうして見ると小佐渡と大佐渡の間の平地は半分以上が田畑のようだ。市街地はごくわずかに見える。

頂上でしばし休憩。同じく休憩しているおじさんとおしゃべり。関西の方だったのでどうアクセスするのか聞けば、関西から新潟市まで夜行バスが出ておりそこからフェリーに乗ってやってきたんだとか。そういえば登山口にいた京都人のおばちゃんもそのようなことを話しているのが聞こえた。おっちゃんおばちゃん元気すぎる。最近夜行バスはあまり眠れなくて翌日に響くのでツラくなってきたなーなどと甘ったれたことを言っていたが、まだまだ負けてられない。ちなみに頂上のおじさんは帰りは佐渡空港から飛ぶそうだ。そういうルートもあるのかー。

おじさんは有名どころの山々は登りまくってしまったのでこういうちょっとニッチな山を探しているそう。ただ登るだけでなく野鳥や草花にも興味が出てきて今はそれがとても楽しみだって。何気なしに「金北山は何か珍しい植物がありましたか?」と聞いてみるとかなり食いつき気味に色々あることを教えてくれた。
私は今は色んな山に出かけるのが楽しみだが、いずれそうやって別の側面からの楽しみを見つけてさらにのめり込んでしまうかもしれない。登山、なかなか奥深い趣味だ。


ひとしきりおしゃべりしたらおじさんに別れを告げてドンデン高原へ戻る。ここから4.5時間。うへぇ。



ドンデン高原からこの金北山がえらく遠く見えたのだから、当然ここから登山口にあるドンデン高原も遥か遠くにある。よくよく目を凝らすとロッジのあの特徴的な三角屋根っぽいのが分かる。遠い。



せっせと歩いていると金北山へ向かう人と次々とすれ違った。そうよな、別にあんな早く出発しなくてもこれぐらいの時間でいい。
行きはなんとなく頂上へ登っている気でいたけど、縦走なのでアップダウンを繰り返しており帰りも結構上り道がある。登山口と頂上の標高差はそれほどでもないけど累計どれぐらいの高さを登っているのか。

いや、これぐらいでへこたれていてはいけない。 夏にはまた重たいテント装備を背負ってこの何倍も険しい山道を歩くのだ。冬の間にでろんでろんになった筋肉を引き締めるには初っ端からこれぐらいサクッとこなさなくてはならない。



ぐでんぐでんで登山口に到着。

はー、疲れた。ひー、疲れた。こんなんでテントなんか背負えるんか。とりあえず明日筋肉痛必至。

登山口にバイオトイレがあってよかった。途中でトイレに行けなかったのもちょっとツラかった。



またはるか遠くに金北山が見える。あんな遠くまで同じ道をただ行って帰ってきたなんて、一体私は何をしているんだろうと呆然としてしまった。

否、ただ行って帰ってきたわけじゃない。お花畑を堪能し、『7SEEDS』の世界に浸り、おじさんや他の登山者とおしゃべりを楽しみ、なかなか充実した登山だった。それに登山道も新緑に囲まれた森歩きから開放感ある稜線歩きまで多様で、おまけに山から海も見えて景色が独特であり、岩肌が見えれば隠れた金鉱脈が残っているのではないかと期待もできて、飽きのこないおもしろきルートだ。危険動物もいないしめちゃくちゃな急登もない。ピストンはチョット疲れるけど縦走路としてはとてもおすすめ。



佐渡島登山に乾杯。
ぶっちゃけ復路の3分の2はビールのことしか考えていなかった。お風呂上がるまで我慢できずロッジについて速攻プシュってしちゃった。(運転するかもしれないのでノンアルコール)



この日はどこで寝るか決めていなかったけど、今朝日の出時刻に目覚めてご来光の全容を見られなかったのでリベンジすべくドンデン高原で2泊目の車中泊とする。自由だね。明日の天気予報はイマイチだけどご来光だけでもきれいに見えるといいな。
持参したレトルトカレーを夕食にいただく。登山とカレーはどうしてこんなに相性がいいのか。

夜は車中でゆっくり読書でもしたいところだがなんせ4時半起きで8時間山道を歩いたので全然起きていられない。21時には寝た。

続く