世界の道の曲がり角 The Bend in the Road around the World

世界の道の曲がり角 The Bend in the Road around the World

山と旅と写真の記録
2019.1.7~2020.3.11世界一周旅行 完
山を求めて長野県に移住。

7月13日(土)


10:00 山頂剣ヶ峰 発

10:35 二の池ヒュッテ 着

11:00 二の池ヒュッテ 発

11:25 三ノ池避難小屋 着

11:50 三ノ池避難小屋 発

12:50 石室山荘

13:30 女人堂

15:00 黒沢登山口 着


剣ヶ峰を後にして二ノ池へ向かう。



雪渓とニノ池と二ノ池山荘。
ニノ池と言ってもこれ、



砂地。

ガスと雪渓とやけに真っ平な地面で異世界感すごい。どこか別の惑星に来てしまったかのよう。武装した猿が岩陰から現れそう。なんとなくナミブ砂漠のデッドフレイを思い出した。





砂は湿ってはいるがすごくサラサラ。海辺の砂浜を歩いているみたい。

これはただの砂ではなく火山灰。ニノ池は今やちっちゃな水たまりみたいな池が端っこにあるだけで、そのほとんどは火山灰に覆われているのだ。水たまり池もいずれは完全に埋もれるのだという。地図をよく見ると剣ヶ峰から見える景色に一ノ池と書かれているが、ガスが晴れて一瞬見えた景色はやたら真っ平な地面だった。あれは埋め立てられてしまった池だったというのか。


ニノ池ってなんかショボいなと思ったが、ここら一帯が火山灰に埋もれた池なのだと知ると突然自然のスケールの大きさに圧倒される。



そのニノ池を歩いて渡る。上からは湿地のように見えたので足元がぐちゃぐちゃになるのではと懸念したが、全然そんなことなくサクサクドライに歩けた。


ニノ池山荘。噴火被災を経て頑丈に立て替えられたそう。



さらに少し進むと二の池ヒュッテ。ここでお昼休憩とする。

山小屋では趣向を凝らした名物メニューで訪れる登山者を楽しませてくれる。北八ヶ岳高見石小屋の揚げパン、西穂山荘のラーメン、そしてここ二の池ヒュッテを訪れたら食べておかなければならないのは、



担々麺だー!

と、あたかもこれ目当てで行ったかのように書いているが、これの存在を知ったのはヒュッテに到着してからだ。本当はカレーがあることを期待していた。私は各地の山小屋カレーを食べ比べることを密かな登山の楽しみとしているのだ。けど二の池ヒュッテにあったのは担々麺。みんな食べているので私も食べてみた。

旨辛!絶妙に上手い!スープまでしっかりいただいた。


後からやってきたお客さんによると休日にこの時間(10:45)まで担々麺が残っているのは珍しいんだそう。天気が怪しかったから登山者もいつもほどは多くなかったらしい。そんなラッキーとも知らず、美味しくいただきました。



お腹を満たしたらもう少し先へ進む。さっきまでの火山灰に覆われたグレーな景色から一変、ヒュッテから見下ろす雄大な景色には鮮やかな緑が広がっている。



下っていくとあたり一面に石が積み上げられている。ここは地図によると「サイノ河原」。

ニノ池と別の意味で異世界感すごい。地獄の鬼が積んだ石を蹴散らしに来そう。流れるガスで霞む景色。私はどこに向かっているのだろう。

続く道を登っていく。



登った先にもさらに異世界広がってた。
三ノ池、通称ドラゴンアイ。

古(いにしえ)に封印されし巨大なドラゴンが今にも大地を割って現代に蘇りそう。


一ノ池、ニノ池は火山灰に覆われていたが、三ノ池はまだ青い水をたっぷりとたたえている。ここに来る頃にはだいぶガスってきており景色はあまり期待していなかったので、思いの外綺麗に見えてめっちゃ感動した。


御嶽山ノ池シリーズはこの先に四、五と続くが今回はここまでとする。コーヒーを淹れてしばし景色に浸る。ガスっていてもこの美しさなのに、スッキリ晴れた日にはどんな絶景を見られるというのか。



荷物を片付けて顔を上げると一瞬で真っ白になっていた景色。何も見えないので潔く三ノ池を後にする。摩利支天山や飛騨頂上はどうせ真っ白で何も見えまいと思って行かず。



三ノ池から八合目女人堂までまっすぐ行ける道があるが、残雪のため通行規制されている。仕方ないので来た道を戻る。まずはニノ池の方へ。山頂はすっかりガスに覆われている。噴火が怖いし天気も崩れる予報だし見るもん見たらさっさと下りようと思っていたのに、景色が良すぎてつい長居してしまった。

ヒュッテでお手洗いに立ち寄る。トイレの小窓から見える景色が絶景すぎる。スタッフさんがまたぜひ泊まりに来てねと声をかけてくださった。なるほど日帰りでも全然行けるけど、あえてゆっくり滞在して朝晩の光景を見るのもありだな。満点の星空や朝日に照らされる山並みはさぞかし美しいだろう。冬の間に忘れかけていたけど、山で最も美しい景色が見られるのは夜明けだったことを思い出す。



しばらく歩いたところから見る三の池。ガスで見え隠れしていて秘境感増してる。



どんどこ下る。浮石で転ばないよう注意。もう午後だがこの時間に登ってくる人も多い。みんな泊まり行程なのかな。

足をプルプルさせながら下りに下って2時間ほどで駐車場に到着。お疲れ様でした。
御嶽山、自然の脅威と素晴らしさのどちらも感じられるなんとも奥深い山だった。火山が落ち着いているうちに登ってしまえと急ぐ気持ちで行ったが、また何度でも行きたい山になってしまった。やっぱりいつまでも安全で楽しい登山ができることを願うばかり。

終わり

7月13日(土)


今週末は三連休を手に入れていたので夏山シーズンの前哨戦としてどこか手軽なテント泊登山に行きますかね!と思っていたら天気予報がコロコロ変わる挙句、結局初日しか晴れないらしい。貴重な梅雨の晴れ間、初日だけでも晴れるというなら行かねばなるまい。というわけで急遽日帰り御嶽山。


0時 黒沢(中の湯)登山口駐車場 車中泊

5:00 起床

6:00 出発

6:50 七合目行場山荘

7:45 八合目女人堂

8:50 石室山荘

9:40 御嶽山頂剣ヶ峰 着

10:00 山頂 発

10:35 二の池ヒュッテ 着

11:00 二の池ヒュッテ 発

11:25 三ノ池避難小屋 着

11:50 三ノ池避難小屋 発

12:50 石室山荘

13:30 女人堂

15:00 黒沢登山口 着


急遽も急遽、決断したのは前日の夜21時。仕事から帰って風呂洗濯済ませて夕食をとりながら、天気予報の最終チェック。前もって挙げていた行き先候補の天気をチェックしてまわり、御嶽山なら行けそうとなる。そこから詳細な計画を立てる。決定したルートの黒沢口駐車場は人気登山口で、まあまあな争奪戦であることが判明する。(約65台)どうやら前泊車中泊が確実。登山口にトイレあり。自宅から登山口まで車で2時間ちょい。


今から…行かなあかん…?


え、今から?もうパジャマ着てハミガキもして寝る準備万端な今から??

ぶっちゃけ、この週末の天気は望みなしとほとんどおうち時間満喫モードに移行していたんですけど、21時にもなる今から荷物パッキングして2時間夜道を運転して登山口に向かうんか???


刻々と、文字通り刻々と過ぎる時間。悩んでいる暇はない。明日とても良い天気だったら山に行かなかったことを後悔するだろう。山に行くにしてもこのまま自宅ベッドで寝て明日出発するならかなりの早朝発。それでも駐車場を勝ち取れる保証はない。いっそ駐車場で寝た方が気が楽。


22時、出発した。

我ながら行動力すごすぎ。フットワークの軽さ、フッ軽をキープしていきたい今日この頃。私、まだまだやれる。


0時、黒沢口駐車場に到着。舗装されているとはいえ暗闇のぐねぐね山道運転怖すぎ。これが嫌で前夜入りはできるだけやりたくない。しかも着いてみれば駐車場は10台ほど停まっている程度で全然空いてる。なんや翌朝でもいけたんとちゃう?まったく、長野県在住は地理的に優位だけど結局戦いに勝つにはそれ相応の覚悟が必要なわけで、毎度それにちょっと疲れちゃう。


何はともあれ駐車場を確保したので、叩き起こした全身の細胞を再び鎮まらせて就寝。けっこうぐっすり寝た。



翌朝5時起床。
昨晩ガラガラだった駐車場にズラリと車が停まっている。30分後にはこの上段駐車場は完全に埋まった。(下段駐車場や路駐という選択肢もある)やっぱり前泊して正解。フッ軽万歳。悠々と朝食、身支度を済ませる。



6時出発。登山口で再度登山情報を確認。一部ルートは残雪のため通行規制されている。火口付近は立ち入り禁止。

御嶽山といえば2014年9月の噴火で63名が犠牲になったことが記憶に新しい。といってもあれからもう10年にもなる。
2014年は私が登山を始めた年だ。あの頃はテレビで大変な光景を目にしながらどこか遠い話で、どれほどの災害なのかイマイチ理解できていなかったように思う。登山がしたくて長野県に移住してくるまでになって、色々な山から御嶽山を眺めるたびあの災害を思い出す。静かに鎮座する今の姿からはとても想像できないが、確かにあの山は突如噴煙を上げたのだ。

それでも登ってみたいと思った。このあたりに並ぶ3000m級の峰々。北アルプス、乗鞍岳、その次に頭を出している御嶽山。なんかコンプリートしておきたい気持ち。ただそれだけといえばそれだけ。 でも一度登りたいと思い始めたら登るまでずっと思い続ける。御嶽山は活火山であるが今なら噴火警戒レベル1。明日登れない状況になったら今日のうちに登っておかなかったことを後悔するだろう。登れる山には登れるうちに登っとこ。



歩き始めると早速温泉地のような硫黄臭がする。登れるうちに登っとことか軽々しく言っているが、2014年の噴火災害時も噴火警戒レベルは今日と同じ1だったのだ。油断はまったくできない。いつもと違う緊張感で進む。

道は御嶽山の天然水でぐちょぐちょ。夏山シーズン序盤で滑って転んで骨折などしたらとても悲しいので慎重に登る。


1時間ほどで七合目行場小屋。



さらに1時間ほどで八合目女人堂。目指す山頂付近が見えてくる。ここで一休み。



森林限界を超えて景色がひらけた。雄大な御嶽山の峰々。



少し登ったところから見る八合目女人堂。向こうに見えるのは乗鞍岳、その奥に北アルプス。チョンッと尖った槍ヶ岳も見える。梅雨の晴れ間の青空が清々しい。



道の様子は水浸しの沼道から火山独特の石がゴロゴロした道に変わっている。浮石に足を取られないよう注意。



崖っぷちに建つ石室山荘。



その石室山荘からの景色。いつの間にか雲の上。今朝は雲海とご来光がさぞかし綺麗に見えただろう。ここでまた一息休憩。



さあ目指す剣ヶ峰までラストスパート。



最後の最後に立派な石階段。これの前にある2014年噴火災害の慰霊碑をしっかり読んでから登る。



9:40、御嶽山頂上3067mに到着。お疲れ様でした!さて頂上から見る光景はどんななのか。



めーっちゃガスっとるわ。
この場合のガスとは火山性ガスではなく霧のこと。ちなみに硫黄臭を感じたのは登山口あたりだけでここでは全然感じない。
少々風があるのでガスが流れるかもしれない。休憩がてらちょっと待機してみる。



10分ほどたったころ一瞬ガスが晴れたのですかさず写真を撮る。思いの外真っ平。ここが火口なのだと思っていたけど、後ほどちゃんと調べると火口はこれではなくもう少し左の方の斜面らしい。



頂上がどんな感じなのか見られたので長居は無用、さっさと退散する。噴火災害時は火口付近での被災が多く、大きな噴石が雨のように降り注いだという。
今やシェルターが設置されているとはいえこんなところで石が降ってきたらひとたまりもない。そう思うとガスが晴れるのを待っている間もなんだか落ち着かなかった。

2014年のあの日はいいお天気で絶好の登山日和だったらしい。それが突如一変してしまった恐ろしさは想像を絶する。どうかこれからも安全で楽しい登山ができますようにと願うばかりだ。

さて時刻はまだ10時。今日は午後から天気が崩れてくる予報だがまだ大丈夫そう。噴火は怖いけどもうちょっと足を伸ばしてみる。

続く!

6月22日(土)

阿弥陀岳、標高2805m。八ヶ岳連峰最高峰の赤岳2899mの隣にボコッと盛り上がっている山で、どこから見ても阿弥陀岳だと分かる。八ヶ岳が大好きであちこち歩いたが、阿弥陀岳には登ったことがない。茅野駅から登山口である美濃戸口までバスが出ているものの、私の足ではバスの運行時刻での日帰り山行が難しいのだ。(なら泊まればいいと言われればそうなんだけど)


赤岳の目の前に聳えているだけあってその頂上からは八ヶ岳連峰がさぞかし見事に見えるだろう。見てみたい。その頂の景色、見てみたい。

そんなわけでずっと気になる存在だった阿弥陀岳。マイカーでどこでも何時でも行ける力を得たので、梅雨の貴重な晴れ間が休みと重なった日にようやく登りに行った。


7:10美濃戸口駐車場(800円)

7:20登山開始 御小屋尾根ルート

8:50御小屋山

9:30不動清水

11:05阿弥陀岳山頂着

12:00山頂出発

12:25中岳鞍部

13:10行者小屋

14:50美濃戸山荘

15:35美濃戸口駐車場



7時過ぎに美濃戸口駐車場に到着。貴重な晴れ間の土曜日だし駐車場争奪戦にすでに出遅れたかと思ったが全然大丈夫だった。いつもは左のルートに入って沢沿いを進んでいくが、今回は初めての御小屋尾根ルート。

しばらくは別荘地の舗装路が続く。素敵な別荘が林の中に点在している。辺りは川のせせらぎと鳥のさえずりしか聞こえない静かな朝。こんなところに別荘があって涼やかな夏が過ごせたら最高だな。一体どんな御仁が所有しているんだろう。遠くにやたら大きくて顔の細長い白い犬を二頭連れた人が悠々と散歩をしているのが見えた。そんなテンプレートみたいな朝の散歩ができる人生を送るにはどうすればいいのか、皆目見当がつかない。



軽く息を切らしながらじわじわと登っていよいよ登山道。さっきの白い犬を連れた御仁以外人っ子ひとりいない。
あまりにも熊が出そう。

熊鈴をジリジリ鳴らしながら進む。



ツツジっぽい花(相変わらず草花の名前が分からぬ)が咲き乱れている。



これは分かる。シャクナゲだ。まだつぼみは固い。


日の当たるところには鮮やかな緑のコケ。



じわじわ登って御小屋山。特に何もないのでサラッと通り過ぎる。


しばらくいくと展望がひらけてきた。そして目の前に壁のようにそそり立つ岩山。まさか阿弥陀岳ってあれなの?いやいや全然人が登れる山じゃないでしょ。どうやって登るっていうの。でも明らかにあれが阿弥陀岳。信じられない、信じたくない気持ちで細く続く道を進む。



気がつくと森林限界を超えて岩肌を登っている。振り返ると歩いてきた尾根。奥には北アルプスに乗鞍岳、御嶽山。
到底登れそうもない大きな山も足元を見ながら一歩一歩進んでいると気がつけばまあまあな高さまで登っている。人生と同じだ。と、登山をするたびに思う。



左を見れば八ヶ岳連峰。一番向こうにあるぽっこりした山はこの前登った蓼科山。



最後は岩肌を気合いで這い上がって、やーっ頂上に到着ーっ!と思ったらそこは阿弥陀岳西ノ肩とやらでまだ道は続く。



ちょっと進んだところから見た西ノ肩。やたらかっちょいい。バックに南アルプスと中央アルプスも見える。



ゴツゴツ岩をへっぴり腰で進んでついに本当に阿弥陀岳頂上に到着。お疲れ様でしたー!目の前見えるは赤岳。赤岳頂上山荘や赤岳展望荘もはっきり見えるし人が何人もいるのが分かる。あれに単発で登った時は調子に乗って赤ワインをボトルで担いていて重すぎてキツかったなーとしょーもない記憶が蘇る。


八ヶ岳連峰の全貌(見切れ)。2018年に北八ヶ岳から南の赤岳まで3泊4日縦走をしたんだけど、全日雨または霧で何一つ景色が見えなかったなーという思い出にも浸る。



そして富士山がはっきりとキレイに見える。ああ、富士山って本当に美しい。このスーッと左右対称に伸びた裾野がたまらない。この見事な独立峰が日本最高峰ってのがまた出来すぎてて感心する。
いつの間にやら雪化粧を落として夏仕様。夏山シーズンはもう目前。今年もあの頂上まで行列ができるんだな。


さらに視線を右にずらすと南アルプス。仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳がセットで見える。(写真右端) 去年、まさか翌週にこの八ヶ岳で手を骨折するだなんて知る由もなく夏山シーズン一発目と意気込んで登った。快晴で最高の登山だった。その登山記録は下書き保存されたまま1年が経過してしまっている。

登山者、山頂から見える景色に思い出を重ねがち。
いや、過去を振り返るだけじゃない。この南アルプスで今年も登山計画を立てている。
っしゃ〜…やったるで〜…踏破したるでぇ〜…!
その山をじっと見て気合いを高める。登山者はこれから登る山も見据えがち。(知らんけど)


この素晴らしき360度の眺望を写真に収めますかね、とカメラを構えてみたらなぜだか電源が入らない。えっ!壊れたのか!?と焦ったらバッテリー入れてくんの忘れてた。しょうがないのでそのカメラを撮ってみる。普段自分が撮られることのないカメラちゃん、ちょっと照れてるね。(?)



1時間ほど休憩したら下山開始。ゴツゴツした赤岳が最高にかっちょいい。阿弥陀岳から赤岳に続く道もあるが、今日は鞍部から下る。この見るからにしんどそうな登り返しを登らなくていいと思うととても嬉しい。人生では大変な山にこそ挑む価値がある時もあるが、登らないで済むならその方がいいに決まっている。楽したい。全然楽したい。



鞍部まで降りてきた。後は下るだけ〜♪と軽い気持ちで下りだしたが、これが思いの外大変だった。斜面は急だし浮石がゴロゴロしている。四つ足でそろりそろりと慎重に下りるが、絶対大丈夫と掴んだ岩がごっそり剥がれたりする。お前剥がれるんかい!と岩に裏切られたような気持ち。滑落しないよう気をつけるのは当然で、下に人がいるので落石も起こしてはならない。山頂から鞍部まで実際は25分かかったが、体感ではもっとかかった気がした。



樹林帯を下って行者小屋に到着。やれやれ。今日は土曜日だけど明日は土砂降り予報だからかテントも少ない。



行者小屋から阿弥陀岳を臨む。あのボコっとした存在がずっと気になっていたけどこれで晴らせた。満足。あばよ。



後は美濃戸口までなだらかな道を歩く。歩く歩く歩く…2時間超。
長!
行者小屋に着いたところでなんとなく無事下山おめでとーみたいな気持ちになっちゃってるので、そこからの2時間超の道のりは異様に長く感じた。なだらかな道といっても浮石もゴロゴロしているので気を抜けない。実際前回は普通に平な場所の本当になんでもない小石で派手に転んだ。痛かった。

ようやく駐車場に着いて本当に無事下山おめでとー!ソフトクリームと駐車場券サービスのコーヒーをいただいて満たされた。

終わり



5月27日(月)

6:00 ドンデン高原

9:15 両津港

↓カーフェリー16,290円

11:45 新潟港


新潟市新津美術館


今日こそはご来光を最初から見るべく4時起き。だが予報通り曇っている〜。日の出時刻になっても周りが明るくなるだけだったので断念してご飯食べる。




今日も持参しているトースト。食パンは5枚切り派。



ドンデン高原ロッジの青い映えカレーも食べてみたかったけどあいにく飲食営業時間に合わず。


さて、9時台のフェリーに乗るためドンデン高原を出発する。両津港まで30分ほど。フェリー乗り場に着いたら車を並ばせておいて予約券を発券しに行く。



トキ。

佐渡島は全国で唯一トキが生息している。その様子を見に行くのも観光ルートの一つだけど、まあ、、いいかなって。トキが佐渡に生きているという事実があればそれでいいかなって。



港で働く車たち。手際よくちゃっちゃと積荷を仕分けていく。



両津港から新潟港へ向かうときわ丸。でかい。



行きのこがね丸よりちょっと豪華。軽食コーナーもある。平日だからか乗客は多くない。



外が見えるイスをゲットしていざ出航。佐渡の日本酒入りドーナツを食す。大人のお味。



さよなら佐渡島。海も山も堪能できて最高だった。金山観光で歴史も感じられて良き。これまでいくつか島を訪れたけど、結構上位に入るレベルで好きな島だな。ベストシーズンのベストお天気なときに来られたのも大きい。なんとなく、私は南の島のゆる〜い雰囲気より、こういう北の厳しい自然の中にある素朴な雰囲気の方が性に合っている気がする。色々な場所を訪れて自己分析を深める。



2時間半の船旅を経て新潟港が見えてくる。上陸すると突然に高層の建物や広い道路が続くので驚く。都会。



お腹がすいたので腹ごしらえとしよう。Googleマップでてきとーに調べて行ったラーメン屋ら麺のりダー。有名店のようで、平日でも人が並んでいた。



濃厚みそらーめん味玉追加。並んでいる間に餃子も食べたくなって注文。ガツガツいく。ラーメンはまずスープを飲んでみると味噌となんか魚介系の出汁が感じられてめちゃくちゃ美味しい。おお〜これが有名店のラーメンかー!餃子もジューシー。ペロリと平らげた。


新潟港らへんで腹ごしらえを済ませたら内陸へ車を走らせる。



ゴールデンカムイ展ファイナルin新潟。
佐渡島から長野県に近い直江津港に戻るのではなくなぜわざわざ遠い新潟港へ渡ったかというと、これが目的。全国巡回のラストが新潟で開催されている(5月25日〜7月7日)。ずっと気になっていたけどまさかここで行けるとは。というかゴカム展をやっているのでこの日程で佐渡新潟旅行を決行したとも言える。大変満足。ゴールデンカムイ、おもしろい。

ちなみに登場人物の月島基は佐渡島出身だ。島の集落を巡っている時なんかは『7SEEDS』と並行して「ここが月島がかつて暮らした場所…」と浸り、金山観光でも当然ゴカムの金塊争奪戦を思い返して、なかなか胸熱だった。金塊の出どころはここではないけど。

さて時刻は17時。松本は遠い。ガソリンを満タンに補給して走り出す。新潟市のガソリン代は松本市より10円/L以上安い。




姨捨SAで休憩。日本三大車窓に数えられる姨捨からの善光寺平は昼間に見ても壮大で素晴らしいが、夜景が圧巻だった。永遠に見ていたくなる。佐渡金山に大野亀の黄色いトビシマカンゾウにゴカム展にこの夜景となんだか今回の旅はキンキラキンだなあ。


トータル4時間車を飛ばして無事帰宅した。



いくつか佐渡みやげを買ったうちの一つ。島の端っこの集落でもシニアカーでスイスイ移動していたおばーちゃんたちがとても心に残ったので。これをグッズにしたということはやっぱり印象的な光景なのかも。

ちょっとした船旅や島観光に登山、おまけにゴカム展と盛りだくさんの旅行であった。佐渡島、また行きたい。

終わり

※『7SEEDS』ネタバレ注意




5月26日(日)②




どんどこ稜線を歩き進めると金北山頂上と思われる小屋も肉眼ではっきり見えてくる。



しばらく平坦な道で鏡池を通過。風もなく水面は鏡のようだ。



よく見ると小さな球体に白いモヤモヤがまとったものがびっしり水中にある。カエルのたまごか?辺りではカエルがゲコゲコ鳴いているしおたまじゃくしも泳いでいる。たまごらしきものははっきり言って気持ち悪かったけど多分初めて見るので物珍しくてまじまじと眺めてしまった。



次はあやめ池。その名の通りあやめっぽい草がびっしりと生えている。花が咲くのはまだ先のようだなと思ったけど、今調べたらあやめの開花時期は5月上旬だって。じゃあ咲き終わった後なのか?




最後に一気に登ってついに金北山頂上に到着!お疲れ様でしたー!

頂上には何やらお堂。




あと謎の廃屋。立派な小屋やトイレがあるのかなと思ったけど全然違った。ネットで調べると簡易トイレがあるようだったけど見当たらず。もう少し進んだらあったのかもしれない。



そしてこちらが頂上からの景色。朝と違ってなんだか色合いがはっきりしている。条件が良ければここから北アルプスも見えるようだがあいにく今日は霞んでしまって見えない。



こうして見ると小佐渡と大佐渡の間の平地は半分以上が田畑のようだ。市街地はごくわずかに見える。

頂上でしばし休憩。同じく休憩しているおじさんとおしゃべり。関西の方だったのでどうアクセスするのか聞けば、関西から新潟市まで夜行バスが出ておりそこからフェリーに乗ってやってきたんだとか。そういえば登山口にいた京都人のおばちゃんもそのようなことを話しているのが聞こえた。おっちゃんおばちゃん元気すぎる。最近夜行バスはあまり眠れなくて翌日に響くのでツラくなってきたなーなどと甘ったれたことを言っていたが、まだまだ負けてられない。ちなみに頂上のおじさんは帰りは佐渡空港から飛ぶそうだ。そういうルートもあるのかー。

おじさんは有名どころの山々は登りまくってしまったのでこういうちょっとニッチな山を探しているそう。ただ登るだけでなく野鳥や草花にも興味が出てきて今はそれがとても楽しみだって。何気なしに「金北山は何か珍しい植物がありましたか?」と聞いてみるとかなり食いつき気味に色々あることを教えてくれた。
私は今は色んな山に出かけるのが楽しみだが、いずれそうやって別の側面からの楽しみを見つけてさらにのめり込んでしまうかもしれない。登山、なかなか奥深い趣味だ。


ひとしきりおしゃべりしたらおじさんに別れを告げてドンデン高原へ戻る。ここから4.5時間。うへぇ。



ドンデン高原からこの金北山がえらく遠く見えたのだから、当然ここから登山口にあるドンデン高原も遥か遠くにある。よくよく目を凝らすとロッジのあの特徴的な三角屋根っぽいのが分かる。遠い。



せっせと歩いていると金北山へ向かう人と次々とすれ違った。そうよな、別にあんな早く出発しなくてもこれぐらいの時間でいい。
行きはなんとなく頂上へ登っている気でいたけど、縦走なのでアップダウンを繰り返しており帰りも結構上り道がある。登山口と頂上の標高差はそれほどでもないけど累計どれぐらいの高さを登っているのか。

いや、これぐらいでへこたれていてはいけない。 夏にはまた重たいテント装備を背負ってこの何倍も険しい山道を歩くのだ。冬の間にでろんでろんになった筋肉を引き締めるには初っ端からこれぐらいサクッとこなさなくてはならない。



ぐでんぐでんで登山口に到着。

はー、疲れた。ひー、疲れた。こんなんでテントなんか背負えるんか。とりあえず明日筋肉痛必至。

登山口にバイオトイレがあってよかった。途中でトイレに行けなかったのもちょっとツラかった。



またはるか遠くに金北山が見える。あんな遠くまで同じ道をただ行って帰ってきたなんて、一体私は何をしているんだろうと呆然としてしまった。

否、ただ行って帰ってきたわけじゃない。お花畑を堪能し、『7SEEDS』の世界に浸り、おじさんや他の登山者とおしゃべりを楽しみ、なかなか充実した登山だった。それに登山道も新緑に囲まれた森歩きから開放感ある稜線歩きまで多様で、おまけに山から海も見えて景色が独特であり、岩肌が見えれば隠れた金鉱脈が残っているのではないかと期待もできて、飽きのこないおもしろきルートだ。危険動物もいないしめちゃくちゃな急登もない。ピストンはチョット疲れるけど縦走路としてはとてもおすすめ。



佐渡島登山に乾杯。
ぶっちゃけ復路の3分の2はビールのことしか考えていなかった。お風呂上がるまで我慢できずロッジについて速攻プシュってしちゃった。(運転するかもしれないのでノンアルコール)



この日はどこで寝るか決めていなかったけど、今朝日の出時刻に目覚めてご来光の全容を見られなかったのでリベンジすべくドンデン高原で2泊目の車中泊とする。自由だね。明日の天気予報はイマイチだけどご来光だけでもきれいに見えるといいな。
持参したレトルトカレーを夕食にいただく。登山とカレーはどうしてこんなに相性がいいのか。

夜は車中でゆっくり読書でもしたいところだがなんせ4時半起きで8時間山道を歩いたので全然起きていられない。21時には寝た。

続く


※『7SEEDS』ネタバレ注意



5月26日(日)①


6:30ドンデン高原ロッジ

10:20 金北山

11:00

14:45 ドンデン高原ロッジ


午前4時半起床。車中泊の遮光カーテンを開けると空が明るい。やべっ。



もうお日さん昇ってもとるがな。
めっちゃキレイやがな。
今朝はご来光を見るためにここドンデン高原で車中泊したのに、なぜだか日の出時刻を調べるということをすっかり失念しており大体こんなもんかなと目覚ましを合わせたその時刻が日の出時刻だった。ある意味ドンピシャ。でもご来光って日が出る前から空が明るくなって焼けてついにビカーッとお日様が顔を出す一連を見るのが良いのであって日の出時刻に起きていたんじゃ遅い。



出遅れたけど一応水平線から顔を出したばかりのお日様を見られたのは良かった。空がグラデーションで美し。今日も良い天気の予報。



ひとしきり眺めたら朝食。持参したトーストを焼く。一口かじってから写真撮影を思い出すいつものパターン。

本日は登山デー。佐渡島の観光プランを練っていて、そういえば山はあるのかなと調べてみるとあったあった。金北山、標高1172m。島でもっとも高い山だ。ドンデン高原から金北山に向けて登山道が伸びており、さらにその先の白雲台まで6時間ほどで縦走できる。そのほかにもいろいろなルートや散策路が広がっているようだ。ここはやっぱり島の最高峰を踏むべく縦走路を選びたいところだが、アクセスがな〜。縦走しきってしまうと車の回収が困難。市街地の両津港辺りから各登山口へ路線バスが出ているので車を両津港に置いてバスでアクセスすることも考えたが、このバスがなかなかの強気運賃。いや、燃油運搬とか諸々考えると妥当なのかもしれないけども、せっかく高い金払ってカーフェリーでマイカー輸送するのにその意味も薄れる。

うーん、うーんと考えに考えた結果、
ピストンや。
縦走しきらずに同じ道を行って帰ってくる。これや。推定8時間かかるけど、夏登山に向けてそろそろ体づくりせなあかんしこれぐらい出来んくてどうする。謎のスパルタ脳。調べ進めると金北山からゴールの白雲台の間は防衛省管理道路とかであまり登山っぽくないらしいからドンデン高原〜金北山が歩けたらいいわ。
そういうわけでスタート地点のドンデン高原で夜を明かした。

辺りでは早朝から出発する登山客で賑わっている。みなさん早いですね。私の出発予定時刻は全然まだなんだけどもしかして私、遅い?謎に焦る。



少し早めて6時半にドンデン高原ロッジを出発。



しばし舗装路を歩く。目指す金北山は島で一番高い場所だからあれかな。遠。なんとなく小屋みたいなのが見える。スタート地点のドンデン高原ロッジは標高890m地点だから標高差は282m。稜線歩きも多いが、結構アップダウンがあって大変という記録も見た。気合いを入れて歩く。



やがて登山道へ。さっそく二手に分かれる。「雪解け後のお花多し」という夏道を進む。



金北山は花の百名山に選ばれている。訪れた5月下旬はまさにお花畑シーズン。



ずっとこんなお花畑ロードが続く。野草にそんな興味ない私でもこんなに咲き誇っていたらなんだか心が躍ってしまう。期せずして本当に良い時期に来た。



信州の山ではあまり見た覚えがないお花もある。名前なんか全然分からないけど写真を撮りまくってみた。



こちらはシラネアオイ。一匹のハチがブンブンブンブン飛び回って蜜を集めている。いくつかの花を回って同じ花に戻ってくると「あ、さっきここの回収したわ」とばかりにすぐに次へ行く。せっせと仕事に精を出していて偉いなと思った。その体には黄色い花粉がどんどんまとわりついていく。こうやって花粉が運ばれて次の花が咲いて、そうしてこの森が出来上がってきたんだなあと考えると感慨深い。ハチが蜜を集める様子をじっと眺めて森林形成に思いを馳せるだなんて、すごく優雅な時間だ。



思えば冬が終わってから登山らしい登山をしたのは今日が初めてだったのでなんとなく新鮮。いつの間にか新緑輝く季節になっていたんだな。


ここでも『7SEEDS』脳は止まらない。たまに水場が木々の奥に見えるが、そういう場所は水や食料などに恵まれる反面、何も知らずに近づいた獲物を狙う危険も待ち受けているので用心しなければならない。わけの分からない密林に放り込まれて食べられるもの、利用できるもの、危険なものを見極めて生き抜く登場人物たち。私だったらすぐに脱落するか案外生き残れるか、どちらだろう。



地面にはあまり見たことのない種類の大きめのアリが私を警戒して頭を上げていた。アリも『7SEEDS』で脅威として登場する。怖い怖い。

ちなみに佐渡島にはクマなどの危険動物はいない。つい信州の山歩きの癖で辺りを警戒して少しでも物音や陰が見えるとあなやクマか!と身構えるが、そういえばここは安全な佐渡島だったと思い出す。鹿もいないので植物が食い荒らされることもない。そんな山って実は結構希少かも。



お花畑と『7SEEDS』脳で楽しく歩いていると稜線に出た。

いや、ゴール遠くね?

それらしき小屋がまだあんなに遠く小さい。

あれほんとに金北山頂上かな。あと3時間とかであそこまで行けるか?実は全然違ってもっと近くにゴールがあるんじゃないかな。でも見渡す限りあそこが最高地点。



少し心折れかけるが稜線なのでとにかく景色が良くて気分が上がる。本州側はドンデン高原から少し移動した視点で見られる。採掘場跡っぽい斜面も見える。地面の色が異なると実はまだ金鉱脈が残っているのではないかと目を凝らしてしまう。金脈を再発見しておおがねもちになりたい。



反対側の日本海を見る。この先はロシアや北朝鮮かー。
島登山のおもしろいところは、山からダイレクトに海へ繋がっているのが見えるところだ。これはアルプスにはない光景。



少し木々の生い茂る道もあれば



再度稜線に出たり。風は穏やか。見晴らしが良くて気持ちいい。


前調べ通りアップダウンが続くがめっちゃ急登というわけでもなくひたすらに歩く。遠くに小さく見えた山頂の小屋が段々と大きく見えてくる。

続く

『7SEEDS』のネタバレ注意。



5月25日(土)②


お次は佐渡観光のメインスポットのひとつ、佐渡金山。金鉱山として平成元年に金がなくなるまで400年近く採掘が行われていたところだ。平成元年といえば私の生まれた頃だ。そんなのついこの前じゃないか、と思ったらもう35年も前の話なので驚く。現在は世界遺産登録に猛プッシュされており、アリの巣のように広がる採掘跡の一部を見学することができる。



見学コースは二つある。せっかくなのでどちらも行く。入場料1500円。



内部はひんやりと薄寒い。説明板を読みながら進む。



やたらリアルな工夫人形たちが漏れ出る地下水をせっせと運び出す様子を演じてくれる。



こちらは地下道を補強する人たち。たまにセリフが再生される。家に帰りたいらしい。とにかくリアルで、たぶん閉場後には「疲れたわー」とか言いながら別エリアの人形たちと喋ってる。
あまり負の歴史には触れられていないけど、こんな陽の光も当たらない暗く澱んだ空気の地下での重労働は過酷で早死も多かったようだ。これに比べれば私の労働環境はまだマシなのかもとか思える。



地下道を進む。『7SEEDS』でまさにこんな感じの地下道も多く登場し、何らかの危険が待ち受けていたりするので緊張感が高まる。というか積極的に『7SEEDS』脳になって必要以上に緊張感を高めて楽しむ。



暗く長くジメジメとした掘削道を抜けると緑豊かな場所。佐渡金山の象徴的景観「道遊の割戸」。金脈を掘りまくっていたら山がぱっくり割れてしまったそうな。そんな日本昔話じゃあるまいしと言いたくなるほんとの話。



緑生い茂る隙間にかつての金採掘設備の名残。いつか完全に自然に飲み込まれるのかもしれない。あ、これも『7SEEDS』っぽい。


佐渡金山に満足して次へ進む。すぐ近くにある北沢浮遊選鉱場跡。この高低差を利用した設備なんだとか。ここも今やツタに覆われて自然に飲み込まれかけている。もっと近くで見て歩き回ってみたい。



海沿いにどんどこ先へ進む。弁慶のはさみ岩。『7SEEDS』でも世界崩壊前には観光スポットだったとしてセリフに登場する。
挟まっているねえ。行った時間には逆光になってしまっていた。

ここから北端までひたすらにドライブ。と言っても思いの外アップダウンが多く、道が狭いところもあり気が抜けない。時々「サドイチ」の看板が。自転車で佐渡島を一周するやつだ。いやいやとんでもない。アップダウン半端ない。かつてアワイチ(淡路島)、ビワイチ(琵琶湖)、しまなみ海道、そしてアンイチ(アンコールワット)を若気の至りだけでやったが、これは絶対迂闊にやったらあかんやつ。
海岸沿いにも時々集落がある。店も交通機関も十分ではないだろうに、こんな坂道だらけの場所で特に高齢者はどうしているのかと思えば、シニアカーでスイスイ移動するおばあちゃんを何名か見かけた。なるほどなるほど。



日が傾いた17時ごろ、北端付近のスポット大野亀に到着。巨大な一枚岩がドーンと鎮座している。



ここ大野亀はトビシマカンゾウの群生地。偶然にも訪れた5月下旬〜6月上旬はこの黄色い元気な花があたり一面に咲き誇る季節だった。何だか日本じゃないみたい。どこかファンタジックな景色。知らずにいい時に来た。去年冬の間際に無理やり来なくて良かったな。



大野亀に向かって細い踏み跡が続いていたのでなんとなく登ってみる。思いの外大変に感じたけど後で見れば登頂まで10分程度。



てっぺんにはなにやら祠的なもの。



今日走ってきた大佐渡の海岸線。西陽を受けて美麗。



反対側の海岸線。左上に見えるのはこれまた写真スポットの二ツ亀。ここから見れたから良しとした。

時刻は18時近く。だいぶ日が長くなったとはいえ日没が迫っている。


佐渡の真ん中らへんにある両津港近くまで走り、さらにそこから山道をグイグイ登って今夜の車中泊ポイント、ドンデン高原ロッジ標高890mに到着。どうにか真っ暗になる前に来られて良かった。



青が深くなっていく夕暮れの空。ここから本州側の小佐渡が見渡せる。

『7SEEDS』で登場人物たちはどこだか何だか分からない密林を彷徨い翻弄されるのだが、やがてそこが佐渡島であることが明らかになる。さらに小佐渡は地殻変動によって沈んでしまっており、残った大佐渡も陥没して地下に森が広がる二重構造となっている姿が描かれている。(壮大)
ここドンデン高原から眺める景色も小佐渡と大佐渡の間の平地は加茂湖や水が張られたばかりの水田が広がっており、沈んだ小佐渡を想像補完すると『7SEEDS』に出てきた景色を覆い浮かべることができる。

「これが佐渡…」

ひとしきり『7SEEDS』の世界観に浸ったらドンデン高原ロッジのお風呂をいただく。500円。石鹸類、ドライヤー完備。



お風呂から出てくるとあたりは暗くなっており夜景が綺麗に見える。島の明るいところは両津港付近の市街地。そして水平線に見えるのは本州新潟の明かり。
下調べはしてきたのだが、念のためロッジの方に車中泊していいかお伺いして了承を得る。ロッジ内のトイレは自由に使用可。ありがたいことこの上ない。



やがて完全に暗闇。と思ったらやたら明るいお月様。満月やや欠け。両津湾に月明かりが反射していとをかし。
星空も見つつのんびりしたいところだが、なんせ午前3時起きなので眠い眠い。22時前には就寝。おやすみなさい。

松本を出発してから佐渡島のメイン観光スポットを巡り巡る濃厚な1日目だった。
続く



※今回の旅記録は漫画『7SEEDS』のネタバレを含みます。




見えてきたわ……あれが、

佐渡島!!!


佐渡島は漫画『7SEEDS』(作 田村由美)を読んでからずっと気になる存在だった。

『7SEEDS』は天変地異によって世界が崩壊した未来でコールドスリープから目覚めた若者たちが果敢に時に翻弄されながら生き抜く姿を描いたSFサバイバル恋愛友情努力勝利スペクタクル人生指南作品である。少女漫画誌で連載されたが少女漫画の範疇を超える、ていうか少女漫画の定義ってなに?となる濃密なストーリー。とってもおすすめ。


そんな『7SEEDS』に登場する佐渡島。どこか遠い場所のように思っていたら長野県に隣接する新潟県に属する離島ではないか。これはぜひ行っとかなければ。




5月25日(土)

午前3:45 松本出発

6:10 直江津港着

7:10 直江津港発

↓カーフェリー 17,530円

9:50 小木港着


矢島観光たらい舟乗り場

宿根木町並み散策

海鮮丼

佐渡金山

北沢浮遊選鉱場跡

弁慶のはさみ岩

大佐渡海岸線

大野亀

二ツ亀

ドンデン高原ロッジ 車中泊



午前3時起きで出発。前夜のうちに直江津港まで行って車中前泊しようかと思っていたが、自宅で寝ても睡眠時間は同じだったし、高速深夜料金も使えるしということで当日出発することにした。高速道路をひた走って北上する。やうやう白くなりゆく山ぎはが綺麗。



2時間半ほどで直江津港に到着。予約しておいたカーフェリーのチケットを発券する。

なんのトラブルもなく辿り着けてよかった。もし辿り着けなかったら予約がパア。なんせこのカーフェリー、運賃がバカ高いのである。軽自動車+運転手で片道17,530円。往復3万超。ぎょええ!もうヘタしたら海外旅行並み。実は佐渡行きは去年から考えていたのだが,このフェリー代に慄いて踏み切れずにうだうだしていたら冬がやってきてしまって今年に持ち越しとなったのだ。実際、佐渡旅行は2、3日程度なら人だけ渡って島内でレンタカーをする方が断然安い。けど、車中泊旅がしたいし自分好みに装備した愛車のハスラーちゃんで巡りたい。ていうか車中泊装備を背負って移動するのがめんどくさい…めんどくさい!と、かつて全てを背負って世界を旅したバックパッカーにあるまじき考えから、カーフェリー輸送を決行した。
いいよ!金出そう!だって一年考えてもやっぱりハスラーちゃんで行きたいんだもの!ほら、これが毎日朝から晩まで働いて稼いだ金だよぉ!ダァン!(前より薄くなった札束を叩きつける)



いよいよ乗船。カーフェリーに乗るのはかつて明石海峡を結んだタコフェリー以来かしら。自分で運転して乗り込むのはもちろん初めて。



大海原へ出航。視界良好。波は穏やか。完璧な航海日和だ。

約2時間半の船旅、思いの外寒いので船内でくつろぐ。佐渡に行くまでに『7SEEDS』を復習しておこうと全速力で読み返していたのだが今日まで間に合わず船内でラスト2巻を読了。涙と鼻水をそっとぬぐう。人前で読むもんじゃなかった。ていうかそもそも全速力で読む作品でもない。またゆっくりじっくりと読み返そう。



『7SEEDS』に思いを馳せたり睡魔に負けて寝たりしているうちにあっというまに佐渡島小木港に着港。
これがあの佐渡島…!未知なるものが蠢きながらこっちの様子を窺っているような気配を感じる。一体なにが待ち受けているというのか。妄想力すごい。



観光船乗り場付近の駐車場に車を置いて市街地を少し散策。ものすごく情緒あふれる町並み。お腹が空いていたがまだランチタイムには早く、食事処は見つけられず。やむをえず先へ進む。



矢島観光たらい舟乗り場。佐渡といえばこの一寸法師とかが乗ってそうなたらい舟。というのは最近知った。4人ほどが乗れる小さなたらい舟。ちょっと高い波が来たら一瞬で転覆しそう。岸からその様子を拝見する。



にしても海がきれいすぎやしませんか。透き通る海が青々と輝いている。



続いて宿根木の町並み。古き良き佐渡の集落が保存されている。



こういう路地たまらん。観光スポットだが現在も実際に人が住んでいらっしゃるので静かに散策させていただく。


有名どころの三角家。路地に合わせて三角形に作られているんだとか。



レトロ映画に出てきそうな郵便局跡地。



さらに奥に進むと神社だかお寺だかが新緑輝く静けさの中に佇んでいた。なんだかスピリチュアルな気分になる場所だったな。



先ほどの三角家は中を見学することもできるが、なんとなくこちらの公開民家「清九郎」に入ってみた。入場料400円。
なんだかものすごく落ち着く家。静かだし涼しいし永遠にぼーっとしていたくなっちゃった。冬は寒そうだなとは思った。



3箇所にラジカセが置いてあり、再生ボタンを押すと説明音声が流れる仕組み。受付のおばちゃんの声に聞こえたのは私だけか。


一応行ってみた宿根木が思いの外良くて一日中いたいぐらいだったが先へ進む。小佐渡(本州側)西沿岸をドライブ。青い海と向こうに大佐渡(日本海側)。絶景である。ひとりドライブ旅の難点は走行中に写真を撮れないことと景色をじっくりと見られないこと。




途中で車を停めて眺めてみる。海の青いこと青いこと。今日が晴れでよかった。


いいかげんお腹が空いたところで食事処「長浜荘」で昼食。お目当ては日本海の海鮮丼。今回は車中泊旅で食料もたっぷり積んできたが海鮮丼は絶対食べると決めていた。
器から溢れんばかりの海鮮。牡蠣やなにやらコリコリしたやつ、カニなんかも入っていた。うまうま満足。

起床してからすでに盛りだくさんの行程だが、ここから1日目の午後が始まる。

続く


5月6日(月)

 

9:00宿出発

10:30 空港KLIA2着

14:25 クアラルンプール発

↓エアアジアX

22:15 羽田T3着

22:56 

↓京急

23:16 品川

23:20

↓JR

23:34 東京

 

5/7

0:05 東京駅八重洲口BT

↓夜行バス

5時ごろ松本着

 

前の晩、世界一周旅で出会った友人たちから4年振りに連絡がきた。タイを旅行中らしい。私はマレーシアにいるよ〜とお互いの現状を報告し合う。それぞれ旅に出ているのが私たちらしくておもしろい。

 

旅中に出会った人たちとは何人かSNSで繋がっている。コロナ時代に突入してからみんな息を潜めていたがそのうちじわじわと旅を再開する人が現れ、コロナ制限がほとんど緩和された今年のGWはみんながみんな鳥籠から放たれたようにいっせいに海外へ飛び出して行ったのが見事だった。(かく言う私もそのひとり)

やっぱりね、円安だろうがなんだろうが行けるときに行っとくべし。コロナ時代は人生に大事なことを私たちに教えてくれたのかもしれない。

ちなみに今回行き先をマレーシアに決めたきっかけとなったマレーシア在住の友人は入れ違いに日本に帰っており会えなかった。また会えるうちに会っとかないとね。



さて本日は7時起床。10時頃には空港行きの電車に乗りたいところだ。それまで観光しようにも近場の店はまだ開いてないし、時間がたっぷりあるわけでもないし…いっそのこと宿でのーんびりしてから早めに空港へ行って空港内の店を堪能すっか。

 

 

宿はThe Bed Bukit Bintangというきれいめなカプセルホテルをとった。繁華街Bukit Bintangの中心地に位置しており便利。屋上には大きなプールがあり、朝食はこのプールサイドでいただける。ちょっといいタイプのカプセルベッドを選んで朝食付き1泊3000円ほど。バックパッカーにとってはお高いが、今は収入ある社会人なので1泊3000円の宿にも泊まれちゃう。

 

天気の良い爽やかな朝。プールで外国人のおじさんがひとりザバザバと泳ぐのをぼんやり眺めて時が流れる。

 

あー、心地がいい。

 

旅先の朝に宿でぼんやりするのってなんて気持ちがいいんだろう。明日からまた仕事か…と一瞬頭によぎるが、そんな現実はすぐに忘れてしまうほどに旅に浸りきっている。次はどこに行こうかなー、どんなルートで行こうかなー、帰国の航空券なんてゴミ箱に捨ててこのまま先へ進もうかなー。まるで『深夜特急』。このまま帰らず世界に行方をくらましたらどうなるんだろう。職場の皆さんには多少ご迷惑をおかけすることにはなるだろうけどそんなのは取るに足らないことのように思えてくる。

 

などと呆けたことが頭に浮かんでは消えて1時間が経過。9時になったので早めに宿を発つ。そうはいっても私は真面目な人間なのでちゃんと帰るのだ。偉い。

 

 

コンビニに寄ったり、スタバのご当地マグを見てみたりとぶらぶら寄り道しつつ空港KLIA2へ。人で賑わっている。到着したらまずはチェックイン。事前にオンラインチェックインを済ませているが、結局紙のチケットもいるとかで空港のセルフチェックイン機で発券する。そのまま保安検査も通過するのは早すぎるので空港に併設するショッピングモールをぶらぶら。昼食には少し早いがまだ現地価格なここで済ませておく。

 

 

ナシ・チャンプルNasi Campur。米を盛られた皿にビュッフェ方式で好きなおかずを盛っていき精算する。揚げた魚がオイリーに味付けされたものと小鉢的おかずを少々。からいけど美味。

 

 

搭乗時刻の2時間前になったので保安検査へ向かう。事前調べでKLIA2はとにかく広くて搭乗口がとんでもなく遠いから時間に余裕を持つべしとあった。保安検査も出国審査の後に1回目、搭乗口エリアに入るのに2回目がある。煌びやかな免税店がたくさん軒を連ねているがそんなのは搭乗口の場所を確認してからだ。

 

 

2回目の保安検査を抜けると一気に質素な通路へ。

遠。

どこまで続くのこの廊下。

 

 

寄り道せずせかせか歩いてようやく搭乗口に到着。出国ゲートに入ってからたっぷり20分はかかってしまった。免税店を覗こうにも、2回目の保安検査を抜けてしまったのでキラキラエリアには戻れない。(戻れたのかな?) あるのはこのちょっとしたコンビニのみで充電エリアすら見当たらない。搭乗時刻まで1時間以上もあるというのに、全くKLIAにはがっかりだよ。

仕方がないのでコンビニコーヒーを飲んでぼんやりする。横に日本に帰国する方がいたので少しおしゃべり。みんなのGWが終わっっていくね。

 

 

やがて搭乗口が開く。搭乗券を確認されて進む。と思ったらまだ待合室だった。広。

ここでさっきのコーヒーが膀胱を刺激してくる。これから7時間の空旅(窓側席)だというのになんでコーヒーなんて飲んじゃったんだろう。この待合室はトイレも何もないので係員に言って外のトイレに行かせてもらった。

 

 

いよいよ搭乗。3−3−3シートの大きな飛行機。たまたま2列シートの窓側席だったのでトイレには立ちやすそうでラッキー。

 

乗り込むと素敵な笑顔で迎えてくれるCAさん…て、暑っ!

機内がとんでもなく蒸し暑い。クーラーききすぎて寒いことはあってもこんなに暑いことってある?どしたどした?

アナウンスによるとただいま燃料補給中のため扇風機しか動いていないんだとか。扇風機て。どこにあんねん扇風機。あれか、自動車もガソリン給油中はエンジンを切らないといけないのと同じで飛行機もエンジンかけられんのか。

どんどん乗り込む乗客たちもあまりの暑さにうなだれる。汗が滴り落ちる。子供達はぐずって泣き喚く。阿鼻叫喚。そんな中でもCAさんたちは制服をキチッと着込んで髪や表情を乱すことなく素敵な笑顔を振りまいている。プロ意識すごい。

 

 

まさかの飛行機で熱中症の危機。早く。早くエンジンかけて。

 

 

するとさっきまで青空が見えていたのに強めの雨が降り出した。天気の移り変わり激しすぎ。結局今回の旅行中、雨にはほとんど当たらなかった。私と母の旅行は雨が降る説は否定された。

 

そして雨が降る中ようやく定刻離陸。

 

 
雲を抜けるとこの青空。爽やか〜。この頃には空調もきいてきて快適になった。やれやれ、脱水症状を引き起こした乗客がいなかったことを祈る。 

 

 
やがて日没。
機内では寝たりブログ下書きしたり。たまにGoogleマップを開いて位置を確認してソワソワ。(機内モード) 
実はこの後羽田に着陸したら東京八重洲口に移動して夜行バスに乗る予定なのだが、その乗り換え時間が1時間半しかないのだ。定刻運行ならイケると思って賭けに出た。ここがこの旅最大の難所。まさかの国内で難所。
 
羽田から東京駅への電車移動は45分ほどかかる。つまり飛行機がズドーンと陸に降りてから、停止してベルトサインが消えて大勢の乗客が飛行機を順番に降りてGW最終日の帰国者で賑わうゲートを通過して電車ホームを見つけて電車に乗り込むまでをあとの45分でこなさなければならないことになる。定刻でも結構際どい。ていうか無理じゃね?あれ、なんでイケると思った??
 
そうは言ってももう賭けは始まってしまっているので後は定刻着陸することを祈るしかない。最悪夜行バスを逃したらそのバス代は捨てて新たに宿と翌日のバスをとればいいのだ。社会人の金の力でな。(白目)
 
ソワソワとGoogleマップを見る。ああ、沖縄付近通過…鹿児島県沖…和歌山県沖…おおお千葉がもうすぐそこに…

 

 
いよいよ東京の夜景が見えてきた。うおおおきれいいいいい頼むから遅延しないでくれえええ
 
やがて着陸。なんと20分も早く着陸してくれた。ありがとうエアアジアXー!!
思いの外スムーズに降機。そして入国審査へ。
 
 

出口遠っ

遠い遠い!KLIA2にも負けない遠さよ。何個動く歩道つながっとんねんって。

せっかく動く歩道があるけど人が詰まっているので競歩で普通の通路を歩く。歩く歩く歩く、ちょっと小走り。

 

ようやく入国審査エリアに到着。ここではパスポートをかざしてピピッと通過できる。さすがに帰国者が多くてゲートも少し混んでいるが、なんせピピッと通過できるので割とスムーズに流れる。預け荷物はないので荷物レーンは素通りし、後は電車に乗るだけ!と思ったら税関ゲートが待ち受ける。クソッそういえばそんなのあったっけな!

 

何やらスムーズに列が裁かれているところがあったのでここもまたピピッと通過できるのかと思えば後ろの機械で何か操作が必要と。係員のおじさんにサポートされながらパスポートをかざすとQRコードを持っているか問われる。QRコードって何!?持ってないわ!どうやら事前にオンライン申請していたらサクッと済ませられたらしい。マレーシア入国カードが事前オンライン登録になっていたけど、まさか日本もそんなオンライン時代になっていたとは。

 

時代に乗り遅れた者は従来通り紙の税関申告書を記入しなければならない。見れば紙カウンターにちょっとした列ができている。すかさず紙を引っ掴んで列に並びながら書く! ギリギリ読める文字で記入。紙を提出するとようやく入国できた。

 

京急空港線の駅は到着ゲートのすぐ目の前にあり、日本語が読めたのですぐに分かった。GW最終日に羽田空港にいるだなんて、もしかして「GWどこへ行かれたんですか?」とかってTVインタビューを受けちゃうかもな〜などと笑っていたがそんな余裕もなく一直線に駅ホームへ。予定の一本前の電車に乗れてJRも遅延することなく東京駅に到着。若干迷いつつ八重洲口バスターミナルに辿り着いた。

 

賭けに勝った…!

 

悠々と歯磨き洗顔を済ませてバスにのりこむ。後は松本に運ばれるだけ…松本、遠。

 

寝たんだか寝ていないんだか分からないままに翌早朝松本で下ろされた。帰宅して軽く片付けた後爆睡。昼頃目を覚まし、ついでに夢のような旅行からも目を覚まして午後から出勤する。私の2024年GWが終わった。

 

以上が4年ぶりの海外旅行の記録でした。

久々に旅人の血が騒ぎまくった旅だったな。さーて、次はどこへ行こうか。

 

5月5日(日)

 

3日目

9時ごろ宿出発

↓電車

10時半バトゥ洞窟着

11時半バトゥ洞窟発

↓電車

12時Pasar Seni駅

中華街

セントラルマーケット

 

この日、母は夜には空港へ行って帰国する。帰国便もまたどうにも一緒に帰るいい行程が見出せず現地解散となった。

 

 

朝はゆっくり宿の朝食を摂り出発。まずはバトゥ洞窟へ。クアラルンプールに来たらやっぱりバトゥ洞窟は見ておくべきかなって。

 

 

電車に揺られて到着。

おー、来た来た。5年前と変わらないバトゥ洞窟。ヒトの食料を狙うお猿もいる。そして鳩。鳩すげぇ。写真撮ってなかったけどとにかく鳩の大群がとんでもないのだ。再訪するにあたって5年前のバトゥ洞窟を思い返したらまず「鳩すごかったな」ってことが思い出されたぐらい。

 

 

その鳩をわき目にカラフルな階段を上りにいく。このカラフル階段、昔っからこんな風にド派手な色合いだったのかと思えばこうして塗られたのは2018年のことだそう。世界一周旅で行った前年じゃないか。そんな最近の映えスポットだったなんて。

 

 

時折休んで振り返ると遠くに都心のビルが見える。

 

 

ぜいぜいと上り詰めて洞窟に到着。ごつごつとした洞窟の天井から雨水が滴り落ちるのが美しい。大都会のすぐ近くにこんな大きな洞窟があるってやっぱりすごい。

 

 

相変わらず宗教的な意味は分からないままなのでへぇ〜と眺めるに終わる。知識がないと得られる感動もそれ相応になってしまうのだ。

 

 

前もここになぜかニワトリがいたが、今回もいた。同じニワトリかは知らない。

またえっちらおっちら階段を下る。とにかく暑い。都心部より湿度が高い気がする。

 

 

滞在1時間ほどでまた電車に乗って街へ。次は中華街。

 

 

母が地球の歩き方に載っている「漢記Hon Kee」という店のおかゆが気になるというので人混みをかき分けかき分け行ってみた。

 

 

こちらがそのおかゆと、私が頼んだ麺。うーん、美味。おかゆはおかゆであり出汁とかはあんまよく分からないけどとても優しいお味。手前のは一見すると生イカに見えて、えー、ここでナマモノはヤバい気がする〜〜と困ったが食べてみるとライスヌードルと書いてあるとおりもちもちした食感の入麺的なものだった。スパイシーだが味噌ゴマ系のソースがおいしい。マレー料理ももちろん美味しいんだけど、どっちかというと中華のほうがやっぱり舌に合うなと確認できた。

 

 

中華街から見える、というかクアラルンプールのわりとどこからでも見えるミラータワー。これまた空にぽっかりと浮かんで見えてどこかSFチック。異空間から転送されてきたような。ついじっと見入ってしまう。

 

 

中華街はそこそこに、セントラルマーケットへ。暑い中歩き疲れたのでひと休憩。またブラックのアイスコーヒーを求めていたが行ってみたフードコートのドリンクショップにはCopi O kosongがなくて何か忘れたけど別のコーヒーを頼んだらこれまた激甘で参った。マレーシアに住んでいたらあっという間に糖尿病になってしまう気がする。

 

涼しいセントラルマーケットにひしめくお店を覗いてまわる。お目当てはナマコ石鹸。ナマコ成分でお肌とぅるとぅるになれるとかなれないとか。どこにあるんだろか〜と思ったら石鹸屋さんがいくつかあり、どこも日本語でナマコ石鹸が紹介されていた。そのうちのひとつでお買い上げ。

 

 

あとはマーケットの隅っこにあったドクターフィッシュコーナー。足を浸すと魚が角質を食べてくれてこれまたスベスベ肌になれるとかなれないとか。10分RM10(330円)だったのでやってみる。

 

うお〜〜〜こしょばゆいいいい!www

 

けっこうな勢いでパクパクついばまれている。日本のドクターフィッシュよりかなり大ぶり。体長10〜15cmぐらいありそう。母と二人して奇声を上げながら爆笑していたら周りの外国人のお客さんも笑ってくれた。そのうちこそばゆさはなくなり心地よくなってくる。いいな、この時間。ずっとパクパクしていてほしい…。

あっという間に10分が経過して終了。心なしか足がスベスベになった気がする。ありがとうございました。

 

 

ここらで夕方になってきたのでフードコートで夕食をテイクアウトし、帰り道でまたアロー通りに寄って南国フルーツをゲットして宿に帰ってきた。

母は夜のうちに空港へ向かうが一泊宿をとり、シャワーや身支度を済ませる。

 

ここで本当なら空港まで見送りに私も同行するつもりだったのだが、

母「自分で行ってみるわ!」

おいおいおい、英語もろくにできないというのに本気かよ?確かに、私も同行するとなると帰りの電車の時間もあるからかなり早めに空港に向かわなければならない。往復の電車代だってかかる。(空港線KLIA ekspresは他路線に比べるととんでもなく割高) でも、、あまりにも心配。

母「いざとなったら誰かにきいたらええねん」

いやまぁそれはそうやねんけどな。

 

心配は心配だが、自力で行くというのなら行ってもらおうかな。

というわけで、空港線が出るKL Sentral駅まで見送りにいき、あとは来た電車に乗って終電まで行けばいいというところで解散した。あー、心配。はじめてのおつかいに送り出す親ってこういう気持ちなのかい?

改札口でちょうど日本人のお兄さん二人連れが入っていくところだったので、あの二人に着いていけ!と言っておく。 

その後無事に搭乗口に着いたと連絡があり、翌朝日本に到着した連絡も来たのでほっと一安心。

 

さてあとは私も明日の帰国に備えて寝るとする。