【阿弥陀岳】気になる山は登ってみるまでずっと気になる【6/22】 | 世界の道の曲がり角 The Bend in the Road around the World

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山と旅と写真の記録
2019.1.7~2020.3.11世界一周旅行 完
山を求めて長野県に移住。

6月22日(土)

阿弥陀岳、標高2805m。八ヶ岳連峰最高峰の赤岳2899mの隣にボコッと盛り上がっている山で、どこから見ても阿弥陀岳だと分かる。八ヶ岳が大好きであちこち歩いたが、阿弥陀岳には登ったことがない。茅野駅から登山口である美濃戸口までバスが出ているものの、私の足ではバスの運行時刻での日帰り山行が難しいのだ。(なら泊まればいいと言われればそうなんだけど)


赤岳の目の前に聳えているだけあってその頂上からは八ヶ岳連峰がさぞかし見事に見えるだろう。見てみたい。その頂の景色、見てみたい。

そんなわけでずっと気になる存在だった阿弥陀岳。マイカーでどこでも何時でも行ける力を得たので、梅雨の貴重な晴れ間が休みと重なった日にようやく登りに行った。


7:10美濃戸口駐車場(800円)

7:20登山開始 御小屋尾根ルート

8:50御小屋山

9:30不動清水

11:05阿弥陀岳山頂着

12:00山頂出発

12:25中岳鞍部

13:10行者小屋

14:50美濃戸山荘

15:35美濃戸口駐車場



7時過ぎに美濃戸口駐車場に到着。貴重な晴れ間の土曜日だし駐車場争奪戦にすでに出遅れたかと思ったが全然大丈夫だった。いつもは左のルートに入って沢沿いを進んでいくが、今回は初めての御小屋尾根ルート。

しばらくは別荘地の舗装路が続く。素敵な別荘が林の中に点在している。辺りは川のせせらぎと鳥のさえずりしか聞こえない静かな朝。こんなところに別荘があって涼やかな夏が過ごせたら最高だな。一体どんな御仁が所有しているんだろう。遠くにやたら大きくて顔の細長い白い犬を二頭連れた人が悠々と散歩をしているのが見えた。そんなテンプレートみたいな朝の散歩ができる人生を送るにはどうすればいいのか、皆目見当がつかない。



軽く息を切らしながらじわじわと登っていよいよ登山道。さっきの白い犬を連れた御仁以外人っ子ひとりいない。
あまりにも熊が出そう。

熊鈴をジリジリ鳴らしながら進む。



ツツジっぽい花(相変わらず草花の名前が分からぬ)が咲き乱れている。



これは分かる。シャクナゲだ。まだつぼみは固い。


日の当たるところには鮮やかな緑のコケ。



じわじわ登って御小屋山。特に何もないのでサラッと通り過ぎる。


しばらくいくと展望がひらけてきた。そして目の前に壁のようにそそり立つ岩山。まさか阿弥陀岳ってあれなの?いやいや全然人が登れる山じゃないでしょ。どうやって登るっていうの。でも明らかにあれが阿弥陀岳。信じられない、信じたくない気持ちで細く続く道を進む。



気がつくと森林限界を超えて岩肌を登っている。振り返ると歩いてきた尾根。奥には北アルプスに乗鞍岳、御嶽山。
到底登れそうもない大きな山も足元を見ながら一歩一歩進んでいると気がつけばまあまあな高さまで登っている。人生と同じだ。と、登山をするたびに思う。



左を見れば八ヶ岳連峰。一番向こうにあるぽっこりした山はこの前登った蓼科山。



最後は岩肌を気合いで這い上がって、やーっ頂上に到着ーっ!と思ったらそこは阿弥陀岳西ノ肩とやらでまだ道は続く。



ちょっと進んだところから見た西ノ肩。やたらかっちょいい。バックに南アルプスと中央アルプスも見える。



ゴツゴツ岩をへっぴり腰で進んでついに本当に阿弥陀岳頂上に到着。お疲れ様でしたー!目の前見えるは赤岳。赤岳頂上山荘や赤岳展望荘もはっきり見えるし人が何人もいるのが分かる。あれに単発で登った時は調子に乗って赤ワインをボトルで担いていて重すぎてキツかったなーとしょーもない記憶が蘇る。


八ヶ岳連峰の全貌(見切れ)。2018年に北八ヶ岳から南の赤岳まで3泊4日縦走をしたんだけど、全日雨または霧で何一つ景色が見えなかったなーという思い出にも浸る。



そして富士山がはっきりとキレイに見える。ああ、富士山って本当に美しい。このスーッと左右対称に伸びた裾野がたまらない。この見事な独立峰が日本最高峰ってのがまた出来すぎてて感心する。
いつの間にやら雪化粧を落として夏仕様。夏山シーズンはもう目前。今年もあの頂上まで行列ができるんだな。


さらに視線を右にずらすと南アルプス。仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳がセットで見える。(写真右端) 去年、まさか翌週にこの八ヶ岳で手を骨折するだなんて知る由もなく夏山シーズン一発目と意気込んで登った。快晴で最高の登山だった。その登山記録は下書き保存されたまま1年が経過してしまっている。

登山者、山頂から見える景色に思い出を重ねがち。
いや、過去を振り返るだけじゃない。この南アルプスで今年も登山計画を立てている。
っしゃ〜…やったるで〜…踏破したるでぇ〜…!
その山をじっと見て気合いを高める。登山者はこれから登る山も見据えがち。(知らんけど)


この素晴らしき360度の眺望を写真に収めますかね、とカメラを構えてみたらなぜだか電源が入らない。えっ!壊れたのか!?と焦ったらバッテリー入れてくんの忘れてた。しょうがないのでそのカメラを撮ってみる。普段自分が撮られることのないカメラちゃん、ちょっと照れてるね。(?)



1時間ほど休憩したら下山開始。ゴツゴツした赤岳が最高にかっちょいい。阿弥陀岳から赤岳に続く道もあるが、今日は鞍部から下る。この見るからにしんどそうな登り返しを登らなくていいと思うととても嬉しい。人生では大変な山にこそ挑む価値がある時もあるが、登らないで済むならその方がいいに決まっている。楽したい。全然楽したい。



鞍部まで降りてきた。後は下るだけ〜♪と軽い気持ちで下りだしたが、これが思いの外大変だった。斜面は急だし浮石がゴロゴロしている。四つ足でそろりそろりと慎重に下りるが、絶対大丈夫と掴んだ岩がごっそり剥がれたりする。お前剥がれるんかい!と岩に裏切られたような気持ち。滑落しないよう気をつけるのは当然で、下に人がいるので落石も起こしてはならない。山頂から鞍部まで実際は25分かかったが、体感ではもっとかかった気がした。



樹林帯を下って行者小屋に到着。やれやれ。今日は土曜日だけど明日は土砂降り予報だからかテントも少ない。



行者小屋から阿弥陀岳を臨む。あのボコっとした存在がずっと気になっていたけどこれで晴らせた。満足。あばよ。



後は美濃戸口までなだらかな道を歩く。歩く歩く歩く…2時間超。
長!
行者小屋に着いたところでなんとなく無事下山おめでとーみたいな気持ちになっちゃってるので、そこからの2時間超の道のりは異様に長く感じた。なだらかな道といっても浮石もゴロゴロしているので気を抜けない。実際前回は普通に平な場所の本当になんでもない小石で派手に転んだ。痛かった。

ようやく駐車場に着いて本当に無事下山おめでとー!ソフトクリームと駐車場券サービスのコーヒーをいただいて満たされた。

終わり