旅人でなくなってから2ヶ月が過ぎた。私は再び日本の社会人として日々を過ごしている。あたかもずっとこつこつ真面目にやってきましたみたいな顔して新しい職場で毎日ちゃきちゃき働いている。
そんな日々にも馴染んできた3月末日、ふいに南極から送った手紙がポストに届いた。
12月に南極のウクライナ基地から出したこの手紙。全然音沙汰ないからてっきり世界のどこかで打ち捨てられているのだろうと思っていた。ちゃんと届いたわ。ありがとう。
そうだ、私は確かに南極にいたのだ。南極だけじゃない、アメリカのジョンミューアトレイルを踏破して中米を巡ってラオスで象にも乗って。色んな景色を見て思い出深い出会いもいっぱいあって。そんな日々を確かに過ごしていたのだ。
そんなこと新しい職場の人は誰も知らない。知ったところでさして興味もないだろう。
そんなもんだ。
誰も知らないけど私はかつてあの旅をやり遂げた。そう思うだけでなんだかこの先何でもやっていける気がする。それぐらい自分を確固たるものにする出来事だった。
そんなわけでありし日々に思いを馳せながら、今日もいたって真面目な社会人を装って出勤する。
今の業務は身体の動きだけで言えばイスから立って話してまた座る、たまに5歩ぐらい歩き、5歩ぐらい歩いてイスに戻る。あとは指先でパソコンかたかたかたかた。
あかん、
運動不足の極み。
筋肉が痩せ衰え脂肪に変わっていくのが分かる。どんどん体が膨らんでる。この先何でもやれる気がしてたけど違うかもしれん。少なくともジョンミューアトレイル踏破は無理かもしれん。
巷ではクマが冬眠から目覚めだしたらしい。私もそろそろ動くとするか。のそのそのそ。
三草山。
兵庫県加東市にある標高424mの山。YAMAPを見てどこ行こっかな〜と探していたときに「三草山(播磨小富士)ふるさと兵庫100山」の文字が目につく。へ〜三草山という名前も播磨小富士という異名もふるさと兵庫100山という肩書きも知らなかった。というか、自分の車を持ったのは長野移住してからなので案外地元関西でも知らない場所がいっぱいある。愛車のハスラーちゃんであちこち行ってみるで。
8:40登山口 三草コースで登る
10:00頂上
11:30鹿野コースを通りつつ登山口駐車場へ下山
青空広がる絶好の登山日和。薄手の長袖でちょうどいい。道のいたるところに鮮やかなピンクの花が咲き誇っている。グーグルレンズによるとミツバツツジ。便利〜。虫たちもぶんぶん飛んでいる。いつのまにこんなに季節が進んでいたんだろう。毎日窓のない職場でパソコンカタカタしてたらそんなことにも気づかない。
余談だが、私は就活で給与や勤務時間などの条件とともにできれば職場に窓があることとつけ加える。外の景色が見えない職場は息が詰まる。今の窓がない職場で働きながらやっぱ窓必要だったわと再認識している。
なんか味があるタヌキ様。
なんかええ道。
花やら道やら写真を撮りながらゆっくりゆっくり進む。こんなおだやかな登山をしたのはいつぶりか。そうよな、本来登山はこうやって草花を愛でながらゆっくり楽しむものよな。
ちょっとした登りもあってバリエーションもある。
振り返ると青い昭和池が見える。ため池だがなんかきれい。景色に変化があるのもいいな。
ほほうこれは良き眺め。
目がよくなりそう。
毎日窓のない白い部屋でパソコンカタカタしてたら目も悪くなりかねん。すごく現代人っぽいなと思う。たまにはこうして視力回復しにいかないとな。
日の光に透ける花びらがきれいだったやつ。
新芽。
下った先に登る道がくっきりと。テント泊縦走だと絶望するけど身軽で久しぶりの登山ならなんのその。
ゆっくり歩いて1時間半ほどで登頂。うぇーい。
山桜が満開。ゆっくりできるベンチもある広場。
トンボ。里山っぽくてよい。
グーグルレンズ先輩によるとアセビ(馬酔木)。葉や茎に毒を含んでおり、馬が食べると酔ったようにふらつくらしい。
気温18度。とっても快適。
広大な緑が広がり家屋が点々としている。
かつて三草山には山城が築かれていてその城跡が残っている。源平合戦の舞台にもなったとか。この高台の城に住んでいたら気持ちいいだろーなー。
下る。山桜という立派な看板があるけどその花は遥か高みにあってよく見えぬ。
どんどこ下って昭和池の水辺まで下りてきた。
これはまた気持ち良い景色。ぼーっと眺めて昼寝したい気持ち。実際昼寝をしている人もいた。
青空に広がる枝葉がよいね〜。
駐車場のトイレ付近まで下ってきたので早めのランチとする。お得意のランチパックを焼いたやつ。やや風が強くて落ち着いて食べられん。
最後に残った桜を愛でて帰路に着く。満開の桜もいいけど新緑と混ざったのもよい。
三草山、眺望がよく景色にバリエーションもあって歩きごたえもあり、半日でたっぷり堪能できる良き山だった。超有名どころでなくともこういう良き山はあちこちにあるんだろうな。
そんなちょうどいい山の近くで職場に窓があることを条件に今後落ち着く場所を探しているところ。旅人ではなくなったけど根を下ろすにはまだ時間がかかりそうである。今日のところはそんな思いを胸に秘めながら真面目な社会人をしてくるとしよう。
かたかたかたかた


































































































































