クレーム錬金術76号用
妻が旅行に行こうと言ってきた。ネットで格安の旅館を見つけたようだ。土曜の宿泊ではなかなか見られない低料金。とは言え相当おんぼろな宿なら気乗りしない。調べるも明確な写真はネット上では見つけられず妻との審議がしばらく続いたが、決め手となったのは「利用者コメント」。好評が多く、我々の不安を解消してくれたのでした。
この決め手となったネット上の「利用者コメント」は、現代社会においては絶大な効果や影響をもたらしています。それゆえ、「良いコメント」を作ったり、「悪いコメント」を削除したり、意図的に活用されている事例もあります。
パチンコホールの風評も、掲示板やブログなどでよく見かけます。記載された内容は事実とかけ離れていても、「利用者コメント」のもたらす影響はあなどれないものになっているようです。
「2ちゃんねる を見たら貴店が遠隔操作をして特定の人に出していることが書かれていました。そんなことはあるまいと思っているのですが・・・、実際のところはどうなんでしょうか?」
このように疑念や不信感を増加させる事例もありますが、逆に、書き込み内容によっては多くの閲覧者への宣伝となったり来店を促すことにつながったりする場合もあります。
「リニュアルオープン行ったか ぐるんぐるんだぞ」
「女スタッフの制服いいぞ かなり萌える」
とあるCRMの専門誌の方とお会いした際、お客様とのリレーションで現在注目されているのは「ビッグデータの活用」だとおっしゃられていました。
Facebookやツイッターなどソーシャルメディア上の書き込みには、個人情報をはじめ企業が入手したい顧客の趣向が伺えるコメントなどが数多く存在しており、そこから得た情報を基に、顧客に先回りしたアプローチをしたりケアを行ったりするというものでした。
例えば、ツイッターで「○○買いに来たのに品切れだった残念」というつぶやきに対し、メーカーや販売店からがすかさずお詫びと入荷日の案内がフォロー。つぶやいた本人としてはちょっとした驚きと感動で、他の物を買うことなく入荷日まで待ってくれるというカスタマーサポート。
ホール営業にとっても、新たな攻めのリレーションがここにあるように思えますし、集客を左右させる多大な潜在力を感じます。
クレーム対応においてもご意見を頂戴してから動く現在のスタイルから、ビッグデータから先回りしてクレームを頂く前に対処できるようにトライアルしてみたいと考えます。
さて、集客への影響という視点からお話ししていますが、全号の特集記事でも記したとおり、ホールの集客力の軸は間違いなくスタッフのホスピタリティになっていくと思われます。
もちろんそれは、信用をうらぎらない出玉と、マイナス評価されない環境設備もセットとなるのが理想です。しかし、お客様をつなぎとどめる無限大の力を持ち、対応一つでお客様を離反させてしまうこともあるのが「スタッフ」です。それゆえホールの集客力を握っている最大の軸と判断しています。
電話 「いつもここに来てます。毎回何万もやられるの。それでもスタッフがいい子ばかりだから、ついついここに来ちゃうのよ。近くにもあるけど電車に乗って通ってるのよ」
ハガキ「今日は散々な結果でしたが、店員さんの笑顔に癒されました。優しく愚痴聞いてくれてありがとう。負けても気分良く帰れます。また来ようと思います。」
ハガキ「いろんなお店に行くけど、ここのスタッフが一番気持ちの良い接客をしてくれる」
ハガキ「10日の夜いた黒ぶちメガネの男子店員は態度が悪い!1箱自分で玉流しの所に持って行ったら、ろこつにムッとして「どこから持って来たんですか!?」って。「ありがとうございました」も言わず、おじぎもせず!何様のつもりだよ!そんな態度をとるなら客に自分で玉を流させろ!!悪いが、その店員は歯も汚い!!間近でしゃべられると不愉快です!!接客業なのだから身だしなみもきちんとするよう教育して下さい!!何万も使ったあげく嫌な気持ちにせないで下さい!!何年も通っているが最近店員の態度が悪い!!
メール「今年初めて行ったところ、男性スタッフの対応に非常に驚かされました。もう二度と行きません。残念です。○○店のファンより」
これらのご意見はスタッフに関するほんの一例にすぎませんが、ホールの集客力や業績そのものにダイレクトに影響する力をもっていることが頷けるのではないでしょうか。
パチンコパチスロのメカニズム上、勝って帰られるお客様はほんの一握りです。負けても、また来ようと思っていただけるホールになるため、そして風評コメントがプラスに働くホールになるためにも、スタッフのホスピタリティマインド育成には惜しみない費用と労力と時間をかけることを推奨します。集客力という視点で計れば、コスト効果が極めて高いことをお客様の声が物語っています。
冒頭の旅行話に戻りますが、結果はどうだったかと言いますと、想像以上のおんぼろ具合に絶句するほどの旅館でした。サビと汚れで旅館名が消えかけている看板。ヒビの入ったガラス戸にはガムテープが貼られ、昭和の駄菓子屋を髣髴するアイスの什器が埃だらけで横たわっていたのです。
案内された6畳の部屋はトイレも洗面台もない。とっておきは、日が暮れると天井の隙間からてんとう虫がうようよと沸いてきて、敷いたお布団にはカメ虫がいました。
まるでホラー映画のような思い出となった旅でしたが、それでも若い女将さんの物腰がとても柔らかく、応対は素晴らしいものを感じました。団体客が深夜までドンチャン騒ぎをしていたのですが
「昨夜は団体様がたいへん賑やかだったようで、ご迷惑をお掛けしまして申し訳ございませんでした」
どちらのお客様も気遣ったこの一言は勉強になりました。
ホラー体験をした身でも好評コメントに頷ける部分を感じ、スタッフのもたらす影響力の強さというものを再確認した旅となったのでした。







