4年半の連載 最終話です。



クレーム錬金術55話 最終回

 「ようこそクレーム!いらっしゃいませクレーマー!」という小見出しでこの連載を始めてから4年半が経ちました。嫌なイメージが先行しがちな「クレーム」というものも、受け取り方や捉え方次第では大変ありがたい存在になるということを伝えたく、「ようこそ!」という気概を持てるよう錬金化を実感した実例を紹介して参りました。

  今回は、クレームに対する心の持ち方を改めてお話して、連載の最終回とさせていただきます。

 そもそもパチンコ・パチスロという遊技では、「出なかった」「遊べなかった」などの遊技結果に対するクレームが日常的に生じますので、愚痴や小言として聞き流してしまうことも多いのでしょうが、感情的な言葉の陰に、不快や不具合を訴える貴重なご意見が隠れている場合があります。そんなご意見は希少ですし、クレームとはホールにとって大変ありがたいものだと認識しなくてはなりません。

何故なら、気づいていなかった改善すべき個所を知ることができたり、去りゆくお客様を最後の最後で引き止めることもできたりするからです。

そしてクレームは「聞いてほしいという気持ちの表れ」であり「願望そのもの」であり、「そのホールに期待している証」でもあるのです。

ご来店下さっても、お帰りになる時には悔しい思いをしていたり、楽しむことができなかったお客様は大勢いらっしゃいます。だからこそ、「ご期待にそえず申し訳ございません」という気持ちで、お客様の立場になって真剣に考え、優しさや気遣いを持って受け止めなくてはならないと考えます。そして少しでもお客様の心のケアにつながるよう接することが何よりも大事だと感じています。

コールセンターを持つ様々な業界の方々とお話しした際に確信したことは、我々の業界は、まだまだ未熟な点が残っていますが、お客様に対する姿勢や想いという点では、どの業界と比較しても全く恥ずかしくないレベルにあるということです。

 ホールで直接クレームを頂くチャンスに恵まれたなら、是非そのことを思い出して自信を持って、そしてそれに甘んじることなく、真摯に対応してほしいと思います。

きっとその時は、あなた自身のクレーム錬金術を体現できた瞬間。ホールにとって、そしてあなた自身にとって大切な何かを獲得できていることでしょう。

「ようこそクレーム!」この気持ちを忘れずに、皆さんで更なるクレーム錬金術を作り上げていって下さい。       〈 完 〉

クレーム錬金術54

ホール営業はお客様にご来店いただいて成り立つわけですが、お客様に来ていただくことと離反していくことをサッカーに例えてこの連載で取り上げたことがあります。得点しても失点するチームは勝てないように、集客(得点)力に自信があっても離反(失点)客が絶えないうちは盤石な営業にはならないというお話でした。

昨今は広告表現規制の問題から、集客イベントをはじめとする「得点チャンス」はほとんど少なくなりました。尚のこと、今ご来店いただいているお客様のありがたさを心から実感できているでしょうし、しっかりグリップして離反させないことの重要性を再認識しているはずです。

ですから、お客様から頂く「クレーム」は現在の営業にとって、重要極まりない、非常に価値の高い存在になったと感じます。

1つのクレームはお客様が感じた不満や不具合を示す信号ですが、放っておけば離反のきっかけとなります。しっかりケアや改善を行って、そのお客様を引きとどめることができれば失点を防げます。クレームによる改善は、同様に感じていた他のお客様の離反をも抑止していることがあり、そのディフェンス効果の大きさは営業にとって絶大なものと言えるはずです。

「5万円使ったが一回も出なかった」

「高確率のリーチが何度もはずれるなんて」

「出ない」「負けた」など遊技結果に関するクレームはホールで勤務する方にとっては、聞かない日は無いと言えるほどの沢山頂戴している、クレームの最たるものではないでしょうか。

カスタマーセンターではこの類のクレームでも「申し訳ございませんでした。ご期待にそう結果とならず大変心苦しい限りです。」と必ずお詫びの言葉を伝えています。

「そんなクレームはまともに聞いてもきりがない」「どうしてお詫びしないといけないのか」などと考える方もいらっしゃるはずです。たしかに、5万円使ったのはお客様ご自身の判断ですし、相応の時間をご遊技されたことに違いありません。そして高確率のリーチがはずれたこともホールのせいではありません。

それでも、数あるホールの中からここを選んでご来店いただけたのですし、お客様にとって楽しい時間にならなかったのも事実ですから、大らかに受け止めてお詫びの言葉を欠かさぬようにしています。

クレームという信号に隠された「期待」という、もうひとつの要素。込められた期待を汲みとって、この姿勢で対応することこそが次なる来店や信頼を生む錬金術だと信じます。

クレーム錬金術53話「適切な挨拶とは」

近所に新しい回転寿司屋さんができまして、そこでのちょっとした出来事です。注文した味噌汁がスピーディに運ばれ、迅速さには感動したのですが、残念ながらとてもぬるい。温め直してもらうお願いをすると、今度はなかなか戻って来ない。これは忘れられていると思い、確認すると「沸騰させるのに時間がかかってます」との返答。

「沸騰?」と違和感を覚えながらも、限られた言葉でお互い理解してもらうことは、なかなか難しいものだと感じたのでした。

こうした違和感は日常生活の中でも、様々なシーンで何気なく感じていたりするものですが、気にとめることでない限り記憶に残らないものがほとんどでしょう。

ホールでも知らず知らずのうちにお客様に与えている違和感は少なくないはずです。

私なら、計数時にインカムで差枚数確認をしている行為を快くは感じませんし、清掃中の看板でトイレの入口をふさぐことも何か違うような気がしています。

実際にご意見としてあがった事例ではこのようなものがあります。

夏時期に店内で寒そうにしているお客様に、スタッフがひざ掛けをお持ちして温かいドリンクでもお持ちしましょうかと尋ねたが、お客様は無言だった。後日届いたご意見は「気遣いは嬉しかったが、そう思ったら設定温度を調整してくれ」というものでした。

私が違和感をぬぐえないでいることのひとつに、実はホールでよく見る、ある行動があげられます。悪いということではないので誤解なさらないでほしいのですが、それはどこのホールでも行っている「挨拶」なのです。

近くを通るとそれまでの動作を一旦止めて、表情を笑顔にして、じっと見つめ、大きな声で挨拶してくれます。商業的に捉えるとスタッフが教育されていて良いと評価されたり、気持ちが良い感じるお客様も大勢いることでしょう。

しかし、すれ違うたびに繰り返される一辺倒な挨拶や、過剰なまでの反応にはいささか違和感を抱かずにはいられないのです。こちらの勝手で行ったり来たりした時などは幾度も挨拶されてしまい、何だかとても恐縮してしまうのと、言葉が汚く申し訳ないのですがうっとうしいとさえ思えてしまうのです。  

そんな中、先日このようなご意見が届きました。

メール「店員が毎回通り過ぎるたびに立ち止って深々と挨拶してくる。性格上自分もしなければならないと思い1日30回以上は頭を下げる。」

客という立場なのに、気を使わされてしまうということに対する苦言と捉えています。

他の産業と比較しても、この様に挨拶を繰り返しているのはパチンコホールくらいしか思い浮かばす、私の違和感程度でおさまれば問題なかったのですが、ご意見を頂戴した以上は何かしらの改善が必要だと現在は考えています。

スタッフの存在が気にならず、でもスタッフの心象は良い。そのような挨拶や接遇はどうするのがよいのか、お客様に気を使わせないという視点から、そのあり方を今一度検討しなくてはならないと感じたのでした。

 

クレーム錬金術52話「伝えるではなく伝わるを意識」


数か月前から、当カスタマーセンターに新しいスタッフが入りました。今ではすっかり板についた電話応対ができるようになりましたが、コールセンター経験者でもこの業界特有のクレームには戸惑うばかりで、特に、「遠隔操作をして特賞をコントロールしているのではないか」という疑念のご意見には随分と困惑した様です。


≪電話≫「夜に行くと、いつも同じ人が出している。99%出している。この前なんか昼に目撃したけど、それでも出していた。店が雇っているサクラなんじゃないかと他の客も噂してますよ。あと、スタッフ部屋にいちいち鍵をかけているのは中で操作をしているからで、それを客に見られてはまずいからなんじゃないですか?」


指令室やスタッフルームへの出入り口がオートロックになっていることはセキュリティ上、当たり前くらいに思っていましたが、疑念を抱くお客様にはこの様に映るようです。「同じ人が出している」というご意見もこのお客様の目撃記憶によるもので、出るまでの使用金額やその後の結果などは汲まれていません。

誤解している点ではしっかり否定しながら拝聴しておりますが、ご理解いただくのはなかなかどうして困難です。「そう言うしかない」とか「図星だから答えられない」と取られることも多く、この類のご意見ではある程度の時間を覚悟し忍耐を要します。疑念の解消に至ったケースは少なく、それでも多少の理解につながれば御の字と考えています。

カスタマーセンター歴が長いスタッフでも、思い込んでしまっているお客様の疑念を取り除くのは至難の業です。


同様に苦慮するご意見は、他のお客様の動向に対して寄せられるものです。特に潜伏確変やART残しを狙うプレイヤーについてのクレームなどは増加しています。もちろんわかる範囲でクリア処理はしていますが以下の様なご意見が届きます。


≪メール≫「閉店間際にパチンコの潜伏やスロットのART中を狙って来店する客をどうして出入禁止などの対応をしないのでしょうか?正直、狙っているのがありありとわかって、店内で見かけるだけで腹立たしいです。」



該当する方の動向はホールでも認識していますが、普通に遊技されているシーンも同様に確認できています。不正行為やゴト行為ではない以上、「遊技台の選考」や「遊技するタイミング」をホールが強いるのはおかしなことだと捉えています。

とは言え、後ろでじっと見られたり、待機されていては、誰しも気になってプレイに集中できないのも理解できます。POPを掲示してお客様間のマナーや配慮を促してはいますが、この類のクレームではお客様への明確な返答や対策はあまりできておらず、声があがったホールに連絡し、しばらくは状況観察をする程度の対応がほとんどです。


話はまったく変わるのですが、先日NTT東日本のフォーラムでコミュニケーションに関する木場弘子氏の講演を聞く機会に恵まれました。元TBSアナウンサーで現在は千葉大学の特命教授。国の審査会委員も多数務め、執筆や講演など多方面でご活躍されている方です。

その講演では、氏自ら体得してきたコミュニケーションにおける基本の7か条を解説されて、お客様との対応において大変多くの勉強をさせてもらうことができました。クレーム対応での心得としてこの連載で取り上げてきたいくつかのポイントが、その7か条にかなりフィットしていたことに少し驚きながら、感銘のような嬉しさをも感じました。

というのも、檀上での氏のお話の進め方や態度、表情、ときおり会場の参席者に向ける気遣いなどが大変素晴らしく、講演の内容も参考になりましたがそれ以上に円滑なコミュニケーションそのものをその場で体現できる方なわけですから、もう尊敬の念を抱かずにはいられないほどのお方だと感じました。

特に勉強になった点は「コミュニケーションにはニュース性を用意するとよい」らしく、人との会話には、時事情報や相手が楽しめる情報あるいは為になる情報を入れるとより円滑に進むということ。

日々ホールでお客様と接するシーンでは、とかく聞き役に徹することの方が多いのでしょうが、こちらからお客様の関心のある情報を提供できたなら、お客様の表情や感情が明るくなるよういざなえるかもしれません。

そしてもうひとつは「自分ではなく相手のペースに合わせる」ということです。「伝える」と「伝わる」では文字は1つしか違いませんが意味は大きく異なります。こちらが伝えたつもりでもお客様に伝わっていないケースがあり、それがもとでトラブルやクレームのきっかけになっていることは以前書きましたが、相手のペースに合わせるということは、伝えることより伝わることの方を意識するということ。

よく、会話が途切れて気まずい間が生じることがありますが、そういうときは相手に伝わっていないか、理解するのに時間を要していると捉えて「ここまでのお話で何かわからない点はございましたか?」と問いかけるのだそうです。なるほど勉強になるhow toでした。

「相手のペースに合わせる」ことは相手を思いやること。気配り・心配りをもってお客様を思いやればきっと円滑なコミュニケーションを実感できるはずです。

ホールでも、お客様の状況や感情を察した対応が様々なシーンで求められます。これを心がけて、お客様がぐっとくる接客を是非実践してください。











ずいぶんと日が経ってしまいました。

ご愛読いただいていたクレーム錬金術の連載はPiDEA3月号をもちまして終了いたしました。

アメブロにも掲載し、多くの方にご愛読いただき大変感謝しております。


この業界のサービスや接遇は他の産業に劣らないレベルにあると思っています。

これからもお客様にご支持いただけるホールづくりに努め、今日も笑顔でお客様をお迎えしましょう。


ありがとうございました。


安藤博文

コーポレートブックvol.8連載小説


『雪のささやきは 55GO

デジタル時計が5時54分から55分に変わるところで、まるで何かに起こされたかのように章一は目が覚めた。12月ともなるとまだ薄暗い。枕元に置いてあるデジタル時計だけが煌々と光っていた。

「5:55」。

緑色の電飾数字が並んでいるのを見て何だかとても幸せな気分になれた。

「パチンコでそうだな」。雪でも降っているかのように静まりかえった中、遠くに電車の音を聞きながらそんなことを考えていた。

章一は、冬の朝の静けさと寒さが好きだった。暖かい布団の中で、それを心地よく感じながら再びまぶたを閉じた。

外に出た時には雨がかすかに降っていた。傘を持つのは面倒だ。章一はダウンジャケットのフードをかぶって駅前のパチンコ店に向かった。

途中、ゴミ回収の指定場所の前を通り過ぎる時、何か動くものが視界に入った。それは小さなダンボール箱に入れられた子犬だった。ほとんど身動きせず、しょんぼりした表情で、ただ黙って座っている。雨に濡れた体はか細く、寒さに震えていた。飼い主が戻ってくるのをただひたすら待っているような、そんな感じを受けた。

箱には貼り紙がついていて「ナナといいます。どなたか拾ってください。」と書かれていた。

「いまどき捨て犬?リサイクル品じゃないんだし・・・。無責任な話だ。」

飼っていた人の事情など考えるまでもなく、単に目の前の光景から、そう口に出していた。

とは言え、自分が面倒をみてやれるわけでもない。

まずは子犬の体から雨を拭き払い、回収ゴミとして捨てられていた壊れた傘を見つけ、それを広げて子犬に雨が当たらないようにした。

それ以上のことはできない。

「優しい人に拾ってもらえよ」。

歯がゆさが、その場から立ち去ることを選択した。

予想どおり、その日は夕方過ぎまで大当たりを連発させていた。

そんな日は当然、とても楽しく、プレイに夢中になるものだが、章一はある思いにとらわれていた。

それは捨てられていた子犬が発端。責任を放棄した飼い主に対する憤りは、自分自身の似たような過去を重ねることにつながり、自分のとった不甲斐ない言動を悔やんでいた。

章一は先月まで奈々という女性と同棲していた。ある時、奈々は二人の将来について章一に問いかけた。結婚という言葉を使ったわけではないが、結果的にその意思を聞き迫る格好となり、気圧された章一は何も言えなかった。

それからは、その話を避けるようになり、煮え切らない態度が口論のもとになっていた。

章一が悔やんでいるのは「文句があるなら出て行け。」と言ってしまった事だ。同棲する前は奈々もアパート暮らしをしていたが、章一が一緒に住むことを提案して引越しをさせている。「出て行け」というのはあまりにも勝手な話だ。

翌日仕事から帰ると奈々の姿はなかった。

章一も意固地になって連絡をしなかった。

章一は奈々のことを愛していたし、結婚の意志も持っていた。だが、口に出すことで生じる責任から逃げていた。

そんなことをずっと考え、「子犬を捨てた人を非難できる立場じゃねぇーな」とつぶやいて店を出た。

あたりはもう真っ暗で、そして白かった。

雨はいつの間にか雪になり、あたり一面にうっすらと積もっていた。

吐く息が白く、大粒の雪が舞う中を全速力で走った。

「ナナは優しい人に拾われただろうか?」ふと、そんなことが頭をよぎる。

来る時にナナが入っていたダンボール箱が遠くに見えた。箱も傘も雪に覆われている。箱の周辺に足跡がないということは雪になる前に拾われたということか。凍えるような寒さを考えると少しほっとした。

そのまま通り過ぎようとしたが、視界に入ったのは朝と同じ格好で座り続けているナナだった。

章一は急いで駆け寄り、朝と同じように手で体を拭き、そして朝とは異なり抱きかかえた。ダウンジャケットの内側で、冷え切った体を温めるように優しく抱きかかえた。

パチンコでもらったソーセージを思い出し、早速それを食べさせた。ぷるぷる震えながらもよほどお腹がすいていたのかあっという間に飲み込んだ。ナナは章一の顔をじっと眺め、何度も章一の顔をなめた。

「よし、帰ろう!ナナ」

ダウンの内側で震えるナナを見つめ、そして優しく微笑みながら章一は言った。

「もう心配しなくていいよ」。

それはナナに言ったのか、奈々に言いたかったのか。

雪道の先にはいくつかの足跡。

空には大粒の雪がたくさん舞っていた。

空には大粒の雪が静かに舞っていた。

終わり

コーポレートブック連載小説



「リズムとイズムとオカルトと宝くじ」



僕はオカルトの類をまるで信じていない。
科学で解明されていないことを語ったところで結論など出るわけもなく、幽霊とかUFOとか超能力とか予言とか、そのようなことを一切信じる気にはならない。
そんな僕であるが、一番信用できた大学の友達はオカルト好きの女性だったんだ。
予知夢を見るという話だけはどうにも信じることができなかったが、リズムとイズムさえ同じなら人間関係など友好的になるもので、彼女とはそこが素晴らしく一致した。

僕は授業の合間には決まって駅前のパチンコ店に行ったのだが、彼女も同様で、その頻度やタイミングはまったく一緒だった。同じ時間に店に入り、同じ時間に店を出ることが多く、僕らのプレイリズムは何故か一致していた。
自然と、どちらかがやめるときは一声かける様になり、パチンコの後で食事をするのが恒例になっていた。
僕も彼女も大金持ちになるのが夢だった。彼女は必ず玉の輿にのってみせると言い切っていたし、僕は会社を起こして事業で成功することを宣言していた。お互い金持ちになるためにはどんな努力も惜しまないタイプだったし、そのあたりのイズムも一致していた。
二人の会話はいつも終電ギリギリまで盛り上り、彼女と過ごす時間はとにかく楽しかったんだ。
予知夢の話だけは聞き流していたが、ただひとつだけ、僕が宝くじで一等を当てる夢の話は覚えている。当選番号が77組111777と、いかにもパチンコ好きの妄想らしい番号だったので二人で大笑いした。
繰り返すが僕はオカルト的なことは信じない。だからそんな話も、笑い話としか受け取れないし、絶対実現しない確信もあった。
僕は宝くじを買ったことがないし、これから先も一生買うつもりはないからだ。

二人はまるで恋人同士のようにいくつかの季節を共に行動し、楽しい日々を過ごしていた。
だけど、就職活動の時期は色々忙しくもなる。徐々に会う機会は減っていって、僕が約束の時間にすっかり遅れて会えなかった時から、彼女の連絡は途絶えてしまった。何度も電話やメールをしたが返事がなく、大学の仲間に聞いても、彼女の行方を知るやつはいなかった。結局僕らはそれっきりとなったんだ。

あれから一年以上経過する。
今夜参席した結婚式の引き出物をぼんやり眺めながら、僕はそんなことを思い出している。花嫁の幸せそうな顔を見ることができて何より気分がよかった。
そう、音信不通だった彼女が結婚した。唐突に電話があったかと思うと披露宴へのお誘い。久々の電話が結婚の報告なのも驚いたが、もっと驚かされたのはその後の懺悔話だった。

僕と仲良くなるずっと前に、彼女は大金持ちと結婚する予知夢を見た。結婚相手の顔はわからなかったが、駅前のパチンコ店で出会う相手だということはわかったらしい。
ある時、同じ大学に通う男が彼女の夢に登場する。なんと、宝くじで前後賞込みの一等賞金を獲得している夢だった。それが僕。彼女は結婚相手が僕だと考え、それからは僕への接近を試みた。パチンコするためではなく僕目当て。というよりは将来の金目当てで駅前のパチンコ店に通ったらしい。
どんな努力も惜しまない点はさすが、僕らはいかにも自然に仲良しとなる。彼女の計画は順調に進行していたが、僕が遅れた日にパチンコ店の前で車にひかれてしまった。
彼女をひいたのが結婚相手。それがきっかけでお付き合いが始まり、結婚に至ったようだ。
懺悔の対象は僕。彼女の思いこみで近づいたが、何も知らずに楽しそうに話す僕を見て罪悪感にさいなまれていたようだ。
僕に近づくために、偶然を装って出会いを演出したなんて、僕にとっては超常現象よりもびっくりさせられる話だったが、彼女に騙されたという感情は全く生じず、むしろまるで映画のような出来事に僕は感動したくらいだ。

結婚相手はずっと身分を隠していたようで、プロポーズを承諾した後に、超がつくほどの資産家であることを知らされたらしい。玉の輿にのる彼女の夢と予知夢は両方実現した。
でも今日の嬉しそうな表情はそんなこととは関係なく、最高のパートーナーとめぐり合えたことがもたらす幸せいっぱいの笑顔だと感じた。

引き出物に入っていた高価そうな品物を取り出しながら、電話の最後に言った彼女のセリフを思い返していた。

「そろそろあなたの番ね」

僕の近況も話せという意味か、結婚のことか・・・。

袋の底には10枚ほど入った宝くじの封筒。一番上の番号は111771。

僕はオカルトは信じない。
いまのところは。


 AKB48は現在の芸能界では間違いなくTOPクラスの人気を博している存在で、性別問わず多くの方から注目を集めている国民的なアイドルグループと言えます。そんなAKBのパチンコ台が登場し、遊技台から流れる曲が毎週変わり、その曲が市場で発売されるよりも早く賞品として入手できる仕掛けには大変驚かされました。

この遊技台は業界が持ち得ていた潜在能力を一気に引き出してくれたと思っています。プレイ中は繰り返しで音や映像を見ることになる「パチンコ遊技の特性」を活かして、認知させるだけではなく、セールスプロモーションとして利用する手法は今後はもっともっと増えていくと思っています。

何より、人気の絶頂期にある国民的な存在のグループです。遊技台のキャラクターとなった事実は、パチンコそのものの位置づけを、従来以上にぐっと身近なものへと導いていると感じています。

さてさて、パチンコAKB。予想はしていましたがたくさんの問い合わせやご意見をいただいています。「何台入るのか?」「1円コーナーにも入るか?」といったものや導入日の問い合わせが多い中、こんな電話もありました。

電話「あのぉ、お尋ねしたいのですが・・・AKB48のCDが欲しいのですけど、パチンコをしないと買えないものなんでしょうか?」

 パチンコをする方であれば聞かずともわかることで、それこそ貯玉があればプレイせずとも交換ができます。交換ではなく「買えない」という表現などは、今までパチンコとは無縁の方であろうことが伺え、わかりやすく解説しながら新たなマーケットの掘り起こしにつながっていることを実感しました。

また、このようなご意見もいただき、センターとしては少し困惑するケースもございます。

電話「AKBの台は遊技目的ではなく、CDやグッズ目的なんだよ。いっそのこと断れないの?そんな人は!」

電話「いつもとは違うやつらが並んでいて、何なのかと思ったら、AKBのCD目当て。彼らはそれを転売するんです。知ってますか?ネットで何倍にもなっている事実を。転売禁止とか一人何枚までとかの張り紙をするべきだと思います。」

賞品交換に条件を設けるようなことはしたくないですし、新たなお客様が増えるのはホールとしては大歓迎。されど快く思わないお客様もいらっしゃって、声色からはかなりご不満であることが理解できます。結局は傾聴に努めるだけの対応で終わったのですが、どのような対応や返答がベストだったのか?何か改善すべき点はあったのか?と悩まされました。

困惑ついでに、少し話題を変えて、ホールが悩まされる出来事やご意見をいくつか紹介したいと思います。

スタッフに関するクレームでは、その後の対処について要求をされるケースがあります。

メール「○○店の□□って、どんな教育受けてんの?愛想も悪いし最悪だね」

こんなご意見が届いた後はもちろんその事実確認含めて色々と調査をしますし、本人の態度に至らぬ点含め、指導や改善を行います。しかし中には「異動させろ」「クビにしろ」と執拗に介入してくるケースもあります。どのような内容にせよ人事については回答しませんので、その点はきっぱりお断りするのですがご理解いただけない方も中にはいまして、半年以上もの間、特定スタッフに対する誹謗中傷メールが同一人物から寄せられたこともありました。

あるホールでトイレについて悩ましいクレームがあがりました。クレームの内容はサニタリーグッズの管理をしっかりやってほしいというもの。備え置いてあるペーパー他サニタリーグッズが水浸しにされていたり、盗まれて空っぽになっていたということで、心無い方の行為で、多くのお客様にご迷惑をお掛けしました。

他にも、壁面に取り付けられたトイレ用リモコンが壊されたケースがあります。水は流せるのですがその他の機能は使えない状態。ホールをご利用くださる多くのお客様のことを考え急ぎリモコンを修理するわけですが、しばらくすると再び壊されてしまい、そんな繰り返しのホールもあります。

皆さんのホールではこのようなケースではどうしているのでしょうか?

犯人(?)と表現するのは行き過ぎかもしれませんが、環境面の管理や維持という点から、そういった出来事では犯人探しも必要になってくるのではないかと考えます。

盗難や詐欺などの被害も同様で、ホールとしては再発を防がねばなりません。防止策の立案は大変難しく、元を断つにはどうするのが良いか非常に考えさせられるところです。

さて冒頭の話に戻りますが、ネットオークションを調べてみると、AKBのCDは写真などをセットにして何倍にも高騰して売買されてることを知り、いささか驚かされました。これからはそんな熱烈なファンの方々も、ホールのマーケットになっていきます。

しかし、新規客の取り込みができても、離反要因が残っていて定着させられなければ、営業的な実りは薄くなります。早期発見と改善を行うためには、例え困惑させられるご意見であっても、ひとつひとつに真摯に向き合って問題点を探し出さなくてはなりません。難しくとも「実り」をしっかり得るためには、欠いてはならないことだと考えています。

去年までは、日に何通も届いていたパチンコホールからの案内メールが、最近ではめっきり届かなくなりました。もちろん、そのいきさつや背景を理解しているので驚くことではないのですが、今になって改めて思うのは、あの当時の送信頻度はこの業界特有のものだったのだなと感じることです。

SNSや携帯電話会社、居酒屋や回転寿司、セミナー開催や新作DVD案内など、何らかの目的で登録しているところから、いろいろな案内メールを私自身も受け取っていますが、以前のパチンコ店と同じような頻度で送信してくる業種はめったにありません。ある意味、類を見ないアクティブアプローチを実践し続けていたのだと思えてきます。

私の場合、送られてくるメールに情報価値を見出せなくなったらその都度配信停止の手続きをしていますが、サイトに移行した後に何階層も奥に入って、IDやパスワードなど多くの入力をしなくてはならない面倒なものや、中には登録変更画面にすらたどり着けない、わかりにくいサイトもあります。

モバイルサイトのユーザビリティ(使い勝手)でも、その店や企業のお客様に向けた姿勢を量られます。

当カスタマーセンターにお寄せいただくご意見でも、モバイルサイトの複雑さに対するクレームや掲示情報の管理面に対するご指摘を数多く頂戴するようになりました。

(メール)「手順どおりにモバイル登録したがメールこないんだけど!」

(メール)「退会の仕方がわからないので、やり方を教えてください。」

(メール)「掲示している大当たり回数が古いままです。あと、台番と機種名が間違っています。」

お問い合わせいただき、よくよく調べてみるとお客様の端末の設定や、登録の誤りが原因というケースもありますが、ユーザー側の問題として終わらせていては進歩はなく、ユーザビリティや管理体制に見直すべき箇所があると考えて課題を改善していかなくてはなりません。

配信メールの数は減りましたが、ホールや遊技台の情報を欲する方々は大勢いらっしゃいます。モバイルサイトもホールの一部分という感覚をもって、お客様視点での追求が必要な時代になっています。

複雑化しているのはモバイルサイトだけではありません。

遊技のシステムや設備もずいぶん変わりました。現在では硬貨を投入して遊技するよりも、カードにて全てを完結させるシステムが主流です。カードにもその日限りのものと会員カードがありますし、利便性を追求したシステムもメーカーによって様々です。

何年もパチンコ店から足が遠のいていたお客様が久しぶりにご来店されたときなどは、随分と勝手が変わったことに戸惑いが生じます。遊技システムを問われた際は入念な説明が必要です。初めてご来店されるお客様も同様です。

しかし説明をしても、お客様が正しく理解できているかはまた別で、トラブルとなった事例では、スタッフの説明とお客様の認識にズレがあったことがしばしば検証されています。

(電話)「会員になればカードに貯玉して再プレイができると店員に説明されたから、当日限りのカードも大丈夫なのかと思った。」

 ホールで生じるトラブルで多いのは、玉詰まりや玉飛び不良など老朽化とメンテナンス不足がもたらすものです。

 せっかくの大当りの瞬間ですら、満足に楽しむことができないこともあり、お客様に大変なご迷惑をお掛けしてしまいます。「遊技」はホールのメイン商品。日々のメンテナンスは店舗のクォリティーそのものとなります。

そしてもうひとつ、ホールで生じるトラブルで重要視しなくてはならないことがあります。それは盗難をはじめとする「犯罪」です。

トイレに行った間にカードを盗まれた。

席を離れた際に積んであった玉を盗まれた。

駐車場で車上荒らしの被害。

「出る台を教える」と甘い言葉に騙されて詐欺被害。

最近では犯行の手口が巧妙になっていたり、組織的かつ計画的であったりしています。ひとつのホールで味を占めると、色々なホールで犯行を繰り返しています。

同じホール企業でなくても、ゴト情報同様、ホール間でしっかり情報共有し、犯罪件数の軽減につなげたいものです。

 カード残額の多い人を探して、隣に座り世間話から距離を縮める。自分は「出る台」を店から教えてもらえるサクラであり、あなたは負けが続いているから内緒で教えてあげても良いと、巧妙な話術で店外に連れ出す。確認してくると言って、外に待機させている間に、使用中のカードを抜き取って精算するというもの。

 現に被害者が出ていていますので、この悪質な計画犯行は要注意です。

選ばれるホールはお客様にとって選ぶに値する何かを備えているものです。そして、大前提として「安心」「安全」であるという条件を満たしていることは言うまでもありません。これはホールに限らず、お客様商売をするどんな業種でもあてはまります。

年に数件でも、被害申告があれば危険信号。それは大前提の欠落を意味します。犯罪が生じるホールと生じないホールの違いは何か?

 遊技で楽しめたお客様が被害にあって悲しい一日となってしまわぬように、ホールが犯罪を徹底排除する意識をしっかり持てるかどうかが重要なのだと考えます。

ピデアの編集部からメールが届き、読者アンケートで「面白い企画」のランキング第5位になったという嬉しい報告がありました。ひとえに、なかしまゆみこ様のイラストの魅力がもたらしてくれた結果だと理解していますが、多くの方々に見ていただけていることを知れて、書き手にとってはたいへん励みになりました。

 

 日々のホール営業においても、時々頂戴できるお客様からの温かいご意見に随分と励まされることがあります。「出ない」「回らない」などの声は聞かぬ日がないほどでしょうし、「金返せ」「つぶれてしまえ」などの罵声も少なくない中、心温まる励ましの声は、ホールに勤める皆さんにとって心底嬉しいものではないでしょうか。

【ハガキ】

カウンターの女性の笑顔、キビキビ働いている男性スタッフ。

とても低姿勢で、心からリラックスと休息感?を与えてくれるパチンコ店です。 

これからも通います。

【メール】 

いつも素敵な笑顔と元気な挨拶ありがとう。

夫婦で土日祝日になると朝からお宅の店に通勤です。

明るく活発な店員さんが多く、お店に行くと私たちが元気をもらえます。ほんとありがとう。

【ハガキ】

ここの店員はみんな◎。負けても感じがいいから又行こうって気になる!

ホールやスタッフにとって励みとなるのは何もお褒めの声に限ったことではありません。手厳しいご指摘や苦言であっても「期待すればこそ」のご意見なのだと伺えるものも多く、まさに叱咤激励になっているものもあります。

【ハガキ】

最近呼び出しボタンを押しても来るのが遅くなったと思います。店員さんの数少なすぎではないでしょうか。

汗かきながら一生懸命やっている店員さんに文句は言えないよ、責任者の方、それでいいんでしたっけ。

【メール】

4号機時代からの常連、いわゆるマイホとしてよく通っていた者です。

ここをマイホとして通っていた理由はいくつかありました。

しかし最近は酷すぎます。

バラエティー台を大事にしない、設定は皆無。どうでもいい新台をいれる。

一年前はまだ楽しめました。

復活に期待します。

先日、久々にお客様から直接怒鳴られる出来事がありました。

過去にも別の方で同様のことがありましたが、お客様がクレームを言うために、店舗ではなく会社に押しかけてきたのです。

押しかけるなんて表現では失礼にあたりますが、杖をついたたいへんご高齢の方で、「最近の営業姿勢がなってない」と営業面の至らない点や信用が低下していることなど、ご自身が感じたことについて40分ほどたっぷりと叱られました。

耳も遠くなられていて、私の発言はなかなか聞き取っていただけません。大声で怒鳴られっぱなしですが、昔からご愛顧頂いていることがわかりましたし、期待すればこその苦言なのだと伝わるものでした。

杖をついてここまで来るのも相当大変だったことでしょう、お客様の思いの丈を感じながら、大変ありがたいご意見を頂戴したのでした。

 

昨今のカスタマーセンターの目標は「声なきご意見」の収拾です。カスタマーセンターでは電話やメール、ハガキでご意見を承っておりますが、ご意見として届けるまでには至らなかった不満の声やクレームというものが実在しているはずで、これらをいかに獲得していくかということが課題となっています。

前にも書きましたが、集客のアプローチがほとんどできない状勢下では、お客様の離反要因を取り除いて、顧客を減らさないことがますます重要になります。

従来どおりでは拾えない声を得るトライアルで、ポスターデザインを斬新なものへ変更したことがありました。

カスタマーセンターの掲示ポスターは従来、「お客様のご意見をお聞かせください」といった、極めて一般的なものですが、ガラリとテイストを変えて店長のイラストを使用してみたのです。しかも、頭を抱えて悩んでいる店長が、自店のダメなところや他店の良いところについてお客様からアドバイスを求めるデザインで、より訴求力を高めた仕上げにしました。

「お客様を不安にさせてしまう」「そんなことは自分で考えろとクレームがくる」と反対する店長もいましたが、想像していた以上にホールに対する熱心なご意見を数多く頂戴する結果となりました。

 普段気付けない、お客様視点のアイデアや提案もいただくことができ、学ぶことの多さに感動的な驚きを覚えたものでした。

 

 励みとなるご意見にせよ、不具合や改善点のクレームにせよ、ご意見を頂くことではじめてお客様の感じ得たところを確認できますし、様々な部分でお客様に支持されているのかどうかということも測れます。ひとつのご意見の大切さが伺えます。

読者アンケートで5位に選ばれ上機嫌でいたところ、社長からもこの連載コラムについて一言もらう機会がありまして、「ここのところ過去に使用したネタを使いまわしているのではないか?」という、ピデアの編集長ですら気付いていない痛烈なコメント。

「2次使用している遊技台に比べれば少ないほうです!」と言い返したい気持ちをぐっとこらえて(笑)、お客様から頂戴するクレーム同様、期待の表れなのだと捉え、ありがたく叱咤(激励)を受け止めたのでした。

一票を投じてくださった読者の方々の期待を裏切らないよう、より一層の魅力と新鮮さを追求した執筆となるよう努めてまいります。