これはコーポレートブックに小説載せた初めてのやつです。
けっこうこういうの好きなんです。
雲がパチンコに見えた日
-----その日の空は澄みわたるように青色で、ところどころに浮いている雲がいろんな形に見えてきます。眺めているだけでなんとも楽しい空です。そんな気持ちのよい天気とは逆に、社内では上司が部下の業績にカリカリしています。
「山田君・・・山田!」
「・・・」
「こら、やまだぁ!何ぼけっとしてる。返事をしろっ!」
「あっ、はっ、はい。すみませんちょっと考え事してました」
「ったく、ぼーっとしやがってぇ。君は今月もノルマ達成できてないぞ。どうすんだ。今は大事な時期だぞ、こんな時に悠長に考え事などして信じられんぞ、ったく。しかもどうどうと考え事してましたと開き直りやがって、そもそも、恥ずかしいと思わないのか。ったく。」
そう言って部長はイライラしながら自分の席に戻っていきました。部署業績が悪く、部下の報告書を見ながら頭を悩ましていたのでした。
じつは部長がイライラしている理由はもうひとつありました。ここ連日残業で会社をでるのが23時。好きなパチンコができない日々が続いていたのでした。
部長の席はガラス張りの壁に面していて外の景色が一望できました。
部長はこの眺めが好きでした。イライラした時でも景色をながめることでスッとしました。部長にとってはささやかな癒しのポイントなのでした。
外を眺めるとふわふわの雲が形を変えて青い空を漂っています。
「(最近パチンコしてないなー、あの絵柄が揃う瞬間を眺めたいな~、いきたいなぁー)」
部長の願いに答えるように雲が形をかえていきます。眺めていると、なんだかパチンコ台のように見えてきました。
「(あそこの出っぱりがハンドルだな、おっ777って揃っているような感じだ。あはっ、気持ちいいねー。うおーっ、玉がでてきたぞー!こりゃー大勝ちだ。)
風で雲の形が少し変わりました。
「(今度はスロットになった。右側にレバーがついているな、カジノのマシーンみたいだな。おっ、どんどん膨れて大型になった、左にいるのは客だな、右側にも客がいるぞ。こりゃーあれだゲーセンの対戦ゲームみたいだな。パチンコも客同士で対戦できるといいんだよな、球の取り合いか、白熱しそうだなー。)」
雲の形は変わりませんが部長の妄想は広がります。
「(ん、大勢で一台に向かうメダル落としゲームみたいなのもいいな。パチンコもみんなで連携をとってジャックポットを狙ったりとかできると面白そうだ。客同士連帯感がもてて、ジャックポット獲得で大量の玉がみんなに配分されて、ハイタッチしたりしてな。あはっ、対戦するよりそっちのほうが流行りそうだな・・・)」
「(椅子はあれだな、ゴージャスな気分になるように、座り心地のよいソファーがいいな。ソファーに腰掛けて片手にワインを持ちながら、大当たりとともに乾杯って。いいねー。いっそのこと、豪華客船の中にパチンコがあって、世界を旅しながらパチンコとかな、すごい優雅だな~笑)」
「・・・ぶちょう」
「・・・部長!」
押印を求める部下の声で、はっと我に返りました。
「部長、だいじょうぶですか」
「ん、あ、ああ、大丈夫だ。。。ちょっと考え事をしてただけだ・・・」
「くすっ」と笑う山田君の声が聞こえました。空がとっても青い日でした。
終