サッカーの強いチームって得点力があるのもそうだが、守備が安定してるんです。営業店も同じ。
クレーム錬金術17号
病院の待合所でサッカーの試合が放映されていました。降格争いをしているホームチームは得点して喜ぶも、すぐに失点。直近の試合でも失点が多くなかなか勝ちきれていないようです。
ふと、自分が日ごろ力説している「繁盛店になるメカニズム」を思い出しました。それは、①たくさんのお客様に来ていただく ②流出を防ぐ(固定客にする) と、これだけ。
言われるほどのことではなく、単純で当たり前のことですがこれがなかなか難しい。どこのホールでも、より多くのお客様にきてもらうために、費用や労力をかけ様々なアクションをおこします。つまり①についてはやり方や程度の差こそあれ、いろいろな取り組みが行われていると思います。
しかしそれらがどれだけ効果的であったとしても、固定客となってもらえず、すぐ他店に流れて行く状態では費用負けしてしまいます。得点しても失点が多いと勝ちきれないサッカーと同じことです。
以前、私自身が体験した出来事で具体的に解説してみます。
朝から駅前で配布していた居酒屋さんのチラシ。見ると季節の食材をテーマにしたキャンペーンの案内、おいしそうな料理が良心的な価格で載っています。ドリンクのサービス券付きだったこともあり、同僚を誘って行くことになりました。
繁盛店メカニズムの①の仕掛けが見事に成功していることになります。
ところが店内では席につくまでに待たされ、おしぼりや最初の注文もなかなか来てくれない。呼び出しボタンは故障。注文したものが届くのに随分待つ・・・と、待たされっぱなしです。
チラシの効果で、普段以上に忙しいからだと思われますが厳しい捉え方をすれば多くのお客様を受け入れる態勢ができていないということにもなります。
その程度のことなら許容範囲でしたが、店員さんの言葉遣いや接客態度が不快感を増長させるものだったため、楽しいはずのお酒の席が台無しでした。会計時にもらった次回用のドリンクサービス券は使われることなく有効期限を経過し、その日以降は店選びの候補にも上がらなくなりました。
理由はともかく結果的にリピートにはつながらなかったわけで、つまり繁盛店メカニズム②の部分ができていなかったことになります。
ホールに置き換えると、様々なキャンペーンやイベントを実施しお客様に楽しんでいただく企画を練り、広く知っていただくための宣伝を行う。新しい遊技台の魅力を訴えたり、最大限の奮起をアピールしたり、お客様とスタッフのふれあいを大切にしたり。
しかし、お客様の流出を防ぐ工夫やアクションとなると、一体どれだけのことが行われているでしょうか?お客様がホールに求める項目は千差万別で、必ずしも満足してお帰りいただけるわけではありません。至らぬ部分で不具合や不満を感じたまま去られるお客様に対しどんな対応やケアができるのか、お客様からいただいたクレームをもとに考えてみましょう。
「クーラーの風が直撃して寒すぎ、とてもじゃないが我慢できない」
室温設定の見直しを行ったり、クーラーの風向きを調整したり、あるいは器具を取り付けて直接当たらないようにするなど、同様のご意見をいただかないよう対応することができます。「もっと遊んでいたいけど寒いから帰る」というご意見も実在しており、そんなことが理由で返してしまうのは何とももったいない限りです。
「ここのところいつも、ボタン押してからスタッフが来るのがすごく遅い」
「カウンターにいる女性の態度が悪すぎ。教育を徹底して下さい」
クレームをいただいてしまうほど、遅くなっている理由は何なのか、そしてお客様に「悪すぎ」とまで指摘された接客態度の現状はどうなのかをしっかり調査しなくてはなりません。スタッフの数は適正か、オペレーションに問題はないかなども再点検をして、お客様の流出につながる不具合や不快に感じさせたところをひとつひとつ改善していくことは「繁盛店メカニズム」の②に必ず繋がっていくはずです。
こんなご意見も紹介しておきます。
「スタッフの皆さんの対応が本当に良く、大きな額を負けてしまっても不思議と癒されてしまいます。今後も楽しく遊技させて下さい。」
「挨拶が気持ちいいね。元気がいいので負けても気持ちがいいよ。また来ます。」
「出ない」、「勝てない」といったクレームをおっしゃるお客様に対して出してあげたり勝たせてあげたりなどできることではなく、とれる対応は気休め程度なのかもしれません。されど、負けたことで不愉快になっているお客様が少しでも「癒される」のなら、スタッフの明るい一言や元気な挨拶、心遣いや気配り、優しい笑顔など、それらこそがお客様をつなぎ留める大きな働きとなっていることになります。
居酒屋さんの例でも、店員さんの対応が気持ちよいものであったなら、待たされた不快感も尾を引くことがなかったはずで、むしろそこにこそ「固定化するか流出するか」のポイントが凝縮されているのではないかと感じます。
さてさて冒頭の病院のお話。待合室のテレビモニターには試合後に勝ちきれなかった選手達がサポーターの近くまで歩み寄って、痛々しいほど頭を下げ、目に涙をためて手を振る姿が映っていました。その姿を見て「負けてもまた応援しよう(次も来よう)」と思ったサポーターもいたことでしょう。
サッカーを一試合見終わるほど待たされた私自身、「安藤さん、随分お待たせしてしまい申し訳ございませんでした」と深々とお詫びしてくる医者を見て、「この病院はデキる!」と感じたほどです。業界をとりまく環境や状況は激しく変化していますが、たとえどう変わろうとも、たくさん得点し(お客様に来ていただき)、失点が少ない(お客様の流出を防いだ)ホールが繁盛店になるメカニズムは変わることはないでしょう。















