【一物全体(いちぶつぜんたい)】
元は仏教用語で生命あるものを丸ごといただくという考え方。
人間が頭のてっぺんから足の先まで余分なものが1つもないように野菜も果物も穀物も肉も魚も生きているものに余分なものはない。
野菜ならば根・葉・皮、小魚は頭から尾まで(魚は切り身よりも丸ごと)、お米ならば精白していない玄米、小麦粉ならば全粒粉というような意識を持つ。
丸ごといただくということはそのものが持つ栄養を全て摂ることができるということ。





🔘大根
葉は細かく切ってふりかけやお味噌汁の具材に、皮はスープや炒め物・きんぴらや漬け物にするのがオススメ。その他、皮は乾燥させれば切り干し大根、葉は炒め物や煮物の彩りに。
葉には根には含まれないβ-カロテンが含まれている。その他、ビタミンCは約4.4倍、葉酸は約4.1倍、カルシウムは約10.8倍含有。


🔘キャベツ
芯は葉よりも甘味成分を多く含んでいる。
粗めに切って餃子の餡に加えたり、汁物の具材や出汁として使うのも美味しくいただける。


🔘にんじん、れんこん、生姜、ごぼう
これらの根菜はよく洗って皮付きのまま使うことができる。この中でもごぼうは土がしっかりついているものが多いが、たわしなどでしっかりこすって洗えば皮付きのまま使用可能。


🔘長ネギ
白い部分は大きめに切ったものを火を通して甘味を出してメインとしていただいたり、料理の具材の1つもとして味わったり、細かく刻んで中華料理に添えたりすることで利用する。
青い部分は細かく刻んで薬味にしたり、煮込み料理の臭み消しとして。


🔘ブロッコリー
捨てるところはなく、ほぼ全て食べることができる。但し、茎の皮は硬いことが多いため気になる場合は皮を除いて使用する。


🔘椎茸
椎茸の軸は根元の石づきだけ切って除き、細切りやみじん切りにしてスープに入れたり、ハンバーグや肉だんごのたねに混ぜるのがオススメ。


🔘ピーマン
ヘタだけ取り除けばワタや種も含め丸ごと食べることができる。火を通す事で苦味が和らぐ。
海外ではワタも種も食べることが多い。


🔘とうもろこし
とうもろこしの芯を入れて炊き込みご飯を作ったり、スープや味噌汁の美味しい出汁としても活用できる。芯は胚芽が残っている状態なので旨味や甘味の成分が詰まっている。


🔘長芋
よく洗って皮から出ているヒゲの部分を切り落とすことで皮まで美味しくいただける。


🔘筍
筍の水煮によくみられる白い粉のようなものは〝チロシン〟というアミノ酸の一種。害はないため洗い流さずそのまま調理してOK。


🔘玄米
白米(玄米から胚芽、表皮を取り除いたもの)と比較して、ビタミンB1(※1)が約8倍、マグネシウム(※2)が約7倍 、ナイアシン(※3)が約14.5倍も含有。

※1 ビタミンB1
糖質や乳酸の分解によるエネルギー生成で疲労回復が期待できる。
※2 マグネシウム
筋肉の収縮や神経情報の伝達、体温や血圧の調整、ホルモンの分泌に関与
※3 ナイアシン
糖質・たんぱく質・脂質のエネルギー代謝をスムーズにする、脳神経の活性化、皮膚を健康に保つ、血液循環を良くするといった働きを持つ。




《 食材を丸ごと使い切るには。。。》

☑野菜の皮や切れ端でベジブロス(野菜出汁)にする
玉ねぎの皮、パセリの茎、なすのヘタ、にんじんのヘタ・皮などの野菜の切れ端をまとめて煮出して作るスープ〝ベジブロス〟は様々な料理に活用できる万能出汁。製氷皿で冷凍しておくと便利とのこと。
味が足りない場合には、出汁昆布・煮干し・干し椎茸・干しエビ・ローリエ・黒胡椒の粒などを加えても良い。


☑調理方法、調理器具を工夫する
野菜の硬い部分は細かく刻んで火を通したり、煮込んだり、ミキサーやフードプロセッサーを活用する。


☑圧力鍋を利用する
野菜はもちろん、骨つき肉や骨のある魚を丸ごと食べられるように調理してくれる。





今回は【一物全体 あれこれ】と題してお伝えしました。
一物全体と並んで大切な考え方として〝身土不二(しんどふじ)〟というものがあります。これは『人と土(環境)は一体で、人のいのちと健康は食べ物で支えられ、食べものは土(環境)が育てている』という考え方。 
この2つが養生する上で食の2大原則として定着しているといわれています。日頃から少し意識して食事を召し上がってみて下さい。