いい旅だったのに、埋め合わせが要ることもあります | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。

食堂テーブル脇の壁にとめられた月めくりのカレンダーには、
妻のサマンサが気にとめておくべきことがある日付の余白に書き込みがあります。

とうにはがしてしまった4月分は、
いつになく書き込みが多く、ゴチャゴチャしていました。
気にとめる元となるアクションが彼女自身のものであれ、
あるいは私のものであれ、二人のものであれ、それだけ、
彼女にはいつもとは異なる動きが求められたということです。


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また、6月になればこのカレンダーに書き込まれることが多くなることが、最近、明らかになりました。

「行くなら、"いま"じゃないか?」

「そうね、"いま"ね」

GW明けに、こんな予備校教師のような会話を交わしました。
彼女を慰労するために、1泊で息抜きしようとする企てです。


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あまり訪問先を欲張らず、行った先をゆっくり回る。
泊るのは、車で無理なく行ける範囲にあるホテル。できれば大浴場があるといい。
ゆったりと食事をする。
天気は晴れ。
これらが二人で確認した今回の企てが満たすべき条件です。

その結果、
目的地は軽井沢。(うちから車で3時間半ほど)
ホテルは軽井沢プリンスホテル。
(ブレストンは趣が変わり、万平は改修中。どちらも大浴場はないし)
訪問先は日本画家の軽井沢千住博美術館。
食事は、昼は軽井沢駅近くの新しい店。夜はホテルで和食です。
2日めは、二人の体調や天候しだい=その時の気分で決める。

サマンサが疲れを癒せるよう、珍しく概ね計画をたてました。


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晴れ女サマンサをもってしても、初日雨天の予報は覆せませんでした。
さらに、軽井沢までの予定経路で故障車渋滞で経路変更。
変更先経路で事故渋滞でさらに変更。
それでもナビの臨機応変な御導きにより+30分で到着。感謝。
昼ごはんの予約時刻には間に合いました。

不安をはらみながらも、なんとか辻褄があったすべり出しです。


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終わってみれば、いい旅だったね、と顔を見合わせられる2日間となりました。

千住博美術館は、展示経路や床が曲線が生かされ、明るくリラックスできる雰囲気。
作家のたどった歩みを作品とともにたどりました。
代表的な滝や花の作品の他にも、絵本の題材となる作品もあり、作家の印象が豊かになりました。

昼食をとった今年オープンの店は、店内は解放的な造りで気軽な雰囲気。
前菜・メイン・デザートいずれの皿も、個性的な風味がほどよくほどこされ、
スタッフの方々の対応も上手に距離感で快適な接客でした。

大浴場で昼間の旅の疲れをほぐした後の夕飯も、
落ち着いた店内で、それぞれ温かな酒を飲みながら食べるうち、
サマンサは美味しいといっていたのに食べ切れないほど。
一日をふりかえって語りながら、ゆっくりと進める食事は、
見た目で感じるよりも食べると量を感じるものですね。


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2日めは見事な晴天。
朝ぶろ&朝食後も、散歩、部屋ゆっくりと過ごした後、
アクシデントで壊れたアクセサリーの代わりを買って、
軽井沢から富岡へ移動し世界遺産の富岡製糸場跡へ。

私の曾祖父は生糸にまつわる生業でひと旗揚げたくちです。世界恐慌で廃業したようですが。
私の若い時分には、まだうちの周辺にも生糸産業由来の捺染をけっこう目にできました。
そんな話をあらためてサマンサにしながら、製糸場の歴史・写真・当時の機械・糸繰り実演など思いのほか愉しい見学となりました。


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「だって早く寝ちゃうんだもん」
ひとつサマンサからお叱りをうけました。

初日の夜にはバーで軽く飲もうとしていたのに、
夕食後私がちょっと横になると言って眼を覚ましたのが、

もうすぐ日付も変わろうかという頃。

この埋めあわせは、どこかでしておいた方がよさそうです。



[end]

◆ご参考:初日昼食をとった店はこちら
Le Gend Karuizawa (ルジェンド軽井沢)
https://lugend-karuizawa.jp/

 

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