この前の休日の午後、泊りがけで不在だった妻のサマンサを羽田空港に迎えにいくことになっていました。
午前中に筋トレを終え、くるみと大根おろしの蕎麦の昼ごはんをすませて寛いでいると、LINEを受信しました。サマンサから飛行機が遅れ、羽田到着が10分遅れる予定とのこと。10分程度の後れなら大差ないので、予定通り17時頃に迎えに行くと返信しました。
あれっ!? なかなか既読になりません。
もしかして、もう搭乗しようとしている?
それにしては時刻が早すぎます。
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もしや、と思い、サマンサの乗る便の発着時刻をサイトで確認しました。すると、何ということでしょう、私が予定していた時刻より2時間早いではありませんか。
蕎麦を食って寛いでいる場合ではありません。横浜と羽田を結ぶ高速道路2経路のうちのひとつが、橋の架け替え工事で不通のため、高速も一般道も渋滞が予想されています。こうしてはいられません。すぐに家を出ないと間に合わないかもしれません。
結婚する前、サマンサとの待ち合わせ時刻を間違えて1時間待たせた時の、彼女の不機嫌が表情が久々に脳裏を
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サマンサの乗る便の到着まで1時間40分。ふだんなら高速道路を使えば30分ほどで空港に着きます。でも、高速の残る1経路で事故渋滞にも巻き込まれたら、迂回の余地もなくなるかも。
一般道でも順調なら間にあうし、渋滞があっても迂回できるので、一般道を選びました。
あとは、こんな時に気が急いて焦って運転すると事故を起こしかねません。4度深呼吸して気持ちを落ち着けてから車庫を後にしました。
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「一瞬、2時間待たされるのかと思った。どうしてこうなっちゃうの?」
到着出口から小さな白いキャリーケースを曳いてサマンサが出てきて第一声です。着陸後、LINEの私からの返信をみて、2時間時刻を間違えていたので一瞬途方に暮れたそうです。1時間あれば鉄道を使って帰宅できますが、彼女にはそんな選択肢はなかったようです。
じゃあ電車で帰ってきて、とお願いしようかとも一瞬私の頭に浮かんだのですが、そんな返信をしないでよかったと安堵しました。
一方、私は空港の駐車場に車を停めて、正しい到着予定時刻前に空港に着いたことをLINEでサマンサに伝えておいたので、LINEのメッセージをたどり、彼女の乗った便の到着時刻前に私が空港に着いたことを彼女は知ることができたのです。
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もともとの心づもりでは、渋滞によるロスタイムを計れないため、家を早め出て順調に着いたなら、空港でコーヒーでも飲みながら読みかけた旅行エッセイの続きを読んで過ごそうと目論んでいました。
おそらく、近ごろは、きっちりとした時刻を期限とする予定などたてることは稀なので、15時と午後5時と勘違いして予定をスケジュール表に入力してしまったのでしょう。
大事なときはほんの一時だけでも、きちんと緊張感をとりもどさなかれば。
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