今回はホツマツタヱ4アヤの解説、そのPart2をやりましょう。
まずは本文から行きましょう。
●一行訳3
4-11 | いのらんと とよけみつから | イノラント トヨケミツカラ 【イ、威・ノ、宣・ラ(分詞)・ン(意思)・ト(仮属詞)、権威を宣ろうとしたのです】。【トヨ、豊・ケ、餉・ミツカ、自・ラ(分詞)、トヨケは自ら】、 |
4-11 | みそきして やチくらちきり | ミソキシテ ヤチクラチキリ 【ミ、身・ソ、添・キ(分詞)・シ、為・テ(仮属詞)、(他部族に)身添ぎをして】、[ヤ、家・チ〔千〕クラ、座・チキ、契・リ(分詞)、(和平のため)千と思える程多くの家と契り]、 |
4-12 | ぬきんつる いつちかみのり | ヌキンツル イツチカミノリ 【ヌ、抜・キ(分詞)・ン(意思)・ツ、出・ル(完了)、成し遂げたのです】。【イ、威・ツ・チ、地・カミ、上・ノ、宣・リ(分詞)、縁故の地への公約が】、 |
4-12 | とほりてぞ アめのみをやの | トホリテゾ アメノミヲヤノ 【トホ、亨・リ(分詞)・テ(仮属詞)・ゾ(強勢疑問)、亨ったのか】、【ア〔敬〕メ、雨・ノ・ミ(寧)・ヲ〔敬〕ヤ・ノ、雨亜族の御親神の】、 |
4-12 | まなこより もるゝヒつきと | マナコヨリ モルルヒツキト 【マ、間・ナ、名・コ、子・ヨリ、自、眷属達から】、【モ、守・ル(分詞)・ル・ヒ〔日〕・ツ・キ、儀・ト(仮属詞)、守るべき日の儀として】、 |
4-12 | アもとかみ ミソフのかみの | アモトカミ ミソフノカミノ 【ア〔敬〕・モト、本・カミ、神、家元の先祖神と】、【ミ〔三〕ソ〔十〕フ〔二〕ノ・カミ、守・ノ、32の御守が】、 |
4-13 | まもるゆえ こたねなること | マモルユエ コタネナルコト 【マ、間・モ、守・ル(分詞)・ユエ、故、護るので】、【コ、子・タネ、胤・ナ、成・ル(分詞)・コト、事、子が跡継ぎの人となることを】、 |
4-13 | おぼゑます このころぎみハ | オボヱマス コノコロギミハ 【オボ、覚・ヱ(分詞)・マ、坐・ス(分詞)、確信しました】。【コ、此・ノ・コロ、頃・ギ、儀・ミ、実・ハ、この当時ナギ・ナミの夫妻は】、 |
4-13 | はらみやま のほりていわく | ハラミヤマ ノホリテイワク 【ハ、葉・ラ、母・ミ、身・ヤマ、山、ハラミヤマ(現天香久山)に】、【ノホ、登・リ(分詞)・テ(態)・イ、言・ワ(分詞)・ク(伝聞)、登って言いました】。 |
4-13 | もろともに くにくにめくり | モロトモニ クニクニメクリ 【モロ、諸・トモ、共・ニ、揃って】、【クニ、国・クニ、々・メク、廻・リ、国々を巡って】、 |
4-14 | たみおたし ひめみこうめと | タミオタシ ヒメミコウメト 【タ、手・ミ、身・オ・タ、治・シ(分詞)、(雨亜族の)人々を治めながら】、【ヒメ、姫・ミ(寧)コ、子・ウ、産・メ(分詞)・ト(仮属詞)、姫御子(ワカヒメ、つまりナミの継子)を産みましたが】、 |
4-14 | つぎこなく たのしなきとて | ツギコナク タノシナキトテ 【ツ、継・ギ(分詞)コ、子・ナ、無・ク(分詞)、(私、ナギの)継子が無く】、【タノ、楽・シ(分詞)・ナ、無・キ(分詞)・ト(態)・テ(仮属詞)、後の楽しみがありませんでしたと】、 |
4-14 | いけみつに たのメおあらひ | イケミツニ タノメオアラヒ 【イケ、池・ミツ、水・ニ、池の水に】、【タ、左・ノ・メ〔眼〕・オ・アラ、洗・ヒ、左の目を洗って】、 |
4-14 | ヒるにのり かのメおあらひ | ヒルニノリ カノメオアラヒ 【ヒ〔日〕・ル、霊・ニ・ノ、宣・リ(分詞)、日の霊(みたま)に宣り】、【カ、右・ノ・メ〔眼〕・オ・アラ、洗・ヒ(分詞)、右の目を洗って】 |
4-15 | つきにのり いしこりとめが | ツキニノリ イシコリトメガ 【ツキ、月・ニ・ノ、宣・リ(分詞)、月に祈り】、【イシ、石・コ、凝・リ(分詞)・ト、人・メ、女・ガ、イシコリドメ(鏡職人)の】、 |
4-15 | ますかがみ ゐつくりすゝむ | マスカガミ ヰツクリススム 【マ、組・ス(分詞)・カガ、鏡・ミ(分詞)、一組のカガミを】、【ヰ、鋳・ツク、造・リ(分詞)・スス、勧・ム(分詞)、鋳造して勧めたので】、 |
4-15 | いさなぎハ あめおしらする | イサナギハ アメオシラスル 【イ、伊・サ、佐・ナ、名・ギ、儀・ハ、イサナギは】、【アメ、雨・オ・シ、知・ラ(分詞)・ス(再帰)・ル(可能)、雨亜族を知らすことのできる】、 |
4-15 | うつのこお うまんおもひの | ウツノコオ ウマンオモヒノ 【ウツ、内・ノ・コ、子・オ、家内から子を】、【ウ、生・マ(分詞)・ン(意思)・オモ、想・ヒ(分詞)・ノ、生したいとの想いで】、 |
4-16 | ますかがみ まてにヒるつき | マスカガミ マテニヒルツキ 【マ、組・ス(分詞)・カガ、鏡・ミ(分詞)、日月一組のカガミでした】。【マ、両・テ、手・ニヒルツキ、両手に(のカガミを持ち)、日の霊と月に】、 |
4-16 | なつらえて かみなりいでん | ナツラエテ カミナリイデン 【ナ、名・ツ・ラ、母・エ(分詞)テ(仮属詞)、なぞらえて】、【カミ、神・ナ、鳴・リ(分詞)・イ(継)・デ、出・ン(分詞)、(イカツチ衆の)神が鳴り出る、神威が示される】、 |
4-16 | ことおこひ くびめぐるまに | コトオコヒ クビメグルマニ 【コト、事・オ・コ、乞・ヒ、ことを乞い】、【クビ、首・メグ、廻・ル(分詞)・マ、間・ニ、首を動かしながら】、 |
4-16 | あくりこふ かくひおつみて | アクリコフ カクヒオツミテ 【アク、挙・リ(分詞)・コ、乞・フ、言挙げして・願いました】。【カ、斯・ク(分詞)・ヒ、日・オ・ツ、積・ミ(分詞)テ(仮属詞)、このように日を重ねて】、 |
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●連続訳3
トヨケは自ら、他部族に身添ぎをして、和平のため、千と思える程多くの家と契り、成し遂げたのです。
縁故の地への公約が、亨ったのか、雨亜族の御親神の時代からの、眷属達から、守るべき日の儀として、家元の先祖神と、32の御守が、護るので、子が跡継ぎの人となることを、確信しました。
この当時ナギ・ナミの夫妻は、ハラミヤマ(現天香久山)に、登って言いました。
揃って、国々を巡って、雨亜族の人々を治めながら、姫御子(ワカヒメ、つまりナミの継子)を産みましたが、私、ナギの継子が無く、後の楽しみがありませんでしたと、池の水に、左の目を洗って、日の霊(みたま)に宣り、右の目を洗って、月に祈り、イシコリドメ(鏡職人)が、一組のカガミを、鋳造して勧めたので、イサナギは、雨亜族を知らすことのできる、家内から子を、生したいとの想いで、日月一対のカガミを。両手に(このカガミを持ち)、日の霊と月に、なぞらえて、イカツチ衆の、神威が示される、ことを乞い、首を動かしながら、言挙げして、願いました。
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●解説3
トヨケが最初に考えたのは、姻族となる雨亜族との関係強化だったのですが、残念なことに、淡路島での失敗があり、オノコロである香久山の人々は、なかなか、トヨケの話には乗ってこなかったのです。
毎回、身添ぎの席では辛辣な言葉を受けたことでしょう。
「そりゃ、オメェは偉そうにしていりゃ、済んじまうだろがなぁ、ワシ等はタミも大勢居るし、士気が下がっちまったら、死活問題だでなぁ、そりゃ、皇子が生まれりゃ、いいよ、だがなぁ、前はしくじっちまったしなぁ」。
「も、もうしわけありません、あれはワシが国政に関わり合っていたせいで、目が届かなかったんです、今度はこれに専念してやりますんで・・・」。
「そかぁ、それなら、もっぺんやってみっかぁ」?
こうして、1軒、また1軒と口説き落としていったのでしょう。
そりゃ、毎日が針のムシロ・・・
皇子の後見を取り付けるための努力はつづきますが、それだけでなく、夫君の教育も重要です。
イサナギは思慮深いところもありますが、ことナミの問題では、なかなか、思いやりが行き届かなかったと思われます。
ナミは皇后としての重圧に堪えていたために、肩凝り、首の張りがひどかったと思われ、それが流産のもとになったと考えられます。
トヨケは自分の娘なので、単純に甘やかすだけではダメだと解っているのですから、夫君のナギを上手に誘導しなければなりません。
つまり、医学的なアプローチであるだけでなく、夫婦の信仰心に訴えるべく、策をおもいつきました。
それが太陽凝視を応用したものだったのです。
昼の太陽を見上げると、低血圧のナミには負担があり、首の硬さを減じるのが難しいと考え、カガミを造らせることにしたのです。
ここで、イシコリドメという人物は、祭祀用のカガミの専門家だったと思われます。
これまで、イシコリドメというのは「メ」が付いているので、女性だろうと、踏んだのですが、石工は女性の仕事としては汚れ仕事で、かつ重労働なので、「部」のなまった発音なのか、と逡巡するばかりでした。
今回、それにも思い当たる事があり、解決に向かいました。
石凝りというのは、石膏型なのですね。木型で外形を作り、細部は箆(へら)で整形する緻密な作業は、女性にぴったりなのです。
それも、祭祀用となれば、女性の独壇場になります。
ここでは、日月(じつげつ)一対の鏡を造らせることにしたのです。
これは、雨亜族の人々に対する宣伝にも良く、ナギ・ナミの夫婦の連携にも良かったのでしょう。
一般に、太陽凝視は「こうあるべき」という固定観念を弱め、自律神経をリラックスさせるリセット効果があることが知られています。
現代の医師が言うような、網膜が焼けてしまう、などありえないのです。
実際普通の眼では水晶体は虹彩によって絞られるため、最大で7mmの直径があるだけなのです。しかも、強い光を直接見るため、虹彩のサイズは最小まで絞られることになります。
つまり、網膜上ではほとんど温度上昇は無いと考えてよいのです。
これは裸眼の場合で、凸レンズで集光したばあいは安全なものではなくなりますので、誤解のないようにしてください。
わたしも、精神的にストレスを感じたばあい、良く太陽凝視をしますが、太陽面を流れる雲の影を視認することさえできるのです。
もちろん、しばらく残像は残りますが、その爽快感は忘れがたいものです。
さて、ナギに対する医学教育は配下を治めるために、重要なものがあるのですが、タカミムスビは専門の医師であるため、同じレベルに達することはありませんが、妻に対する按手(マッサージ)や指圧程度は覚えてもらはねばなりません。
そして、拒按(きょあん、押さえると痛い状態)から喜按(きあん、押さえると快い状態)の違いを覚えさせるのが重要だったのです。
これは中華系のツボの図ですか、ね。
●一行訳4
4-16 | あくりこふ かくひおつみて | アクリコフ カクヒオツミテ 【アク、挙・リ(分詞)・コフ、言挙げして・願いました】。【カ、斯・ク(分詞)・ヒ、日・オ・ツ、積・ミ(分詞)テ(仮属詞)、このように日を重ねて】、 |
4-17 | みたまいる かとハちりけの | ミタマイル カトハチリケノ 【ミ(寧)タマ、気・イ、入・ル(推量)、良い気が通ったのでしよう】。【カト、門・ハ・チ、散・リ(分詞)・ケ、気・ノ、所はチリケ(鍼灸の督脈のツボ、「身柱」、第七頚椎から4指下の窪み)の】、 |
4-17 | アやところ おこなひチかに | アヤトコロ オコナヒチカニ 【ア〔敬〕ヤ、危・トコロ、処、(トヨケ)の得意とするツボでした】。【オコナ、行・ヒ(分詞)チカニ、この治療が1000日に】、 |
4-17 | なるころハ しらはぎそみて | ナルコロハ シラハギソミテ 【ナ、成・ル(分詞)・コロ、頃・ハ、なる頃】、【シラ、白・ハギ、脛・ソ、染・ミ(分詞)・テ(仮属詞)、(イサナミは健康を取り戻し)脛が染まって】、 |
4-17 | さくらいろ あるヒヲかみが | サクライロ アルヒヲカミガ 【サクラ、桜・イロ。色、(血色が良く)桜色になりました】。【アル、或・ヒ〔日〕・ヲ〔雄〕・カミ、上・ガ、ある日男御上が】、 |
4-18 | をゑとえハ ヒめのこたえハ | ヲヱトエハ ヒメノコタエハ 【ヲ〔敬〕ヱ、会・ト、問・エ(分詞)・ハ(結果)、(女御上に)体調を問うと】、【ヒ〔人〕メ、媛・ノ・コタ、応・エ(分詞)・ハ(仮属詞)、姫の答えは】、 |
4-18 | つきのをえ ながれとゝまり | ツキノヲエ ナカレトトマリ 【ツキ、月・ノ・ヲ〔敬〕エ、穢、月の障りは】、【ナカ、流・レ(分詞)・トト、止・マリ(分詞)、(経水の)流出が終わって】、 |
4-18 | ミかののち みのきよけれハ | ミカノノチ ミノキヨケレハ 【ミ〔三〕カ、日・ノ・ノチ、後、三日後です】。【ミ、身・ノ・キヨ、清・ケ(分詞)・レ(理由)・ハ(順接)、身体は清潔なので】、 |
4-18 | ヒまちすと ヲかみもゑみて | ヒマチスト ヲカミモヱミテ 【ヒ〔日〕・マ、待・チ(分詞)・ス、為・ト(仮属詞)、待っていた日です、と】。【ヲ〔雄〕・カミ、上・モ(例)・ヱ、笑・ミ(分詞)・テ(仮属詞)、男御上も微笑んで】、 |
4-19 | もろともに おがむヒのワの | モロトモニ オガムヒノワノ 【モロ、諸・トモ、共・ニ、揃って】【オガ、拝・ム(分詞)・ヒ〔日〕・ノ・ワ〔地〕ノ、敬愛する日の地の】、 |
4-19 | とびくたり ふたかみのまえ | トビクタリ フタカミノマエ 【トビ、鳶・クタ、下・リ(分詞)、鳶が舞い下り】、【フ、二・タ(類)・カミ、尊・ノ・マエ、前、二尊の前に】、 |
4-19 | おちとゝむ おもわすいたく | オチトトム オモワスイタク 【オ、降・チ(分詞)・トト、留・ム、降りて留まりました】。【オモ、思・ワ(分詞)・ス(否定)・イ(継)タ、抱・ク(分詞)、思わず抱いた】、 |
4-19 | ゆめこゝち さめてうるほひ | ユメココチ サメテウルホヒ 【ユメ、夢・ココ、心・チ、地、夢のような心地となり】、【サ、醒・メ(分詞)・テ(結果)・ウルホ、潤・ヒ(分詞)、落ち着くと潤った気分で】、 |
4-20 | こゝろよく みやにかえれハ | ココロヨク ミヤニカエレハ 【ココロ、心・ヨ、佳・ク(分詞)、快くなっていました】。【ミヤ、宮・ニ・カエ、帰・レ・ハ(仮属詞)、ミヤに帰ると】、 |
4-20 | やますみが さゝみきすゝむ | ヤマスミガ ササミキススム 【ヤマ、山・ス、住・ミ(分詞)ガ、山住(ここではトヨケ)が】、【サ、少・サ、々・ミ、実・キ、酒・ススム、(子を求む儀式の)ササミキを勧めました】。 |
4-20 | かれヲかみ とこみきしるや | カレヲカミ トコミキシルヤ 【カレ、彼・ヲ〔雄〕・カミ、そこで男御上(ここではナギ)は問います】、【トコ、床・ミ、身・キ、酒・シ、知・ル(分詞)・ヤ(反語疑問)、(ナミに)トコミキを知っているだろう】? |
4-20 | めのこたえ ことさかのヲが | メノコタエ コトサカノヲガ 【メ、妻・ノ・コタ、応・エ(分詞)、妻(ここではナミ)は答え(て言いました)】。【コト、事・サカ、栄・ノ・ヲ〔雄〕ガ、コトサカノヲの】、 |
4-21 | みちきけハ とこみきハまつ | ミチキケハ トコミキハマツ 【ミチ、道・キ、聞・ケ(分詞)・ハ(仮属詞)、方法論を聞いております】。【トコ、床・ミ、身・キ、酒・ハ(仮属詞)、マ、先・ツ(分詞)、トコミキはまず】、 |
4-21 | めがのみて のちヲにすゝむ | メガノミテ ノチヲニススム 【メ、女・ガ・ノ、飲・ミ(分詞)テ(仮属詞)、女が飲んで】、【ノチ、後・ヲ〔雄〕・ニ・スス、勧・ム(分詞)、その後・男に勧めます】。 |
4-21 | とこいりの めハことあげず | トコイリノ メハコトアゲズ 【トコ、床・イ、入・リ(分詞)・ノ、床入りの】、【メ、女・ハ・コト、言・ア、挙・ゲ(分詞)・ズ(否定)、女は言葉に出さず】、 |
4-21 | ヲのよそゐ めがしりとつく | ヲノヨソヰ メガシリトツク 【ヲ〔雄〕・ノ・ヨソ、装・ヰ(分詞)、男の仕草を】、【メ、女・ガ・シ、知・リ(分詞)・ト、取・ツ、付・ク、女が理解して取り付く(のです、と)】。 |
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●連続訳4
このように日を重ねて、良い気が通ったのでしょう。
所はチリケ(鍼灸の督脈のツボ、「身柱」、第七頚椎から4指下の窪み)の、トヨケの得意とするツボでした。
この治療が1000日に、なる頃、イサナミは健康を取り戻し、脛(はぎ)が染まって、血色が良く桜色になりました。
ある日男御上が、女御上に体調を問うと、姫の答えは、月の障りは、経水の流出が終わって、三日後です。
身体は清潔なので、待っていた日です、と。
男御上も微笑むと、共に敬愛する日の地の、鳶が舞い下り、二尊の前に、降りて留まりました。
思わず抱いた、夢のような心地となり、落ち着くと潤った気分で、快くなっていました。
ミヤに帰ると、山住(ここではトヨケ)が、子を求む儀式のササミキを勧めました。
そこで男御上(ここではナギ)は問います、ナミに、トコミキを知っているだろう?
妻(ここではナミ)は答えて言いました。
コトサカノヲの、方法論を聞いております。
トコミキはまず、女が飲んで、その後、男に勧めます。
床入りの、女は言葉に出さず、男の仕草を、女が理解して取り付くのです、と)。
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●解説4
ここは、「チリケ」は、「散り家」とも読め、「チリケのツボ」の語源が、神農の一団が大陸で、あるいは日本列島に来てから、全国に散っていった医家の総称だったのかもしれません。
そのほうが全国的に「身柱」の呼び名を「チリケ」としている理由がしっくり来ます。
ちなみに、「散家(さんちゃ)」と読んでしまうと、雀の話になり、うちのトを喜ばせるだけなので、適当ではありません。
漢方は効き目が速い、鍼灸ではもっと速い、と信じている人には1000日も治療を続けなければならないのじゃ、まともな療法とは言えないんじゃないか?
という疑問が出るかもしれません。
しかし、ヰクラ・ムワタの詳細を考慮すると、3年も掛ける理由はあったのでしょう。
一連の記述から、アメ族の医師達は、「証」を取るのに、はじめからマトリクスで捉えていたようですので、ヰクラは「五座」で良いのですが、ムワタは「六渡」と記述されるところと、「胸渡」となっている所があるのです。
私は、〜毎、あるいは〜夫々という、"each"の意味で捉えられる概念に、「胸」の字をあてているのです。
それゆえ、「ムナカタ」という言葉も、特定の個人名ではなく、「胸名方」、つまり、「それぞれの御家に適切な後見人を当てる」というのが正しいと考えています。
結局、五座には夫々(それぞれ)の連携があるので、全体をまとめて表現しないと上手くないのです。
現代医学は薬学と分子生物学に乗っ取られているので、論外ですが、大陸にのこして来た黄帝の末裔の行き方は、単純に五行に対して割り振っただけなので、根拠が薄く、(勢いの問題は、十干十二支でとらえるのが良いので、価値が0ではありません)日本漢方に見る多彩なマトリクスによる診断と処方と比べると、ほとんど「おもちゃ」のレベルなのです。
比較的最近、書いた記事、「〜その341〜」ををよく読んで理解していただきたいと思います。
実際、西医に迎合するなど、「かつて人民に奉仕する」のスローガンで、紅衛兵達が自分の体に鍼(はり)を打って、その効果を実践したにもかかわらず、全て無に帰すように、冠状病毒詐欺(かんじょうびょうどくさぎ)にふりまわされているのは喜劇ですらありません。
中華では、日本漢方の伝統が生き残っているのは香港だけだったようですが、それも、今は昔のこと。
本題にもどりましょう。
トヨケは胞状奇胎流産の原因が自律神経の不調が原因であることを看破していたのでしょう。
自律神経と中枢神経の連携動作は「気の昇降」と一致しており、クンダリニの座の組み合わせともほぼ一致しているように見えます。(まだまだ未知のパラメータは多いのですが)
経絡とツボの概念はクンダリニの座と良く似ています。
解剖学的に言うと、電気情報系と物質情報系が複雑に絡んで、不要情報(ノイズ)を排除する機能があるのです。
ところが、それぞれの信号の評価系となると、お寒い限りです。
高度で精緻な免疫系などというものは存在していないのです。
それは、類似した体験に対して、記録されている対処を行うというだけで、自然免疫というのは、実は貧弱なものだったのです。
赤痢菌による感染で引き起こされる症状を「赤痢」と呼んでいますが、自律神経系の対処の結果、重篤な状態になった症状を「疫痢」といっているだけなのです。
同様に。結核菌による感染で肺結核という症状が出るのですが、きわめて弱い菌である結核菌がいつまでも排除されないのは、自律神経の機能が不全に陥っているからなのです。二義的な症状は微熱が続き、内呼吸が低下し、細菌の繁殖に適した体温になってしまうのですが、すでに、自律神経は正常に判断ができなくなっているのです。
早期に、体温を38.5度程度にあげると、マクロファージの活動が活発化するのですが、なかなか、そう、うまくはいかないのです。
話をもどしましょう。
胞状奇胎(ブドウ児)というのは、子宮内膜の異常な増殖によって引き起こされるのですが、子宮内膜は、胎児の組織ではなく、母体の組織なので、自律神経系の管理下にあります。
無論、電気的に接続されている部分もありますが、電気接続の無い組織では、もっぱら、化学信号のやり取りで情報交換をしますので、西洋医学で用いる薬剤は直ちに効果を表します。
情報の伝達がうまくいっていることを医師が確認できればよいのですが、現代医学ではリモートセンシングというのはまったく出来ない状態なのです。
そこで、さじ加減が必要になるのは、日本漢方でもまったく同じです。
脈を見る、息を見る、顔色を見る、水分の停滞状況を知る、分泌物の濃度を見る、漢方医の診察というのはリアルタイムでおこなわなければならないのです。
「様子を見ましょう、来週また来てください」などというのはまったくダメな医師、診断能力は0に等しいのです。
トヨケの診断能力は高く、流産のアフターケアをするのに、チリケのツボが、拒按(きょあん、押さえると痛い状態)から喜按(きあん、押さえると快い状態)に変化するまでは、子作りはお休みです、と言っていたのです。
現代では子宮内膜を安易に掻爬(そうは)するだけで、そのあと、どういう状態か、診ることも無いのですよ、これが。
無論、口ではきれいごとを言いますよ、「絨毛組織が残っていると、悪性絨毛上皮腫になるおそれがありますので、当分、子作りは無理です」、とかね。
もともと、胞状奇胎自体が、腫瘍の一種なのですから、妊娠以前から、「未病」の状態にあったわけですから、何もしないで良い状態になるのは難しいのでしょうね。
さて、ホツマツタヱに関するご意見ご要望、いちゃもん、文句、NGのあるかたは掲示板のほうに書いていただければ、うちのヱが対応します。
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