でも画像たくさん載せたので、画像だけでも見てください!
《走麦城》はもう何年も前から見たいと思っていました。5年以上前から……
でも当時は中国のサイトで見るなんて考えつかなかったし、
中国のサイトにあると分かってからも、
長いし熱中して見るから疲れそうだしと、伸ばし伸ばしにしてきました。
そして今回ようやく、
旅行の移動中に見ようと思い立って見ることができました。
言うまでもないと思いますが呂蒙殿の出番のために見ました。
おそらく京劇で呂蒙殿が出てくる話は《走麦城》だけです。
三国志の劇は数あれど、
これ以外に出ているという話を聞いたことがありません。
まあ仕方ないですね。他に出番がない人のことを思うと、
出してもらっただけでもありがたいと思わなければならないと思います。
約100分の劇中、呂蒙殿の出番は5分に満たないし
セリフもほんの少しなのですが、見られて本当によかった……
曹仁、徐晃のほうが全然出番が多かった(笑)
話はたぶん演義の“関羽走麦城”とおおむね同じ流れだと思います。
たぶんというのは、私は演義の走麦城をまともに読んでおらず、
読んだのは連環画の呂蒙殿が描かれているページだけというクソ野郎なので
そのとき他の登場人物たちがどうなっているのかろくに知らなくて……
三國無双はちゃんとプレイしているのですが、
華佗の手術の場面が心臓に悪いせいか映像化されていないようです。
諸葛瑾が持ち掛けに行った縁談を関羽が断る
↓
関羽軍と魏軍とが襄陽を取り合う
↓
曹仁が放った毒矢が関羽に当たる
↓
華佗が関羽の手術をして毒を取り除く
↓
関羽軍と魏軍とが襄陽を取り合う
↓
孫呉が荊州を占領し、関羽一同は麦城に退く
↓
関羽一同は死を賭して麦城から脱出しようとするが、
魏呉の連合軍の伏兵に遭う
↓
終わり
という流れでした。
台本を検索すると孫権、陸遜などが出てくる《走麦城》もあったのですが、
そちらの動画は探せてないし、見てないです。
呂蒙殿のセリフが多いのであるなら見たいです。
YouTubeにも結構京劇上がってるのですが字幕がなくて、
呂蒙がどれだかは分かってもセリフが分からなくてつらいです……
感想(今から始まります。遅い!)
■関羽が割と傲慢
悪口とかじゃないんで勘弁してください。
別に関羽のこと嫌いでこういうこと書くわけじゃないですから。
今となっては荊州市(郢・江陵)を盛り上げてくれる仲間だと思ってます。
関羽効果のおこぼれで楚国がより発展することを常に願っています。
関羽は初っ端から自信満々で
「鳳目蚕眉美髯公」とか、「青龍刀神鬼皆寒」とか、「鎮荊州無人敢犯」とか
「正是:丹心貫日月,大義載春秋」
とか自分で言ってるので、凄ェ……と思いました。
まあナレーションがいないから仕方ないんでしょうが。
諸葛瑾が来たときも
「諸葛瑾は丞相の兄、わざわざ江東からおいでいただいたのだから
大事な話があるのだろう。失礼のないように」
とか言ってたのに、縁談と分かるや斬りたいとか言い出すし、
「諸葛瑾を侮辱したのはやりすぎで、我が軍にとって不利です」と言われると
「関某威震華夏,帳下弓将如雲,縦然孫曹合兵,関某何惧」
とか自分で言ってるので凄ェと思いました。
“威震華夏”って読んで字のごとく「威は華夏(中華)を震わす」ですが、
それ廟の対聯とかに書いてあるやつで、自分から言うことではないのでは……
いや、自分で言ってたから最期ああなったのか……?
「黄忠は降将だから自分が同列になるなんて嫌。爵位は受けません」
とか言ったり(これ実話ですね)、
とにかくやたらと部下(関平も)を斬ろうとするし、
関羽って意外と創作でも短気でワガママだったんですね。
まあ傲慢な性格というのはよく言われてますけど、
こうして劇でその性格を目の当たりにすると、
「話には聞いてたけど本当にすごいな……」という気持ちに。
しかも棒打ち40回の刑にしたばかりの糜芳と傅士仁を
公安と南郡に駐屯させる軍事センスも凄ェ。
そんな要所を守備させて、もし二人が魏呉についたら……と心配されても、
「虫けら(糜芳傅士仁)に泰山は動かせぬ」
とすべてのセリフでフラグを立てていく漢寿亭侯、もはや清々しい。
■関平がすごくかっこいい
本当にかっこいいです。青い冠に白い鎧が美しい。
色白でキリッとした舞台化粧で、殺陣の場面も多い。
セリフも比較的多くラストの殺陣も圧巻で、第二の主人公感があります。
もともと黒髪を垂らしているのがかっこいいのですが、
ラストでは冠が取れたまま髪を振り乱して戦うのもまたかっこいい。
関平は劇の最後の最後で倒れてしまうんですが、
それが強烈に“劇終”って感じでグッときます。
私はもともと関平のことは大好きなので、
これだけ出番が多く、役どころもかっこいいことに感動しました。
蜀の臣は関羽を“君侯”と呼ぶのですが、
関平と周倉は“父王”と呼んでるのもいい。
どれだけ関平のスクショ撮ってんだよ!!
まあ私、無双6の樊城(蜀伝)で関平と呂蒙殿が相次いで討死したとき
本当に悲しくてステージ途中で号泣してたので許してください。
関平は本当にずっと好きなんです……
■手術中の関羽が怖い
麻酔なしで傷を切開し、骨を削って毒を除いたという、
今さら説明することでもないような有名な場面。華佗が手術に来ます。
関羽は手術中に談笑しながら馬良と碁を打っていたということですが、
まあ普通に怖いです。
傷を開いたあとに笑い出したときは見てるこっちが
「ヒエ~ッwwwwwwww」って感じでした、化け物だよ……
しかし、手術中に酒を飲むというのは
血液の流れが速くなるのでよくないと思います。
それに麻酔をわざわざ断るってどんな性癖なんだ。
馬良の気持ちも考えてほしい。
以下いろんな登場人物たちのスクショです。
▲魏呉軍の包囲を抜けて麦城を出ようと決まるも、
大雪で道が悪いというのを理由に、出るのを止める部下たち。
一番左は趙累です。
正直雪なんてどうでも良くて、
無事に逃げられないだろうというのがみんな分かっていたんですよね……
各勢力の軍隊は色が違うので助かります。
将軍一人だけでは何度か見ないと区別できなかったと思う……
✽✽✽
いやー、よかったです!
上の関平のとこで何枚か画像を貼りましたが、
ラストの殺陣が本当にかっこよくてとても見応えがありました。
京劇にはいろいろな決まりやお約束があって(日本の歌舞伎と一緒)、
それらを知っていればより楽しめること間違いなしではあります。
が、なんの知識もなくても、また言語が分からなくても、
見てすぐ分かるのが殺陣。ちなみに中国語では殺陣を武打と言います。
包囲を抜けるため城を出た関羽・関平は混戦の中で一旦散り散りになりますが
再会したとき、関平が共に麦城を出た趙累の戦死を話します。
その場面が本当に痛ましくて重々しかったです。見ててつらかった。
京劇の呂蒙殿が見たいという、5億%下心満載のきっかけで見ましたが
ラスト15分はセリフもほとんどないのにずっと魅入ってました。
もともと京劇好きなので……へへ。
最後どこまでやるのか気になってたんですが、
関羽が魏呉の将軍に出会って終わりなんですね。
さすがに斬るのはまずいのでは……とひそかに心配してたので安心しました。
名前の出ていた配役は以下の通りです(敬称略)
■配役
関羽:奚中路 関平:金喜全 王甫:周春光
馬良:李達成 曹仁:任広平 周倉:劉大可
徐晃:劉長江 呂蒙:朱忠勇
最後に呂蒙殿の画像を貼っておきます。
この登場シーン(ここしかほぼセリフがない)だけ20回見ました。(実話)
だってすぐ終わってしまうから……
呂蒙という役なだけで最低でも5割増しでかっこよく見える(病気)
横のスクロールバーがめちゃくちゃ小さくなってるよ……
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます!