ブログネタ:ドラマが始まったけど、次回も見るのは?
参加中坂元裕二さんが脚本を担当し、松雪さんが出演している、「Mother」を毎週、見ています。
とにかく、いい!!王道の母子ものではあるんだけれど、そこに、今、話題になっている虐待の問題を取り入れています。
僕はここ最近、企画書を書いて、制作会社に持ち込む事があります。
企画書の直しをする時に、よくプロデュサーの方に注意されるのは、「なぜ今、やるのか?という視点を大事にして!!」と言う事なんですね。
まさに、「Mother」は、今やるべき題材だと言っていいんじゃないでしょうか?
だけど、毎週、毎週、なぜこんなに、感動してしまうんだろう?、なんだか悔しいぐらいウルウルしてしまう時もあったりして(笑)、ドラマを見ている時は、冷静に見れないので、今日はゆっくりと分析してみたいと思います。
そもそも、ドラマの作りは、そんなに新しくない。さっきも書いたように、王道の母子ものだし、育ての親と生みの親とか、警察からの逃亡劇とか、ストーリーの展開は、何度もドラマや映画の中で、使われて来たパターンではあるんです。
でも、泣いてしまう(笑)、それはなぜか?
ずばり、セリフが素晴らしいからではないでしょうか?
セリフが良いという事は、キャラクターがしっかりと作られているという事だと思うんです。でも、それにしても、セリフが上手い。
ちょっと長くなりますが、2010年、6月号の「月刊、ドラマ」に載っている、第一話のクライマックスの部分を書いてみたいと思います。
以下、シナリオ形式で書きます。
O海岸(日替わり、朝)
寒空の下、大きな布団を二人で肩からかけて、腰を降ろしている奈緒と怜南。
海を見ている。
奈緒「(遠い目線で)・・・・」
怜南「(奈緒を見て)先生、何を考えてるの?」
奈緒「うん?うん・・・・あなたの好きなもののことよ」
怜南「わたしの好きなもののこと?」
奈緒「まるいいす、まがってるさかみち」
怜南「おふろばでるこえ、ねことめがあうこと」
奈緒「すずがひまわりのたねたべるところ、ゆきをふんづけるおと」
怜南「よるのそらのくも、くりーむそーだ・・・わたりどり」
奈緒「・・・・・(頷き)わたりどり」
その時、頭上で聞える無数の羽音。
はっとして見上げる奈緒と怜南。
数百羽を超える渡り鳥の群れが羽ばたいていく。
まばたきも出来ず、見上げる奈緒と怜南。
海に向って、飛んで行く渡り鳥。
次の瞬間、砂を蹴って、海に走り出す怜南。
怜南、手のひらで口をおおって叫びかける。
怜南「怜南も連れてって」
海を渡る鳥の群れが小さくなっていく。
怜南の後ろ姿を見つめている奈緒。
奈緒「・・・・・・」
波打ち際に足元を浸し、見送り続けている怜南。
波が弾けて、次の瞬間。
怜南、振り返って、奈緒の手が伸び、怜南を包んだ。
奈緒、怜南を抱きしめた。
怜南、えっ?、と。
力強く抱き締める奈緒。
怜南「ちゃんと、数えた?先生、数えてなかったでしょ?駄目じゃない、ちゃんとお仕事しないと・・・・・」
奈緒「道木さん、聞いて」
怜南「ん・・・・・・・?」
奈緒「私、あなたを誘拐しようと思う」
きょとんとする、怜南。
怜南「先生・・・・牢屋に入れられない?」
奈緒「そうね、入れられるかもね」
怜南「牢屋は石で出来てるんだよ、冷たくて、暗くてねずみが出るの。お風呂にも入れないの」
奈緒「そうね」
怜南「駄目だよ!」
奈緒「駄目なことしか出来ないの」
怜南「・・・・・・」
奈緒「間違ってるかもしれない。あなたをもっと悲しい目に遭わせるかもしれない。でも・・・・・」
怜南「・・・・・・?」
奈緒「私、あなたの・・・・あなたのお母さんになろうと思う」
怜南「!(と、奈緒を見て)」
奈緒「あなたと二人で生きていこうと思う」
怜南「先生・・・・・」
奈緒「先生じゃ駄目」
怜南「えっ・・・・・」
奈緒「四月一日、わかる?」
怜南「あさって」
奈緒「嘘をついてもいい日なの」
怜南「うん」
奈緒「嘘をつくの。この街を出て、誰もわたしとあなたを知らない場所に行くの。そこでは、わたしはあなたのお母さんで、あなたはわたしの娘」
怜南「・・・・・・・」
奈緒「絶対に誰にも知られちゃいけない。一生嘘をつき続けなきゃいけない。言える?一生、これから先一生、誰にも知られないように、わたしのこと、お母さんって嘘言える?」
怜南「・・・・・・・・」
奈緒「怜南?お母さんって言える?」
少しづつ怜南の目に涙が浮かぶ。
目にいっぱいの涙がたまって、怜南、言う。
怜南「お母さん」
奈緒「・・・・・・・」
怜南「怜南のお母さん」
奈緒「・・・・・・・」
怜南、奈緒にしがみつく。
奈緒の腕の中、子供のように嗚咽し、泣きじゃくる怜南。
すべての思いが溢れるように。
怜南「お母さん・・・・・・お母さん・・・・・怜南のお母さん」
痛いほどに奈緒の腕を掴み、肩を掴み、必死にしがみつく怜南。
強く抱きしめる奈緒。
奈緒「(涙を流し、そして顔を上げて)あなたは捨てられたんじゃない。あなたが捨てるの」
どうでしょうか?僕は書き写しながら、ちょっとグッと来てしまいました(笑)。
よくシナリオのセリフは、キャッチボールにしてはいけないと言われますが、お手本になっていますね。
そもそも、このドラマは、「親に捨てられた記憶を持つ女が、虐待を受けている少女を誘拐し、母親代わりになる」という物語です。
メインのストーリーがシンプルなだけに、単調になりがちです。
そこを渡り鳥の話しや女の子の好きなものの話しなどで、ただのセリフのやり取りにしないように工夫しています。
そして、最後に、「あなたは捨てられたんじゃない。あなたが捨てるの」で、締めくくっています。上手いの一言ですね。