ある映画を観て、一人のオヤジの姿が目に浮かびました。
小学生の頃、近所に住んでいたオヤジの姿です。
そのオヤジは、学校の通学路近くにある一軒家に住んでいて、僕が友達と話しながら帰ると、必ず家の中から飛び出してきて、「静かにしろ!!」と、怒鳴って来るんです。
今、思い返してみても、べつに、そんなに大きな声で騒いでいたような気がしないんですよ(笑)
それなのに、そりゃもう、親の仇みたいに、そのオヤジは怒鳴りつけて来たりする。
今でも、小学校時代のあの通学路を見ると、少し胃がキリキリするような気がします(笑)
僕達は、オヤジに怒られる事が頻繁に続くので、通学路を変えたぐらいなんです。
まぁ、でも、オヤジに怒られる恐怖の道を通らなくなってから、実に平和な日々を送るようになったので、だんだんと、そのオヤジの存在も忘れて行くようになりました。
けれど、そんな幸せな日々を送っている、ある日のこと。
衝撃的な姿を目撃してしまったんです。
それは、友達と帰っている時に、例のオヤジの話しになり、「ちょっと、あの道、通ってみない」という話しになって、肝試し気分で、あの恐怖の通学路に足を踏み入れようとした時のことでした。
いたんです。あのオヤジが。
自分の家の前で、腕を組んで仁王立ちしていたんです!!
僕らが一目散に逃げ出したのは、言うまでもありません(笑)
今でも、走りながら、「やっぱり、あの道は通らないようにしよう!!」と宣言したのを、よく覚えています。
まるで、僕らを待ち構えるようにして立っていた、あのオヤジの姿が、29歳になった僕の脳裏に未だに焼きついているというわけなんです。
でも、30歳をまじかにして、あの時のオヤジの行動の意味が少し解って来たような気がするんですよ。
オヤジが怒鳴っていたのも、家の前で僕らを待ち構えていたのも、すべて、寂しかったからではないでしょうか?
僕の考えは、少しロマンチックすぎるかもしれませんが、そんなような気がしてならないんです。
今まで、ずっと忘れていた、あの人を思い出し、そこにある寂しさを考えさせてくれる映画をご紹介しましょう。
コーエン兄弟監督作品。
「トゥルーグリット」です。
注目すべきは、やはり、ジェフブリッジス演じる、保安官のコクバーンです。ポスターの左にいるオッサンですね。
保安官のコクバーンを観て、前に書いたオヤジを思い出してしまいました(笑)
物語は、男に父親を殺された少女マティが保安官のコクバーンとテキサスレンジャーのマ・ビーフ(マットディモン)を仇討ちのために雇い、復讐の旅に出るというストーリー。
シンプルな物語であるだけに、しっかりとしたキャラクターが描かれていて、実に魅力的。
とくに、生意気な少女マティと保安官、コバーンのやり取りが忘れられません。
昔、様々な失敗を味わったコクバーン。そんな彼が、少女マティのまっすぐな気持ちに、しだいに心を動かされて行きます。
あなたも、この映画を観て、嫌いだったあの人、好きだったあの人を思い出してみてください。
臭いとか、説教がうるさいとか言われがちなオヤジ達の哀愁に気づかされる作品です。
