さて、前々回、前回と武術に纏わるお話で、あまり身近に感じないという方も居たかもしれませんが、今回は抽象化して他の事例にも当てはまる形で間違った情報伝達の起こりやすさと対策についてお伝えしていきます。 

 

 

 

 まず最初に言える事は、間に人を介した段階で情報の歪みは発生するという事です。 

 

 これはAさんが言っていた事をBさんが聞き、Cさんに伝えるという情報の流れを見た時のBさんを指している訳ではありません。 

 

 A→Bの「→」の段階で情報の歪みは起こりえます。 

 

 単純に「CさんがAさんに直接聞けば良い」かというとそうとも限らないという事ですね。 

 

 これには情報量と脳の働きが関係しています。 

 

 このブログでも度々お伝えしている通り、人間の脳は過負荷を防ぐ為に、無意識に情報を取捨選択しています。 

 

 また、数多の要素が複雑に絡み合って、一つのゲシュタルトを構築している昔ながらの稽古法というものは非常に情報量が多いため、人の脳は全てを理解するのではなく、手近に理解しやすそうな物から拾っていくのです。 

 

 この問題の対処法の一つは、まずこの情報伝達でミスが起こりやすい事を認識しておくことです。 

 

 チェックポイントとして「これは聞いた話だから、聞き間違い、解釈間違いがあるかもしれない」と思っておくことで、間違った思い込みのまま問題点をスルーする危険性はグッと下がります。 

 

また、他にも何度も確認して補正するという事が挙げられます。 

 

 前回の記事で挙げた「師範が関東式押し合いを否定した事件」これに関しては先程のABCの情報の流れで説明すると、B→Cの間での情報の歪みが問題だったわけです。 

 

 しかし、Bに当たる関東の稽古会と、Cに当たる他の地域の稽古会では、稽古の前段階の補助練習の筈が稽古だというように認識のズレが生まれてしまいましたが、実際に関東の稽古会で習っている私は、この記事が書ける位には関東式が補助に過ぎない事を理解していたんですね。 

 

 仮に関東の稽古会をB、そこで習う私をB‘とするならB→C間には齟齬が生じていましたが、B→B‘では大きな齟齬は無かったという事です。 

 

 これは、私が「関東式押し合いの意味」を何度も聞く環境にあった事に起因します。 

 

 一度の説明で聞き落としていたとしても、何度も説明してその都度補正していけば、間違った認識は定着しにくいのです。 

 

 後は、考えを止めない事ですね。 

 

 聞いた言葉だけで短絡的に納得するのではなく、その背景にまで思考を広げる事ですね。 

 

 これは過去の記事にも書いた事ですね。 

 

 

 これに関しても、ともすれば想像した背景に間違いが起こってしまう事はあり得るのですが、その危険性は理解した上で大きく視野を広げれば、他の事象も今の認識の正誤を判断するのに役立てられるのです。 

 

 今回の話を全て総合すると、結論は情報伝達のミスを見越して修正ポイントをたくさん用意しておく事になります。 

 

 三回もかけた割に凡庸な結論と思われるかもしれませんが、絶対的な解決策は「ある」と思ってしまった方が危険です。 

 

 ある程度のリスクは受け入れて、すぐに対策を講じられる様に備えましょう。