今回はこのブログでも度々取り上げられている学ぶ姿勢についてのお話です。

 これまでは素直に受け止める肯定的に見るなど比較的受け身的とも取れる内容でしたが、視点を変えて能動的に解釈していくために必要なマインドをお伝えします。

 

 

 タイトルになっている言葉、これは受け売りで確かオーケストラの練習後の呑みの中でブルース・リーのセリフの解説の中で出てきた言葉だったと思います。

 

 何かを習う事を遠くの物を指差す事に例えています。

 

 何かを指差しているのにその人の指先を見ても仕方がないだろう。しかし、同じレベルの事は起きがちだとの事でした。

 

 これは中々に納得のいく話だと思います。

 

 特に権威ある指導者に教わるときほど注意した方が良いことなのですが、「〇〇がこういっていたから正しい」という主張をする人はしばしば現れます。

 

 大事なポイントは指導された内容である筈なのに、指導者の威光の方に注意が逸れてしまっているのです。

 

 少し強い言葉を使いますが、上記のような状態は教えて下さる方に対してもとても失礼なので必ず自分がそうなっていないか気を付けてそうなってもすぐ改善できるように心掛けて下さい。

 

 少しイメージをしてもらえば分かりやすいと思うのですが、自分が何かを教えようとしているのにそっぽを向かれたとするととても嫌な感情を抱きますよね?それと同じです。

 

 それが仮に指導者への尊敬の念だったとしても、相手の伝えたい事を軽視していることには変わりが無いということです。

 

 

具体的な例を挙げましょう。

 

 合奏をしているときの話です。ハモりの部分が上手くはまらない時に先生がもう少し高く、または低くとアドバイスをする事がよくあります。

 

 それを踏まえてもう一度和音を作った時にやはり上手くいかずそうすると先生が逆のアドバイスをするという事も頻繁にあります。

 

 冷静な視点で見ればピンと来るとは思うのですが要するに求める音程に対して相対的にどうであるかを述べただけですね。

 

 しかし、ここでアドバイスを「先生が言った事」と認識してしまうと非常に面倒な事になります。

 

 目的に対しての自分の位置が分からずに先生の言葉だけ追うと「さっきと違うじゃないか」と感じてしまうのです。

 

 まだ一人の先生からの指導なら直接のやり取りの中で誤解を解く事も出来ますが、それこそオーケストラの様に個々のパートの先生と指揮者が居る場合はさらなる泥沼にはまります。

 

 「この前〇〇先生からはこうしろと言われたんですが」というような質問が出てきます。

 

 これが厄介なのは下手をすると無用ないざこざを招く所です。

 

 アドバイスの理解が「先生が言ったから」で止まってしまっている人は、ここでパートの先生と指揮者のどちらかが正しいと優劣をつけてしまいがちなのです。

 

 下手をするとその質問が敵対的なものかと疑心暗鬼を招き、誰一人悪意が無くても悪い印象がついてしまいます。

 

 オーケストラに限らず、他の活動でも、仕事の指示系統でも似たような事は起こりやすいです。

 

 

 では、このような事態を招かないために、何を心掛ければ良いでしょうか。

 

 まずはじめに心掛けるべきは人によって視点が違うことを理解する。ということです。

 

 私とあなた、楽器の初心者とプロの奏者、同じプロでも人が違えば着眼点が変わるという事を常に意識するのです。

 

 その認識があるだけで、直ぐに理解出来ない説明に対して短絡的な正否の決め付けは起こらなくなるはずです。

 

 次に、目的と自分の立ち位置を把握するよう努める事です。

 

 先程例に挙げた音程で言うならば真に出すべき音は何なのか、それに対して今自分が出した音は高いのか低いのかといった事を認識するように心掛けるのです。

 

 勿論、正確に目的と自分の立ち位置が分かるのは理想ですが、すぐに理解出来なくても目的の理解か自分の立ち位置の把握か、足りていないものが分かれば間違った方向の努力をせずに済みます。

 

 最後に上記の2つを理解した上で発言者の視点で意味を考えるという事です。

 

 指導されている立場であって、実力が同格で無かったとしても相手の発言の背景に何があるのか理解するのです。

 

 そういった思考を持っておけば仮に自分に足りない知識が前提になっていたとしても何を得れば同じ景色が見えるのかを見つける事が出来ます。

 

 その上で相手が何を見ているのか、何に働きかけようとしているかを理解できれば効率の良い学びを得られるのです。

 

 初めに挙げた要点は認識するだけで良いですし、残りの2つはすぐに理想の状態にならなくても努力する姿勢だけでも効果が出ます。

 

 皆さんも是非このマインドを利用してみてください。