世界でたった4人だけの
正直なところ、
私の少女時代はそこそこ不幸だったと思ってきた。
詳しく語るとそれが現実として重くなりそうなのと、
あまりにもプライベートだからここでは書かないけど、
あたたかい団欒が繰り広げられるドラマの中の世界とは異なる、
寂しさと孤独と「なんで」に常にさいなまれている
20数年間だった。
そんなこんなを経て、今は私が描いてきた家族仲のよさが
それなりに体現されている形態に落ち着いて。
だいたい家族の話をすると「仲いいねー!」と驚かれるし、
親と電話していると「友だちみたい!」と必ず言われる。
でもどこかで、親の愛情に対する100%の肯定っていうのは
自分の中で腑に落ちてなかったんじゃないかなあ。
ところが。
20代も半ばになろうとしているわが妹に彼氏ができ、
結婚前提を匂わせるおつきあいをしていると家族に報告があり、
それをきっかけにちょっとした騒動に発展。
何度か皆でご飯を食べたりその彼がおうちに泊まりに来たりは
しているものの、彼の性格的になのか、いまいち何を考えているのか
つかめない部分があって。
親はそこに対して不信感とまではいかないけど微妙な感情が出てきていて、
妹は妹でまあ好きなようにしていて、なんだかぎくしゃくしていた。
親はやっぱり娘がかわいくて、そりゃおうちにいてほしいもんね。
で、業を煮やしたパパが、
「何考えてるのかわからない。とりあえず連れてこい。」
とお酒の力を借りて妹と彼を呼び出したのです。
でね、当日私は若干の二日酔いで頭すっごーい痛かったんだけど、
「家族会議」という名目で強制参加だったわけです。
ちょっと憂鬱だった私。
基本的に「親は親、子どもは子ども、それぞれの人生」って思ってるし、
「好きなように生きなさい」って妹にも常々言ってるし、
というか私がそれを地でいってるからそれ以外言えるわけもなく、って感じで、
何話すんだろーと思ってたの。
恋はノンストップだし、まあ結婚してもおかしくない年齢だし、
結婚させてしまうのかなーとか、かるーい気持ちだったし。
ところがところが…
私の家族観を見事に覆すような劇的な体験になった。
パパは昔から、「好きなようにやりなさい。人には迷惑をかけないように。
自分の責任で。」とずっと言ってくれていて、
門限はあったけど基本的に何かを反対されたりとかっていうのはなく。
自由にさせてくれて、いつも最終的には認めてくれてた。
社会に出る時も会社を辞める時も旅に出る時も、いつも事後報告だったけど、
それでも決して怒らないで、「おまえがそう決めたなら」って包んでくれた。
(やばい、すでに泣きそう)
反対にママはすっごく女々しくて、いまだ子離れできていないタイプ。
とにかくそばにいてほしい、結婚もしなくていい、ずっと一緒に暮らそう、
っていう子どもべったり。
娘もそれに甘えてきたし、だから友だちにように仲がいいっていうのはあるんだけど、
でもその分しつけとか「あれやっちゃだめ、これやっちゃだめ」が異様に多くて、
何かする度に必ず反対から入るから、私も妹もいつしかママには重大事を
話さなくなっていったり。
そんな、ふたりを足して2で割ったらちょうどよい、っていう両親のもと、
とにかく私は全部自分の意志で決めてきたってぐらい自由を尊重してもらってきた。
それについてはすごく感謝してる。
今回、そんなパパの思いを初めてぐらいに直接聞いた。
「そりゃパパは娘がかわいい、そんなの当たり前で、大事に決まってる。
だから何考えてるのかわからないような奴に娘は渡せないし、
一緒になりたいなら「娘さんをください」って言わない限り渡さない。
でもおまえの選んだ人だからパパは信じてるし、
もし結婚してうまくいかなくてもいつでも帰ってこい、って思ってる。」
パパは強がりで、家族で唯一の男だから寂しさも出さない。
何でもいつも、いいよいいよ好きにしなさい、って選択を委ねてくれてたけど、
見えない部分できっと、そうじゃないだろって思ったり心配だったりを
数え切れないほどこらえてきたんだな、って思った。
(反対にママは全部口に出すからある意味わかりやすい)
でね、結局妹とその彼氏は直近で結婚だなんだってわけじゃないってことで
なぜか落ち着いたんだけど、最後にパパが私に向けて言った一言が、
「こんな風になんやかんややってるけど、
おまえも好きに彼氏つくればいいし、好きなようにやりなさい。
何も遠慮することはないし、おまえの人生なんだから、な。」
って。
私これにはぐっときた。
いつも言ってもらってきたおなじセリフだけど、
ぐっと口に出さずにきた思いをやっと吐露できたこの場でも、
まだおなじことを娘に言える強さ。
口先だけの「尊重する」じゃなくて、
ちゃんと言葉にして背中押してくれて、
でも帰る場所はここだよ、って見守ってくれる懐の広さ。
私の性格とキャラクターのせいで、
普段はやれかわいくないだの太っただのそんな扱いで、
幼心にかなり傷つき、それが多分にトラウマにもなってきてて。
(図太いと思われがちだけど、その実かなり繊細なんだけど、
周りは誰も信じてくれない)
もちろん娘を大事に思ってくれているのは20何年間も一緒に暮らしてきて
わかってるにきまってるんだけど、それをこうやって言葉で面と向かって
伝えてくれたことで初めてそれが確信になったというか。
ママは「寂しいのよ」って涙、
妹は「伝わらなかった」って涙、
パパはその光景に涙、
私はパパの家族への知られざる思いに涙、
って感じで、外食してたのに涙尽くしのテーブルだった。
この家族で幸せだな、って思った。
見せかけじゃなく、思い込みじゃなく、ちゃんと心から。
繕った思いとか、その場の空気につられてとかじゃなくって。
結婚式とかでね、子どもから親への感謝のお手紙とかっていうのは
あるけど、親のそういう思いを聞くチャンスって実はないんじゃないかなあって
思ったな。
恋人だったら「私のこと本当はどう思ってるの!?」とかって
聞けないこともないけど(聞かないけどね)、
親子って一番近いのに、一番近いから、言葉にしないことがたくさんあるんだ、って思った。
親孝行ってよくわからなかったけど、
子どもから親への感謝をきちんと伝えること、
そして親の思いも聞くこと、
なのかな、ってなんとなく見えた気がした。
というわけで、地震直後よりも失恋直後よりも、
あの家族会議の後の方が直帰&週末おうちな気分になってる。