J1リーグ第2節。注目の判定・注目の試合をピックアップし、簡単に講評する。

 

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Referee Topics

 

W杯レフェリーが来日!

 

 川崎F vs 磐田
(主審:飯田淳平 VAR:木村博之)

 

 

 神戸 vs 柏
(主審:イスマイル・エルファス 副審:コーリー・パーカー、カイル・アトキンス VAR:山本雄大)

 

 
審判交流プログラムの一環として、アメリカからの審判団が試合を担当。前半28分、ヘディングを試みた関根の膝が汰木に入ったシーンに三木谷社長はお怒りのようだが、「ファウルを採ってもよいけど…」くらいのアクシデンタルな接触であり、目くじらを立てるほどではない。(もちろん怪我を負った汰木は不運だとは思うが…)
 
エルファス主審とパーカー・アトキンス両副審は2022のカタールワールドカップにも派遣されており、現時点でのアメリカ審判界のトップランナーと言える。イスマイル主審はモロッコ系のアメリカ人で、U-20のワールドカップや東京五輪、FIFAクラブワールドカップなどで決勝トーナメントの主審を務めたこともあり、国際舞台での経験は比較的豊富だ。日本との所縁…という点では、ベスト16の日本vsクロアチアの主審を担当している。
 
カタールワールドカップでの印象としては、大柄ながらスプリント回数が多く、争点に近寄って判定を下そうという意識を強く感じる主審であった。ファウルの基準はややブレることもある印象だが、コミュニケーションを積極的にとって選手と信頼関係を築くタイプ。ワールドカップのカメルーンvsブラジルで、得点後にユニフォームを脱いで退場となる選手に対し、笑顔で握手をかわしながらカードを提示したシーンは世界的にも話題になった。

 名古屋 vs 町田
(主審:今村義朗 VAR:小屋幸栄)

 

 
87分、自陣でボールを受けた米本がスリップ。ここにプレスをかけた藤尾がボールを奪うと、米本が藤尾を引き倒してしまい、一発退場となった。ノーマルスピードで見ると守備側のカバーが間に合っているようにも見えたが、ファウルが起こった瞬間の静止画を見てみると、藤尾の行く手を阻むのに十分な位置ではなく、DOGSO(決定機阻止)で一発退場という判断は妥当だろう。
 

 G大阪 vs 新潟
(主審:髙崎航地 VAR:池内明彦)

 

71分、コーナーキックのこぼれ球を拾った倉田に対して新井がスライディング。シュートブロックの意図だとは思うが、倉田にがっつりスパイクが入ってしまった。VARレコメンドによるOFRの末にPK判定となったが、判定に異論を唱える者はほとんどいないだろう。

 

 
31歳の髙崎主審は昨季にJ1デビューを果たすと、今年からは国際審判員にも登録され、若手審判団の出世頭として審判委員会の期待も高いと思われる。今回のシーンでは角度をうまく作れず串刺し気味になってしまい、見極めに失敗したが、今後に活かしてほしいところだ。
 
昨季限りで引退した松尾一主審をはじめ、Jリーグを長く支えてきた審判員の多くが40代を迎えており、20代・30代の若手・中堅の飛躍に期待したい。

 

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各試合の講評

 

堅守に綻び。名古屋2連敗。

 

 名古屋 vs 町田

 

昨季無敗だったホームでの開幕2連戦でまさかの2連敗。グランパスは堅守が崩れて2試合で4失点を喫し、攻撃はいまだにノーゴールと厳しいシーズン開幕となった。

 

要因は様々考えられるが、チームのベースとなっていた守備が崩れているのは大きい。DFリーダーの中谷が退団し、ベテランの丸山も移籍。守備陣を統率し、強気なラインコントロールを見せていた中谷の穴は大きく、3バック(場合によっては5バック)がズルズル後退して「受け」に回るシーンが目立つ。

 

センターバックタイプを3枚並べる布陣だが、守備面では重心が後ろになってしまい、結果的に攻撃にも厚みが出ていない。攻守のバランスを改善し、重心をやや前にする意味でも、4バックの採用は一考に値するだろう。

 

グランパスがこだわってきた1トップ2シャドーを成り立たせていたのは、推進力とキープ力に優れたマテウスだったはずで、彼が不在になってからは攻撃の質が大きく低下している印象だ。森島はマテウスほどの「馬力」がないので、4-2-3-1などのほうが良さが出るタイプ。現陣容の選手適性をふまえてどこまで修正できるか…は、経験豊富な長谷川健太監督の手腕が問われるところだ。