しろがねの葉
しろがねの葉Amazon(アマゾン)しろがねの葉 [ 千早 茜 ]楽天市場(あらすじ)※Amazonより戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と未知の鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働き出す。しかし徳川の支配強化により喜兵衛は生気を失い、ウメは欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出されて……。生きることの官能を描き切った新境地にして渾身の大河長篇!※物語全体について詳細に触れています。ネタバレにご注意ください。◆◇第168回直木賞受賞作である。↓あもる一人直木賞(第168回)選考会の様子はこちら・・『あもる一人直木賞(第168回)選考会ースタートー』2022年最後の日にこんな話題でいいのか・・という気もするが、追い込まれないと何もしない私らしいっちゃ私らしいってことで・・・芥川賞、直木賞候補作決まる 選…ameblo.jp『あもる一人直木賞(第168回)選考会ー途中経過1ー』「おい直木賞選考会、やるのかやらないのかどっちなんだい!や~る~。ぱわー!」←2周遅れであもちゃんお気に入りのなかやまきんに君。今度こそ間に合わないんじゃな…ameblo.jp『あもる一人直木賞(第168回)選考会ー途中経過2ー』まだまだ先、とおもっていたらあっという間に本物の選考会の発表日がすぐそこに。いやいや、まだ数日あるやん、とかお思いのあなた!超重量級(重さ)の1作が残ってるん…ameblo.jp『あもる一人直木賞(第168回)選考会ー結果発表・総括ー』ふーーー!なんとか間に合った!!!最後に残った、この一番左の超重量級(重さ)の「地図と拳」。朝晩の通勤時間と帰宅後の隙間時間に集中して読んだら2日で読めた!…ameblo.jp『2打席連続場外満塁ホームラン速報。』タイトルがハチャメチャなのは許してもらおう。それくらいすんごい奇跡が起きたのだから!(一応、当てにいっておいて奇跡って言っちゃう)眠れる獅子・・・ならぬ眠れ…ameblo.jp『本物の直木賞選考会(第168回)ー結果・講評ー』広島東洋カープの新井貴浩監督が高野山清浄心院で護摩行に臨んだ日、私は千年に一度の奇跡を起こし、その夜心ゆくまであつ森をやった。W受賞&受賞作を見事当ててやっ…ameblo.jp『たたかい終えて(第168回直木賞)。』あっという間に3月。信じたくないが、とうとう・・・花粉症になったっぽいんです!!!わ〜ん><とはいえ花粉症の症状が出たのはおとといまでの数日間。昨日から全然…ameblo.jpこの第168回はW受賞回。千早さんのこの作品ともう一方の受賞作は小川哲『地図と拳』であった。『地図と拳』地図と拳 (集英社文芸単行本)Amazon(アマゾン)2,420円地図と拳 [ 小川 哲 ]楽天市場2,420円(あらすじ)※Amazonより「君は満…ameblo.jp当てるだけでもすごいのに、この回は2作とも当てるという奇跡を起こしたあもちゃん!もうあと1000年は奇跡は起こらないであろうとその時は思ったね・・・きっと日本に数名いるとかいないとかいうあもるファンもそう思ったであろう。が、しかし!!!!いや〜まさか169回の直木賞でも続いて奇跡を起こすとは!!!←言いたい笑これはもう奇跡でもなんでもない、ただの日常ですね!うむ。それはさておき、千早さんのこちらの作品。素晴らしかったね〜。受賞作2作品とも素晴らしい作品だったが、どちらかというと私は千早さん推しであった。しかし満票を獲得した小川さんに対し、千早さんは満票に近いも次点で、それでも強く千早さんを推してくれた選考委員が多数いてくれて本当に良かった。そんなわけで私は千早さんを推す人の方が多いだろう、と小川さんの落選を勝手に心配していたのだが、まさかの逆〜。いずれにせよW受賞で良かったです!そもそも千早さんとの出会いは最初から悪くなかった。というか最初から好印象であった。が、この作品を読んで、千早さんってこんな野太い小説を書くようになったんだなあ・・と、もうまぶしいものを見る思いであった。これまではこんな感じの作品を書いておりました↓『あとかた』あとかた/新潮社¥1,512Amazon.co.jp淡雪のごとくはかない読後感。(あらすじ)※帯、Amazonより結婚直前の女、家庭の危機に気づかない男、不倫…ameblo.jp『男ともだち』 男ともだち (文春文庫) 734円 Amazon (あらすじ)※Amazonより29歳のイラストレーター神名葵は関係の冷めた…ameblo.jpあとは面白かったのはコレ↓犬も食わない(新潮文庫)Amazon(アマゾン)そんな千早さんがこのたび書いたのは、戦国時代末期の石見銀山で生きる少女ウメのお話。読み始めた時、まさか千早さんが時代物を書くとは思っておらず目を疑ってしまった。しかし私の驚きなんてなんのその、いきなり冒頭から読ませるんだ、これが。物語はウメを含む家族全員が、村の保存米を盗んで夜逃げするところから始まる。この夜逃げのシーンがまずいきなり壮絶。この迫力あるシーンで、千早さんの高い日本語力を駆使した表現の厚さにあもちゃんの心は鷲掴み。逃げる途中、ウメの母親が「ウメ!先に、いき!日の沈む方へいきんさい!」と叫ぶのだが、あ、広島が舞台か。←○○んさい、が広島。と、まだどういう内容かわかっていない状態で読んでいるときはそう思ったのだが(それまでの村人らの会話で、岡山か広島近辺とは思っていた)、その後石見銀山の話だと知り、へ〜島根も山陽と同じような方言使うんだ〜と、どうでもいいことを思いました。同じ中国地方だけど、よくよく考えたら島根・鳥取の方言ってよく知らない。(ついでに山口も)かまいたちの山内が島根出身だけど、島根弁しゃべってくれないしさ。その点千鳥の大悟は、岡山の実家の近所のジジイのような話し方するから、大悟が話すたびに望郷の念に駆られる(笑)そんな中国地方の話は置いといて、ウメは生きるためにとにかく必死であった。そしてウメには強さも賢さも、そして天性の感覚があった。幼いながらもそれらを駆使して力強く生きていくウメの姿は、全くスキのない、文句のつけようのない描写であった。またウメが女性である以上、必ずぶつかる事象が「生理」であり、心は拒んでも体は日々、女性の体になっていく。丸みを帯びる、というやつ。女性になっていく自分とどう折り合いをつけて、生きていくのか。そういう描写もいちいちが美しく、たくましかった。あと細かいなあ、と思ったのが生理用品。昔の人ってパンツ履いてないって言うじゃないですか。男の人はわからないかもしれないが、パンツ履いてなくて生理の時どうしてたの!?といーっつも思っていた私。安心してください、この作品ではちゃ〜んと生理用品についても書いてあるの!すごい!芸が細かい。しかも男手で育てられているから、ウメは生理のことなんかわからなくて、ぎょえ〜ーー!血が出てる〜!と慌てふためくのだ。そらそうだ。親がいないとか親に大事にされなかったなど、そういう描写に「生理」という手法を使うのってわりとあるあるなんですかね。河﨑秋子氏の「絞め殺しの樹」では、母親が自分が生きるのに必死で、娘に生理が来たことに気づけなかったシーンがありました。娘が生理で汚れた下着を押し入れに隠してたの。(子供って不安なことや悪いことを基本隠す。自分に初めて生理がきた時のことを思うと、その気持ちや行動がすごくわかる。実際隠したんだよね、私。その話もいつか・・できるかなぁ笑)それを娘が亡くなった後に見つけて、母親は自分の至らなさに絶望・・という描写。あのシーンは苦しかったなあ。娘の生理に気づけるかどうかというのは、家庭環境のバロメーターと言えるかもしれない。絞め殺しの樹Amazon(アマゾン)それはともかく、シルバーラッシュに沸く戦国時代末期の石見銀山の話を描きながら、それと並行するように現代にも通じる女性の自立や多様性などの話題も上手に絡めて書いてあり、その絡めかたが実に上手く、時代小説でありながら石見銀山で働く女児、というそもそもの着眼点も面白く、その点も高く評価できる作品。とにかく全体的にすごく上手に書いてある。本当にそれが素晴らしい。直木賞、獲るんじゃないか。というかこの作品で千早さんに直木賞を獲ってもらいたい!と強く願った結果、それが叶って私はすごく嬉しかったよ。この作品のすごいところは、力強く生きる!とかそんな薄っぺらい話ではなく、1つ1つ、1文字1文字が常に重い。帯に「男たちは命を賭して穴を穿つ。山に、私の躰に」とあったが、千早さんは命を賭して1文字1文字を書き付けていったのだろう、そんな作者の荒い息遣いまでもが聞こえてくる作品なのだ。(書き付けたといっても、パソコンで1文字1文字入力していった、のかもしれんが・・・なんか味わいが落ちるのう・・とキーボードを叩きながら思う私〜笑)ウメの日常はいいことばかりではない女性として生きる辛さ、とかそういう軽いことから、本当に辛いことまで色々なことが起こる。時には残酷な事件も起こり、そして起こした。自分らしく生きるだなんてとうてい困難な時代に、ウメは自分の手で自分の人生の手綱を握る。周りの愛する人たちの命が次々にこぼれ落ちても、ウメは必死に生に食らいつく。そしてウメの旦那である隼人(命が消えつつある)が、ヨタヨタしながらも銀山で働く姿にわたしゃ思わず泣いてしまいました。その描写がとにかく圧巻。というか他のところもとにかく素晴らしい。強い!一言で言うと、それ。さらに追加するなら、太い!とにかく描写が力強くて、芯が太い。心理描写だけでなく、石見銀山から海に抜けていく情景描写もそれはそれは美しくて過酷。銀山の坑道の様子も手に取るようにわかるし、どこを切り取って読んでもスキがない。千早さんってこんな書き方もできる人だったんだ・・と、推し続けて良かった!と心から思った。ところでさきほど挙げた帯なのだが。「男たちは命を賭して穴を穿つ。山に、私の躰に」どういうこっちゃ!?卑猥な意味にも受け取れるんですけど!!!!とか思うじゃないですか。・・そうなんです、そのままの意味でいいの。卑猥とかそういうことじゃなくて、本当にそういうことなの。帯に書いてあって心の準備はしてあっても、その10000倍はキッツイことが本文には書かれている。でも目が離せない。そして辛くない方の幸せな意味では、ウメは子供をたくさん出産しております。その子供たちの命も・・・それでもウメは長く生きていく。自分の手で自分の人生の手綱を握って、そういう人生の選択をしていくのだ。本物の選考委員の方々が揃って「千早さんの文章がいい」と書いており(オール讀物で)、そうなんだよね〜簡潔でいい文章を書くんだよね〜。と私も千早さんの作品を読むたびに思っていたのだが、千早さん、幼少期はアフリカのザンビアに住んでいた、との情報を知った。海外在住経験のある作家さんの文章って割と特徴があって、くだらないことへの勘だけは鋭いあもちゃん、すぐにその独特の空気感と匂いを文章から嗅ぎとっちゃうのだが、千早さんの文章からはそれが全くわからなかったのだ。うーん、あもちゃん久々(←え?)の失態!!!と思っていたら、千早さんのお母さまは国語の先生だったらしく、海外在住時にも毎日日記を書き、母親から文章の添削をされていたとのこと。あ、それならなるほど納得〜の瞬間であった。←だからあもちゃんの失態ではない!!!と言いたい。受賞作発表の日、講評に立った選考委員の宮部(みゆき)さんによると、この千早さんの作品が候補作の中で一番ページ数が少なかった、とのこと。言われてみればちょっと薄めだったかも、とは思ったものの、今の今まで作品の内容の重厚さに圧倒されてそのページ数の量には全く気づかず、であった。この圧巻の物語をぜひ手に取って読んでもらいたい。宮部さんが言うように作品全体としては短めだし、本当におすすめ。