オリンピックだったら銅メダル。 | 感傷的で、あまりに偏狭的な。

感傷的で、あまりに偏狭的な。

ホンヨミストあもるの現在進行形の読書の記録。時々クラシック、時々演劇。

※ピアノ話についてのおさらい

20年という長い空白期間を経て、2018年1月からピアノレッスンに通っています。

(登場人物)

 モネ先生=私の現ピアノの先生

 

 

モネ先生に内緒で勝手に出演することにしたピアノの本番、先月無事終えた。

前回は責任重大のリレー演奏について書いたが、今回はソロについて。

 

>私にとってこの日のメインは自分のソロではなかった。ソロで大失敗したとて自分が赤っ恥をかけばそれですむのだが・・

 

前回の記事で上記のように書いたが、そうは言ってもできることなら大失敗なんぞしたくない。

できることはやろう、とシューマンのピアノソナタ第2番の第1楽章をソロ演奏曲として申請し、第1楽章はこの日が仕上げくらいの心意気で練習に励んだ。

 

モネ先生の通常レッスンでは全楽章総仕上げのため1楽章ばかりに力を注げない。

だが、毎度レッスンのたびに第1楽章を鬼の形相で弾く私の気迫から何かを察したのか、モネ先生も1楽章を中心にビシバシ指導をしてくれた(何かに気づいてるのかもしれん笑)。

 

そして迷いに迷ったのだが、この本番では約30年ぶりの暗譜に挑んだ。

本番では視奏している人もいたし、別に暗譜の必要もなかったのだが、

(1)12ページもある楽譜を譜面台に載せられない&弾きながら楽譜をめくる技術もない

(2)光速の曲のため、そもそもあまり楽譜見てない

以上の2点から、暗譜で演奏しようと本番数ヶ月前に覚悟を決めた。

 

暗譜をすると覚悟を決めてからは暗譜も意識しながら練習を進めた。

子供の頃は何度か弾いているうちに勝手に覚えていたのに、これがまあ暗譜が落ちる落ちる。

加齢でしょうね・・・遠い目。

毎回決まったところが落ちるならまだしも、満遍なくあちこちが落ちる。

いやいや、昨日まで普通に弾けてたやん、と自分で自分が怖くなった笑

冒頭の出だしからわからなくなった時はさすがに震えたね。

 

1つ分かったのは「指が覚えている」というのは大変危険ということである。

頭でちゃんと音楽の流れと音符の動きを理解していないと暗譜はかなり危ない。

指が覚えていると思っていても何か事故(ミスタッチ等)があった時に、次が出てこなくなる。

だが頭で楽譜を覚えていれば事故があってもその後も続けることができる。

(そしてこの方法が実際の本番で活きることになる)

 

・・・とまあ、言うのは簡単なんですがね・・

 

そんな暗譜の不安を抱えながらも何より大事なのは演奏の内容である。

本番1週間前に演奏のピークを迎えた私。

暗譜もバッチリ!

演奏も安定し、常に90点以上の演奏ができるようになった。

 

いや、これ、もう成功しか見えないや〜ん。

よかった〜。

本番に間に合った!!!!

 

と思って、嬉しがってがむしゃらに練習を重ねていた本番2日前。

突然弾き崩れを起こし出す。

どう弾いてもなんかイマイチ。

それだけならまだしも、指がうまく動かなくなり、負の連鎖で完璧だった暗譜もアヤシクなってきた。

 

この現象って本番直前あるあるで、1度はみんな経験したことあるんじゃなかろうか。

近いところだと、私は数年前の教室の発表会(ラフマニノフの前奏曲2曲)でそれが起きた。

 

こういうとき、どうしたらいいか私は知っている。

練習を全てやめるのだ。

一旦ピアノから離れる、これ一択。

 

ただね・・・

数年前は弾き崩れを起こしてから本番まで1週間あったため、練習を減らして弾き崩れを乗り越えたが、今回は本番まであと2日しかない状態で弾き崩れが起きた。

ピアノから離れるとか、練習を一切しないとか、凡人あもちゃん怖すぎて出来なかった。

でもやればやるほど形が崩れていく。

これにはめちゃくちゃ焦ったね。

こういう時って経験値がものを言うのだろうが、圧倒的に私には経験値が足りなかった。

それに私が若い頃はそんな経験したことなかったし。

なぜなら弾き崩れを起こすほど練習してないから!!キリッ!!(エラソーに言うことか)

 

色々な失敗や経験を重ねて、だんだんうまくなっていくんだね〜

など呑気なことを言っている場合ではない。

 

どう弾いてもうまく弾けないよう><

わ〜ん><

指が思うように動かなくなってきちゃった><

 

弾き崩れが治らず、もがき苦しんでいた本番前日。

何も知らないモネ先生のピアノレッスンの日であった。

 

正直、本番直前にレッスンを受けることで逆に迷走しちゃうかも・・

とは思ったものの、

この弾き崩れの状態をどうにかできるかもしれん!

と救いを求める一心でレッスンに臨んだ。

 

とはいえ、明日本番で〜なんて言えないけども。

よっぽど言いたかったよ。本音は。

でも今の今まで内緒にしといて、いきなり明日本番で、とか言われてもモネ先生も困るだろう。

 

私「1楽章を練習しているうちに迷走しちゃって・・・うまく弾けなくなってきたんです。」

モネ「仕上げの時期になるとそういうことって起こりますよね〜。わかります〜。」

←事情を知らないから呑気(笑)

 

私「もっとこう弾きたいとかあるのに全然思うようにいかないし。それだけならまだしも、なんか普通にも弾けなくなっちゃって・・空回りしちゃって><」

←本番前のスランプに必死の訴え

 

モネ「・・・音大生みたいな悩みですね。私があもるさんにすごく高いことを要求しちゃってるから申し訳ないです・・・じゃあとりあえず1度弾いてみましょうか。」

 

〜〜〜〜🎵🎵

 

私(あれ?普通に弾けた。)

 

モネ「今まで聞いた中で一番上手に弾けてましたけど・・どこがダメだったんでしょう?」

私「それが家を出るまではサッパリだったんですが、なんか今はちゃんと弾けました><」

モネ「うまく気分転換できたのかもしれないですね。あえてアドバイスするなら弾き始めが若干硬い音かな。でも許容範囲内です。あと冒頭はもっと勢いよく!速く弾くってことではなく、勢いのある熱い音で。」

 

結局本番直前の第1楽章のレッスンで指摘されたのはそれくらいであった。

いや、それまでの弾き崩れはなんだったん?

ってくらいスムーズに弾けて、それが逆に怖くなった。

 

またいきなり本番で弾けなくなったら・・・?

自分で自分が信じられないまま、迎えた本番の日。

 

不安で寝られなかったらどうしよう・・と思ったのも一瞬、これがまあ驚くほど爆睡できた。

寝たと思ったらもう朝だった。

違う意味で自分が怖いよ笑

 

ドレスとパンプス、一応楽譜、そしてあれやこれや・・・

大荷物を抱えてホールに到着。

さっさと着替えてリレー演奏のリハーサルなんぞしているうちに開演の時間がやってきた。

 

 

 

ところで上記の記事で

 

>音楽やってる人は頭おかしい(但し私除く!)

>すんごくまともな人も多数いるのだが、それ以上におかしい人率多めというか。

 

と書いた私。

これは紛れもない事実なのだが(コラッ)、開演前に控室で雑談した方々は主催者さんを含め、みんなちゃんとしていてマジで安心した〜笑

 

弾き崩れの話をすると、皆激しく同意。

私だけじゃないんだなあ・・と思ったね。

 

ある人は

直前になっていきなり弾きにくくなって、どうしたことか、と思ったらいつの間にか運指が変わっていて、今更元に戻すかどうかすごく悩んだ

と言っていた。

すごくわかる!!慣れのせいか指の動かし方が知らず知らず変わってきてたりするんだよね。

 

ある人は

自分でこの演奏会に申し込んでおきながら、本番当日ホールに不具合が起きて演奏会が中止になってくれないかなあと願っていた

と言っていて、わたしゃ大爆笑した。

さては、学生時代は学校が火事になってテストが燃えてくれないかなあと願ってましたね

と言ってあげました笑

 

ブーーーー。

開演5分前を知らせるアナウンスが流れる。

 

ホールに不具合なんてあるわけもなく、当然火事で燃えることなく、どんなに緊張しようが苦しもうが本番はやってくる。

あとは覚悟を決めて舞台に上がるのみである。

 

大人が頑張る姿というのは本当に美しいと思う。

子供が頑張っているのもそりゃかわいいんだけどさ。

それとはまた別の美しさや素晴らしさがあると改めて思った。

 

しかも・・・

汗かき夫も聴きに来てくれていたのだが

 

「みんなめちゃくちゃ上手くてびっくりした。」

 

と出演者の演奏それぞれを大絶賛していた。

(今まで子供ばかりの教室の発表会しか聞いてないから余計にそう感じたのかもしれん笑)

 

でも、ほんとそうなの。

大人(主に中年笑)中心の演奏会だったのだが、どの人もレベルたっっか!!!

リストの超絶技巧とか弾かれた時にゃ、さすがに腰抜かしたわ。

さらにはプロの方が混ざっていたことも判明。

いや、なんで!!!!

レベル高すぎぃ!!!!

 

そんなわけで自分が弾く楽しみというより、

他の方の演奏を聴くのがひたすら楽しかった本番であった笑

 

そして私の番がやってきた。

舞台の真ん中に立つと、客席のど真ん中に母親が座っていて、それがもうめっちゃツボっちゃって、いつまでもニマニマと舞台上で笑っていたら、その様子を撮っていた汗かき夫が

「いつまでそこでニヤついてるんや!!」

と引いたそうです笑

 

さて楽譜はどうするか、と直前まで悩んでいた私。

保険で楽譜は持って上がったが、譜面台には置かずピアノの脇に置くことにした。

(視界に楽譜が入るのも正直邪魔)

 

はい、楽譜を脇に置いたものの前の演奏者が立てていた譜面台を倒すのを早速忘れる。

しかもその楽譜(とハンカチ)を客側に置いてしまう。

慣れないことをするもんだから、失態続きであった笑

 

ちなみにハンカチはみんな手汗を拭いたり、鍵盤を拭ったりするために持つと思うのだが、私は実は逆。

加齢でもう指やら何やらがカッサカサ。

しかもクーラーガンガンでますますカッサカサになっていた。

演奏するのに手汗びっしょりも困るだろうが、乾燥しすぎなのも鍵盤上でグリップがきかずこれまた弾きにくい。

というわけで、舞台に上がりしっとり濡れたハンカチを一握り、楽譜の上に置いときました。おかげで楽譜がしっとり。

 

そして演奏スタート。

序盤はモネ先生のアドバイス通り熱い勢いのある演奏で始めることができた。

中盤以降もものすごく気持ちよく弾いていて、

 

すごくいい感じ!!楽しい!!!!! 

 

と嬉しがって、歌いながら弾いていたら ←すぐ余計なことするオバサン

終盤、指が鍵盤上で滑っちゃって(ハンカチしっとり効果がキレる)激しいミスタッチから一瞬止まりかける。

 

あ!!!!

 

だが、頭で音楽の流れと音の動きを覚える暗譜作戦の効果がそこで現れた。

冷静に立て直すことができ、そのまま次のフレーズに繋げることができた。

 

大ミスこいても意外と冷静でいられるもんだな、私。

とフィナーレの音を激しく鳴らしながら自分に感心しておりました。

 

まだまだやれたことはあっただろうが、前日の弾き崩れのことを思えば、よくここまで弾けたもんだよ、と大満足で舞台の中央に立ち、聴衆からの拍手喝采(自画自賛)を受けた。

 

汗かき夫もそんな私を褒めてくれた。

 

「前日の弾き崩れを聞いてたからどうなることかと心配してたけど、すごくよかったよ!

 一番ピークの演奏を100点としたら75点だった!」

 

ぜんぜん褒めてなかった笑!!!!!

 

主催者さんが撮ってくれた写真に後日驚く私。

 

やだ、ナニこの背中!!!!!!

背中爆開きじゃん!!!!

というか、背中でっか!お父さんの背中かよ。

 

って自分のドレスやろ?とか思ったそこのあなた。

自分じゃわからんもんなんですよ。

後ろ姿なんて気にしないじゃん?

一応家で試着した時も姿見で確認しましたよ。

でもまさかこんなに背中が開いてるなんて思ってなかった。

 

・・・変な毛とか生えてなかったかしら・・・

まあ生えてたとしても今更遅いけど。

 

演奏の反省会そっちのけで、どうでもいい心配ばかりしておりましたとさ。

 

◇◇

 

ところで帰宅後、汗かき夫がプログラムを見ながら

「今日の演奏の良かった順を発表すると〜」

とか言い出した。

 

1位 プロの人 ←当然や

2位 他の方(←終演後、連絡先交換したんだ〜🎵)

3位 私

 

だったそうです。

妻褒め選手権殿堂入りの汗かき夫、妻を絶妙にいい位置に置くあたり、さすがであります。

1位なわけないし、それだとウソ臭いじゃん?

3位あたりがリアルっぽい。たとえ嘘だとしても・・・><

 

続けて汗かき夫はすごく大事なことを言った。

 

「みんな上手かったし、正直メロディ?や太いところっていうのかなあ。そういうわかりやすいところはあまり差がないんだよね。そうじゃなくて裏でシャラシャララ〜って部分に差があったと思う。その部分が音楽としてつながってるかどうか。それがこの順番だね。」

 

音楽のことやピアノのことを何もわかってないくせに、案外いいとこついてくるのがこの男。

これっておそらく、左手および内声のことを言っているんだと思う。

右手はみんな上手に弾けるのよ。だってみんな上級者なんだもん。

そう、左手が曲を支える縁の下の力持ちであり、メロディを支えるのが内声だったりするのだ。

でもその大事な支えがみんな案外テキトーだったりするんだよね。私も大いに反省したい。

 

そしてさらに汗かき夫が言った。

 

「あもさんって、別れの曲って弾かないの?ああいう曲って絶対あもさんに向いてると思う。」

 

ショパンの別れの曲を弾いた方がいたのだが、その曲を聴いた時、

あもさんならもっと上手く弾けるはず

と思ったそうです。←さすが妻褒め選手権殿堂入りの男、細やかに褒めてくる笑

 

私「別れの曲って好きじゃないんだよね。それに私、そもそもショパンが好きじゃないんだよ。」←ピアノ弾きとしては珍しい

汗「確かに有名すぎて嫌ってのはわかるけど、でもああいう歌わせる曲ってすごく向いてると思うんだけどなあ。」

 

と延々私にショパンを弾けと言っておりました。

 

ショパン、好きじゃないって何回言わせるんや!!!

と言っていた私、それが舌の根も乾かないうちに・・・というお話はまた後日。

 

 

(おまけ)

家に泊まりにきた母と川の字ならぬ二の字になって寝ながら話していたのが、

「こういう企画をする主催者さんがすごすぎる。」

ひたすら母は大絶賛。

「いろんな人がいるだろうし、その人たちを1つにまとめて会を運営するって大変よ~」

と、田舎でいろいろな役員をしていた母から妙に実感のこもった賛辞の声が聞けたのであった。

いや、確かに本当にそう。

ポンコツ教室のピアノの発表会はもう捨てたみたいなもんだし、こういう刺激のあるステキな会に参加できて本当にありがたかった。

それに来年も好評だったリレー演奏に参加することも決まったし、また頑張りたいと思う!!