前回の記事では、我ら一般ピーポーがピアノレッスンを受けるにあたり、何にお金がかかるのかという話についてちょっこし書いてみた。
本来ならば、何にいくらほどお金がかかるのか、と金額についても具体的に触れてもよかったのだが、金額は教室によって違うしレッスン形態も千差万別なため、金額については各自調べてもらったほうがいいかな、とあえて触れなかった。
前回記載した経費は以下のとおり。
・ピアノ本体
・入会費(教室による)
・ピアノレッスン料(毎月)
・ピアノ発表会出演料(年に1〜2回)
・発表会講師謝礼(教室による)
・発表会衣裳
・発表会靴
上記以外で思いつくものとしては、教室までの交通費などなど・・でありましょうか。
そんなもんじゃないの?とみなみなさまお思いになると思うのだが、意外なところでお金がかかるものがある、ということお伝えしたい。これが案外盲点。
それは「楽譜」である。
え〜たかが楽譜でしょ〜?と思う人もいるだろうが、これがなかなかチリも積もればなんとやら・・で案外隠れた出費だったりする。
最初はたとえばバイエル(ピアノ教本ね)などから始めるとして、1冊をきっちり終えてから次の1冊へ・・という感じのレッスンで、最初に楽譜を数冊買ったとしてもそこからしばらくは出費はない。
このバイエル上・下2冊でしばらくはもつ。
ところが・・である。
段々とレッスンが進むと、たとえばベートヴェンのソナタとか、ハイドンのソナタとか、ショパンのワルツ・・など1曲1曲違うものをレッスンするようになっていく。
それらが1冊でまとめられている楽譜・・なんてものは存在しないので、それらを1冊1冊それぞれ買っていくことになる。
たとえばここから1曲レッスンしたとして、それを終えると引き続きこの楽譜の中から1曲・・とはならず(先生の方針にもよるが)、また別の作曲家の曲を習うたびに、楽譜を揃えていくことになる。
うちにも死ぬ程楽譜があるで・・(汗)
話はそれだけではすまない。
というのも、まずは田舎者ことあもるさんの昔話をお聴き下さい(笑)
ご存知のとおりあもるさんは岡山の超絶過疎地のど田舎出身で、ピアノも当然超絶過疎地のピアノの先生に習っていた。
そんな過疎地にも奇跡的に小さな小さな楽器店めいたものがあり、ピアノの楽譜もちょっとだけ置いてあったため、新しい課題が与えられるたびにその楽器店で楽譜を購入していた。
置いてなければお取り寄せとなるが(今ならネットでポチッだが)、先生もその店に置いてある(メジャーな)作曲家の楽譜の中から課題曲をなるべく選んでくれるようにしていたため、お取り寄せをしたことはなかったように思う。
そしてその楽器店に置いてあったのは、春秋社か全音楽譜出版社の楽譜であった。というかそれしかなかった。
そのためあもるさんは長い間、大変な勘違いをしたままとなるのです。
楽譜というのはどの出版社のものでも同じものであると。
・・・言ってること伝わっただろうか?
たとえばベートーヴェンのピアノソナタ第1番(が収録された)楽譜を買うとする。
しかしこの曲が収録された楽譜というのは、春秋社、全音楽譜出版、そしてあれやこれやの出版社から色々出ているのである。
そうすると楽譜というのはどの出版社のものでも同じものであると思っている私は、
値段が違うだけなら表紙がオサレな春秋社のを買〜おうっと。
と自然と春秋社の楽譜を集めるようになっていたし、ピアノの先生も何も特に言わなかった。
ただ一度だけ例外があり、バッハのイタリア協奏曲を弾くことになった時は、
ウィーン原典版の楽譜を買いなさい。赤い表紙だからね。
あの楽器店には置いてないけど、◎◎(一番近くの都会笑)に行けばあるから。
と楽譜の指定があり、私は母の車でエッチラオッチラ買いに行った。
これを買うためだけに母に車を出してもらって都会へ小旅行・・・
本当に母には感謝しかありませんな。思春期時代はあの圧が強めのおばちゃんがうっとうしいだけだったが(笑)
ただそんな小旅行を経ながらも、なぜこの曲だけウィーン原典版を買わされたのかについてはあまり疑問に思わず、きっと春秋社からは出てないんだな、くらいにしか思わなかった。
ここまでが田舎者あもるさんの思い出話であるが、ここまでの話だけでもそこそこ楽譜ってお金がかかるんだなあ・・と思っていただけたと思う。ご静聴ありがとうございました。
さて時は流れ・・・
ピアノを一切触らなくなってから20年以上が経ち、再びピアノを再開することになった今。
最初にドS先生(ピアノ再開時の先生)に与えられた課題はベートーヴェンソナタ第9番の1、2、3楽章の3曲であった。
すでにベートーヴェンのソナタ集は全3巻(春秋社)を持っていたので、持っている楽譜でレッスンを受けた。そしてショパンのワルツ2曲を発表会で弾くも、これまた春秋社の楽譜を持っていたのでこちらを使用。
そしてピアノの先生がドS先生からモネ先生(今の先生)へと替わり、ドビュッシーから何曲かレッスンするも、これまた持っている楽譜を使用(音楽之友社)した。
そして発表会で人生初のラフマニノフの曲を弾くことになった。
→発表会の選曲についてはこちら『風が強く吹いてくる。』
私「発表会ではラフマニノフを弾くことにしたいです。」
モネ「楽譜は持ってないですよね?」
私「来週までに買ってきます。」
モネ「ラフマニノフはブージー&ホークス社のがいいんですが、すごく高いからコピーをお渡ししてもいいですよ。」
私「ん〜、コピーだと私が早い段階でぐちゃぐちゃにしそうなので(笑)、買います。」
モネ「でも外国の出版社だからすんごく高いんですよ・・・」
私「・・・そ・・・そんなに?・・・・ちなみにいかほど・・・」
モネ「5〜6000円くらいじゃなかったかな。」
私「あ、それなら買います。1〜2万するのかと思いました笑」
モネ「さすがにそこまでは笑」
てなわけで早速街に繰り出すも、さすが東京、多数の楽器店や書店があるのですぐに買うことができた。
モネ先生のおっさるとおり、5000円を超えていた。
私「この薄さで(笑)5000円超えかあ。確かに高い。・・ん?」
この楽譜の隣には全音楽譜出版社のものが置いてあった。
ほぼ半額・・・
なぜこの(安い方の)楽譜を使わないのか。
同じ曲でしょ!?
春秋社と全音楽譜出版(ときどき音楽之友社)の楽譜しか知らないあもちゃんは、ものすご〜く疑問に思った。
でも生徒としての能力が天才的なあもちゃん(=先生の言うことを聞く笑)は、言われたとおり、お高いブージー&ホークス社を買って、ホクホク顔で家路についた。
新しい楽譜を買うと気分があがるよね!!
昔のチビあもならそれで終わりだが、さすがに40をとうに超え50歳にも手が届きそうなお年頃のあもちゃん、翌週のレッスンで楽譜を持参し先生に問い質した(言い方言い方)!
私「なぜこの出版社の楽譜がいいんでしょう?」
モネ「ラフマニノフ研究が一番しっかりしているからですよ。」
・・・はて?すっとこどっこいあもちゃんには意味不明。
私「むむ?どういうことでしょう。」
モネ「他の出版社のは解釈が違ったり、音自体が間違ってることも結構多いんですよ。」
えええええええーーーーーーーー!?!?
あ、みんな知ってました笑?
私は初めて知りました。
モネ「出版社によって得意分野があって、ラフマニノフはこのブージー&ホークス社で、ドイツの作曲者ものはヘンレ版のがいいんですよ〜。」
私「ヘンレ版・・・」
モネ「あ、でもバッハはウィーン原典版でいいかな。」
私「赤い表紙の!」←唯一知ってる知識!
モネ「そうそう。」
私の書棚にずらりと並ぶお気に入りの春秋社の楽譜コレクションって一体・・・
いやいや別に否定してるわけではないんですが・・・
そんなわけで長くなったが1曲習うごとに金がかかるのだが、これが意外と盲点。
というお話しでした。
ところで発表会を終えた私、次の課題はブラームスのインテルメッツォop.118である。
ブラームスをあまり弾いてこなかった私、こちらも楽譜を持っていないので買うことに。
【輸入楽譜】ブラームス, Johannes: ピアノ小品集/原典版/ボイド運指/Eich編 [ ブラームス, Johannes ]
楽天市場
4,730円
ブラームスはドイツの作曲家なので、当然モネ先生おすすめのヘンレ版を買いました。
楽譜 ブラームス ピアノ曲集2 BRAHMS / 全音楽譜出版社
楽天市場
2,640円
全音ならほぼ半額・・・。いやいや、いいんですけども!
私の前でレッスンを受けるピアノマンの演奏を聞きながら、待ち合い室でレッスンを待つ私。
ヘンレ版の楽譜って高いけどちょっとステキ。
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