読書感想文なんかこわくない!〜上級編〜 | 感傷的で、あまりに偏狭的な。

感傷的で、あまりに偏狭的な。

ホンヨミストあもるの現在進行形の読書の記録。時々クラシック、時々演劇。

下手でもいい、オリジナルの読書感想文を書いてほしい、と始めた読書感想文応援企画。

本日は最終回の上級編である。

 →初級編はこちら『読書感想文なんかこわくない!〜初級編〜

 →中級編はこちら『読書感想文なんかこわくない!〜中級編〜


 

※今回も、第64回青少年読書感想文全国コンクール小学校高学年の部(5、6年生)の課題図書であるこちらを使って解説していきやす。

 

『初級編』では課題図書の表紙を見つめて書いた。

『中級編』ではベテランレポーターのごとく語って書いた。

 

それだけでも充分読書感想文として成り立っているのだが、これだけだとなんだか平面的で淋しいじゃありませんか。

 

そんなわけで、ちょっと読書感想文という世界にスパイスを加える上級編!

 

『他の作品(もしくは自分の体験)と比べて奥行きを出す』』

 

ここでいきなりお詫びをしなければならないのだが、この手法は私オリジナルのものではない。

大学1年の時(2年だったかも)、『伊勢物語』の授業をうけていた私。

 

 

その日は年度末最後の授業で、課題としてレポートを提出するように、と大学4年時には卒論指導していただくことになるH先生が説明するのをぼやっと(コラッ)聞いていた私。

そのときH先生は言ったのであります。

 

「伊勢物語のことだけについて書くとどうしても行き詰まるから、他の作品と比較しながら書くと書きやすい。」

 

とな。

ぼやっと聞いていたくせに、こういうことはいつまでも覚えている鳥頭あもちゃん。

 

そして鳥頭あもちゃん、生徒としての能力(=指導内容に全く疑問を持たずそのまま実戦する能力)は大変高いので、さっそくその技法(?)を取り入れて書いてみました!

 

確か、この作品と比較して頑張って書きました・・・

これと伊勢物語のどこを比較してどう考察したんだ、当時の私!

何も覚えてない笑

ただとてもよい点数をもらったことは覚えている。・・ほんとだよ!!!!!←!の数が!!!

 

で、話は読書感想文に戻る。

私が何を言いたいかと申しますと、当時ピチピチ未成年だった私、この2作品を比べて書きながら、

ほんとだ!先生が言ってたとおり書きやすいし、なんだか奥行きが出てる気がする!

と実感したということである。

 

 

読書感想文の場合、他の作品と比較するのはなかなか難しいが、自分の体験談を重ねて書くという手段が一番手っ取り早くて奥行きが出る。

 

(体験談を重ねた例文)

・一度だけ家族で金毘羅宮にお詣りしたことがありますが、そのときもムツキと同じように船で金比羅山に行きました。ムツキの船とは全く違ってとても早くとても快適でしたが、唯一船酔いしてしまったところがムツキと同じで、ムツキもすごく気持ち悪かっただろうなあ、と船の旅を思いだしながら読みました。

・私が飼っている犬のレオは私の病気平癒のために金比羅山まで行ってくれるかな、と考えたとき、ムツキの歩いていた道のりが遠くて険しかったことを思いだして、1匹で歩くレオの姿を想像するのもこわかったです。旅の途中、みんながみんなムツキを大事にしなかったように、私の大事なレオも大事にされないかもしれない。ムツキを旅に出さざるを得なかった弥生の、きゅ〜っと詰まるような気持ちがよく分かりました。

・金比羅山は私が行ったときも階段がすごく長くて、ゴールがちっとも見えなくて、いつまで経っても到着しなくてすごく辛かったです。でも私もムツキや江戸時代の人たちと同じ階段を歩いてあがったのだと思うとちょっと不思議で、そして誇らしくなりました。

・ムツキが金比羅山から帰ってくるとき、目の見えない宗郎たちと出会って、一緒に江戸まで戻ってくる間、宗郎や宗郎のお母さんが少しずつムツキを通して変わっていく様子がよくわかりました。宗郎は一人でなんでもしていこうとしていたし、宗郎のお母さんも宗郎を大事にするだけじゃなく、見守るということを学んでいました。いつも両親に甘えてばかりで自分じゃ何もできない私自身の姿を重ねて、少しでもいいから宗郎や宗郎のお母さんのように大きくなりたい、と思いました。

・ムツキは江戸と金比羅山の往復1340キロを人から人の手に渡されながら旅をしている間、たくさんの人に出会い、みんな色々な経験をしていました。亡くなってしまったり、偽薬を売っていたり、恋をしていたり、親から売られたり・・・。それでもみんな強く生きていました。そしてムツキも過去のことは覚えていない。前を向いて歩くだけ・・と強い足取りで前を向いて歩いて行っていました。私はまだ何も経験していないけれど、少しでも強く歩いて行けたら、と思いました。

 

江戸時代の話と体験を重ねて書くってむずかしいな。

ただうまくハマれば、すごくいい読書感想文が書けると思う。

体験と重ね、そして自分の成長についても触れられるとなおいい。

・・とかなんとか言ってますが、読書で成長なんて大してしない(コラッ)笑。

しかしそこは大いに盛って書き上げよう!

 

さらに体験談について具体的に書くと、さらに文字数が稼げるYO!

 

◇◆

 

以上3日にわたって、初級編、中級編、上級編を駆け足でお届けした。

ほとんどお役に立てることはないと思うが、少しでも参考になれば幸いである。

 

ここでもう1つ、上級編のおまけポイント。

 

『書き出しが肝心』

 

である。

 

私はあまり好きじゃない方法なのだが、

会話文から始める

という手法を取るとインパクトが大きく、なによりとても書き出しやすい。

 

(例文)

・「いいよ、茶々丸、さあお行き」

ムツキは宗郎のこの言葉を聞いて、初めて飼い主の弥生のもとに駆け出した。ムツキも宗郎も長い長い旅の終わりに立派に成長して帰ってきたのだと思った。この物語は金比羅参りの話であると同時に、登場人物みんなの成長物語でもあったのだ。

 

などなど。

 

会話から書き出す手法、中高時代、書き出しに困ったときの私がよく使っていた。

この本を読んで私は〜と思いました。・・なんて書き出しよりずっとインパクトもあるし、面白みもあるし、書きやすい。ついでにいうと会話文+改行、で文字数も稼げるYO!

 

しかしこの書き方、ある日突然、嫌悪感が出て(飽きたとも言う)私は使わなくなってしまったのだが笑、書きやすいのは間違いない。

 

 

読書感想文は本を読む能力が試されている。

いかに読んだか、いかに楽しんだか、そしていかに自分が成長したか。

それを披露する場所である。

 

メルカリなんぞで見知らぬ人の読書感想文を買っていい点数もらうくらいなら、へたくそでもいいからムツキのように自分の足で歩いて、少しでも成長した姿を見てもらおうじゃありませんか!

 

いい読書感想文が書けますように!