カジュアルに、そしてカジュアルに。 | 感傷的で、あまりに偏狭的な。

感傷的で、あまりに偏狭的な。

ホンヨミストあもるの現在進行形の読書の記録。時々クラシック、時々演劇。

さかのぼること1週間ほど前、友人saryaにお茶に誘われた。

すんごく行きたいけど~、今の家に着物はない。
実家に帰ったら売るほどあるのにぃぃぃ。
と大ボラを吹いてみる。

そう、お茶はお茶でも、あっぱらぱーが集うような、そんじょそこらのかふぇではない。
本当のお茶だ。
お抹茶だ。
せんのりきゅーだ、千代の富士だっキューだ。←よい子のみんなは、大人に聞いてみよう。

あわわ。
と慌てていますれば、

sarya「かしこまった茶会じゃないから、全然カジュアルな感じで大丈夫。
   懐紙と扇子はあもちゃんの分は貸してあげる~。」

カジュアル・・。
お茶会でカジュアル、とかあまり聞かないんですけど。
懐紙と扇子が必要なカジュアルな茶会って一体・・・?
カジュアルの定義がわからん!!!!

ちなみに私が行ったことのある茶会で一番カジュアルだったのは、
夏の後楽園(in岡山)での茶会だったが、
ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ、しゃべくり倒したおばちゃんたちが、
ずざざ、と畳に座って、一服いただいて、ところてんのようにどんどん押し出される、
といった形式であった。
そして私にいたっては、ノースリーブ+チノパンという出で立ち。
あれは本当にお茶会だったのか、今となってはそれもまた夢。

しかしこれは現実の話である。
まさかあんなにひどいレベルじゃあるまい。
いやーん。
私、何、着ていこうか!?
だいたいカジュアルとはいっても、あなたは着物を着ていくんでしょう?

憎い!!
私も着物、着たい。
おかあさーん!!!!
実家が近ければいいのに!!!!
しかし近けりゃ近いで、しこたま文句を言うであろう。

そうこうしているうちに、当日。
迷った挙句、普通のワンピースを着ていくことに。
春だから、とピンクの花柄の刺繍をあしらったワンピ。
普通っちゃ普通だが、茶室でファッションショーじゃあるまいし、これでいいのだ。

しばらくすると待ち合わせ場所に桜色の着物姿のsaryaが現れた。
いいな~。
やっぱり着物、いいな~。
かわいいなあ~。
ずる~い。
ジタバタ。
という文句はぐぐっとこらえ、早速茶室へゴーゴー!

低い低い木戸を潜り、現れたそこは別世界。
都会の喧噪が嘘のように静まり返っている。



玄関を覗くと先客がいるようで、待っている間、saryaはお手洗いへ消えた。
じゃあ私は庭でも愛でていようかね、
と、玄関先をウロウロしていると、
お手洗いの窓から、手を振るsarya。
そして手を振り返す私。

sarya「お待たせ~。」
私「今ねえ、庭を愛でてたの~。」
sarya「こっちの狭いところを通っていくと風情のいい庭があるんだよ。」

カァァァァァァァァァ(●´ω`●)
ここは庭ではない、と。

そしてsaryaに教えられたとおり、
狭くて暗くて低い通路を腰をかがめながら通って庭に出ると、
そこは趣のある庭であった。・・・。

確かに趣のある庭ではあったのだが、そこは思いっきり茶室の正面。
茶室の客たちの真正面にじゃじゃーん、と飛び出してしまった私。
猛スピードであわててひっこんだ。

私「ちょっとーーーー!!!!お客さんがみんなこっちを向いてたんですけど!!!」
sarya「あはは、ごめーーん。」

と暴れていると、茶室の係の方が待合に迎え入れてくれた。

懐紙と扇子をsaryaから借り、鞄から白ソックスを出す。
茶会で洋装の場合、白ソックス必須、という大事なことが、
年とともに薄れ行く記憶に、かろうじてまだうっすら残っていたのだ。

sarya「わあ、白ソックス。えら~い。」
私「エヘヘ。」

ほめられちった。

私「私はアクセサリーしてこなかったんだ~。」
sarya「わあ、えら~い。」
私「エヘヘ。」

またまたほめられちった。

そしていよいよ茶室へ。
シュンシュンと湧く釜。
風情だねえ。
そしてびみょーに暗い。
ああ~薄暗い~。鳥目のあもちゃんにはきつい~。
ピンクも橙も茶色も同じ色に見える~~~~。

掛け軸を眺めるsarya。
遅れてはならぬ、と隣を陣取り真似して掛け軸を眺めるあもちゃん。

ふんふんと感心するsarya。
ふんふんと感心する真似をするあもちゃん。

ひな人形だっつーことはわかった!
それ以上の感想はない。

ひととおり、部屋と庭(私が脇から飛び出した庭)を眺めている(フリをしている)と、
着物姿の女性が現れ、ご挨拶。

2種類のお菓子が出て来た。

いやっほーう!
食いしん坊あもちゃん、降臨。

私「二つ食べていいのかな。」
sarya「え?2つ食べるの!?いいけど。」

二種類のお菓子を懐紙に乗せて、あもちゃんご満悦。

上品ぶって酒饅頭を楊枝で割るのだが、これがなかなか割れない。
ふんがふんが。
無言で酒饅頭と闘う私。

ふー。
ようやく割れた。

と思ったら、

ちょっと!やだ!懐紙に酒饅頭がくっついてる!!!
楊枝でぶっさしても離れてくれない。
いやーん。
さらに無言で酒饅頭と闘う私。

ふとsaryaを見ると、手で食べてる。

なんだよー!手で食べていいのかよー!言ってよー。

と酒饅頭のカケラを手で持ち上げると、懐紙がビリビリと饅頭にくっついてきた。

ちょっと!やだ!懐紙が破れちゃった!!!
つーか、饅頭から離れないー。わーん。

というわけで、勇気を出して懐紙ごと饅頭をいただきました!!!
ごっくん。
確実に1mgほど懐紙が胃袋に入った。

菓子との負けられない戦いに疲れ果てていると、
次にお茶を点ててくれる若い男性が現れた。

おお!!
男の人が点ててくれるとか!?

2人「さぞかしおいしいに違いないわ~!キャー(はぁと)」

オバチャンズ、すぐ声に出す。

若い男性がしずしずと点てたお茶がsaryaの前に出される。

さあ!私の分もヨロシコ!
と思ったら、奥からすでに点ててある茶を若いお嬢さんが持って来た。

ちょっとー!
もう1杯くらい、がんばって点てようよ!!!!
ああ~、男のエキスをすすろうと思ったのに~~~~~。

まあいいんですけどぉ。
ぶつくさ(心の中で)言いながら、茶を飲む。ごっくん。

sarya「結構なお点前でした。」

・・・わたしゃ結構だったかどうか知らんし。
そもそも懐紙を1mg食べるような女に、作法の評価はされたくあるまい。

「とってもおいしかったです☆」

と心をこめて言っておきました。

静かな静かな茶室で、茶をたしなみ、ゆっくりと庭を眺める。
生けてある小さな花を愛で、懐紙を食べる。
とても有意義な時間であった。

とりあえず家に帰ったら花を飾ろうと思うのであった。

◇◆

私「ふー。やれやれ。」
sarya「増上寺でも見学して帰る~?」
私「いいねー!」



なんという青空。



葵の御紋。

増上寺では、ちょうど「徳川将軍家霊廟の特別拝観」を500円でやっており、
霊廟をお参りすることに。

私「あ、せっかくだから、着物姿のsaryaの写真撮らせてよ。」
sarya「え、じゃあ私のカメラでも私を撮って。」
私「いいよー。」

そしてsaryaのカメラで撮り、自分のカメラで撮るのをすっかり忘れる、と。
3歩歩くと忘れる鳥頭。



ちゃっかり自分は撮ってもらう。



拝観料はたったの500円なのに、古地図、葉書がわんさか入ったセットをもらう。
そしてチケットもゴージャス。
祖末にしたら祟られるレベル。

2人「ええもん、もらった~。ホクホク。」

そして徳川家のお墓を参り、青銅製の宝塔と石の宝塔があるのはなぜか・・
という疑問がわからないまま、帰宅する。

※あとで調べましたところ、はっきりとしたことはわからないのだが、
 8代将軍吉宗が倹約家で、それ以降の将軍は石製になったとか。
 じゃあなぜ、和宮様は青銅製なのか、と言うと、
 和宮様が天皇陛下に近い関係の存在だからじゃないか、と推測されるとのこと。



失神しそうなほどの地蔵の数。
こ・・こわい。

帰宅後、増上寺の霊廟について調べていると、増上寺がパワースポットであったことを知る。
鈍感あもちゃん、パワーは全く感じなかったが、
広くて静かな境内、すごく落ち着くいい場所で、あもちゃん、気に入った!

増上寺見学後、緊張もほぐれたことだし、と近くのフレンチへフラリと立ち寄る。

閉店間際まで食ってしゃべって飲んだのだが、
その中の会話。

私「今の会社での服装が、ビジネスカジュアル、なんだけどさあ。」
sarya「うわ~、それ、一番困るよね~。」

そう!
そうなのだ!
もういっそ、スーツならスーツ、ジャケット着用なら着用、と言ってくれればラクなのに、
そこまで固くなくてもいいけど、くだけ過ぎもよくない・・・
という、周りの目を気にする日本人にとっては、しちめんどくせースタイルだ。

てな話はまた後日。
そして別れ際。

私「今日は誘ってくれてありがとー。楽しかった~。」
sarya「結構カジュアルなお茶会だったでしょ。旦那さんと2人でも来れるんじゃない?」
私「絶対、ムリ!!!!」

カジュアル、それは禁断の言葉。
騙し騙され騙し合う、そんな不吉な言葉。

今日もそんな言葉に翻弄されながら、
ビジネスカジュアルスタイルで働くあもちゃんなのであった。

※saryaさんの視点はコチラ・・・
 →『着物でお出かけ*お茶一服
   お茶について多少(コラッ)詳しく説明してあります。