9月4日 久々に 都美(東京都美術館)へ行ってきました。
パンデミック後は初となるので、3年ぶり(!?)くらいかも。
今は ネットで “日時指定予約” なるものをしなければなりませんが、当日の購入でも 空きがあれば 一番早い時間枠に入れてもらえるようでした。
2年越しとなった、ボストン美術館展
“東洋美術の殿堂” とも称される ボストン美術館は、世界屈指の 日本美術コレクションを所蔵していると言われます。
来日したのは 所蔵品のごくごく一部でしょうが、それでも 展示品の半数以上が日本初公開なのだとか。
各テーマに沿り、古今東西、歴史も地理も縦横無尽に展示された作品群からも コレクションの膨大さをうかがい知ることができます。
【chapter 1】 姿を見せる、力を示す より
《平治物語絵巻 三条殿夜討巻》 鎌倉時代、13世紀後半
平安時代末に後白河上皇と二条天皇、および、その近臣たちの対立を背景に起こった、平治の乱をテーマとした絵巻より、藤原信頼と源義朝らが後白河上皇の御所である三条殿を襲撃し、上皇を拉致した場面。
鎌倉時代に流行した合戦絵巻の中でも最高傑作のひとつに数えられる作品。
三条殿をのみこむ焔や逃げ惑う人々の描写が凄くリアル。
絵物語が次々と展開していく絵巻は、現代のマンガにも通じるような迫力と面白さがあり、とてもエキサイティング。
ひとつの絵画に 時間の異なる場面をあちこちに描きこんだ 西洋の 同図維持法よりドラマ性があるように思います。
【chapter 2】 聖なる世界 より
《玉座の聖母子と聖司教、洗礼者聖ヨハネ、四天使》
ニッコロ・ディ・ブオナッコルソ 1380年頃
三連祭壇画の中央部(両隣は失われてしまったそう)
「マリアの頬のほんのりとした赤色などの繊細な色彩や、衣服のひだに見られる優美な線に、画家が活躍した地で興ったシエナ派の特徴が認められます。」(解説より)
イタリア・ルネッサンスの幕開けとなった ジヨットの 『荘厳の聖母』(フィレンツェ;ウフィツィ美術館所蔵) を思い出します。
【chapter 3】 宮廷のくらし より
《灰色の枢機卿》 ジャン=レオン・ジェローム 1873年
ルイ13世(1601-1643)の宰相を務めたリシュリュー(1585-1642)の大邸宅での一場面で、静かに大階段を下りる男性は、リシュリューの腹心として力をもった修道士。
着飾った貴族たちは 慇懃無礼なほどに頭を下げています。
彼が「灰色の枢機卿(レミナンス・グリーズ)」と呼ばれたことから、この語は後に「影の参謀」や「黒幕」を意味するものとなったそう。
リシュリューは、アレクサンドル・デュマ・ペール の 『三銃士』 でもお馴染み。
【chapter 5】 たしなむ、はぐくむ より
《サン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂、サン・マルコ沖から望む》
カナレット(ジョヴァンニ・アントニオ・カナル) 1726-1730年頃
17世紀から18世紀、イギリスを中心に流行した グランド・ツアー(裕福な階級の子弟が教養を高めるために行ったヨーロッパ旅行)で、ヴェネツィアを訪れた旅行者に カナレットの絵画は人気を博し、各国にもたらされることとなったそう。
今とほとんど変わらない 水の都の情景。懐かすぃい。
《吉備大臣入唐絵巻》 平安時代後期-鎌倉時代初期、12世紀末
奈良時代に活躍した学者・政治家の吉備真備(695-775)の活躍を描いた絵巻。
遣唐使として海を渡った真備が、唐の皇帝の使者によって高楼に幽閉されるものの、かつて、遣唐使として海を渡ったが当地で亡くなった阿倍仲麻呂の亡霊が鬼となって現れ、彼の力を借りながら難題を次々に解決していくというストーリー。
この絵巻が描かれた12世紀は絵巻制作が頂点を迎えた時代だそうで、見えるテンポの良い画面構成や伸びやかな筆使いは、当代一流の宮廷絵師の関与を想起させ、絵巻収集家としても知られる後白河院(1127-1192)周辺で制作されたと考えられているとか。
空飛ぶ雲に乗っていたり、鬼が出てきたり、奇想天外な絵巻。
当時 鑑賞した人々は、さぞや目を丸くしていたのでは。
『平治物語絵巻』 ともども、日本にあれば間違いなく国宝級の作品 と各メディアでも紹介されています。
なんで 手放しちゃったかなぁ・・・
《孔雀図》 増山雪斎 江戸時代、享和元年(1801)
増山雪斎(1754-1819)は名を正賢(まさかた)という、江戸時代に伊勢長島藩を治めた大名。
(左幅の絵)海棠(かいどう)と牡丹という組み合わせは人々が富み栄えることを意味する「満堂富貴」(まんどうふうき)と呼ばれる画題。
このような吉祥モチーフを濃密な彩色で精緻に描き出す作風は、江戸中期に来日した中国人画家・沈南蘋(しんなんぴん)(1682-1760以降)によってもたらされ、雪舟も南蘋画風を習得したそう。
雪舟は博物学にも造詣が深かったということで、古(いにしえ)のお殿様は なかなか教養があって粋だったんだなぁーと感心。
お目当ての絵巻はもちろん、なかなか 充実した展覧会でした。
2年遅れの開催となってしまったけど、関係者の尽力が実って良かった。
いつも思うけど、こういった 大美術館の企画展を鑑賞すると、やっぱり 現地の美術館へ行って鑑賞してみたくなっちゃう。
北米の東海岸はまだ行ったことないし。
いつか、行ける日が来るかしら・・・










































