日本におけるバレエの殿堂 東京文化会館 大規模改修前の最後の公演
気鋭の振付家、金森穣氏によるバレエ団オリジナル作品
海外の “巨匠”(モーリス・ベジャール、ジョン・ノイマイヤー、入り・キリアン)による振付作品は複数持っていても、日本人振付家による作品は意外や少なかった東京バレエ団
最初から 海外の上演を意識した作品だったよう
作品が出来上がっていた頃はちょうどコロナ禍
2021<第1幕>、2023年4月<第2幕>、同年11月に全幕世界初演、と順を追って上演し、今回再演
早速 イタリア、そして フランスでの海外公演が決定
【速報】東京バレエ団第37次(イタリア)・第38次(フランス)海外公演
フランス公演では パリ・オペラ座ガルニエ宮で上演されるとのことで、それを記念しての パリ・オペラ座公演記念応援シート での鑑賞
日本最古の物語『竹取物語』を題材としたお話
“むかしむかしあるところに・・・” で始まる昔話で これといった深いドラマはないけど、現代までつづく普遍的な物語。
イリ・キリアンの『輝夜姫』、レニングラード国立バレエ団の「竹取物語 ~月から来た姫~」(← 草刈民代さんも踊った)など、一応 今までもバレエ化されてはいた。
キリアンの『輝夜姫』気品あるルナヴァン、鼓童、雅楽などがアンサンブル魅了した
ちなみに、東京バレエ団も昔『かぐや姫』レパートリーにあって、創立15周年(1979年)第7次海外公演(ヨーロッパ・ソ連)で全幕上演していたらしい(8か国24都市56公演)。
チャイコフスキー記念東京バレエ団創立15周年記念公演 グランドバレエかぐや姫(3幕5場)
「かぐや姫」を舞台化するって聞くとなんとなく 『トゥーランドット』の日本版/舞踊版になっちゃうじゃないかってイメージがあったけど、この東京バレエ団の金森穣バージョン、物語も振付も美術も練りに練られて幕開きから幕切れまで舞台に目が釘付けになってしまっていた。
「題材を<かぐや姫>に決めたのは、この物語が日本最古の物語であること。そしてその普遍性が、妖精や白鳥の化身といった超常的な存在による夢物語(19世紀ロマンティック・バレエ)から、ファムファタルに象徴される文学的物語(20世紀ドラマティック・バレエ)の系譜に連なる、21世紀のグランド・バレエ(19世紀と20世紀のハイブリッド)に適した題材であると直感したからです。」
(公演プログラム;金森穣氏「プロダクションノート」より)
翁に大切に育てられたかぐや姫(秋山瑛)は 村の童たちとは どこか異質で、『ジゼル』第1幕の 恋に戯れているジゼルを想起させられる
第1幕 光り輝く竹の中から小さな姫を見つける
童たちの兄貴的存在の 道児(大塚卓)と心を通わせるかぐや姫
余談だけど この道児、スタジオジブリのアニメ『かぐや姫の物語』高畑勲監督(2013)に登場する “捨丸にいちゃん” ぽい。
第1幕 かぐや姫と道児
かぐや姫のポーズが 月の中のうさぎか、胎内の胎児みたい。
宮廷に出仕するようになったかぐや姫はその美しさから大臣たち、そして帝からも関心を寄せられるようになるけど、帝の正室;影姫(沖香菜子)や側室たちの心をかき乱すことになり・・・
第2幕
影姫とかぐや姫
このあたりも ロマンティックバレエ時代のバレエのお約束ごと “異界の王に攫われたヒロイン”、そして ロシア古典バレエの『ラ・バヤデール』のニキヤとガムザッティの対立を思わせる。
宮廷の厳しいしきたりに全くなじめないかぐや姫。
宮廷に忍び込んできた道児と逃亡を図ろうとしたけど、失敗して引き離されてしまう二人
第3幕 宮廷に忍び込んできた道児と
権力や財宝に目が眩んで かぐや姫に求婚する大臣たちに高価な結納品を要求するようになってしまった翁
『つるの恩返し』のじいさんも(本当は鶴の)娘に美しい反物をせっせと織らせて売りさばいて金儲けするようになっちゃうけど、昔話のおじいちゃんたちって資本主義化しちゃうのかな?
翁の望む結納品を探すために 竹藪を荒らしまくって宝を探し回る大臣たち
それを阻もうとする村人たちと帝を大将とした宮廷軍による大きな戦が始まってしまい・・・
堪り兼ねたかぐや姫が叫び声を上げた途端、辺り一面光に包まれて人々は倒れこんでしまい、目を覚ましたときは かぐや姫は光の精に包まれて全ての記憶を失っていて、
“天国への階段” ならぬ 月への階段を昇って月へと還って行った。
印象的だったのが、かぐや姫が “自分の意志で” 月へ帰還する、という演出。
地球での自分の存在が争いの種になってしまったことを憂いたんだな、と。
シンプルな装置とメタリックな衣裳による 究極な 和モダンな世界観。それがより一層 時空を超えた普遍性に同調しているかのよう。
かつて モーリス・ベジャールが、ダンサーたちを窮屈なチュチュから解放したのは こういうことなのか、と納得してしまった。
そして、全編ドピュッシーによる効果的な選曲。特に かぐや姫と道児のパ・ド・ドゥの『月の光』は絶品。
そして その時々の情景や姫の心情によって満月や満ち欠けになっているような背景の月。
つくづく やっぱり日本人て、昔から太陽より月からインスピレーションを受けてきたんだな、と感じる。
ヨーロッパ公演帰還後 きっと “凱旋公演” 開催してくれると思うけど、もし叶うなら 生演奏で上演してほしい。
欧州の上演でどんな反応になるのか、楽しみ♪
2026年5月5日 東京文化会館 マチネ所見
大規模改修前 最後のバレエホリディ 開催中
『白鳥の湖』衣裳
屋外のスクリーンでメイキング上映
しばし お別れ
東京バレエ団「かぐや姫」全3幕 5月5日(火祝)13:00のキャスト
演出・振付・空間デザイン:金森 穣
音楽:クロード・ドビュッシー
衣裳デザイン:廣川玉枝(SOMA DESIGN)
木工:近藤正樹
映像:遠藤 龍
照明デザイン:伊藤雅一(RYU)、金森 穣
演出助手:井関佐和子
衣裳製作:武田園子(ヴェロニク)
かぐや姫:秋山 瑛
道児:大塚 卓
翁:岡崎隼也
帝:池本祥真
影姫:沖香菜子
童たち:工 桃子、安西くるみ、井福俊太郎、山下湧吾
大臣たち:宮川新大、安村圭太、鳥海 創、後藤健太朗
側室たち:二瓶加奈子、三雲友里加、政本絵美、中島映理子
秋見:伝田陽美
黒衣たち:井福俊太郎、山下湧吾、海田一成、山仁 尚
東京バレエ団×金森穣『かぐや姫』、パリ・オペラ座で上演決定 日本のバレエを世界へ!































































































































































































