パリ・オペラ座バレエ団 2024年日本公演『マノン』 | 甘ずっぱい蜜の部屋

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久々の全幕での鑑賞。

 

『マノン』全3幕

 

『世界バレエ・フェスティバル』とかで、パ・ド・ドゥ部分はよく上演するけど。

 

日本公演で観たのは ABTと英国ロイヤル・バレエだったし、まだ アレッサンドラ・フェリやシルヴィ・ギエムが踊っていた頃だったから、そうとう前。

 

フランスのロマン主義文学の代表作を、他ならぬ フランスの もとい 世界最高峰のバレエ団での上演。

 

オペラ座 日本ツアーの 上演プログラムが発表されたとき、思わず「待ってましたぁ~‼」と叫びそうになってしまってた。

 

振り付けたケネス・マクミランは、マノンのことを「悪徳にまみれた女」って評していたようだけど、まさに 男たちを破滅に追いやる “宿命の女”(ファムファタル/;femme fatale)

 

そして、本人は自分の “魔性” を何も自覚していない。

 

ケネス・マクミラン 最大のミューズだった アレッサンドラ・フェリは、マクミランから『マノン』を踊るように勧められたとき、「マノンという女性はよく分からない」って渋ったようだけど、

 

マクミランは、「それでいい。マノンは自分を分かっていない」と。

 

例えば、ビゼーのオペラに出てくる カルメンなんかは、どうすれば男を篭絡できるか、きっと “分かっている”

 

だけど、マノンは 男を誘惑している自覚はなく、本能におもむくまま。

 

若く魅力的で、でも貧しい青年(デ・グリュー)にほいほいくっついて行ったかた思えば、

金持ちだけど じーさん(ムッシューGM)に豪華な洋服や宝石を見せられたら、何の節操もなく ほいほい・・・

 

だからといって、底意地が悪いとか 性格が悪い、という類ではなく。オツムは弱そうだけど・・・

 

ちょっと個性的なマノンを演じていたのが、シルヴィ・ギエム。

 

シルヴィのマノンは 心奪われるものに くっついていく、というよりは、何でもかんでも 欲しいものを強欲に手に入れる、引き寄せる、というイメージだった。


まるで、不遇な幼少期を送っていた女性が、なりふり構わず欲しいものを手に入れて 上へのし上がっていくような。

 

正直 このバレエ作品、すっごく好きかって聞かれても「どちらかといえば」ていう感じだけど、

 

“このダンサーが踊れば” 是非、ていうのはある。

 

前出の アレッサンドラ・フェリ、シルヴィ・ギエム とか。

 

そして、今回は なんといっても デ・グリュー役の マチュー・ガニオ。

 

『オネーギン』もそうだったけど、ちょっと憂いを帯びたような 甘いマスク。

 

“Beau Ténébreux” (ボゥ・テネブルー/憂鬱な美青年)

とは、彼のためにある言葉じゃないかと思えるくらい。

 

マノン役は、ミリアム・ウルド=ブラーム。

 

私の大好きなダンサー!

・・・だけど、マノンていうイメージではないんだよなぁ・・・

どちらかといえば、お姫様ぽい イメージだし。

(ドロテ・ジルベール の方が、マノンの ニンに合っていたような気もする)

 

とはいえ、なかなか 全幕で組んだ作品を観ることがかなわなかった、マチューと踊る作品を引退前に観ることができたっ。

 

ずっと前、たしか マニュエル・ルグリのガラで、この二人が組んでいて、なんて フランス的な美男美女・・・とうっとりしてしまっていたから。

 

できれば『眠れる森の美女』とかで全幕観たかったかも。

 

ミリアムのマノン、この役を演じるダンサーにしては お上品に思っていたけど、一見 貴婦人ぽい雰囲気なのに 男から男へ渡り歩くことになんのためらいもない女性。

 

高級娼婦のような 近寄りがたさと堕落が同居したようなところが、この人らしさなのかも。

 

舞踊評論家の 長野由紀氏の言葉を借りれば、マノンは

「結局は誰のものにもならず、自分の人生と心中した」女性

(新書館/ダンスマガジン特集)

 

第1幕 の幕が上がってすぐ、女囚人たちが 引き連れられる場面があったけど、あれ、マノンの末路を暗示していたんだな、と・・・

 

東京文化会館 ホワイエ

 

パリ・オペラ座バレエ団 チャリティー・オークション

能登半島地震へのチャリティーオークション

 

パリ・オペラ座バレエ団 チャリティー

 

2月18日(日) soiree

東京文化会館所見

 

パリ・オペラ座バレエ団 白鳥の湖

 

「マノン」全3幕 

音楽:ジュール・マスネ

振付:ケネス・マクミラン

オーケストレーション・編曲:マーティン・イエーツ

原作:アベ・プレヴォー

装置・衣裳:ニコラス・ジョージアディス 

照明:ジョン・B.リード

 

マノン:ミリアム・ウルド=ブラーム

デ・グリュー:マチュー・ガニオ

レスコー:アンドレア・サリ

レスコーの愛人:エロイーズ・ブルドン

 

会場:東京文化会館(上野)

上演時間:約2時間45分(休憩2回含む)

予定 指揮:ピエール・デュムソー

演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

 

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