2018年のシュツットガルト・バレエ団来日公演以来となる、“マチュー・ガニオ” の 『オネーギン』
都会的な洗練された立ち居振る舞い、スマートなエスコート、若いながらも人生に疲れた 愁いを帯びた 美しい若者。
“Beau Ténébreux” (ボゥ・テネブルー/憂鬱な美青年)。
まるで 彼のためのような役柄。
Mathieu Ganio
“本の虫” タチアーナ(アマンディーヌ・アルビッソン)はあっという間にこの優美な青年に魅了され、気持ちを抑えくれなくなってしまいます。
白樺が生い茂る いかにもロシアらしい 詩的な情景の中で繰り広げられる、絡み合い 縺(もつ)れ合う 男女の心情。
Mathieu Ganio & Ludmila Pagliero
田舎の文学少女からの幼い恋文へのいら立ち、退屈さの気晴らしから友人と決闘する羽目になり、友を殺してしまうこととなったオネーギン。
『オネーギンとレンスキーの決闘の場』 イリヤ・レーピン
時が流れ、グレーミン公爵邸で再会した 公爵の妻が かつて自分が冷たくあしらった あのタチアーナだと気付き、激しく動揺するオネーギン。
第3幕2場 タチアーナの私室
タチアーナに愛を告白するものの、高貴で貞淑な彼女は きっぱりと拒絶します。
「かつてあなたは 幼い私の恋に対して立派に振舞われました。
それが今になって、何故、つまらない感情の奴隷に?」
「幸福はあんなにも近くにありましたのに。
あなたを愛していますが、私は嫁いだ身。夫に貞節を守ります。」
(チャイコフスキー 歌劇 『エフゲニー・オネーギン』)
キャラクターの心の機微を余すとこなくダンスに昇華させる、オペラ座バレエ団の 『オネーギン』。
溌剌と 活気に溢れた 若者たちの踊り(第1幕)
美しい帝都、サンクトペテルブルク ; グレーミン公爵邸での豪華な舞踏会。(第3幕)
© Opéra national de Paris/ Michel Lidvac
ルノワールの 『田舎のダンス』 『都会のダンス』 を想起します。
ピエール = オーギュスト・ルノワール
左)『都会のダンス』 右)『田舎のダンス』 1883年
オルセー美術館所蔵
チャイコフスキーの音楽が、物語の激流を更に盛り上げて 深いドラマの世界へと誘(いざな)ってくれます。
何度観ても感情が揺さぶられるバレエ。
振付家 ジョン・クランコのお膝元の シュツットガルト・バレエ団とは また一味違った 『オネーギン』 を堪能しました。
フラワーアレンジメント(ホワイエにて)
台本:ジョン・クランコ
アレクサンドル・プーシキン 『エフゲニー・オネーギン』(1833)による
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ
振付・演出:ジョン・クランコ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
照明:スティーン・ビャーク
世界初演:1965年4月13日、シュツットガルト・バレエ団
改訂版初演:1967年10月27日、シュツットガルト・バレエ団
パリ・オペラ座バレエ団初演:2009年4月16日
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
指揮:ジェームズ・タグル
◆主な配役◆
オネーギン:マチュー・ガニオ
タチヤーナ:アマンディーヌ・アルビッソン
レンスキー:ジェルマン・ルーヴェ
オリガ:レオノール・ボラック
ラーリナ夫人:ベアトリス・マルテル
乳母:ニノン・ロー
グレーミン公爵:オドリック・ベザール
◆上演時間◆
第1幕 13:00 - 13:45
休憩 20分
第2幕 14:05 - 14:35
休憩 25分
第3幕 15:00 - 15:25
3/7(土) マチネ所見
シュツットガルト・バレエ団 2018年日本公演 『オネーギン』
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