パリ・オペラ座バレエ団2020年日本公演『オネーギン』全3幕 | 甘ずっぱい蜜の部屋

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パリ・オペラ座バレエ団2020年日本公演オネーギン

 

2018年のシュツットガルト・バレエ団来日公演以来となる、“マチュー・ガニオ” の 『オネーギン』

 

都会的な洗練された立ち居振る舞い、スマートなエスコート、若いながらも人生に疲れた 愁いを帯びた 美しい若者。

 

“Beau Ténébreux” (ボゥ・テネブルー/憂鬱な美青年)。

 

まるで 彼のためのような役柄。

 

Mathieu Ganio

Mathieu Ganio

 

“本の虫” タチアーナ(アマンディーヌ・アルビッソン)はあっという間にこの優美な青年に魅了され、気持ちを抑えくれなくなってしまいます。

 

白樺が生い茂る いかにもロシアらしい 詩的な情景の中で繰り広げられる、絡み合い 縺(もつ)れ合う 男女の心情。

 

Ludmila Pagliero, Mathieu

Mathieu Ganio & Ludmila Pagliero

 

田舎の文学少女からの幼い恋文へのいら立ち、退屈さの気晴らしから友人と決闘する羽目になり、友を殺してしまうこととなったオネーギン。

 

『オネーギンとレンスキーの決闘』イリヤ・レーピン

『オネーギンとレンスキーの決闘の場』 イリヤ・レーピン

 

時が流れ、グレーミン公爵邸で再会した 公爵の妻が かつて自分が冷たくあしらった あのタチアーナだと気付き、激しく動揺するオネーギン。

 

オネーギン 第3幕

第3幕2場 タチアーナの私室

 

タチアーナに愛を告白するものの、高貴で貞淑な彼女は きっぱりと拒絶します。

 

「かつてあなたは 幼い私の恋に対して立派に振舞われました。

それが今になって、何故、つまらない感情の奴隷に?」

 

「幸福はあんなにも近くにありましたのに。

あなたを愛していますが、私は嫁いだ身。夫に貞節を守ります。」

        (チャイコフスキー 歌劇 『エフゲニー・オネーギン』)

 

キャラクターの心の機微を余すとこなくダンスに昇華させる、オペラ座バレエ団の 『オネーギン』。

 

オネーギン 第1幕

溌剌と 活気に溢れた 若者たちの踊り(第1幕)

 

バレエ『オネーギン』

 

美しい帝都、サンクトペテルブルク ; グレーミン公爵邸での豪華な舞踏会。(第3幕)

 

オネーギン 第3幕

© Opéra national de Paris/ Michel Lidvac

 

ルノワールの 『田舎のダンス』 『都会のダンス』 を想起します。

 

La dance à la ville  La dance à la campagne

ピエール = オーギュスト・ルノワール

左)『都会のダンス』 右)『田舎のダンス』 1883年

オルセー美術館所蔵

 

チャイコフスキーの音楽が、物語の激流を更に盛り上げて 深いドラマの世界へと誘(いざな)ってくれます。

 

何度観ても感情が揺さぶられるバレエ。

 

振付家 ジョン・クランコのお膝元の シュツットガルト・バレエ団とは また一味違った 『オネーギン』 を堪能しました。

 

東京文化会館 フラワーアレンジメント

フラワーアレンジメント(ホワイエにて)

 

台本:ジョン・クランコ

アレクサンドル・プーシキン 『エフゲニー・オネーギン』(1833)による

 

音楽:ピョートル・チャイコフスキー

編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ

振付・演出:ジョン・クランコ

装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ

照明:スティーン・ビャーク

 

世界初演:1965年4月13日、シュツットガルト・バレエ団

改訂版初演:1967年10月27日、シュツットガルト・バレエ団

パリ・オペラ座バレエ団初演:2009年4月16日

 

演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

指揮:ジェームズ・タグル

 

◆主な配役◆

 

オネーギン:マチュー・ガニオ

タチヤーナ:アマンディーヌ・アルビッソン

レンスキー:ジェルマン・ルーヴェ

オリガ:レオノール・ボラック

 

ラーリナ夫人:ベアトリス・マルテル

乳母:ニノン・ロー

グレーミン公爵:オドリック・ベザール


◆上演時間◆

第1幕 13:00 - 13:45
   休憩 20分
第2幕 14:05 - 14:35
   休憩 25分
第3幕 15:00 - 15:25

 

パリ・オペラ座バレエ団『オネーギン』

3/7(土) マチネ所見

 

アメブロ シュツットガルト・バレエ団 2018年日本公演 『オネーギン』