放浪日：２０１７年７月９日
基町公営住宅地区は古くは広島城の一部であり、明治以降は軍用地の集積地が並ぶ一帯でもありました
被爆広島復興のひとつとして、基町公営住宅は建設が続き
竣工後は都心にある計画的な一大住宅団地で全体が公共施設として存在しております
全体案内図がありました
青色が広島市営住宅で、ピンク色が広島県営住宅となっております
昔は日本にはマンション業者などはありませんでした
公営住宅は、日本住宅公団という国の機関が建設した住宅群なのです
よって、団地に代表される間取りも国が設計図を書いていたのです
地図から見ても、基町高層アパートはジャバラ型のユニークな形ですね
県営アパートの方を見てみると
1号2号5号8号がＹ字型の変わった形をしています
そう、このＹ字型の建築物はその形状から“スターハウス”と呼ばれ
団地フェチの方に人気がある珍しい建築物なのです
この珍しい形状から多くの人が住みたいと憧れる住宅であった為
花形（スター）という意味を込めてスターハウスと呼ばれたという噂もあります
見事はシンメトリー建築（対称性建築）ですね
折り畳んだらピタリと合いそうなぐらい見事ですｗ
星形中心に配置された階段が上下の空間を繋いでいます
レンガを張った柱は構造的に必要なのか、飾りなのかは分かりませんが
ワンポイントなおシャンティとなっていますｗ
県営の８号棟というのが、すぐ分かりますｗ
おお！シンメトリー美に反する方もおられたみたいでｗ
この窓の部屋が浴室だったら面白いかもですｗ
シンプルかつダイナミックさも匂わすサインです
錆びた昭和デザインから貫禄さも感じますねｗ
近年この様な戦後公共住宅団地は“老朽化”という問題を抱えています
公共住宅である為、安い家賃の加担は税金という考えがある中
県民、市民なら進んで利用すれば良いとされていますが
現代では多くの安いマンションが民営で賄われている為に
“老朽化”からの“解体”という流れが主となっているみたいです
ようは、国が国民に住宅を提供しなくてもよい豊かな国になったということです
基町のスターハウスも数棟は撤去済みで、残された数棟も住民は退去されたご様子です
鉄筋コンクリート造５階建て
1フロアー３戸で、１戸の広さは３７平米程度だそうです
スターハウスは３面採光が可能で、通風にも優れていますが
北向き住戸が出来る、隣の住戸内が見えてしまう、形状が複雑な為建設コストが高くなるという欠点もありました
よって、スターハウスはひとつのブームの様に現代では建築されなくなりました
“衣食住”を求めていた戦後日本は
復興というエネルギーによって全国的に“衣食住”を得ることが出来ました
その後日本は、“快適”を付け加え“快適な衣食住”を求めるようになります
可愛いファッション、着心地地の良い肌着、美味しい食事、栄養バランスが良い食事などなど
そして、人が生きていくために最低限必要な“衣食住”が
心地よくないと満足しなくなりました
住に至っては、雨風を防げるのが当たり前となり
個人的趣味を内外装やインテリアで、個人的健康確保を断熱や空調で、個人的ストレス発散をお風呂やお庭などでと、“付加価値”が必要不可欠となっています
つまり、住に“個性”を付け加えて“快適”と感じるのです
公団建築は公共事業である為、効率が良いことで安価となり税負担が軽くなります
その為には同一な設計が必要であって、それは個性を生み出せにくいです
現代の“快適な衣食住”は戦後建築建築の公営住宅では生み出せないのが事実問題であります
でも、それは日本が豊かになったという明るい未来なのですから
あもんは、ここで、撤去されゆく戦後建築物に、素直に『ありがとうございました！』と言いたいです！！
『市の一等地に建っとるのに、古い公共住宅なんて、もったいないわ！』というのが多くの本音だと思いますが、それは日本が豊かになった明るい未来のセリフです
この公共住宅があったから、今の明るい未来があるという事実を真摯に想い
役割を終え、新たな未来へバトンタッチしてくれる公共住宅に
『今まで、ありがとうございました！お疲れさまでした！！』と言いたいです
でも、建物フェチなあもんにとっては
スターハウスが消滅するのは、やはり寂しい気もします
この光景が無くなるのが、やはり寂しい
誰か、“快適なスターハウス”を創ってくれませんかね～
だって、スターハウスなんて、カッコいいでしょう！
“快適な衣食住”の先には“カッコいい衣食住”はあるのでしょうか？ｗ
2017年7月15日 広島市内を歩き飲み食べる（T’s Caféゲートイン 朝日珈琲サロン）に続く