ガリバー君へ  | あもん ザ・ワールド

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君へと届け 元気玉

とあるライダーハウスで見た写真で

ひと目惚れをしてしまった王様がいる

「縄文杉」

決して安易な道ではなかったけど

王様は僕に謁見することを許してくれた

 

樹齢1000年以上の杉のことを屋久杉という

縄文杉は屋久杉の王様といわれる存在で、1966年発見された

当時は樹齢7200年と言われ

縄文時代から自生しているということで縄文杉と呼ばれた

この王様に会うには登山が必要だ

僕の費やした時間は片道4時間

まだ寒い2月下旬

夜明け前の登山口で王様へ続く道を

ひとり 歩き始めた

 

あもん的ひとり歩き術のひとつとして

「勝手にツアー客に混ざり、ガイドの説明で学ぶ」という術がある

今回も手ごろなおばさん数名と山岳ガイドに同行した

トロッコ道を進んでいるとガイドさんが

「よけてくださ~い」とみんなを脇に誘導する

かわいらしいトロッコがトコトコ走っていった

屋久島の森の説明を盗み聞きしつつ

休憩場所でもあった小杉谷集落跡に着いた頃には

おばさんと仲良くなってしまった僕は多くの食料を獲得

「おばさんと仲良くなってもらえるものはもらおう」という術だ

 

ガイドさんの説明の中で僕の意識を変えさせてくれることばがあった

「蘇生」ということばだった

屋久島は降雨量が多いため

原生林の塗り絵をしているコケ類が豊富であり

そのコケ類が得意とする「着生」という術がある

倒木の上に種子を落とし倒木の上で芽を出すという術だ

屋久島の杉はこの術も習得していたのだ

屋久島の森は古代から神と崇められていたため

伐採をすることは無かったらしい

しかし、豊臣秀吉の命令で伐採の歴史が始まる

伐採で意外にも潤ってしまった島人は伐採を続けた

明治時代になり屋久島が国有化され

島人による伐採は規制されるようになる

国は保護区と伐採区に分け伐採を続けた

しかし戦後伐採区の杉は無くなってしまった

そう、屋久島の森は一度伐採されているのだ

そんな切り株がところどころに見ることができる

しかし屋久杉はたくましかった

死んだ杉の上から新しい生命が生まれるという術を習得したのだ

これぞ黄泉がえりであり「蘇生」である

限られた光の中で子孫繁栄を続ける

屋久島4000年の歴史だ

 

ペースが合わないおばちゃん軍団に多少疲れてきたので

笑顔で挨拶をし、軍団と分かれることとする

ヤクジカとヤクザルに挨拶をしつつ

ウィルソン株に到着

奉られている祠にお辞儀をした

見上げるとシャワーのような光

ここで神と宴会がしたいと思った

神との飲み会の約束をし、王様のもとへ急いだ

翁杉、大王杉、夫婦杉

どれも神々しいほどの容姿を見せてくれた

登山道には雪が残っており

「この世界で僕はひとりぼっちなのじゃないか」

と思わせるほどの森の静寂が続いた

道しるべの赤いリボンを頼りに歩いていき

そしてついに王様と対面をした

 

現在、屋久杉の王様に君臨している縄文杉

当時の島人に聞いた話によると

世界遺産に登録されてやけに老けたらしい

まだ、観光客も訪れなかった頃の縄文杉は

まさに王様らしくそびえ立っていていた

島人は訪れる度に元気がなくなっていく縄文杉に

ちょっと哀れみを感じているらしい

そして島人はこうも語った

縄文杉より神々しい杉が屋久島には存在する

見つけたのは地元の木こりだ

深い山脈に迷った末に見つけた杉は

迷ってたどり着いたところであるため

どこにあるかは分からない

いや、例え場所が分かっていても

その木こりは誰にもその場所は言わないだろう

 

たとえ世界遺産で有名になったこの森でも

神の棲む島 屋久島では

きっと神しか入れない森があるのだろうと思った

 

そんな偉大なる王様を目の前にした僕は

王様のことを図々しくも「ガリバー君」と呼び

敬語も使わず話しかけてしまった

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       『島国からの贈物』

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『ガリバー君へ』

 

1997年2月21日

 

ガリバー君 

君は大きいなー

何をくったらそんなに大きくなれるんだ?

みんなを優しく見守ってくれるね 

僕たちが悪いことをしても怒らずに

君はいつ生まれたんだ?

みんなは何千年前といっているけど 

本当のことは分からないんだろうね

きっと君も忘れているよ

 

力強いね 

いろんなものもはねかえしちゃうもんね 

しかも岩まで割っちゃうもんね

僕も君みたいに力強く生きたいよ

君に比べりゃ僕なんかちっちゃいちっちゃい

君を見本に生きていくよ

優しいね 

いろんな物に元気を与えているもんね

酸素を作って僕たちにくれたり

土壌が悪かったら他の植物の土壌の代わりになってやったり

君はいいやつだよ

 

時々君をいじめているやつがいるね

僕はものすごく申し訳ないと思うんだ

でもこれは僕たちが生きるためなんだ

君に頼らなきゃ生きていかれないんだ

これだけはわかってね 

ごめんね 許してね

でも意味もなく君をいじめているやつは

僕は絶対に許さない 

注意してやめさすよ!

 

SUN君とRAINさんは君の大切な仲間だね

お互いに協力し合って生きてるね 

僕もその仲間にいれておくれよ

でもWINDOW君とFIRE君はちょっと苦手のようだね

WINDOW君には一生懸命立ち向かっているね

しかし強いWINDOW君には負けちゃうときもあるね

FIRE君は手ごわいよね

FIRE君に囲まれると君は

だんだん小さくなっていき

最後にはいなくなっちゃうもんね

そんな時RAINさんがいると助かるよね

WINDOW君がいるといやになっちゃうね

FIRE君に囲まれた君は 

最後の力を振り絞るかのように

僕たちの手につけれないほど強くなるね

でもそんな時の君も僕たちはすごく頼りにしてるんだ

だからFIRE君とも仲良くしているんだ

ごめんね ゆるしてね

 

これからもみんなの力になってあげてね

みんながいけないことをしてても

優しく見守ってあげてね

僕たちも君に力をもらってるって

よく感謝して生きるから

僕はいつまでも君と仲良くしていたいんだ

これからもよろしくね!

 

あもん詩集 『島国の宝物』より

 

 

 

『宇宙』ってことば

 

なんだかワクワクしませんか?

 

離島の旅は続きます

 

『宇宙と未来へ託す僕は』