皆実町を歩く1 | あもん ザ・ワールド

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君へと届け 元気玉

広島で生まれ広島で育ち
大人になって広島を旅立った
四十手前で帰広し、改めて眺めた広島
目の前にはドキドキするような広島があった
広島の街が変わったのか?
それとも、俺の見る目が変わったのか?
ひとつだけ変わっていないのは
『ほうじゃね』という広島弁だけだった

広島出身のくせにあまり広島を知らないあもんが
古い記憶と新しい現実を見に歩き続けます
本日は皆実町を歩きます



放浪日:2015年5月5日

『おじちゃん、こんにちは』
『おぉ~久しぶりじゃね~今日はどうかね?』
『最近、シケが多かったけぇ、商売上がったりじゃったじゃろ』
『ほうじゃのぅ~じゃけど、これだけはしょうがないけぇの~』
『今日は小イワシあがっとるけど、どうや?』
『今日のは新鮮じゃけぇ、刺身でもいけるで!さばくのたぃぎぃけど』
『小イワシ、ええねぇ~刺身ってやったことないわ。どうするん?』
『慣れれば簡単じゃ!水洗いが大切じゃけんのぅ』
『小イワシは洗えば洗うほど鯛の味になるんじゃけぇ』
『えぇ~ほぅなん!じゃけど、ウチのが天ぷらがすきじゃけぇんね~』
『4人分ちょうだいや!』
『おぉ。いつもありがとうな!』
『あれ?ヤスはどうしたんや?一緒じゃないん?』
『あぁ、ヤスは駄菓子屋行っとるんよ。昨日がおこづかい日だったけん』


『おばちゃん!チーズ味、ちょうだいや!』
『ぉおヤスか~お前、好きじゃの~』
『いっつもチーズばっかり食うてからに、顔が黄色くなるで!』
『うまいけぇしょうがないじゃん!黄色くなるとか嘘じゃろ』
『あっ、ほうじゃ、新しい味がでたでぇ~ほら、めんたいこ味じゃ』
『ん?めんたいこってなんなん?』
『めんたいこゆうたらな、魚のたまごじゃ、それを辛く味付けしとるんじゃ』
『ほぅなん。食べたこと無いわ~それ、うまいん?』
『あぁ、あんた、よっちゃんイカが好きじゃけぇ、好きじゃと思うよ』
『今日はプロ野球チップス買うんじゃ!津田のカードが欲しいんじゃ。北別府はこの前、入っとったけんのぉ』
『ほうかぁ、ほれ、選びんちゃい。今日はめんたいこ味、おまけにしたるわ!』
『ありがとう!おばちゃん』
『いいえ~はょ~食べてみんちゃい』
『おお!ぶちうまいじゃん!めんたいこ味!』
『もぅ、チーズは卒業じゃ!』
『卒業せんでもえかろうにw』




情報とは元来、人から人へ伝えるものである
伝えた後に情報を共有し笑顔を交し合い、ありがとうと言える
情報の価値の捉え方は今の昔も変わってはいないが
情報の伝え方が今と昔では全く変わっている
人の声から人の耳へという情報伝達方法が常に行われていたのだが
人の字から人の目へという情報伝達方法に急速に変化していった
後者は記録に残るから確実なことは確かだ
しかし、それが記憶に残るとは確かだとは言えない
記憶に残っていると言うことは思い出ができているということ
聴覚からの情報がどのように思い出に変わるのかは不明だが
声で伝えてくれる人の先入観やその時の仕草による感情があって
それは映像として情報伝達を助力しているのだろう
その映像は嫌な思いをしない限りは思い出としていつまでも忘れることは無い


この様な情報伝達が昭和の時代には多くあった
それを日常茶飯事にしてくれたのは商店街のおかげである
そんな有難き商店街が広島市にはまだあったのだ


場所は広島市南区皆実町
皆実と書いてみなみと読む

広島市内から広島港へと運行する市内電車の通りに商店街の入り口がある
目の前の大型ショッピングモールに遠慮しているかのように小さな入り口である






ということで、今日はみなみ中通りを歩いていきます

その前に広島らしい風景が見られます








市内電車用の信号に電線
その下を自動車が電車と接触しないように走っています
広島県外の人は電車のすぐ脇を走るのは怖いと言う方もいますが
広島人にとっては慣れっこです
たまに電車に汽笛を鳴らされますけどw




皆んなが実る町づくり
なかなかよい感じのキャッチフレーズです






みなみ中通り商店街は1.5kmも直線が続く商店街です
これにアーケードがあったら凄いスケールだったのですが





元気が出る薬があると言うキリン堂薬局から始まります
おためし用を試したい気がw




パールにハートマークが添付されて可愛い感じに仕上がっています





戦前から発達していたみなみ中通り商店は、比較的原爆の被害が小さく、
戦後は広島大学などに通学する学生のための下宿や
飲食店、銭湯などが建ち並ぶ学生街であったそうです
当時は大学が夜中の3時ぐらいまでやっていたため
商店街の飲食店もおそくまで開いている店が多かったみたい
しかし、広島大学の東広島市移転に伴い徐々に人の往来が無くなり寂しくなってしまいました






全体的にカラフルな自転車屋さん
レンタサイクルもあるみたいで
ちょっぴり意味不明ですがたくさんのメッセージが添えられています




うどん、そば
多くの学生の糧になったことは間違いないでしょう





日本でも大学生が熱かった時代がありましたが
この部屋でも多くの異論討論がなられたのでしょう




郵便ポストの上にお宅用ポストw
このお宅に手紙を出すときは切手不要では?
それとも一度集積してまた配るのでしょうか?





木製窓と木製ポスト
なかなか落ち着く構図となっております






学生服のいとや
大学生も学ランを着ていた時代には重宝された店でしょう
当時、学ランは高級服だったですからね






髪を大切にする店
アイパーとかはやった時代は大忙しだったでしょう





超音波エステが皆実町では流行っているみたいで

ふと曲がり角を覗くと存在感のある長屋がありました





何度も補修をしたと思われる壁は経年の模様が施されています









底の抜けたバルコニー、無残に破れたテント庇
生き延びている窓の障子は今後開くことがあるのだろうか




集合ブレーカーの数より20戸はある長屋
当時は大きな笑い声がこだましていたのでしょう




ちびっ子のおやつに親父の酒の後にと
アイスクリームBOXは修繕に修繕を重ねて
人々に微笑を提供していました






パン屋さんなのか惣菜屋さんなのか駄菓子屋さんか
煙突からは香ばしい香りが広がり
町に団欒を創るきっかけとなっていました



長屋はさらに繋げられて集う家族が増えていけば
喧嘩も増えたし涙も増えたかもしれない
でも、冬が年々暖かくなっている気もする
春にはあの公園に小さな桜が咲きます
その桜と同じように長屋もすくすくと育っているようです







ナショナル製のクーラー
この部屋で始めてクーラーをつけたとき
友達が集まりすぎて、いつもより暑かったという
罰ゲームは室外機の前で温風に当たるでした

と、いつの間にか住んでも居ないのに
住んでいた思い出を語ってしまっていますw
このただならぬ雰囲気の長屋
もしや?と表に廻ってみましたら







皆実中央市場があるじゃないですか!!
正直、この市場の存在を知らなかったあもん
一気に興奮してきました

続く