そこにあるものを
見ていたら
ずっと見ていたら
新しい日本語が
生まれた
郷にあるもの
何もなくて何もしない
その無空間が至福の時である
体中にしみこんでいるこの空気と
そこにいる人
見飽きた映像なのに
聞き飽きた声なのに
郷に入るとなぜか
癒されてしまう
それはきっと血のおかげであろう
血と血の再会は
寒い真冬の夜を暖めてくれる
こんなあったかい夜はそうそうないものだ
人は皆
血液が世間に冷やされ
固まりそうになったとき
自然と郷に向かって歩いているのである
無・福・癒・血
此処ニ有リ