夕陽 | あもん ザ・ワールド

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君へと届け 元気玉

那覇行きの飛行機に乗っていると

ひときわ美しいチョウチョウウオを見ることができる

それは東シナ海に浮かぶ隆起サンゴの島

与論島

 

自らパナウル王国と誇称している与論島では

日本でありながら日本でいない感覚を体験できる

この島の代表的な観光地と言えば「百合ヶ浜」である

この浜では幻のごとく現れては消える島がある

干潮時にしか出現しない遠浅沖合のこの島には

星砂と呼ばれる砂がある

その名の通り星の形をした砂である

中には太陽の形をした砂も混じっていて「ティダ」と呼んでいた

この浜は有名な観光地であるため客引きが多い

ひとりブラブラ歩いていると沢山の人に声をかけられた

「幻の島までボート出すよ」 と

入口付近でこの島のバァバに話しかけられる

「兄ちゃんこの前この島に移住してきた人でしょ この前見たよ」

「コーヒーでも飲んでいきんさい」

僕の島人なりきりの術はかなり腕を上げているみたいだ

そういえばここに来る前にバイクに乗っていると

思いっきり笑顔で地元のおじさんに手を振られた

おもわず僕も思いっきり手を振り替えした

どうやら世の中で3人はいるという自分そっくりさんが

この与論島にいるらしい

バァバとすっかり仲良しになり

売り物としている星砂を少しもらって別れた

星砂を見つめるバァバの瞳がかわいかった

 

ギリシアのミコノス島と姉妹都市を締結している与論島には

ところどころにギリシアチックなものがある

茶花付近ではもうこの島は何国なのか分からなくなってしまう

茶花沖で潜ってみると

そこには海中宮殿がありハート型の穴のあいた屋根をくぐってみた

ここでは海中結婚式も行われるみたいだ

茶花を見下ろす丘に立ってみると

白いオブジェに青い空そしてエメラルドな海

ん~この島は独立国家パナウル王国だ

 

そんなパナウル王国旅行もひと段落したので

僕はウドノスビーチに腰を下ろした

缶ビールを空け

ウォークマンで音楽を聴きながら

この時を待った

旅先でのこの時間は自分だけの時間

旅に出ているそのときぐらいは

地球におやすみを言いたいものだ

今晩の地球上映会のタイトルは

『夕陽』だった

☆ 

『島国からの贈物』

『夕陽』

 

2005415日 鹿児島県与論島にて

 

~朱と蒼の道~

無限の蒼の海原が静かに終わりを告げる時 

輝いてる光もまた静かに蒼に向かっている

蒼が大空をも支配する日の旅先では 

決まって西の方角へ目をむける

そして一刻一刻と時を数える

輝いてる光は徐々に丸みを帯びてきて 

やさしい朱色になっていく

時折雲に見え隠れするたびに 

朱く そして やさしく

やがて無限の蒼の海原の世界に

一本の朱色の軌道が伸びていく

西方から私の方へ…

そよぐ風は朱色の軌道に 

ダイヤモンドに勝る輝きを放つ

西方から私を導くように…

朱と蒼の道は明日へ延びていく

 

~紅と藍の混色~

道はやがて消えてしまった

未知の明日を想像する間もなく

そして蒼は藍に鮮明に 

そして朱は紅くやさしく

大空は紅が支配し藍まで染める勢いだ

そこで紅と藍の混色が生まれる

幾度となく見てきたこの混色は 

見るたびに色彩が違うみたいで

いつの色が一番とは決して決めない

また西の方角を見る為に 

紅はさらにやさしくなる

私が常に眺めれるほどに

照れてしまったのかさらに紅くなり

さっさと藍い線へ消えてしまう

このときの君が一番きれいだ

このとき私はいつも思う

地球よとまれ

時間よとまれ

 

~過去と未来の私~

いつから夕陽を眺めているのだろう

いつも旅の途中で 

いつもではなくごくまれに

見ようとして見れなくて 

どこで見れるかも分からない

さびしさと やさしさと 

たくましさを感じるこの色は

いったい何色なのだろう…

いつも考え答えは見つけない

未来の私に託すとする

遠い砂浜に一人の少年が座っている

彼もまた未来の自分に託すのだろう

あの時私が託したように

 

 

 

島国の宝物は「もの」だけではありません

 

島国にいにしえから伝わる宝物

 

それは「ことば」

 

与論島にはそれがありました 

 

次回更新 『尊々我無』