この地を語る文化人は多い
国道以外の道は基本的に狭く
南にすぐ海、北にすぐ山という地形により
平地が少なく必然的に坂の途中に家が並ぶ
足元が1階の窓の上という趣のある光景に出会える
海向かいにある向島との間に狭い海峡があり
狭いが故に「尾道水道」と呼ばれる
海沿いには漁港や渡船場、商店街が並ぶ
この古い商店街はどこかひっそり感があるが
その中に穴場的なお店が点在している
坂を上るといくつかの寺や博物館がある
そこから眺める尾道水道、造船所、向島に架かる二つの橋 そして連絡船
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現在・過去・未来を随所に見られる町だ
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狭く続く坂道では行き先は決めないほうがいい
どうせ迷ってしまうのだから
迷うのを楽しめばいいんだ
もっと楽しみたいのなら
野良猫に案内してもらったほうがいい
彼らはこの坂の観光大使だからだ
でもきっと彼らには僕たちの通ってはいけない道があるのだろう
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一見一思
訪れるとまた訪れたくなる尾道では
こうやって楽しんだほうがいい
お家に帰って思い出すのではなく
ひとつ見てはひとつ思う
それが出来るぐらいの宝物が
この坂にはある
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『島国からの贈物』
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『猫の細道から尾道水道へ』
2006日 15月7年
この坂から始まる猫の細道をバイクで滑走するおじさん
彼にはおいしい夕食が並んだちゃぶ台があるのだろう
この坂の曲がり角にある茅葺屋根の門
ここには何人の笑顔が訪れたのだろう
この坂の木塀に掲げられている猫の絵
この坂で心を洗われた人の猫への恩返しなのだろう
この坂の頂にある緑のツタに囲まれたカフェ
この坂にたたずんでいたい人の場所なのであろう
この坂で振り向くと眺められる海と島と坂
海の風がこの坂を登ってきて僕を振り向かせてくれたのだろう
この坂の貯水槽を眺め続けているおじいさん
変わらない昔を変わらないように願っているのだろう
この坂を駆け下りる真っ黒な少女
この坂が在り続ける意味をもう知っているのだろう
この坂で寝そべって先を見つめる野良猫
ここの心地好さを一番よく知っているのだろう
この坂が終わった先に座っているおじさん
尾道水道から始まる未来へ心躍らせているのだろう