鍾馗(しょうき)万齢 特別純米超辛口 | 目指せ酒仙! 将来の店に置く旨い酒を求めて! 酒日記

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旨いもの大好き! そして、旨い酒大好き! 自宅で呑むのもいいけれど、知らない酒に出会う為に飲み歩いている今日この頃! お店で呑んだ、これは!という酒を、ジャンル問わずに公開していきまっせぇ。

こんばんは、酔っ払い管理人です。


最近めっきり寒くなってきました。
もう、11月なので当たり前と言えば当たり前ですね。
まだまだよく行く出張先が佐賀県です。
九州という南の地なので、気候は比較的暖かいものと思い込んでいたのですが、やっぱ10月に突入したあたりから、朝晩は冷え込む傾向にありました。
うーん、来月11月には札幌に出張があるんだけど・・・、向こうはもっと寒いんだろうなぁ・・・。


さて、そんな朝晩冷え込むので、先日佐賀にて例の一杯呑みやに行ったときのオーダーです。
その秘密の呑みやには、囲炉裏があります。
なんのために使う囲炉裏かというと、干物をそこで炙ったりするのです。
炙りながら呑む日本酒は、これ、最高です。
その日も、炙り物が出てきたので、気温が低いこともあり、こんなお願いをしてみました。
「燗にして美味しい酒が呑みたい」


すると、大将、少し考えた後、冷蔵庫からおもむろに出してきた酒がこいつでした!




鍾馗(しょうき)万齢 特別純米超辛口
鍾馗万齢

この酒も、佐賀の地酒、いつも散々紹介している、万齢とのこと。
ラベルには、仰々しく描かれた鍾馗(しょうき)様の絵。
なにを象徴しているのか不明ですが、超辛口というからには、武骨ながらも鍾馗のやさしさが宿っているということでしょうか。


燗は、ぬる燗~人肌くらいとのこと。
燗をするのに・・・ひと演出!
鉄瓶のやかんを囲炉裏において、そこに徳利です。
囲炉裏にて
いやぁ~、こいつは参った。
猪口もお銚子もシンプルな白。
銚子は注ぎ口はなく、ただ、円形の口がひらいているだけのシンプルなもの。
参りました、実に酒呑みの心理をわかっていらっしゃる。
お銚子というのは酒を猪口につぐという動作に集中して、全身の細胞が目覚めるという感じがするものが良いと何かで聴きました。
つまり、わざと使い方を難しくするのが遊びなんですね。
遊びを含んだ使いやすさがお銚子の命ってわけですわ。
そんなシンプルかつ遊び心を含んだお店・・・ファンになってしまいそうだ。
なぬ?出張のたびに週2~3回も行くやつは既にファンだって?
そうかもしれません。


話がそれました、元にもどしてっと。
目の前の鉄瓶で燗をし、待つこと4~5分。
一口呑んでみた。


スッと舌の上に乗るようなキメの細かな液体が、香り控えめで通りすぎ、米の旨味とふくらみを感じさせる、力強い酒です。
燗酒独特の、ベタベタした呑感が全くなく、後を残さず潔くスパッと切れます。
肴の炙りももちろんのこと、生の肴もどんな料理にも引き立ててくれるでしょう。
燗酒でここまでのヒットは初めてです。
こないだの、古酒燗も旨かったが、どうしても古酒の老ねた味がでますしね。
これからの寒い季節、この燗酒にはまってしまいそうです。
自宅でお取り寄せしようかな?


ところで、ラベルの鍾馗様
閻魔様と混同している人がいるようですが、全くの別物だそう。
鍾馗様の伝説は、古代中国「唐」の時代にさかのぼります。
当時終南山という地に鍾馗という青年が住んでいました。
彼は高級官吏となるべく都へ出て、試験を受け見事トップ合格して「状元」という称号を受けます。
ところが、髭面 で大男の彼は人相がとっても悪かった為に、謁見した玄宗皇帝に怖がられ、状元の称号を取り消されてしまいます。
絶望した鍾馗はなんと自殺してしまうのだとか。


その後、玄宗皇帝はマラリアにかかり、病の床につきます。
高熱に浮かされる中で皇帝は、自分に取り憑く多くの悪鬼を大鬼が現れて退治する夢を見ます。
皇帝が夢の中で「お前は誰だ」と尋ねると、自分はあの鍾馗だと言うのです。
「自分は終南県出身の鍾馗。武徳年間(618年-626年)に官吏になるため科挙を受験したが落第し、そのことを恥じて宮中で自殺した。だが高祖皇帝は自分を手厚く葬ってくれたので、その恩に報いるため、天下国家の災いを除くことに執心しようと誓いを立てました。」と述べます。


夢からさめた玄宗皇帝は、不思議と病気が全快していました。
皇帝は自分の短慮を深く後悔し、急いで画家を呼ぶと夢で見た鍾馗を描かせました。
そして皇帝は、自分の命を救ってくれた鍾馗を今後は神として定め、祀ることにしました。
以来鍾馗様は、受験の神様・疫病除けの神として祀られるようになったとさ。
というのが 鍾馗伝説とのこと。
閻魔様は、仏教において地獄を守護する天部で、閻魔の語源はサンスクリット語からきています。
この鍾馗とは姿は似ているが、全くの別人だそう。


小松酒造は超辛口の酒に鍾馗を冠し、なにを表現しようとしたのでしょう。
そんなことが気になる、こだわりやの酔っ払い管理人でした。