めまいと性格
めまいといっても様々な病態がありますが、めまいになる人にはある特定の性格や気質があるように思います。ここで言うめまいというのは命に別状のないタイプのもので脳梗塞や脳出血のような脳に原因があるわけではなくそれ以外の部分が原因で起きているめまいです。
わたしの頭の中には特定のキャラクターが浮かびますがそれに該当しないような人がめまいで外来にこられた場合には逆に重大なめまいの原因があるのではないかと懐疑的になります。
病室に入ってくるしぐさや椅子に座るときの姿勢などでも患者さんの性格や状態を知ることができます。
もちろん服装や持ち物などもその人を現していることはいうまでもありません。
メニエール病とタイプA気質は有意な相関があることは東海大学の高橋教授らによって報告されてます。
わかりやすく言えばまじめで、物事に打ち込みやすく、仕事中毒系の人、モーレツ社員のような人です。
掃除をすれば徹底的にしなければすまないような方も含まれると思います。
めまいをもう少し系統的に分類してから説明を加えていったほうがよりわかりやすくなるかもしれません。
良性発作性頭位めまい症について
良性発作性頭位めまい症は外来でよく見かける疾患です。めまいを専門に見る医師が診察すれば問診だけでほぼ診断でき簡単な検査をすることで確定診断することができます。しかしめまいを知らない医師が診察すると数々の検査を行い大きな異常はありませんという説明を受けることが多いようです。
このような説明に納得がいかない患者さんを診察することが多いのですが診断は比較的容易ですし治療法もいまはほぼ確立された理学療法(運動療法)があります。また一般的にどれくらいで直るかということもわかっているのでそのあたりについてもよく説明を加えます。ポイントはめまい頭位をこわがらずとることによって治癒が促進できる。
自然にしていても1-2週間で治ることが多い。3割程度の人が忘れたころに再発する。薬物治療はあまり有効ではない。このめまいで命を落としたり転倒することはない。自転車はあまりお勧めしない。ということでしょうか。
めまい診療とオーラ
全人的医療とは
人間の体をパーツとして分けて部分ごとに捕らえる見方が現代の医学教育では一般的です。
そのような教育の延長線上で医療を行うと、どうしてもここの器官を検査して異常なしという診断に到達してしまうのかもしれません。個々の機能が正常であってもその統合がとれていなければ正確な機能動作は得られません。
そのような統合異常が患者さんの症状として現れることが非常に多と感じています。
当然のことですが人間を人間という全体のシステムとして考え、全人的な医療を行うことがめまいの診療には要求されています。
異常なしということば
めまいの患者さんが耳鼻咽喉科を受診して異常なしといわれたという話はよく聞きます。診察した医師は何を持って異常なしということをいえるのか?私にはわかりません。耳鼻咽喉科的には異常ありません。というのもよく聞きます。
めまいの中で耳鼻咽喉科的な異常があるものはほんのわずかであす。まずわれわれが見分けるのは前庭性か非前庭性かということです。そして少なくとも異常なしという回答で終わりにするのではなく原因は、、と考えられる。というようにある程度の原因を推定してあげることが必要です
最近読んだセールスマンのための書籍には客のほしいものを売ってはいけないという言葉がありました。それによればお店に”ーーをください”といってくるお客さんが本当にほしいものは”--”ではなくその言葉の裏にある本当に探しているものは何かを考えてセールスをするということがかかれていました。
このことからわかることは患者さんは耳鼻咽喉科的には異常ありませんという回答を求めて病院に来ているわけではなく何とか症状をよくしたいという気持ちで病院に来ているわけですからまずその気持ちを
くみとったうえで治療法を選択していく必要があるでしょう。
医療はサービス業になりつつある現代の風潮も踏まえると患者が何を求めているかを的確に判断する能力が優れている医師には自然と患者さんが集まるのではないでしょうか?
めまいの患者さんがくるととりあえず頭のMRIをとって異常がなくてよかったですねという説明をする医師が多いのですがそれは医師でなくても誰でもできることであり私の経験ではそのような検査で異常が出る患者さんは非常にまれです。年に1人いないくらいの頻度ですね。