narative based medicine
日野原重明 著 聖路加国際病院 「生きかた上手」
ちなみに、医療において最先端を行くアメリカや英国・ドイツでは、データ本位の医療を反省して、診察室での意思と患者の対話、いわゆる物語り医学、narative medicine がいま最も注目され重視されつつあることを付け加えておきます。
産業医の講習会に参加してきました。
そこで実際の症例を参加者で討論する時間がありました。
症例は41歳男性 170センチ 80キロ 酒 ビール2本/日 血圧180/110 空腹時血糖130 GOT 80などなど
この症例について就業についての指導をするというものでした。
私は頭の中でこの方の生活習慣、家庭環境や顔つき振る舞いを想像していましたが多くの参加者高血圧の治療をしなければならないとか糖尿病であるとか、肝障害であるという議論をしていました。
紙に書かれたデータをみてそれは何病であるという議論はだれにでもできることであり実際に患者を診ている医師であれば頭の中に症例をおもいうかべどのようなことが起こりうるかをイメージした上で議論したいと思っていました。
木を見て森を見ないという事にならないように注意したいものです。
さてnarative medicineは聞きなれない言葉かもしれませんが最近日本で注目されているevidence based medicine(略してEBM)の対極にあるものです。
EBMは個々の個性を無視し患者さんのデータのみを抽出し統計処理し、そのデータに基づいて画一的な医療を行うというものです。
一方Narative のほうは個々の患者さんを個としてあつかうものであり古くから行われている医療です。
温故知新という言葉もありますが医療の原点がnarative based medicineであるということは間違いないと思います。
カウンセリング
カウンセリングはでアメリカでは一般的であるが日本ではまだまだ一般的ではない。
誰でも心の病になる可能性があるのですが日本では根性論などもあり心が弱いというのは人には見せないで隠し通すものであるという文化があるからではないでしょうか
心の病が身体の症状になるとめまいやうつなどの様々な症状になります。
都市化、核家族化、社会の競争化がすすみ相談する人が周りにいないということもあるかも知れません。
誰もが気軽にカウンセリングや相談ができるような仕組みや社会の雰囲気を時間をかけて構築していく必要があると思います。
病院でもじっくり診療時間があれば医師がカウンセリングのようなことを行いそれがもっとも重要な治療行為になりえるのですが限られた時間ではなかなかそうもいかないのが実情です。
私は臨床心理士の力をかりて環境の整備に取り組んでいます。
バーナード・ラウン著 ”治せる医師・治せない医師”より
the lost art of healing
めまいと漢方
漢方治療はめまい診療にとって欠かせないものです。
頻用する処方は
半夏百朮天麻湯 利水作用、自律神経調整作用
苓桂朮甘湯
柴苓湯
真武湯
柴胡加竜骨牡蠣湯
女性3大漢方
当帰芍薬散
加味逍遥散
桂枝茯芩丸
黄連解毒湯 高血圧
それぞれ頭の中にこんな人に使おうというイメージがあります。
漢方医学では望診といって診た感じを重視しますので第一印象が非常に重要です。
セロトニンとSSRI
最近はめまいの患者さんのなかに抑うつの傾向の強い方が増えています。
抑うつということばは非常にあいまいなことばです。”うつ”といってしまうととても強い語感があるきがしてあえて”抑うつ”という言葉を使いますが
病態の程度から
”うつ”=”抑うつ”=<”うつ病”
という感じで使い分けられていることが多いようです。
耳鼻咽喉科の外来でなんで”うつ”の治療をするの?
と思われるかもしれませんがそれほど頻度の高い症状なのです。
特に女性は更年期ころにホルモンの変化や親の介護などの問題で一時的にはかなりの方が抑うつになります。
男性は職場のストレスで入社後の25-30代に非常に多く見られます。
SSRIという薬が非常によく効きます。
この薬は前シナプス神経膜のセロトニントランスポーターと直接結合してセロトニンの再取り込みを強力かつ選択的に阻害するもので、それによりセロトニン神経伝達機能を増強するようです。
副作用の出現率が安定剤よりも多少多いために使用に当たっては多少の注意が必要です。
正しい使用法をすればこれほど強力な武器はありません。
睡眠管理について
セロトニンントランスポーターとめまい
医師用
以前より心因性めまいとして扱われてきた疾患群は最近不安障害に伴うめまいやパニック発作という的確な診断名がつけられるようになりました。
それらのめまいの原因としてはセロトニンの代謝異常が想定されています。
詳細は省きますが
それらの病態のを解明するためのセロトニン関連の研究が本日病院の倫理委員会で認可されました。(2005年9月28日)
明日から楽しみです。
Stay hungry, stay foolish.
スタンフォード大学の卒業式でアップルのCEOスティーブジョブスがスチュアート・ブランドの言葉を引用して述べた言葉。いつもなにかを求め向上心を忘れないことを言っている言葉だと思います。
自分の周辺ではstay rich, stay smart (もういいよ、ばかばかしいのでそんなことやっても意味がない。)
という考えが蔓延しているような気がします。
逆にStay hungry, stay foolish.でいると周りからは奇異の目で見られるような気がします。
いずれにしても自分で持っている理念をはっきりさせてそれに基づいて行動していればおのずと10年20年後の自分の姿が出来上がっているであろうということだと思います。
ウォルグリーン
医療がサービス化する中でビジネスや顧客満足の勉強をすることも外来診療とは無縁ではないと思う。
ウォルグリーンはアメリカで大成功を収めているドラックストア世界一の店。日経ビジネスによれば誤算を発見につなげる分析力、顧客のことをしろうと毎日のように努力する。顧客の共感をいかに得るかを重視する。という姿勢がものを売ための市場を開拓し続けているそうです。
医療の場合はその受け手が病院を選択する自由が制限されている場合も多くこのようなビジネスの話を適応するのは難しいこともあります。
しかし人を相手にしているという点では共通でありいかに患者さんを満足させるかということについては日々研究する必要があるかもしれません。
質の高い医療を提供することはもっとも基本的でそれなくしては本末転倒ですが、、、