「M A S K (1985 米)」2億2千万分の1人に訪れる試練と闘った少年 | 日本と芸能事が大好きな Ameyuje のブログ

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米合衆国領土グアム島と仏領ポリネシアのタヒチ島とボラボラ島しか訪れた他国無し。比較対象が少ないのに「僕に一番合うのは日本」と思う。反日国に侮辱されても毅然とした態度をとらない現在の母国には「いやんなっちゃうな~」と立腹するけど、やっぱり日本が大好き。

 ネットで「映画 マスク」と検索をかけると、たいていの場合1994年にジム・キャリーが主演した定冠詞THEがついた方のMASKが表示される。

 これが私にはずぅ~っと気にくわない。 私にとって マスク というアメリカ映画は以下に紹介する作品ただ一つだ。20代後半だった頃の私にとって、友人たちに鑑賞を勧める場合、チャップリン映画以外ではこれが一押しのアメリカ映画でした。

 

 

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『M A S K (1985 米)』
配給:Universal Pictures
制作:Martin Starger
脚本:Anna Hamilton Phelan
撮影:Laszlo Kovacs
音楽:Dennis Ricotta
メイクアップ:Michael Westmore / Zoltan
編集:Barbara Ford / Eva Gardos

監督:Peter Bogdanovich

=== CAST ===
Cher .... Rusty Dennis
Sam Elliott .... Gar 
Eric Stoltz .... Rocky Dennis 
Estelle Getty .... Evelyn 
Richard A. Dysart .... Abe 
Laura Dern .... Diana 
Micole Mercurio .... Babe
Harry Carey Jr. .... Red 
Dennis Burkley .... Dozer 
Lawrence Monoson .... Ben 
Ben Piazza .... Mr. Simms
L. Craig King .... Eric
Alexandra Powers .... Lisa 
Kelly Jo Minter .... Lorrie

 「MASK」は、難病と闘いながらも太陽のように明るく生きた一人の少年、ロッキー・デニスの青春と短かった彼の人生の終わりまでを描いた秀作です(勿論私の勝手な独断です)

 この作品の素晴らしさは、スタッフと(今となればだが)キャスティングからも想像できる。
 主人公ロッキーの母親役には、この映画の2年後「Moonstruck 月の輝く夜に」でアカデミー主演女優賞を獲得するシェール、そして頭蓋骨が年々肥大して行く難病を負ったロッキー役には1978年から映画・TVに活躍し、幾つかの青春ドラマで繊細な演技が冴えたエリック・ストルツ、そして母子を陰ながら応援する自由人のガーにはTVドラマのベテラン俳優サム・エリオット、ロッキーがその死の前に最後の恋をして、心を結ぶ相手となる盲目の少女ダイアナには「Jurassic Park (1993)」のローラ・ダーンを配し、監督は「ペーパー・ムーン」のピーター・ボグダノビッチがつとめています。

 若い頃から友人のガー達のグループと共に自由人として生きたシングルマザーのラスティーは、息子を苦しめている難病の原因が自分の麻薬経験によるものではないかと心の底で苦しみ続けていました。

 しかし母子は天性の明るさでお互いをいたわり合いながら生きており、またガーと彼の仲間達もそんな母子を心身両面からサポートし、応援するのでした。

 ドラマの前半は、「賢明さと明るさと優しい心」に溢れる人格でありながら、難病によって醜く奇形化するマスクのような顔面を持っているために「周りから誤解され、理解を得る事に困苦する」主人公ロッキーとその母ラスティーの姿を中心に描かれます。

 人々の偏見の中でも進学を果たし、やがて限りない明るさと自身の努力によってクラスメイト達の信頼を勝ち取って行くロッキーの姿がとても印象的です。

 本来、硝子のように繊細で、美しいその素顔を難病の特殊メイクの下に隠してロッキー役をつとめるE・ストルツの熱演が光ります。



 そして映画後半では、ロッキーが人生の最後に初めて出会った「真実の恋」が描かれます。 「盲目」というハンディキャップにも負けず、真摯に「人生と向かい合う」少女ダイアナと、「難病」に背を向けずに生きるロッキー。 二人がそんなお互いを水が流れるように理解して行く過程の描写は、私には涙無くして観ることはできませんでした。

 この物語の最後は、主人公ロッキーの死で終わります。 少女ダイアナとロッキーの恋はこの世の形として成就することは無かったけれど、あの二人は人生の勝利者だったと思いました。
 自分を測るメジャーに縛られず、そして他人を規制のメジャーで測ることもしないダイアナとロッキーの姿、そして、息子の死を見送る母ラスティーと親友ガー達の姿を引きのアングルで捉えたラストシーンは、ややもすると自分自身が拵えた物差しの値に縛られてしまっている私たちに「もっと大切なものが在るんだよ」と言うことを爽やかに教えてくれます。



 実際のロッキーは、顔の奇形を矯正するための整形手術を受けることは拒否しましたが、1978年10月4日に16歳で亡くなるまでに、頭蓋骨が膨張変形するのに伴う視力低下の中、学問を進めて少しでも知識を成長させようと努力しました。 死亡後のロッキー・デニスの体はUCLAメディカルセンターに寄付されました。彼の母親のRusty Tullisは、2006年11月11日に、オートバイ事故後の感染症により70歳で亡くなったそうです。

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 ネットでもなかなかレンタル情報が見つからず、入手が難しくなっているようですが、もし本作のDVDなどがお店にあったら是非借りて鑑賞なさってください。 近頃勇気がわいてこない… という方には、特にお薦めできる映画です。

 

 

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