「 砲艦サンパブロ The Sand Pebbles(1966 米)」 | 日本と芸能事が大好きな Ameyuje のブログ

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米合衆国領土グアム島と仏領ポリネシアのタヒチ島とボラボラ島しか訪れた他国無し。比較対象が少ないのに「僕に一番合うのは日本」と思う。反日国に侮辱されても毅然とした態度をとらない現在の母国には「いやんなっちゃうな~」と立腹するけど、やっぱり日本が大好き。

 子供の頃、小学校6年生の秋に「大脱走 The Great Escape(1963 米)」という映画がテレビで放送され、映画で主人公ヒルツを演じていた Steve McQueen という俳優さんを初めて見た私は映画を観終わるころには スティーヴを「わがヒーロー」として祭り上げていた。
 

 

 その後、Sir Charles Spencer Chaplin に出会ったのは 中学1年生が終わる前の春のころ。東宝東和が 東和創立45周年記念 と銘打って地上波放送まで巻き込んで大々的に行ったチャップリン長編代表作十本の連続興行「ビバ・チャップリン」という大イベント。その、第一弾として全国公開されたのは「MODERN TIMES (1936 米)」であり、私が初めてチャーリーを観たのは このモダン・タイムスの中の彼だった。その時から、チャーリーは私にとっての神様のような存在になった。

 中学に進学して、すぐ同好の士であるN君と出会い、エルマー・バーンスタイン作曲の「The Great Escape March  大脱走マーチ」をミッチ・ミラー合唱団が歌っているレコードがあるというので、彼と一緒に梅田まで買いに出かけた。玩具みたいなレコードプレーヤーで何度も何度も聴いて、聞こえるままにカタカナでノートに書きあげて、一緒に歌ったりした。同じようなことをした経験は チャールズ・ブロンソン Charles Bronson が出演した男性化粧品ブランド「マンダム」のCMソングで、ジェリー・ウォレス Jerry Wallace が歌った「男の世界 /LOVERS OF THE WORLD」くらいである。

 あぁ、無駄話が過ぎたが、チャーリーも、スティーヴも、お二人とも後年、私自身の耳目でその死の報をリアルタイムで知ることになった。私には無くても良いのだが、天国がもしも存在するのならば、お二人にはそこに居てほしい。

 さてスティーヴとはそんな出会いだったので「大脱走」は当然大好きな映画なのだけれど、後に、やはりテレビの洋画劇場で「砲艦サンパブロ The Sand Pebbles(1966 米)」を観たときの心の揺れは今でも忘れられない。
 そこで 次に引っ張り出す昔のレビューは これに決めた。

★ ★ ★

 

『The Sand Pebbles(1966 米)』  Director Robert Wise, 
 運命 … ときに苦しく、時に甘美な響きをもつ言葉

 Steve McQueenのファンでも「好き嫌いが現れやすい」映画かも知れませんが、僕は少年の頃にTV放映で初めて観た時から大好きな作品です。
 10数年前にDVDを借りて改めて鑑賞した時、良かったのは特典音声で、Robert Wise監督をはじめ コリン艦長を演じた Richard Crenna や マコ岩松の解説・撮影時のエピソード等が聞けたことでした。だもんで2回(360分)も鑑賞しましたが、昔から疑問に思ってた点が解決して嬉しく思ってます。価値ある特典でした。

 

 

 本作品は1926年頃の中国、上海から揚子江流域を舞台にし、当時中国各都市に生まれていた外国人排斥運動から起こる戦闘の中で生死する兵士や民衆達の姿をガンボートの船員の目から描いています。
 その中に3つほどのドラマがあり、いずれも悲しい結末へ向かって流れていくので、派手な戦争映画を期待される向きには評価が落ちるかもしれません。ガンボートの名前が直訳すると「砂の小石たち」ですからね、何事かを暗示していますよね。

 でも、非常時における人間ドラマや、蒋介石を中心とする国民党が反共クーデターを起こす直前の中国の時代背景などに興味を持たれる方には、鑑賞後も後引く印象を残す映画になるでしょう。
 本作のロケは殆どが台湾で行われており、一部分は香港で撮影されています。 撮影当時、アメリカはヴェトナム戦争へ三十万を超す兵員を投入し、戦死者数が5千を数えようという状況にありました。この他国への介入戦争に対する反戦の訴えや、戦争泥沼化への警鐘というものも、本作にはこめられているように感じます。

 それにしてもスティーヴの演技は本当に素晴らしい。同年公開された「Nevada Smith(1966)」でも彼は「両親を惨殺された復讐に燃える孤独な男」を熱演してますが、本作ではもっとイイ演技だと思います。

 

 

 海の無い故郷ユタからワケアリの過去を抱えて海軍に飛び込み、流れ流れてアジアは東のはずれの揚子江に浮かぶ老朽砲艦まで赴任してきた一等機関士ジェイク・ホルマンの姿は、そのまま現実のスティーヴの半生と重なるようにも思えます。主人公は日本ならば昔の高倉健さんあたりが巧く演じそうな「孤独で一途なエンジニア」なんですが、内面の葛藤を抑える表情から動作までを当時36歳のスティーヴが見事に演じきってます。
 短く刈上げた髪、 頭には斜めに載せたセーラー帽。 足元に至るまでなんとスマートでセクシーなことか。まさに「これが映画スターだ!」と納得させられます。

 

 

 ジェイクの淡い恋の相手シャーリーには 当時19歳の Candice Bergen。唯一人心許せる兵隊仲間フレンチーには、のちに監督としても活躍して名を遺す Richard Attenborough、大脱走でも共演してますね。

 

 

 ジェイクと対立しながらも最後は自ら信じる職務の正義に命を懸けるコリンズ船長にはランボー・シリーズでバイプレイヤーを務めた Richard Crenna。ジェイクの弟子になる中国人ポーハンにはマコ岩松と、脇を固める俳優達も良いですね。
 

 

 余談ながら、フレンチーの妻になる娼婦メイリーを演じたのはマラヤット・アンドリアンヌを芸名としたバンコク生まれのタイ人女性脚本家ですが、実は彼女は16歳でフランス外交官と結婚しており(1956年頃)本名を Emmanuelle Arsan(エマニュエル・アルサン)といい、この後官能映画「エマニュエル夫人」の原作を書いたお方です。

 

      

 また、マコ以外に実はこの映画関連の?日本人が一人居ます。それは映画のメイクアップ・アーティストを勤めてたビル・ターナー氏と結婚したカオリ・ナラ・ターナーさんで、現在の彼女は夫ビルさんの仕事を受け継ぎハリウッド映画人達から最大級の愛と賞賛を受けて仕事をされてますが、彼女がその夫と結婚したのがサンパブロの撮影中でした。

 前述のとおり、この映画は一部香港ロケで撮影してますが、かおりさんは当時ダンサーとして香港で働いていたそうで、 ダンスステージで踊る姿を未来の夫ビルさんに一目惚れされ、さらにはプロポーズまでされることになり、 結局はスティーヴ・マックィーンその人が月下氷人(仲人)をつとめましたとさ。

 参考 http://www.ewoman.co.jp/shindo/04/
   ewoman 国境を越えた足跡 第4回 カオリ・ナラ・ターナーさん へのインタビュー記事です。昔からの映画ファンは必読ですよ!

 

 

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