ジュディーはドラッグに殺された!&邦画『オズランド 笑顔の魔法おしえます(2018)』 | 日本と芸能事が大好きな Ameyuje のブログ

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米合衆国領土グアム島と仏領ポリネシアのタヒチ島とボラボラ島しか訪れた他国無し。比較対象が少ないのに「僕に一番合うのは日本」と思う。反日国に侮辱されても毅然とした態度をとらない現在の母国には「いやんなっちゃうな~」と立腹するけど、やっぱり日本が大好き。

 現在進行形で TOHOシネマズ西宮のSCREEN12(座席数70の小さな小屋)では「ジュディ 虹の彼方に JUDY GARLAND: THE END OF THE RAINBOW (2019)」がかかっている。「ブリジット・ジョーンズの日記 Bridget Jones's Diary」の Renée K Zellweger 主演じゃによって、これを映画館で見逃すのは惜しい。レネーはジュディーを演じてアカデミー主演女優賞も取ってるしな~。

 そんなこんなを思っているうちに、ルーツである本家の「オズの魔法使い」を初めて見た時の大感動がよみがえり、「う~ん、大好きな映画ほどレビューは書きにくい」 ということで、オズつながりで今夜は邦画のレビューを引っ張り出した。

 ・・・でもホンネは少し複雑で、実際のジュディーは十代の頃から芸能界に蔓延するセックス(枕営業)とドラッグに蝕まれていたから、彼女の人生に Rupert Goold 監督がどこまで迫っているかが心配でもあるのです。
 田代マーシーや沢尻エリカや槇原敬之マッキーの転落の歴史を見ても、人間は絶対にdrug なんかと関わっちゃいかん!ということは誰もが判る事なのだ。それなのに、ドラッグ依存者に転落するゲートウェイとなるプッシャーたちは薬の名前を変えて、酒場のような軽い酩酊をもたらす場所で、アルコールで注意力を失っている素人の心の隙間に忍び寄り、エデンの園にいた蛇のように声をかけて来るから恐ろしいのだ。

 

 「どうや、簡単に痩せられる薬があるんやけど、試してみぃひんか…」

      『え~、それ、なんか危ない薬、覚せい剤とかとちゃうの』

 「あぁ、これな、クリスタルっちゅう名前でな、ダイエットに使うてる娘、結構おるらしいで」

 

・・・と、たとえば大阪ミナミの歓楽街、飲み屋やクラブなどのアルコールが提供される場所で、売人が素人を中毒患者に堕としてゆくシナモノをプッシュしてくるように、小太りのスタイルに悩む少女時代のジュディーの横に、ハリウッドの狼たちは忍び寄ったことだろう。




47年という短い人生の最後までジュディは違法薬物から離れられなかったはずだし、薬物の影響で晩年は容姿も加速度をつけて衰え、歯なども年齢からは似合わない傷み方を見せていた。

★ ★ ★


邦画 『オズランド 笑顔の魔法おしえます(2018)』

~虹のかなたにいるのはブルーバードじゃなくってブルーレット?~

 小森陽一氏の小説「オズの世界」を畑優以氏が『ふしぎの国の波平さん』として漫画化。さらに原作者小森氏が執筆時にヒロイン「波平久瑠美」としてイメージされていた波瑠さんを主演として映画化されたという「出来過ぎた」お話。

 原作の経緯をまったく知らずに 俳優 西島秀俊氏 見たさだけで作品購入した私。
映画冒頭、地方赴任に向かうヒロイン久瑠美の表情が余りに暗くて、こりゃ購入して失敗だったかな~なんて思い始めたところ、爆発物騒動のオチで少し気持ちが楽になりました。 そして、その後も暫くは、波瑠さんが余りにも上手に「仕事に後ろ向きなヒロイン」を演じるものだから「迷子トラブル」のくだりまでは、観客としての気持ちが乗らないまま物語を追っていました。

 でも鑑賞後の今はわかります。私のような、平凡な社会人の誰もが経験したはずの「職場において自分の居場所を見つけるまでの理想と現実の葛藤」を、新世界に飛び込んだ初日からナミヘイと(読み間違えられた、本当の自分ではない名前で)周囲から呼ばれてしまったヒロインの心模様を冒頭で描くことが大切なんですね。
だからこそ、他者から見える「自分」の在りかは冠せられた「衣装や学歴や一方的な思いの中」ではなくて「組織と自分が双方向に連絡しつつ責任を果たしてゆく行動の中」なんだと理解した彼女の成長が描かれる映画の後半で、私達観客は感動するんですね。

 「遊園地の魔法使い」と呼ばれる先輩社員の小塚さんを演じた西島氏。小塚さんが最後まで優しかったのも良かったです。MOZU系のドラマで演じてる、人物の抱えたダークサイドが頻繁に表現されるヒーローも渋くて良いんですが、この映画の西島氏は人の好い仕事人を最後まで演じられてたのが嬉しかったです。

 私の小学生時代、近所に甲子園阪神パークという遊園地があり、豹を父・ライオンを母に持つ珍獣「レオポン」が飼育されていました。隣接都市には宝塚ファミリーランドや神戸の王子動物園などが存在しました。その後 成長につれて大阪吹田のエキスポランド遊園地や神戸ポートピアランド、大阪天保山ハーバービレッジが、さらに中年以降ではUSJが現れました。これら以外にも幾多の夢の世界が現れては消えていきましたが、この映画はそんな現実世界のシビアな生存競争も思い出させてくれました。

 また、題名の「オズランド」はいわずもがな米国童話の傑作、そしてハリウッド伝説のミュージカル映画由来のタイトルですね。子供の頃、TVの洋画劇場で生まれて初めてジュディー・ガーランドの「オズの魔法使い」を観た時の感動(現実世界の描写はモノクロ映画で、オズの国に着いたとたんカラー映画に変わるところなど)は半世紀を経た今も忘れません。本家物語内のオズの魔法使い(老いた詐欺師)が気球に乗って大団円を前に去っていったのとは違って、本作の「魔法使いの小塚さん」は皆を助ける為に命がけで気球に乗りこむのでした。空高く舞い上がった気球にはグリーンランド50周年を祝う萬来のお客様から預かっていた無数の夢の形「風船」が積載されており、それらはナミヘイの企画通りに最後はグリーンランド園内にいる人々の上に降ってくる。

 このシーン、ふた昔前に私が大好きだったドラマ「世紀末の詩」最終回のラスト。主人公のノアが彼の愛した百瀬教授の夢の形だった「潜水艦」に独り乗って海に出、やがて艦内から多くの風船を空に向けて放っていくシーンを鮮やかに思い出させてくれて、泣けちゃいました。



 もう書ききれませんが、他の出演者皆さんの存在感も配置バランスがよくって、おまけに映画以外の加点要素もあり、八百長的な満点評価になりました(笑)。

 でも、鑑賞後の私は、副題が言う笑顔にされていたから、イイですよね。 

 

 

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