復刻版教科書のシリーズの『復刻版初等科国史』は天孫降臨の神勅と御歴代天皇の表という、日本人としての基本から始まっているのに対し、『復刻版初等科修身』は別の二つの勅語から始まっています。

 

 

最初が「教育勅語」、そして次が「青少年学徒に賜りたる勅語」です。「教育勅語」は有名ですが「青少年学徒に賜りたる勅語」は聴きなれません。これは昭和14年(1939年)5月22日、昭和天皇が青少年学徒の代表者に御親閲を賜り、式後に荒木貞夫文部大臣を通じて授けられたものです。読んでみると教育勅語同様、良い内容です。だからこそ戦後、教育勅語同様失効されたわけです。

 

昭和14年5月22日
勅語全文&現代語


国本に培い、国力を養い、以て国家隆昌の気運を永世に維持せんとする任たる極めて重く、道たる甚だ遠し。而して、其の任実に繋りて汝ら青少年学徒の双肩に在り。汝等其れ気節を尚び、廉恥を重んじ、古今の史実に稽え、中外の事勢に鑑み、其の思索を精にし、其の識見を長じ、執る所中を失わず、嚮う所正を謬らず、各其の本分を恪守し、文を修め、武を練り、質実剛健の気風を振励し、以て負荷の大任を全くせんことを期せよ。


国家の基礎を築き上げ、国力を伸ばし、国がますます栄えてゆく気運を、いつまでも維持しようという務めは極めて重大であり、とても長い齢月のかかる困難なものである。そして、その大任は君達青少年学徒の双肩にかかっている。君たちは、困難に屈しない、信念を曲げない強い意志を持ち、名誉を重んずることを心がけ、古今の史実、国内国外の情勢を深く洞察し、正しい判断を下す能力を高め、中庸を守ることを忘れず、正しい道を踏み外さず、各自その本分をつつしんで守り、学問、武道を修め、質実剛健の気風を奮い起こし、そうして各自の双肩にかかっている大任を完全に成し遂げる決心をせよ。

 

 

本書は4年前に発売され、この内容から、コロナ禍の中での世界の混沌とした状況で、子供たちに理解しやすい内容ではないかと考えていたのですが、ウクライナ侵攻が始まり、より一層理解しやすい現状になってしまっているのではないかと思います。考えてみればこの勅語が発せられた昭和14年という時代は、大東亜戦争勃発前の混沌とした時代情勢の中でした。そして、2020年以降、当時と今の世界情勢が似ているのではないか、という声を何度も聞いています。

 

古今東西、国があってこそ人々の生活が安定し安寧な生活が送れることに変わりはありません。世界同時の非常事態が起きると、世界の現実を改めて教えられますが、どこの国もまずは自国第一です。そして国の信用が落ちれば、その国民が不利益を被ることも変わりませんが、その国の信用はたった一人の国民の行動にかかっているといっても過言ではありません。

 

現在は世界は一つのようなきれいごとを第一に教えますが、そのためにもまずは国を整える必要があること、そして現実として自国が第一であるということも一緒に教える必要があります。

 

「古今の史実、国内国外の情勢を深く洞察し、正しい判断を下す能力を高め、中庸を守ることを忘れず、正しい道を踏み外さず」とありますが、「古今の史実、国内国外の情勢を深く洞察し」なければ正しい判断は下せませんし、中庸を守ることも、正しい道を踏み外さないこともできないのです。しかし、「正しい」とは何でしょうか?「正しい」とは国によって変わってしまうものもあります。そうした場合、日本人が選択する「正しい」は、「日本人の正しさ」となることを曲げない意志も必要になります。

 

現在の日本ではそうしたことが教えられていないことが、日本の弱さになっているのだと思います。そしてそうしたことが、現在日本で起きている様々な問題に繋がっているのだと。

 

さらにいえば、この修身の教科書は当時の国民学校(小学校)3年生~6年生までを対象とした教科書です。しかし、勅語全文はもちろん、口語訳でさえも、現在の国語教育では小学校で教えられない文章のレベルではないでしょうか。

 

上記文章を読んで解説されても、子供に深い理解はできなかったかもしれませんが、それでもこうした言葉を知っておくことで、「古今の史実、国内国外の情勢を深く洞察し」ていくこと、つまり思考するようになります。語彙が増えることにより思考が促されるからです。人は知らないことを考えることはできませんが、知ればそれについて考えはじめるからです。一度知れば後戻りすることはできないのです。

 

なお、初等科三年の項目には「日本のこども」という項目がありますが、読んでみるとこれは「教育勅語」と「青少年学徒に賜りたる勅語」を組み合わせて易しくした内容ではないかと思います。ただし、戦時下である内容が反映されています。また「教育勅語」が、井上毅により神話要素を徹底的に排除され、また「青少年学徒に賜りたる勅語」にも神話要素がないのに対し、神話要素を入れてしまっています。こうした神道の利用の仕方が、戦後、日本の歴史と同義でもある神道を歴史教育から排除させる要因ともなりました。しかし、戦時下と神話要素を排除して作り直せば十分今の子供達にも通じ、日本人である自尊心を養う内容ではないかと思います。幼い子供には自尊心を養わせ、成長するにしたがい謙譲の心も養うのが理想的な教育だと思います。なお、成長し、知識が増加することにより、謙譲の心は自然と湧き上がるものだと思いますが、中途半端な知識では謙譲の心は生まれないかもしれませんので、段階的にそれを教えるのも必要だと思います。

 

この復刻版初等科修身をお子さんと読む場合はそういう点も説明する必要があると思います。

 

日本のこども

 

世界に、国はたくさんありますが、神様の御ちすじをお受けになった天皇陛下が、おおさめになり、かぎりなくさかえて行く国は、日本のほかにはありません。いま日本は、遠い昔、神様が国をじめになった時の大きなみ心にしたがって、世界の人々を正しくみちびこうとしています。

私たちのおとうさん、にいさん、おじさんなどが、みんな勇ましくたたかっていられます。戦場に出ない人も、みんな力をあわせ、心を一つにして、国をまもらなければならない時です。

正しいことのおこなわれるようにするのが、日本人のつとめであります。私たちは、神さまのみおしえにしたがって、世界の人々がしあわせになるように、しなければなりません。

日本の子どものだいじなつとめは、一生けんめいにべんきょうすることです。べんきょうは、ただ、ものごとをおぼえるだけではありません。心を正しくし、美しくし、よく考え、よく工夫し、からだを強くきたえることが、みんな勉強です。

私たちは、日本のようにすぐれた国に生まれたことをよくわきまえて、心をりっぱにみがかなければなりません。そうして、からだをじょうぶにし、強いたくましい日本国民になって、お国のためにはたらくことができるように、しっかりべんきょうすることがたいせつです。

 

教育が重要であるからこそ、国を壊そうとする人はまずその国の教育を改悪します。そんな改悪を維持する必要はありません。コロナ禍を機に色んな事が見直されたり改善されていますが、昨今話題の急激なLGBT推進や、昆虫食推進、あるいは薄気味の悪い事件が連続して起こることに対しての世間の反応をみるにつけ、長年の教育により多くの日本人が思考停止状態になっているのではないかと危惧しています。

 

古今東西、時代が大きく変わっていくとき、そこには若者のパワーが動いています。時代を変えていくのが若者であるからこそ、少しでも間違った方に向かわないよう、間違いが少しでも少なくなるように、教育を行ってきたのが先人達です。教育が亡国に傾けられてしまったのであれば、それを修正していくことが急務であると多くの人の共通認識にしなければ、世の中は変わらない、修正できないです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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